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本編_前編_
第88話
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「うーん。カーミラってある意味合いでバカなのか」
コレからこの辺りに来るかも知れなかった、吸血鬼であるカーミラ毎カミラは、リベルダ領土全体に結界は張っているとはいえ、周辺を探る処か南へと行ってしまったことにシリウスは、ふと気になって言った。
「言われてみれば…そうですね。リベルダ領土内に結界が張っているとはいえ、周辺に探りを入れるかと思ったら、入れずに南に行くとは何万年経っても変わらないみたいですね」
フォルダニアの森のあるここリベルダ領土内を目指して来るのかと警戒したことから、シリウスは領土内に結界を施したからなのか、ここの存在を忘れてしまったのかどうかは分からないが、なぜか、カミラはとっとと南へと行ってしまったのだ。
「とりあえず、一時的に危機は去ったとはいえ、万一のためにも…あの子には神聖魔法を身に付けさせた方がいいかも知れないな。後は魔王でも神聖魔法は身に付けられたらいいんだけど…」
「それは無理でしょう。教えるのは可能だと思いますが…」
「それもそうか…」
そうだとしても、魔族の俺でも神聖魔法は何とかしてでも身に付けたいモノだ。
あの子にエルフの未来を背負うには、重過ぎる…と心の中で、シリウスは思ったのだった。
一方、シリウスの張った結界がある故に北の大陸にある、フォルダニアの森のエルフを滅亡する目的だったカミラは、すっかりとそのことを忘れ、今は南の大陸へと向かっていた。
「そういえば…何か肝心なことを忘れていたような気がしますわ」
吸血鬼として生を受けてから、10万年の時を生きる彼女は、物忘れが酷かった。
「うーん。なかなか思い出せませんわ。北の方角に何か肝心なことを忘れていたような気がしますわ。かといって…北に探りを入れても何もありませんでしたし、どうでもいいことだったのですわ。とにかくと今は南に行きますわ」
昔から今も南の大陸には、多くのエルフが隠れ棲むということから、ひたすらにカミラは南へと飛行魔法でのんびりと向かっていたのである。
時を同じ頃、フォルダニアの森を5万年ほど前から治めている、エルフの中でも最も長寿である、シェルファ・L・フォルダニアは、ホッと溜め息を吐いていた。
「…同じ転生者に感謝だな」
ひっそりと今は森の中にある家で、一人でいることから、シェルファは素の口調で呟いていた。
自分にはエルフを始めとする種族の存在を消してしまうような結界は張れないことから、恐らくは同じ転生者の仕業だと察したのである。
「ただ、今のオレは…あの子。リリアを救うことが一番だからな…」
先日、ノイント都市国家へとまたもや呼び出された、シェルファはリリアの容体を診て、今は一刻の猶予もない状態だったことから、一先ずと今は進行を少し遅らせることが精一杯で、森の中、一人で移植手術について調べていたのである。
「…やはり、エルフの中で最も型の合うあの少女の心臓を移植するしかないのか。ただ、蘇生魔法が出来る者がいればいいのだが…」
今はピュリアーツの森にいたエルフは、すぐ近くのリーベルタース城に移住していると世話役から聞いたことから、手土産として同じ転生者であれば、きっと喜ぶだろうというモノを幾つかチョイスすると、彼女は一人でリーベルタース城へと向かったのだった。
コレからこの辺りに来るかも知れなかった、吸血鬼であるカーミラ毎カミラは、リベルダ領土全体に結界は張っているとはいえ、周辺を探る処か南へと行ってしまったことにシリウスは、ふと気になって言った。
「言われてみれば…そうですね。リベルダ領土内に結界が張っているとはいえ、周辺に探りを入れるかと思ったら、入れずに南に行くとは何万年経っても変わらないみたいですね」
フォルダニアの森のあるここリベルダ領土内を目指して来るのかと警戒したことから、シリウスは領土内に結界を施したからなのか、ここの存在を忘れてしまったのかどうかは分からないが、なぜか、カミラはとっとと南へと行ってしまったのだ。
「とりあえず、一時的に危機は去ったとはいえ、万一のためにも…あの子には神聖魔法を身に付けさせた方がいいかも知れないな。後は魔王でも神聖魔法は身に付けられたらいいんだけど…」
「それは無理でしょう。教えるのは可能だと思いますが…」
「それもそうか…」
そうだとしても、魔族の俺でも神聖魔法は何とかしてでも身に付けたいモノだ。
あの子にエルフの未来を背負うには、重過ぎる…と心の中で、シリウスは思ったのだった。
一方、シリウスの張った結界がある故に北の大陸にある、フォルダニアの森のエルフを滅亡する目的だったカミラは、すっかりとそのことを忘れ、今は南の大陸へと向かっていた。
「そういえば…何か肝心なことを忘れていたような気がしますわ」
吸血鬼として生を受けてから、10万年の時を生きる彼女は、物忘れが酷かった。
「うーん。なかなか思い出せませんわ。北の方角に何か肝心なことを忘れていたような気がしますわ。かといって…北に探りを入れても何もありませんでしたし、どうでもいいことだったのですわ。とにかくと今は南に行きますわ」
昔から今も南の大陸には、多くのエルフが隠れ棲むということから、ひたすらにカミラは南へと飛行魔法でのんびりと向かっていたのである。
時を同じ頃、フォルダニアの森を5万年ほど前から治めている、エルフの中でも最も長寿である、シェルファ・L・フォルダニアは、ホッと溜め息を吐いていた。
「…同じ転生者に感謝だな」
ひっそりと今は森の中にある家で、一人でいることから、シェルファは素の口調で呟いていた。
自分にはエルフを始めとする種族の存在を消してしまうような結界は張れないことから、恐らくは同じ転生者の仕業だと察したのである。
「ただ、今のオレは…あの子。リリアを救うことが一番だからな…」
先日、ノイント都市国家へとまたもや呼び出された、シェルファはリリアの容体を診て、今は一刻の猶予もない状態だったことから、一先ずと今は進行を少し遅らせることが精一杯で、森の中、一人で移植手術について調べていたのである。
「…やはり、エルフの中で最も型の合うあの少女の心臓を移植するしかないのか。ただ、蘇生魔法が出来る者がいればいいのだが…」
今はピュリアーツの森にいたエルフは、すぐ近くのリーベルタース城に移住していると世話役から聞いたことから、手土産として同じ転生者であれば、きっと喜ぶだろうというモノを幾つかチョイスすると、彼女は一人でリーベルタース城へと向かったのだった。
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食い違いや後付け設定が多々ありますので、ご了承お願い致します。
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