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本編_前編_
第91話
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「ふぅ…いつ来てもここはどこかの五つ星レベルのホテルだな」
シェルファは、今はこの場に誰もいないことを良いことに思わずと素の口調で呟いた。
確か、使用人の話によるとやっぱりか感じで、大魔王はこの地に転生したようだ。
まあ、それはどうでもいいさ。
今までの魔王は、ある意味合いで身勝手な存在だったのだから。
「すみません。どちら様で…しぇ、シェルファ様!?」
ちょうど今、そろそろ魔導具を作る上で切れそうな魔石を拾いに行っていた、スライスはリーベルタース城へと戻って来るが否や純粋なエルフである、シェルファを見て声を出してしまったのである。
「ええ。なかなか理知的な魔物ですわね」
どうやら、噂に聞く魔王の手によって生成された魔物だと、すぐにスライスがスライムという魔物であることを見抜いて言った。
「な、何かご用ですか?」
「ええ。こちらにいらっしゃるという…シリウス・リノベイション殿にお話があって参りました。彼はどちらにいらっしゃるのでしょうか?」
「は、はい。ご案内致します」
スライスは、現エルフの中で頂点に立つという、不老長寿を極めた故で不老不死となった、シェルファ・L・フォルダニアをシリウスの所へと案内するために城の中へと入って行ったのである。
「俺たちの大事な妹のフリックに何をした!?」
ルシウスは、泣き崩れた跡のあるフリックを抱いて部屋へと来たシリウスに向かって言った。いつもは穏やかであるものの、フリックのことになると彼らは人が変わってしまうのだ。
「な、何って…神聖魔法を教えていただけだ」
魔法の中に“ス”の発音がどうしても必要となるのだが、それがなかなか言えなかったことをシリウスは彼らに説明したのである。
「そういえば、言っていたな。取り乱してしまってすまない…シリウス殿」
「全く兄貴はフリックのことになると…って俺もか」
「そうそう。僕たちはフリックのことになると、周りが見えなくなるのが欠点だよね…」
兄たちは揃って、誰よりも大事な妹であることから、あのことを深く引き摺っているが故に仕方の無い行為だったのだ。
「いやいや。勝手にこちらも連れ回してすまなかった…」
ぬいぐるみと遊びたい年頃だというのに、魔法という言葉で釣って連れ出したのだからとシリウスは謝罪したのである。
「う、うーん…にーさま…?」
「起きたか。フリック」
「うん。おっきしたの…。ボク、ケーキたべちゃいの」
「ケーキか。今食べると夕飯が食べられなくなるよ?」
エリオスは、時刻は今、16時過ぎであることから言った。
「うー………」
「ご、ごめん。フリック…。デザートのケーキはあげるから」
「ほ、ホント?エリオシュにーさま………」
嬉しそうにフリックは言うと、疲れが出たからなのかまた、眠ってしまったのだった。
「こ、こちらです」
「ご案内ありがとうございます。本当に凄い城ですわね」
昔から城の外面だけ見たことがあっても、中には一度も入ったことがないことから、シェルファは礼を言うと共にシルヴァンエルフ兄妹の部屋にノックしたのである。
シェルファは、今はこの場に誰もいないことを良いことに思わずと素の口調で呟いた。
確か、使用人の話によるとやっぱりか感じで、大魔王はこの地に転生したようだ。
まあ、それはどうでもいいさ。
今までの魔王は、ある意味合いで身勝手な存在だったのだから。
「すみません。どちら様で…しぇ、シェルファ様!?」
ちょうど今、そろそろ魔導具を作る上で切れそうな魔石を拾いに行っていた、スライスはリーベルタース城へと戻って来るが否や純粋なエルフである、シェルファを見て声を出してしまったのである。
「ええ。なかなか理知的な魔物ですわね」
どうやら、噂に聞く魔王の手によって生成された魔物だと、すぐにスライスがスライムという魔物であることを見抜いて言った。
「な、何かご用ですか?」
「ええ。こちらにいらっしゃるという…シリウス・リノベイション殿にお話があって参りました。彼はどちらにいらっしゃるのでしょうか?」
「は、はい。ご案内致します」
スライスは、現エルフの中で頂点に立つという、不老長寿を極めた故で不老不死となった、シェルファ・L・フォルダニアをシリウスの所へと案内するために城の中へと入って行ったのである。
「俺たちの大事な妹のフリックに何をした!?」
ルシウスは、泣き崩れた跡のあるフリックを抱いて部屋へと来たシリウスに向かって言った。いつもは穏やかであるものの、フリックのことになると彼らは人が変わってしまうのだ。
「な、何って…神聖魔法を教えていただけだ」
魔法の中に“ス”の発音がどうしても必要となるのだが、それがなかなか言えなかったことをシリウスは彼らに説明したのである。
「そういえば、言っていたな。取り乱してしまってすまない…シリウス殿」
「全く兄貴はフリックのことになると…って俺もか」
「そうそう。僕たちはフリックのことになると、周りが見えなくなるのが欠点だよね…」
兄たちは揃って、誰よりも大事な妹であることから、あのことを深く引き摺っているが故に仕方の無い行為だったのだ。
「いやいや。勝手にこちらも連れ回してすまなかった…」
ぬいぐるみと遊びたい年頃だというのに、魔法という言葉で釣って連れ出したのだからとシリウスは謝罪したのである。
「う、うーん…にーさま…?」
「起きたか。フリック」
「うん。おっきしたの…。ボク、ケーキたべちゃいの」
「ケーキか。今食べると夕飯が食べられなくなるよ?」
エリオスは、時刻は今、16時過ぎであることから言った。
「うー………」
「ご、ごめん。フリック…。デザートのケーキはあげるから」
「ほ、ホント?エリオシュにーさま………」
嬉しそうにフリックは言うと、疲れが出たからなのかまた、眠ってしまったのだった。
「こ、こちらです」
「ご案内ありがとうございます。本当に凄い城ですわね」
昔から城の外面だけ見たことがあっても、中には一度も入ったことがないことから、シェルファは礼を言うと共にシルヴァンエルフ兄妹の部屋にノックしたのである。
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