35 / 194
本編_前編_
第34話
しおりを挟む
「…コレは馬車の跡か。しかも、速の魔石を使っている…」
レイオスは、森から東へと向かうが、ふと土の跡を見ながら呟いた。
なぜに東なのかというと、良く集落にいる時もフリックは東の方へと行く癖があることをレイオスは見ていたからである。
それ故にスーレシア王国は南西にある国だということは、まだ幼いフリックの頭の中から消えていたようである。
「どうだ?レイオス…」
「…!ネイサス兄貴にエリオスかよ」
気配も無く2番目の兄、ネイサスが現れたことから、咄嗟にレイオスは身を構えるものの、相手を見て溜め息を吐いたのだった。
「かよじゃないだろ。ったく…こうなった責任はちゃんと取るんだろうな?レイオス」
「…ああ。で、エリオスはなんで一緒に来たんだよ。ちゃんと兄貴たちに伝えろって言っただろ」
「伝えたから来たに決まっているだろ。レイオス兄さんだけでは、万一とフリックの治療は出来ないからね」
「まだ、フリックが怪我とかしていると決まった訳では…」
「それでもだ。それにお前のことだ。魔法連発し過ぎて魔力が切れた時は使い物にならん」
そのためにも剣の使い手である、ネイサスは、ルシウスに言われてフリック捜索に来たのだということであった。普段は冷静沈着だが、大事なフリックのことになると、それだけになってしまうのである。
「…兄貴だってフリックのことになると、周りが見えなくなるじゃないか」
「大事な妹なのだから仕方ないだろ。レイオス」
言い合いしそうになる中、エリオスはふぅと溜め息を吐いた。
「レイオス兄さん、ネイサス兄さん。早くフリックを探しに行かないともっと大変なことになるよ」
「…あ、ああ。そうだな」
「…エリオスの言う通りだな」
まずは、麓の村を当たるしか無いようだと思いながら、フードを被ると共に人間の村へと彼らは向かったのである。
「ふぅ…やっぱりスライムの方がおちつくのー」
何とかリーベルタース城へと戻るなり、スライスは人間形態からスライムの姿へと戻るなり言った。
「人間形態時とスライム時は口振りが全然違うんだな…スライス」
未だドッと精神的な疲れからなのか、なかなか起きそうにないミレイをシリウスは抱き上げながら、余りのギャップに戸惑いつつ言ったのである。
「そうかなぁ?どっちもホントのぼくなのー」
「ああ。それは知っている。ただ、余りにも違うから戸惑っただけだ…気にするな」
「うん。分かったのー。じゃあ、ぼくね?そーこで木の枝をせんべつしておくのー」
そうスライスは、また、人間形態になると、人面樹に適した木の枝を選別するために、城の西側にある倉庫へと向かったのである。
何だかスライム形態時のスライスをぷにゅぷにゅというか、もにゅもにゅというかというような衝動にシリウスは襲われながら、ミレイを部屋まで運んだのである。
レイオスは、森から東へと向かうが、ふと土の跡を見ながら呟いた。
なぜに東なのかというと、良く集落にいる時もフリックは東の方へと行く癖があることをレイオスは見ていたからである。
それ故にスーレシア王国は南西にある国だということは、まだ幼いフリックの頭の中から消えていたようである。
「どうだ?レイオス…」
「…!ネイサス兄貴にエリオスかよ」
気配も無く2番目の兄、ネイサスが現れたことから、咄嗟にレイオスは身を構えるものの、相手を見て溜め息を吐いたのだった。
「かよじゃないだろ。ったく…こうなった責任はちゃんと取るんだろうな?レイオス」
「…ああ。で、エリオスはなんで一緒に来たんだよ。ちゃんと兄貴たちに伝えろって言っただろ」
「伝えたから来たに決まっているだろ。レイオス兄さんだけでは、万一とフリックの治療は出来ないからね」
「まだ、フリックが怪我とかしていると決まった訳では…」
「それでもだ。それにお前のことだ。魔法連発し過ぎて魔力が切れた時は使い物にならん」
そのためにも剣の使い手である、ネイサスは、ルシウスに言われてフリック捜索に来たのだということであった。普段は冷静沈着だが、大事なフリックのことになると、それだけになってしまうのである。
「…兄貴だってフリックのことになると、周りが見えなくなるじゃないか」
「大事な妹なのだから仕方ないだろ。レイオス」
言い合いしそうになる中、エリオスはふぅと溜め息を吐いた。
「レイオス兄さん、ネイサス兄さん。早くフリックを探しに行かないともっと大変なことになるよ」
「…あ、ああ。そうだな」
「…エリオスの言う通りだな」
まずは、麓の村を当たるしか無いようだと思いながら、フードを被ると共に人間の村へと彼らは向かったのである。
「ふぅ…やっぱりスライムの方がおちつくのー」
何とかリーベルタース城へと戻るなり、スライスは人間形態からスライムの姿へと戻るなり言った。
「人間形態時とスライム時は口振りが全然違うんだな…スライス」
未だドッと精神的な疲れからなのか、なかなか起きそうにないミレイをシリウスは抱き上げながら、余りのギャップに戸惑いつつ言ったのである。
「そうかなぁ?どっちもホントのぼくなのー」
「ああ。それは知っている。ただ、余りにも違うから戸惑っただけだ…気にするな」
「うん。分かったのー。じゃあ、ぼくね?そーこで木の枝をせんべつしておくのー」
そうスライスは、また、人間形態になると、人面樹に適した木の枝を選別するために、城の西側にある倉庫へと向かったのである。
何だかスライム形態時のスライスをぷにゅぷにゅというか、もにゅもにゅというかというような衝動にシリウスは襲われながら、ミレイを部屋まで運んだのである。
1
お気に入りに追加
42
あなたにおすすめの小説
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
[鑑定]スキルしかない俺を追放したのはいいが、貴様らにはもう関わるのはイヤだから、さがさないでくれ!
どら焼き
ファンタジー
ついに!第5章突入!
舐めた奴らに、真実が牙を剥く!
何も説明無く、いきなり異世界転移!らしいのだが、この王冠つけたオッサン何を言っているのだ?
しかも、ステータスが文字化けしていて、スキルも「鑑定??」だけって酷くない?
訳のわからない言葉?を発声している王女?と、勇者らしい同級生達がオレを城から捨てやがったので、
なんとか、苦労して宿代とパン代を稼ぐ主人公カザト!
そして…わかってくる、この異世界の異常性。
出会いを重ねて、なんとか元の世界に戻る方法を切り開いて行く物語。
主人公の直接復讐する要素は、あまりありません。
相手方の、あまりにも酷い自堕落さから出てくる、ざまぁ要素は、少しづつ出てくる予定です。
ハーレム要素は、不明とします。
復讐での強制ハーレム要素は、無しの予定です。
追記
2023/07/21 表紙絵を戦闘モードになったあるヤツの参考絵にしました。
8月近くでなにが、変形するのかわかる予定です。
2024/02/23
アルファポリスオンリーを解除しました。
冷宮の人形姫
りーさん
ファンタジー
冷宮に閉じ込められて育てられた姫がいた。父親である皇帝には関心を持たれず、少しの使用人と母親と共に育ってきた。
幼少の頃からの虐待により、感情を表に出せなくなった姫は、5歳になった時に母親が亡くなった。そんな時、皇帝が姫を迎えに来た。
※すみません、完全にファンタジーになりそうなので、ファンタジーにしますね。
※皇帝のミドルネームを、イント→レントに変えます。(第一皇妃のミドルネームと被りそうなので)
そして、レンド→レクトに変えます。(皇帝のミドルネームと似てしまうため)変わってないよというところがあれば教えてください。
いきなり異世界って理不尽だ!
みーか
ファンタジー
三田 陽菜25歳。会社に行こうと家を出たら、足元が消えて、気付けば異世界へ。
自称神様の作った機械のシステムエラーで地球には帰れない。地球の物は何でも魔力と交換できるようにしてもらい、異世界で居心地良く暮らしていきます!
異世界転移したけど、果物食い続けてたら無敵になってた
甘党羊
ファンタジー
唐突に異世界に飛ばされてしまった主人公。
降り立った場所は周囲に生物の居ない不思議な森の中、訳がわからない状況で自身の能力などを確認していく。
森の中で引きこもりながら自身の持っていた能力と、周囲の環境を上手く利用してどんどん成長していく。
その中で試した能力により出会った最愛のわんこと共に、周囲に他の人間が居ない自分の住みやすい地を求めてボヤきながら異世界を旅していく物語。
協力関係となった者とバカをやったり、敵には情け容赦なく立ち回ったり、飯や甘い物に並々ならぬ情熱を見せたりしながら、ゆっくり進んでいきます。
あの、神様、普通の家庭に転生させてって言いましたよね?なんか、森にいるんですけど.......。
▽空
ファンタジー
テンプレのトラックバーンで転生したよ......
どうしようΣ( ̄□ ̄;)
とりあえず、今世を楽しんでやる~!!!!!!!!!
R指定は念のためです。
マイペースに更新していきます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる