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番外編+α
番外編17 遠藤勝
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いつも、無意識にオレは誰かのために動いていた。
その日もまた、魔物に襲われそうになっていた、親子を咄嗟にオレは助けたのだ。
オレの名は、カイ・エルヴェング。
今年で成人になったばかりの18歳だ。
傭兵として今、オレは生計を立てていた。
だが、傭兵へと登録した年と共に今、この世界は、魔王によって生み出された魔物で溢れていた。それ故に襲われる人々は、少なく無かったのである。
「クソッ…!魔物を幾ら倒しても幾らでも沸いて来やがる。魔王はこの世界を何だと思ってるんだ!?」
無差別と言って良い程に魔物は、人々を襲っていた。
時には間に合わず、人々は魔物によって喰われ、身体の一部のない人を何人も見て来た。
「というよりも勇者はいるのだろうか?魔王がこの世界に降臨すると同時に勇者は生まれると伝えられてるが、肝心の勇者というのは、何をしているんだ?」
しかし、彼は人という概念を良く知らなかった。
勇者はまだこの世界に転生したばかりで、ほんの赤ん坊であることを。
勇者だって人なのだ。
魔王のように成人したまま、産まれて来る訳では無いのだから。
基礎的な常識に欠けているのである。
「とはいえ、魔物を倒した所で銅貨10枚。今夜の宿代にはまだまだ足りないな…」
魔物の落とす硬貨は銅貨1枚あるかないかという状況だった。
そもそも、魔物は硬貨よりも素材をギルドで売ってしまえば手っ取り早いのだが、彼はそんな基本的な話をろくに聞かず、傭兵として活動しているのである。
「とりあえず…ん?」
オレはそろそろ野宿するかいう時にまた、人が襲われていた。
「きゃー!誰か!」
「今、オレが助ける…!」
悲鳴を上げた女性の元へとオレはいつものように大剣で、魔物を切り裂いた。
「あ、ありがとうございま…うわっ!最悪!」
「は?何が…つぅ!」
女性はお礼を言うかと思えば、オレに向かって最悪と言いながら、護身用に持っていた、魔力の籠もったナイフでオレを刺したのだ。
「アンタみたいなブスに助けられるなんて付いてないわ!」
そう言い捨てながら、女性はどこかへと走って行ってしまったのである。
「ぶ、ブス…?オレ…ブスなのか…?というよりも…こんな力があるなら…じ、自分で…」
クソ…あのナイフ…。
とんでもなく強化された………。
オレは呆気ない人生を終えてしまった。
いつだってオレは手段を選ばず、勝つために動いていた。
魔物に勝つことで、オレは存在意義を示していたのだ。
だからこそ、自分の容姿なんて特に気に留めていなかったのである。
そっか…オレ、ブスなのか。
そもそも、そんなにブスなのか。
今まで自分の顔とかロクに見たことは無かったけれど…。
で、今。オレは第二の人生は抽選出来るという場所にいた。
何となくオレは、その辺の同じく並んでいる人から鏡を借りることが出来た。
なんで鏡を持っているのか不思議だったけど、さっき自分の髪とかセットしていたからな。
転生するのにセット必要なのかと疑問に感じたけど。
オレは、何気なくだが、自分の顔を見るために鏡を見てみた。
(……………オレ、イケてないな)
鼻はまるでオークだし、目だって何か飛び出した目だ。
確かに女性受けしそうにない顔だな。
でもさ?今まで助けてた親子連れはオレに何も言わなかったぞ?
礼だけ言ってサッサと逃げて行っただけ。
もしかして、それってオレの顔が嫌だったから?
とりあえずと鏡を返却し、抽選したのである。
それからオレは20年余りの月日が流れ、前世と同じ年齢になっていた。
遠藤勝として新たに生を受けたものの、未だ彼女が出来ない。
周りは次々と彼女が出来ていく中、オレは出来なかった。
もしかして、一生このままなのかと思いながら、改めて自身の容姿を再確認し、平和なこの世界で、整形して美形になることを誓ったのである。
その日もまた、魔物に襲われそうになっていた、親子を咄嗟にオレは助けたのだ。
オレの名は、カイ・エルヴェング。
今年で成人になったばかりの18歳だ。
傭兵として今、オレは生計を立てていた。
だが、傭兵へと登録した年と共に今、この世界は、魔王によって生み出された魔物で溢れていた。それ故に襲われる人々は、少なく無かったのである。
「クソッ…!魔物を幾ら倒しても幾らでも沸いて来やがる。魔王はこの世界を何だと思ってるんだ!?」
無差別と言って良い程に魔物は、人々を襲っていた。
時には間に合わず、人々は魔物によって喰われ、身体の一部のない人を何人も見て来た。
「というよりも勇者はいるのだろうか?魔王がこの世界に降臨すると同時に勇者は生まれると伝えられてるが、肝心の勇者というのは、何をしているんだ?」
しかし、彼は人という概念を良く知らなかった。
勇者はまだこの世界に転生したばかりで、ほんの赤ん坊であることを。
勇者だって人なのだ。
魔王のように成人したまま、産まれて来る訳では無いのだから。
基礎的な常識に欠けているのである。
「とはいえ、魔物を倒した所で銅貨10枚。今夜の宿代にはまだまだ足りないな…」
魔物の落とす硬貨は銅貨1枚あるかないかという状況だった。
そもそも、魔物は硬貨よりも素材をギルドで売ってしまえば手っ取り早いのだが、彼はそんな基本的な話をろくに聞かず、傭兵として活動しているのである。
「とりあえず…ん?」
オレはそろそろ野宿するかいう時にまた、人が襲われていた。
「きゃー!誰か!」
「今、オレが助ける…!」
悲鳴を上げた女性の元へとオレはいつものように大剣で、魔物を切り裂いた。
「あ、ありがとうございま…うわっ!最悪!」
「は?何が…つぅ!」
女性はお礼を言うかと思えば、オレに向かって最悪と言いながら、護身用に持っていた、魔力の籠もったナイフでオレを刺したのだ。
「アンタみたいなブスに助けられるなんて付いてないわ!」
そう言い捨てながら、女性はどこかへと走って行ってしまったのである。
「ぶ、ブス…?オレ…ブスなのか…?というよりも…こんな力があるなら…じ、自分で…」
クソ…あのナイフ…。
とんでもなく強化された………。
オレは呆気ない人生を終えてしまった。
いつだってオレは手段を選ばず、勝つために動いていた。
魔物に勝つことで、オレは存在意義を示していたのだ。
だからこそ、自分の容姿なんて特に気に留めていなかったのである。
そっか…オレ、ブスなのか。
そもそも、そんなにブスなのか。
今まで自分の顔とかロクに見たことは無かったけれど…。
で、今。オレは第二の人生は抽選出来るという場所にいた。
何となくオレは、その辺の同じく並んでいる人から鏡を借りることが出来た。
なんで鏡を持っているのか不思議だったけど、さっき自分の髪とかセットしていたからな。
転生するのにセット必要なのかと疑問に感じたけど。
オレは、何気なくだが、自分の顔を見るために鏡を見てみた。
(……………オレ、イケてないな)
鼻はまるでオークだし、目だって何か飛び出した目だ。
確かに女性受けしそうにない顔だな。
でもさ?今まで助けてた親子連れはオレに何も言わなかったぞ?
礼だけ言ってサッサと逃げて行っただけ。
もしかして、それってオレの顔が嫌だったから?
とりあえずと鏡を返却し、抽選したのである。
それからオレは20年余りの月日が流れ、前世と同じ年齢になっていた。
遠藤勝として新たに生を受けたものの、未だ彼女が出来ない。
周りは次々と彼女が出来ていく中、オレは出来なかった。
もしかして、一生このままなのかと思いながら、改めて自身の容姿を再確認し、平和なこの世界で、整形して美形になることを誓ったのである。
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