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5 公主を娶らば
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公叔座の家に着くと、彼の妻が派手な着物で出迎えている。
「ようこそ、呉起将軍。ご活躍は伺っております」
公叔座が馬車を降り、妻に声をかけた。
「食事の用意はできているか?」
すると妻はきつい目で夫をにらみ、
「できているから、お迎えに出ているのです。あなた、私がのろまだとでもおっしゃるの?」
「い、いや、ただ聞いただけだ」
「お客様の前では、途端に偉そうになって。あなたが宰相になれたのは、私が君主の娘だからなのをお忘れにならないでね」
妻はぷいと後ろを向いて、家に入ってしまった。
公叔座は愛想笑いをして、呉起を招き入れる。
「奥方様は、公主であらせられたのですか」
呉起が聞くと、公叔座が声を潜めて言った。
「お恥ずかしい話だが、わしもあれには頭が上がらぬ。魏の公主は、気が荒い女ばかりだ」
その後食事が始まっても、公叔座の妻は何度も話に割り込んで場の空気を乱し、公叔座が少しでも批判がましい事を口にすると「私を邪魔だというの、偉そうに」と切り返す。
公叔座の家人も、妻の機嫌を伺ってばかりで公叔座には冷たい。
公叔座はだんだんと落ち込んでしまい、最後には「気分が優れなくなったので悪いが帰ってくれ」と、呉起を送り出した。
「ようこそ、呉起将軍。ご活躍は伺っております」
公叔座が馬車を降り、妻に声をかけた。
「食事の用意はできているか?」
すると妻はきつい目で夫をにらみ、
「できているから、お迎えに出ているのです。あなた、私がのろまだとでもおっしゃるの?」
「い、いや、ただ聞いただけだ」
「お客様の前では、途端に偉そうになって。あなたが宰相になれたのは、私が君主の娘だからなのをお忘れにならないでね」
妻はぷいと後ろを向いて、家に入ってしまった。
公叔座は愛想笑いをして、呉起を招き入れる。
「奥方様は、公主であらせられたのですか」
呉起が聞くと、公叔座が声を潜めて言った。
「お恥ずかしい話だが、わしもあれには頭が上がらぬ。魏の公主は、気が荒い女ばかりだ」
その後食事が始まっても、公叔座の妻は何度も話に割り込んで場の空気を乱し、公叔座が少しでも批判がましい事を口にすると「私を邪魔だというの、偉そうに」と切り返す。
公叔座の家人も、妻の機嫌を伺ってばかりで公叔座には冷たい。
公叔座はだんだんと落ち込んでしまい、最後には「気分が優れなくなったので悪いが帰ってくれ」と、呉起を送り出した。
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