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第一部 翔集編
第五回 対決三囚人 3/7
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役人の片方が驚いて立ち上がったが、向景は鋭く手を伸ばし、役人の喉をつかむ。
そして彼の腰から剣を抜き取り、即座に腰斬した。
役人は声もなく倒れる。
「ひっ、ひと殺しだぁ!」
見ていた店の主人が、そう叫んでさっと奥へ引っ込む。
次に易角が駆け込んで来た。この男は、首枷を嵌めたままである。
「ひいい!」
御者が悲鳴を上げる。易角は体を捻って御者の脳天に首枷を叩きつけた。その一撃で首枷は壊れ、がらりと落ちる。御者は倒れて、動かなくなった。
鋼先たちが唖然としていると、ゆっくりと最後の一人、金還が入ってきた。やはり首枷は外れている。
金還は曲がった釘を見せて言った。
「『檻を抜ける』って言ったろう。鍵開けは得意でね」
もう一人の役人が、怯えながら尋ねた。
「檻を出たなら、さっさと逃げればいいだろう。なぜこんなことを?」
すると向景が、剣を向けて言う。
「ここまでの道中、ずいぶん雑に扱ってくれたな」
易角が後を継ぐ。
「今日は雨の中に置き去りにしやがって。まとめて礼をしたまでよ」
役人は震え、腰を抜かした。
金還が、ふと気付いたように鋼先たちに目を向ける。
「何見てる。邪魔だ、失せろ」
だが鋼先は、愛想笑いをして言った。
「すまねえ、腹が減っててな。食ったら出て行く」
「死体が転がってるのに、大した食い意地だ」
金還が鼻で笑い、好きにしろと手を振った。
そして彼の腰から剣を抜き取り、即座に腰斬した。
役人は声もなく倒れる。
「ひっ、ひと殺しだぁ!」
見ていた店の主人が、そう叫んでさっと奥へ引っ込む。
次に易角が駆け込んで来た。この男は、首枷を嵌めたままである。
「ひいい!」
御者が悲鳴を上げる。易角は体を捻って御者の脳天に首枷を叩きつけた。その一撃で首枷は壊れ、がらりと落ちる。御者は倒れて、動かなくなった。
鋼先たちが唖然としていると、ゆっくりと最後の一人、金還が入ってきた。やはり首枷は外れている。
金還は曲がった釘を見せて言った。
「『檻を抜ける』って言ったろう。鍵開けは得意でね」
もう一人の役人が、怯えながら尋ねた。
「檻を出たなら、さっさと逃げればいいだろう。なぜこんなことを?」
すると向景が、剣を向けて言う。
「ここまでの道中、ずいぶん雑に扱ってくれたな」
易角が後を継ぐ。
「今日は雨の中に置き去りにしやがって。まとめて礼をしたまでよ」
役人は震え、腰を抜かした。
金還が、ふと気付いたように鋼先たちに目を向ける。
「何見てる。邪魔だ、失せろ」
だが鋼先は、愛想笑いをして言った。
「すまねえ、腹が減っててな。食ったら出て行く」
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