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本編_前編_
第23話
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「ふぅ…調味料の生成は何とか終わったかな…。中でも醤油と味噌と酢は大変だったなぁ。つーか…色々と工程は省き過ぎだっての」
まだ、砂糖とか胡椒とかはいい。
何たって塩と同じやり方だったからな。
ただ、塩同様に色合いがな…。
確かに俺のいた世界でも赤い色の塩はあるけどね…。
だけどさ?青色の砂糖とか緑色の胡椒って…うーん。
が、頑張って慣れるしかないか。
第二の人生でキチンと生きていくと決めた以上ね。
ただ、問題なのは味だ。
今は乾燥しているから、使うのは明日以降になるけど、味が気になるんだよな。
本当に美味い調味料になっているのかどうかだよなぁ…。
まあ、異世界だし?
色々と気にしても…かも知れないな。多分だけど。
「さてと…そろそろ夕飯を作る時間だな」
今日はミレイもいることだし、二人分を作るとするかな。
今日の所はまだまだ、召喚魔法頼りだけど。
ぶつぶつと俺は独り言を言いながら、どこから召喚されて来るのか分からない素材を使いながら、カツレツを作り始めたのである。
「な、何コレ?」
夕飯の時間に起こされたミレイは、ホールへと歩むと共に用意されたカツレツとサラダとパンにジャガイモのボタージュ、そして、デザートとして苺のパウンドケーキを見ながら言った。
「何って夕飯。ああ…初めて見るか。コレはメインのカツレツ、こっちの葉野菜系がグリーンサラダ、パンは甘くないコッペパン、スープはジャガイモのボタージュ、最後にデザートに苺を沢山使ったパウンドケーキだ」
「へぇー…。今までずっと雑草ばかりだったから新鮮」
「ざ、雑草…!?雑草って食えるのか?俺のいた世界で雑草を食べるって…戦中にいた爺さんから聞いただけだな」
最もその頃、量を増やすために何でも食べるしかなかったという時代だったとか。
まだ、ジャガイモは良い方で、時には草の根、時には…という食糧難だったという。
「そうなんだ。雑草といってもね…魔草っていう食べられる草なんだ。最も味が全然ないから最悪なんだけど…」
「そ、それはそれで…嫌だな。良く15年間も過ごせたな」
「そうなのよ。もう15年間は苦痛しか無かったから家を飛び出したって訳なの」
「そうか。他に行く所がないなら、ここにいるといいさ…。衣食住ぐらいは提供出来るから」
「あ、ありがとう。あたしも何かやった方がいい?」
「うーん。無いかな。強いて言うなら、魔法を使いこなすことだな。後で風魔法の正しい発音と俺独学のイメージを紙に書いておくから」
「何から何までありがとう」
「じゃあ…夕飯が冷めない内に食べようか。ミレイさん」
「ミレイでいいよ。シリウスさん」
「そうか。じゃあ…いただきます」
こうして、今日から俺は、ミレイという人間の少女と共に生活を歩むことになったのである。
「ふむ…。気のせいですかな?」
ここはリベルダ領土から東の大陸にある、ゼノア帝国。
その帝国内で食糧庫を任されている、レスター・フォン・ビッシュは、食糧の在庫を確認していた。
「どうかしましたか?レスター殿」
「ふむ。少しばかりと気のせいかと思うのだが、肉や野菜の消費がいつもよりも激しくてな…」
「また、牧畜にいる奴隷たちが食糧を求めて勝手に盗んでいるのでは?何しろ、ここは四六時中と監視している訳ではありませんし…」
牧畜は、常に交代制で警備として監視しているものの、食糧庫までは監視が行き届いていない故にレスターに仕える貴族の女性は返したのである。
「そうかも知れないな。後は陛下の食事量もあるかも知れん」
「…そうですね。歴代の皇帝と比べると多いですものね」
「だな。とりあえず、今日の夕食用に肉と野菜と果物を運び出すか」
レスターはそう言いながら、食糧庫の中から食糧を台所へと運び出したのである。
まだ、砂糖とか胡椒とかはいい。
何たって塩と同じやり方だったからな。
ただ、塩同様に色合いがな…。
確かに俺のいた世界でも赤い色の塩はあるけどね…。
だけどさ?青色の砂糖とか緑色の胡椒って…うーん。
が、頑張って慣れるしかないか。
第二の人生でキチンと生きていくと決めた以上ね。
ただ、問題なのは味だ。
今は乾燥しているから、使うのは明日以降になるけど、味が気になるんだよな。
本当に美味い調味料になっているのかどうかだよなぁ…。
まあ、異世界だし?
色々と気にしても…かも知れないな。多分だけど。
「さてと…そろそろ夕飯を作る時間だな」
今日はミレイもいることだし、二人分を作るとするかな。
今日の所はまだまだ、召喚魔法頼りだけど。
ぶつぶつと俺は独り言を言いながら、どこから召喚されて来るのか分からない素材を使いながら、カツレツを作り始めたのである。
「な、何コレ?」
夕飯の時間に起こされたミレイは、ホールへと歩むと共に用意されたカツレツとサラダとパンにジャガイモのボタージュ、そして、デザートとして苺のパウンドケーキを見ながら言った。
「何って夕飯。ああ…初めて見るか。コレはメインのカツレツ、こっちの葉野菜系がグリーンサラダ、パンは甘くないコッペパン、スープはジャガイモのボタージュ、最後にデザートに苺を沢山使ったパウンドケーキだ」
「へぇー…。今までずっと雑草ばかりだったから新鮮」
「ざ、雑草…!?雑草って食えるのか?俺のいた世界で雑草を食べるって…戦中にいた爺さんから聞いただけだな」
最もその頃、量を増やすために何でも食べるしかなかったという時代だったとか。
まだ、ジャガイモは良い方で、時には草の根、時には…という食糧難だったという。
「そうなんだ。雑草といってもね…魔草っていう食べられる草なんだ。最も味が全然ないから最悪なんだけど…」
「そ、それはそれで…嫌だな。良く15年間も過ごせたな」
「そうなのよ。もう15年間は苦痛しか無かったから家を飛び出したって訳なの」
「そうか。他に行く所がないなら、ここにいるといいさ…。衣食住ぐらいは提供出来るから」
「あ、ありがとう。あたしも何かやった方がいい?」
「うーん。無いかな。強いて言うなら、魔法を使いこなすことだな。後で風魔法の正しい発音と俺独学のイメージを紙に書いておくから」
「何から何までありがとう」
「じゃあ…夕飯が冷めない内に食べようか。ミレイさん」
「ミレイでいいよ。シリウスさん」
「そうか。じゃあ…いただきます」
こうして、今日から俺は、ミレイという人間の少女と共に生活を歩むことになったのである。
「ふむ…。気のせいですかな?」
ここはリベルダ領土から東の大陸にある、ゼノア帝国。
その帝国内で食糧庫を任されている、レスター・フォン・ビッシュは、食糧の在庫を確認していた。
「どうかしましたか?レスター殿」
「ふむ。少しばかりと気のせいかと思うのだが、肉や野菜の消費がいつもよりも激しくてな…」
「また、牧畜にいる奴隷たちが食糧を求めて勝手に盗んでいるのでは?何しろ、ここは四六時中と監視している訳ではありませんし…」
牧畜は、常に交代制で警備として監視しているものの、食糧庫までは監視が行き届いていない故にレスターに仕える貴族の女性は返したのである。
「そうかも知れないな。後は陛下の食事量もあるかも知れん」
「…そうですね。歴代の皇帝と比べると多いですものね」
「だな。とりあえず、今日の夕食用に肉と野菜と果物を運び出すか」
レスターはそう言いながら、食糧庫の中から食糧を台所へと運び出したのである。
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