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本編_前編_
第31話
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「えーっと…ガソリンはマナ注入か。正に異世界だな」
召喚した車にシリウスは、マナを注入しながら呟いた。
「別に僕のマナでも良かったのですが…」
「いや。ここは俺に任せてくれ…」
ガソリンと一緒の場所なんだなと俺は思いながら、マナを注入したのである。
「あたし。クルマって…初めて」
「そ、そうか。異世界じゃ…馬車とかだよな」
「うん。余り馬車とか見掛けなかったけどね」
馬車を使用するのは、せいぜいと貴族ぐらいだけど、ミレイ自身も仮にも一応は貴族とはいえ、普段から使用することは無かったのである。
「それでは行きましょうか。木の枝はあの周辺で良く落ちていますから」
スライスは、カーナビ(?) 設定すると、安全運転で車を走らせたのだった。
「な、ナビ…!?」
「ええ。あるとないとで違いますよ」
「ナビ…って何?」
後ろに乗るミレイは、二人の話に付いていけなくなるのが嫌で気になることを言った。
「あ、ああ。今、向かう場所を表示してくれる地図みたいなモノだ。へぇー…この辺りはやっぱりリベルダ領土って言うのか」
「ええ。北方大陸リベルダ領です。因みにここら辺にちょこっとあるのが…」
「あたしの育ったアーノルド連邦だね。スライス」
「そうです。リベルダ領土内にある唯一、人間の国です。最も今は国とは呼べないのですがね…」
「別にいいよ。あたしが生まれた時から廃墟みたいな国だったし」
「で、この辺りに…エルフの森の一つである、フォルダニアの森ですね」
「エルフの森…!?一つって言ったな。他にもあるのか?」
「ええ。エルフはあちこちと集落として森がありますから。っと…この辺でいいでしょう」
そう話している間にいつの間にかという感じで、目的地に着いたようだ。
「…確かに言われてみれば、木の枝がゴロゴロと転がっているな」
「そうだね…!」
「ど、どうした?ミレイ」
「な、何か声が聞こえたような気がして…?」
恐る恐るとミレイは、声のした方である足をどけたのである。
『ぷはー…苦しかった!ちゃんと周りを良く見なさいよ!バカ小娘!』
まるで、人間のような動作で、木の枝はブラッシングをしながら言ったのだ。
「ば、バカ…!?」
「き、気にするな。ミレイ。ただの枝だ…」
『た、ただの枝って失礼しちゃうわね。あら?意外とイイ男じゃないのよ!』
先程の態度と打って変わって木の枝は、頬というか枝というかという感じで、少し赤く染めたのだ。
「もしかして…石同様にあの転生会場の所にいた?」
(実際問題、その辺シリーズって余り覚えていないけどさ?)
『いたわよ。あっさりとスルーって感じだったけどね…ああ、もう…バカ小娘のせいで、もう駄目だわ…』
必死にブラッシングしていたものの、だんだんと抜け落ちていく感覚に木の枝は、もう息が止まる寸前だった。
「ご、ごめん…」
『ごめんで済む問題じゃないわよ!もう…あたしの人生は今後もずっと枝だもの…。このあたしが何をしたって言うんでしょーね…!?』
最後の最期まで強気を見せながら、木の枝は跡形も無く消滅してしまったのである。
「…シリウスさん。ごめん。せっかくの材料を無駄にしちゃって…」
「い、いや。気にしなくていい。幾らでもあるからさ?」
「そうですよ。決してミレイ殿が悪い訳ではありませんから」
少し落ち込むミレイを何とか言い聞かせながら、俺たちは木の枝を拾うと後にしたのである。
デイルスによってラグーン王国へと連れられた、フリックを始めとするエルフたちは、城の地下にある各牢屋へと繋がれていった。
「お前はここじゃないぞ」
デイルスは、先程まで見せていた好奇心から少し泣き出しそうに怯え始めている、フリックを見ると、更に地下へと続く階段を降り始めたのである。
「ねぇ…?どこにつれて行くの…?」
「何、いい所だよ…」
デイルスはそう言いながら、一番下の地下にある牢へとフリックを連れ出したのだった。
召喚した車にシリウスは、マナを注入しながら呟いた。
「別に僕のマナでも良かったのですが…」
「いや。ここは俺に任せてくれ…」
ガソリンと一緒の場所なんだなと俺は思いながら、マナを注入したのである。
「あたし。クルマって…初めて」
「そ、そうか。異世界じゃ…馬車とかだよな」
「うん。余り馬車とか見掛けなかったけどね」
馬車を使用するのは、せいぜいと貴族ぐらいだけど、ミレイ自身も仮にも一応は貴族とはいえ、普段から使用することは無かったのである。
「それでは行きましょうか。木の枝はあの周辺で良く落ちていますから」
スライスは、カーナビ(?) 設定すると、安全運転で車を走らせたのだった。
「な、ナビ…!?」
「ええ。あるとないとで違いますよ」
「ナビ…って何?」
後ろに乗るミレイは、二人の話に付いていけなくなるのが嫌で気になることを言った。
「あ、ああ。今、向かう場所を表示してくれる地図みたいなモノだ。へぇー…この辺りはやっぱりリベルダ領土って言うのか」
「ええ。北方大陸リベルダ領です。因みにここら辺にちょこっとあるのが…」
「あたしの育ったアーノルド連邦だね。スライス」
「そうです。リベルダ領土内にある唯一、人間の国です。最も今は国とは呼べないのですがね…」
「別にいいよ。あたしが生まれた時から廃墟みたいな国だったし」
「で、この辺りに…エルフの森の一つである、フォルダニアの森ですね」
「エルフの森…!?一つって言ったな。他にもあるのか?」
「ええ。エルフはあちこちと集落として森がありますから。っと…この辺でいいでしょう」
そう話している間にいつの間にかという感じで、目的地に着いたようだ。
「…確かに言われてみれば、木の枝がゴロゴロと転がっているな」
「そうだね…!」
「ど、どうした?ミレイ」
「な、何か声が聞こえたような気がして…?」
恐る恐るとミレイは、声のした方である足をどけたのである。
『ぷはー…苦しかった!ちゃんと周りを良く見なさいよ!バカ小娘!』
まるで、人間のような動作で、木の枝はブラッシングをしながら言ったのだ。
「ば、バカ…!?」
「き、気にするな。ミレイ。ただの枝だ…」
『た、ただの枝って失礼しちゃうわね。あら?意外とイイ男じゃないのよ!』
先程の態度と打って変わって木の枝は、頬というか枝というかという感じで、少し赤く染めたのだ。
「もしかして…石同様にあの転生会場の所にいた?」
(実際問題、その辺シリーズって余り覚えていないけどさ?)
『いたわよ。あっさりとスルーって感じだったけどね…ああ、もう…バカ小娘のせいで、もう駄目だわ…』
必死にブラッシングしていたものの、だんだんと抜け落ちていく感覚に木の枝は、もう息が止まる寸前だった。
「ご、ごめん…」
『ごめんで済む問題じゃないわよ!もう…あたしの人生は今後もずっと枝だもの…。このあたしが何をしたって言うんでしょーね…!?』
最後の最期まで強気を見せながら、木の枝は跡形も無く消滅してしまったのである。
「…シリウスさん。ごめん。せっかくの材料を無駄にしちゃって…」
「い、いや。気にしなくていい。幾らでもあるからさ?」
「そうですよ。決してミレイ殿が悪い訳ではありませんから」
少し落ち込むミレイを何とか言い聞かせながら、俺たちは木の枝を拾うと後にしたのである。
デイルスによってラグーン王国へと連れられた、フリックを始めとするエルフたちは、城の地下にある各牢屋へと繋がれていった。
「お前はここじゃないぞ」
デイルスは、先程まで見せていた好奇心から少し泣き出しそうに怯え始めている、フリックを見ると、更に地下へと続く階段を降り始めたのである。
「ねぇ…?どこにつれて行くの…?」
「何、いい所だよ…」
デイルスはそう言いながら、一番下の地下にある牢へとフリックを連れ出したのだった。
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