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第一部 翔集編

第二回 賀鋼先の蘇生

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第二回 こうせんの蘇生

 魔星を集めなければ、こうせんは生き返れない。
 今は、仮に生きている状態である。

 ◇

 話は流星の日に戻る。
 どうきょうせい竜虎山りゅうこざんこうなん地方(長江ちょうこうの南)にあり、河と岩山の美しい景勝区けいしょうくである。

 しゅうは長い旅をして、ようやくここにたどり着いた。
 昨日までは青空が広がっていたが、今日は朝から雪に降られてしまった。歩きづらくはあったが、大小の岩山が雪景色にかすんでそびえ立っているのを見て、李秀は顔をほころばせる。
「こんなすごい景色、ちょうあんにいたら観られなかったな。遠かったけど、来て良かった!」
 旅装の帽子を脱ぎ、雪交じりの寒い風を顔いっぱいに浴びて、李秀は大きく息をついた。
「やあやあ、観光だね。ようこそ竜虎山へ。どちらから来られたのかな?」
 不意に声をかけられて、李秀は振り向く。
 一人乗りの荷馬車が近づいて来ていた。乗り手の若者は鉄冠をつけていて、馬を止めて歩み寄ってくる。李秀は、自分が男装しているのを思い出し、慌てて帽子をかぶり直した。
「俺はらいせん、この土地の者だ。よければ案内しよう。あいにくの雪だから、乗って行きなよ」
 李秀は、声色で女と覚られないよう、低くつぶやくように告げる。
「いえ、自分は公務の者。お心遣いは無用」
 それを聞き、雷先は首を傾げる。
「公務? 見たところずいぶん若いけど、本当にお役人かい?」
 そしてじろじろと李秀を見た後、目付きをきつくして言った。
「最近は盗賊が増えていて、役人になりすますのもいるそうだ。竜虎山にも、よく泥棒が入る。お前、どうも怪しいぞ。下調べに来たな?」
「はぁあ?」
 見当違いのことを決めつけられて、李秀はびっくりした。しかし雷先は説明する暇も与えず、荷車から棒を取り出し、李秀に打ちかかる。
「出て行け! 二度と近づくな!」
 真っ白な景色の中に、あざやかなこくたんの棒が舞った。李秀は、仕方なく腰の後ろに手を回し、双戟を抜いて棒を弾き返す。雷先は、驚きながら指を突きつけた。
「やっぱり盗賊か。たいそうな武器を持ってるじゃないか。よし、本気で行くぞ!」
 李秀も頭に血が上り、半身になって構える。
「旅続きで、ちょうど腕がなまっていたところよ。来なさい!」
 二人は雪を蹴り散らしながら、それぞれの武器を振るって闘った。雷先は力強く、遠い距離から棒を突き、あるいは打ち下ろす。李秀はひらりとそれをかわしながら、雷先の首を狙い、即座に足下を斬り付け、高速に攻め続ける。
 結局、幾度も武器を打ち合わせたが、勝敗は決まらず、互いに疲れてぼうの石に座り込んだ。
 そのとき、李秀の懐から一通の手紙が落ちる。それを見て、李秀ははっとして言った。
「あっ、通行証。これを見せれば良かったんだ」
 政府が発行した、関所を通るための公文書で、しっかりと印鑑も押されている。雷先もそれをのぞき込み、びっくりして言った。
「なんだ、本当に役人だったのか。危うく怪我をさせるところだったぞ!」
 李秀が、むっとして言い返す。
「ふん、いきなり殴りかかってきたくせに。ああ、暑くなっちゃった」
 李秀は帽子を脱いで汗をふいた。そのとき、強く風が吹き、髪が解けて流れた。
「あれ? お前、お、女の子か?」
「しまった」
 李秀は慌てて帽子をかぶろうとしたが、あきらめて開き直った。
「そうよ。わけがあって、男装してたの。ねえ、勘違いのお詫びに、張天師さまのところに案内しなさいよ」
 雷先は、おたおたしながらうなずいた。
「ああ、案内しよう。俺は、上清宮の道士なんだ。待ってくれ、荷台を片付ける」
 二人は馬車で道を行き、やがて大本堂のどうかん上清宮じょうせいぐうに到着した。

 ◇

 上清宮には代々続くきょうしゅがおり、その姓を取って張天師ちょうてんしと呼ばれている。げんてんちょうこうよわい六十、ほうりきと武術に優れたじょうであった。
 張天師は、みやこちょうあんたいかんから来た使いに接見した。太史監とは、天文や暦をあつかう部署である。
 李秀と名乗ったそのれい(役職の名称)は、男装していたが、実際には少女だった。
 張天師は彼女から、竜虎山に保管してある星観せいかん(星占い)の記録を見せてほしいと依頼された。張天師は答える。
「当山の記録は部外秘ゆえ、理由をお聞かせいただきたい、李秀どの」
 李秀はうなずくと、厳しい表情で言った。
「突然の訪問で申し訳ありません。実は最近、太史監で記録を整理したところ、てんこうさつの百八星が、もう五十年ほど前から天体から姿を消していると判明しました。ご存知ですか?」
 張天師は、さっと顔色が曇る。
「まあ、一応は知っていたが。特に問題は起きていないし、こちらからは報告していなかったな」
「当方の記録と、しょうごうさせていただきたいと思いまして」
 李秀は鋭く返す。張天師の眼が、宙に泳いだ。
「さて、その件まで記録していたかな。お待ちいただきたい、今、写しをとらせよう」
 写し、という言葉に、李秀はしんを顔に出して言う。
「できればげんぽんはいけんしたいのですが」
「……わ、わかった」
 張天師はため息をついてしょうだくする。そして、雑務係ざつむかかりの道士を倉庫に向かわせた。

 ◇

 雪が、竜虎山の一帯を白く包んでいる。
 雑務係の兄弟は、積雪で歩きにくい中、大きな記録帳を持って張天師の下へ急ぐ。
 夕暮れも終わり、薄暗くなっていた。梅の花が香っているが、それを楽しむゆとりはない。
 凍えながら丘を下り、林を抜けたところで、らいせんが空を指さした。
「おい、流れ星だ。大きいぞ」
「本当だ。星観の記録に載りそうなくらいだな」
 ほほ笑んで答えたこうせんだったが、表情を険しくした。
「空は雲でいっぱいだ。どうして星なんか見える?」
 そう言ったとき、光をまとった何者かが、ごうおんと共に落ちてきた。
「危ない!」
 鋼先は、とっに兄を突き飛ばす。同時に、光が激突した。
 鋼先は全身が砕け散り、息絶えた。

 ◇

「何事だ。落雷でもあったか」
 流星の落ちた音に、張天師も驚いた。
 李秀をともなって外へ出てみると、道士やにんそくたちがぞろぞろ出てきている。
 息子の姿を見かけて、張天師は声をかけた。
おうきゅうどうした、事故か」
「わかりません。とりあえず、皆を落ち着かせます」
 息子のちょうおうきゅうにその場を任せて、張天師は音のした方へ歩いた。
 丘のふもとから煙が立っている。小さい火事が起きていた。張天師と李秀が急ぎ足で近づくと、雪景色の中に人影が見える。
 くっきょうしょうであった。腕に人をかかえている。
「あちらは、ここの方ですか?」
 李秀に問われて、張天師は首を振った。
 二人が駆け寄ると、武将が言った。
「この若者、命を落としました。私がかろうじてこんぱくは拾っておきましたが」
 張天師は、その若者を見て驚く。
「これは、倉庫へ使いに出した者だ」
 そのとき張応究が、雷先と共に走ってきた。
「父上、大変です。賀雷先の弟が、流星と衝突したそうです」
 張天師はそれに応えて
「うむ、ここにいるぞ。なにやら妙なことになったようだ」
 そして、今一度武将を見た。
「で、殿でんは?」
 張天師がいぶかしみながら訊ねる。応究、李秀、雷先も、武将に注目した。
 武将は、鋼先を抱えたまま、ぐっと胸を張る。
「私は、てんかいせい。天罡地煞百八星をべている者です」
 そして、もくれいびを示した。
「なに。あの、天界にいた百八星か?」
 張天師は、驚いて目をみはる。しかし、鋼先が心配なので質問は後にし、まねきして本堂の上清宮へいざなった。

 張天師は、鋼先をもつだんに寝かせる。
 目をそむけたくなるほど、遺体は激しく損傷していた。
「おい、天魁星と言ったな。こちらはちょうど、お前達の話をしていたところだ。なぜ、あの者にぶつかったりした」
 張天師がにらみつけると、天魁星はうやうやしく礼をした。
「申し訳ござらぬ。いやな予感がした故、必死で飛んでおりました」
「それだけなのか」
「はあ、それだけでござる」
 天魁星はまた礼をする。張天師はいらいらして、卓を叩いた。
 李秀は、竜虎山のせいかんろくを見ていた。といっても、天魁星との衝突でぼろぼろになり、解読は不可能な状態である。そして、自分で持ってきた太史監の星観録を指して言った。
「あなたたち百八星は、今は下界に降りてきているということね。だから星観の記録に載っていないんだ」
 張天師は、いきいて手を振る。
「さっさと天界へ帰れ! この件を西王母娘娘せいおうぼじょうじょう(天界を統べる女神。娘娘は尊称)に申し上げて、しょばつを受けさせてやる」
 そのとき、応究が外を見た。
「父上、誰か来ます。大勢です」
 一同いちどうが表へ出てみると、ごうな紅い衣装をまとった女性を中心に、横一列に並んだ団体が歩いてくる。はたさしものまでかかげ、かなりものものしい。
「何でしょう。どこかの貴婦人ですか」
 雷先が言うと、張天師が眉をひそめていった。
「……まさか、今ここに来るとは」
「お知り合いですか」
「知り合いなどと恐れ多い。西王母娘々の使者、えいていどうじょ様だ」
 一行は全員女性だった。
 二人の先導係せんどうがかりが張天師に一礼して左右によけると、英貞童女が歩み寄ってきた。しょうは童女だが、顔つきは立派な管理職である。
「張天師どの、ご機嫌よう。こちらに、天魁星というせいしんが来てはおりませぬか」
 張天師はかしこまって拝礼し
「はい。天より飛来し、当山の者に衝突して死なせたので、恐れながらきつもんしておりました」
 英貞童女は目を丸くして
「そんなことを。いつ頃ですか」
「つい先ほどです。残念でなりません」
 張天師は嘆息したが、英貞童女は鋼先の胸元に乗った淡い光を見て、首を振る。
「いえ、魂魄がまだ、そこにありますね。こちらで何とかいたします。きゅうてんげんじょりくごうけいじょじゅつしきの準備を」
 英貞童女はそう言って、配下に指示を出した。
 九天玄女が言う。
「畏まりました。では、私が進めます。六合、手伝ってください」
「はい、姉さん」
 張天師たちが見守っていると、九天玄女は本堂に入り、ひょうたんを取り出して鋼先の体に水をかけ、自分の着ていた衣をかぶせた。
 次に六合慧女からを受け取り、鋼先の体に置いていく。
 そして印を結んで呪文をとなえると、大きく息をついた。
「何をなされたのですか」
 張天師が聞くと、九天玄女はえりを整えながら答えた。
「肉体を薬水で修復しました。とりあえず時間は稼げます」
「生き返る、ということですか」
 しかし英貞童女は首を振る。
「完全には無理です。魂魄が一度出てしまったので、肉体に定着しません。はんこんたんという秘薬があれば叶うそうですが、それをさがすのに、日を要します。その間、誰かが彼の中に入り、魂魄をつなぎ止めなければなりません」
「そんなことが可能なのですか」
 張天師が疑わしく言うと、九天玄女は答えて
「かなり特殊な術式で、天界でも数名しか使えません。魂魄で魂魄を繋ぐのです。ただし、人間同士では片方が肉体を失うことになるので、天界の者が入るべきですね」
 すると、急に天魁星が進み出て言う。
「鋼先どのの怪我は、それがしのしつ。どうか、それがしをお使いいただきたい」
「なんと」
 張天師たちは、不安げに顔を見合わせた。そして英貞童女を見ると、彼女は苦笑して言う。
「お気は進まぬと思いますが、今はこうするしかないでしょう。天魁星は、荒っぽいところはありますが、とくじつで、責任感もあります。任せて大丈夫だと思います」
 と礼をした。
 張天師はあわてて手を振り、
「もったいないことを。承知しました。いずれ反魂丹とやらを用意していただけるのなら、それで結構でございます」
 と同意する。
 そのとき李秀が、困った顔で場を割った。
「あの、いいですか。百八星は、散ってはまた集まる性質がある、と太史監の記録にあります。天魁星がこの人に入ったら、ひょっとして……」
 英貞童女が、頷いて言う。
「残りの百七星が、鋼先に引き寄せられることになるでしょう。彼らはこっそり天界を抜け出していました。ぼうなので、勝手に人界に下りてはならないと決められていましたのに」
 英貞童女の視線を受けて、天魁星がきょうしゅくの礼をする。
 そして英貞童女は、調ちょうを事務的に改めて言った。
「鋼先には気の毒なのですが、彼に、百七星を集めてもらうことになります。おそらく、百七星は人界の何かにひょうして生活しているので、それを探す旅に出ることに」
 とうとつな話になり、張天師はがくぜんとして言った。
「それは……。何の罪もないのに、ご無体なことを」
 張天師がゆうしょくを示していると、雷先が進み出て言った。
「天師様。弟も、自分の命が助かるなら、何でもやると思います。危険はあるでしょうが、旅には私も付き添いますので」
「そうか。そう言うなら……」
 と、張天師は申し出を受け入れる。
 話がまとまったのを見て、英貞童女が言った。
「では皆さん、外に出ていてください。天魁星を鋼先とゆうごうさせますが、強い光が起こるそうです。目を痛めるといけません」
 張天師たちが本堂の外に出て扉を閉めると、すきから青白い光が何度も点滅した。それは雪面に反射して、目を刺すような明るさが散る。
 しばらくして扉が開き、英貞童女と六合慧女が出てきた。
「難しい術なので朝までかかるそうです。皆様は、もうお休みください」
 そう言われて、一同はそれぞれ帰って行く。
 ◇

 しかし、少し経ってから、張応究が本堂へ戻り、きょうしゅして声をかけた。
天師張暠てんしちょうこうが長男、張応究と申します。英貞童女様に、お願いがあって参りました」
 少しして、英貞童女と六合慧女が現れる。
「何でしょう。まだ、術式は終わっていないのですけど」
「申し訳ございません。……例の百七星探しのことで、お願いがあるのです」
うかがいましょう」
「ありがとうございます。では」
 そして応究は、いくつか話をした後、再び礼をして本堂を離れていった。



第二回 賀鋼先的復甦

  如果不找回魔星,賀鋼先就無法徹底復活。
  此刻的他,僅是暫時保有一絲生機而已。

  ◇

  時間回到流星隕落之日。
  龍虎山乃道教聖地,位於江南地區,以秀麗山河聞名。

  李秀跋山涉水,終於來到此處。
  昨日還是艷陽高照,今早卻飄起雪花。儘管路途崎嶇難行,但看著皚皚白雪覆蓋的奇岩怪石,李秀不禁展顏歡笑。
  「長安哪見得到這番壯闊美景啊。路遠辛苦,但能到此一遊,心滿意足了!」
  李秀脫下斗笠,任憑夾雜霜雪的寒風吹拂,舒暢地深吸一口氣。
  「這位客官,歡迎來到龍虎山,不知您從何方而來?」
  一聲招呼突然響起,李秀轉身一看,只見一輛載貨馬車漸漸靠近。車夫是位戴著鐵冠的年輕男子,他勒馬下車走來。李秀連忙重新戴上帽子,深怕被認出女兒身來。
  「在下賀雷先,是本地人。要不要我給你帶路?外頭還在下雪呢,不如上車避避寒吧。」
  為免聲音洩露身分,李秀壓低嗓音說:「不必了,我奉朝廷之命前來公幹。」
  聽聞此言,雷先狐疑地打量李秀一番,瞪大眼睛說:
  「公幹?你看著年紀輕輕的,真是朝廷命官?近來盜賊猖獗,還常有人冒充官員呢。該不會是什麼奸細吧,是不是來打探虛實的?」
  「你在妄言什麼!」李秀震驚地喊道。
  雷先不等她分辯,徑直從車上抽出一根棍子。
  「給我滾遠點!別再靠近龍虎山!」
  烏黑的棍影在銀裝素裹的世界中翩翩起舞。情急之下,李秀伸手到腰後,拔出雙戟架開了棍子,把個雷先嚇了一跳。
  「果然是個賊人!你倒有兩下子,那我就認真起來了!」
  眼見對方勢在必得,李秀也來了鬥志,擺出戰鬥姿態。
  「我四海為家,全身筋骨都僵了。來吧,讓我好好活動活動!」
  兩人踢起滿地落雪,揮舞兵器互相攻擊。雷先力大無窮,無論遠近都能靈活運用手中棍棒。但李秀也不遑多讓,身手矯捷,在千鈞一髮之際躲過攻擊,瞄準雷先的頭顱和下盤猛烈進攻。
  激戰三十回合,兩敗俱傷,不分勝負,都精疲力盡地癱坐在路邊石頭上。這時,一封神秘的信函從李秀懷中滑落,看到信函,李秀恍然大悟。
  「啊,通關文牒!我早該拿出來的。」
  那是一紙由朝廷頒發的過關許可,上面蓋著鮮紅的大印。雷先定睛一看,驚訝地說:
  「什麼,你真是朝廷官員?剛才差點傷了你!」
  李秀氣鼓鼓地回道:「哼,下回再隨便動私刑,小心我不饒你!唉,舞刀弄棒的,渾身都熱了。」
  她摘下帽子抹汗,卻沒留意到一陣狂風吹亂了柔順的青絲。
  看到她的臉龐,雷先大吃一驚。
  「咦?原、原來你是個女娘子!」
  「糟糕!」
  慌亂之中,李秀想重新戴回帽子,最後還是放棄了。
  「沒錯,我因故喬裝男裝。算了,剛才你冒犯了我,就請你帶路去見張天師吧。」
  雷先遲疑地點點頭,「就這麼辦吧。我正好是上清宮的道士,咱們走吧。」
  二人一同乘馬車,很快就抵達了大本堂——上清宮。

  ◇

  上清宮歷代都有一位教主,尊稱「張天師」 ,取其姓氏。現任天師名喚張曉,年屆花甲,法力高強且武藝非凡。此時,他正接見一位太史監派來的使者。
  太史監專司天文曆法,眼前這位自稱李秀的使臣雖然男裝打扮,卻原是一名秀麗的少女。
  她懇求張天師開放龍虎山所藏的觀星紀錄供她查閱。張天師回答說:
  「此乃本山機密,非同小可,除非李秀姑娘有正當理由。」
  李秀點頭,嚴肅地說:「不好意思唐突來訪。實不相瞞,太史監在整理記錄時,發現天罡地煞一百零八星在50年前就消失於天象,不知張天師可有所悉?」
  聽到這話,張天師的臉色瞬間沉了下來,「這個嘛,我是聽說過,但看似對世道人心影響不大,所以也就沒特意上報了。」
  「那麼,還請張天師准許在下覆核貴山記錄。」
  李秀語氣犀利地提出要求。
  「……我知道了。」張天師嘆了口氣,吩咐雜役道士前往倉庫取檔案。
  當日,龍虎山大雪紛飛,道路泥濘難行。負責雜役的賀氏兄弟抱著厚重的星象志,在風雪中趕往張天師處。
  日暮時分,天色漸暗,梅花怒放,但他們無暇欣賞。
  兄弟倆帶著冰冷的身軀走下山坡,穿過樹林。突然,雷先指著高空大喊:「你看,是顆流星!」
  鋼先抬頭望天。
  「真的耶,這夠資格記進觀星志裡了。」
  然而,鋼先隨即覺得不對勁,「大哥,天上烏雲密布,怎麼看得見流星?」
  話音未落,一團巨大的光球伴隨震耳欲聾的巨響,直撲兩人而來。
  「不好,快閃開!」
  鋼先猛力將雷先推開,自己卻被流星撞個正著,頃刻間血肉模糊、氣絕身亡。

  「發、發生什麼事了?打雷了嗎?」
  遠處的張天師聽到巨響,心生疑竇。他帶著李秀來到外頭察看,眾多道士和百姓也紛紛跑出來。
  看到長子應究,張天師問道:「應究,剛才的巨響是怎麼回事?莫非出事了?」
  應究答道:「還不清楚。總之我先去安撫大家的情緒。」
  將此事交代給兒子,張天師朝聲音傳來的方向走去。只見山腳下濃煙滾滾,竟引發了小火災。張天師和李秀加快腳步前往查看,卻在茫茫白雪中發現一個神秘人影。
  定睛一看,是個身材魁梧的武將,懷中還抱著一個人。
  「那人……是山上的弟子嗎?」
  李秀問道。張天師搖了搖頭。
  兩人跑近一瞧,那武將開口說:「這少年剛才不幸身亡。我好不容易才把他的魂魄給攔下。」
  張天師定睛一看,簡直不敢相信眼前所見,「這、這不就是我派去倉庫的小夥子嗎!」
  此時,應究和雷先也趕到了。應究大聲說:「爹,不好了!聽說雷先的弟弟被流星砸中啦!」
  張天師說:「嗯,人就在這裡……看來是出了大事啊。」
  他再次打量那位武將。
  「敢問閣下尊姓大名?」
  應究、李秀、雷先也紛紛將目光投向對方。武將抱緊鋼先的遺體,挺起胸膛回答:  
  「我乃天魁星,統領天罡地煞一百零八星之首。」
  說著,他以真摯的眼神向眾人致歉。
  「什麼?你、你就是天上那一百零八星?」
  張天師聽了,目瞪口呆。心中疑問叢生,但眼下最要緊的是鋼先的情況,於是連忙邀請武將來到上清宮正殿。
  張天師讓人把鋼先平放在供桌上。只見遺體遍體鱗傷,慘不忍睹。
  「喂,你說你是天魁星是吧?我們剛才還聊到你們呢。話說回來,你怎麼會撞到他?」
  張天師瞪著天魁星。對方恭恭敬敬地行了個禮,說:
  「實在抱歉。因為有種不祥之感,所以才拼命往前飛。」
  「就這樣?」
  「是的,就這樣。」
  天魁星又行了個大禮。張天師則氣沖沖地锤著桌子。
  這時,李秀想借由龍虎山的星象志查個明白。但觀星記錄在剛才的劇烈碰撞下破爛不堪,已無法辨認。她指著自己帶來的太史監記錄說:
  「你們一百零八位星君如今都下凡了,所以才不見蹤影。」
  張天師揮手趕人,憤怒地說:「還不快滾回天庭!把這事稟告西王母,讓你們統統受罰!」
  就在這時,應究望向窗外,像是發現了什麼,「爹,有一群陌生人朝我們這兒走來了。」
  眾人趕緊來到外頭,只見一支隊伍排成一列,為首的是位身著華服的女子,架勢不小。
  「這是什麼情況?該不會是哪家貴婦吧?」
  雷先剛說完,張天師便皺起眉頭,「不、不會吧,沒想到連她也來了。」
  「誒?天師認識他們?」
  「豈止認識啊,她可是西王母的使者—— 英貞童女。只是不知她此來何意……」
  沒錯,來者全是女眷。
  兩名侍女向張天師行禮,退到隊伍兩側。英貞童女款款而來,雖稱「童女」 ,卻是位美貌絕倫的仙姑。
  她說:「別來無恙,張天師。聽聞貴處來了一位天魁星?」
  張天師趕忙還禮,說道:「正是。那星君從天而降,不慎撞死了本山一名弟子。」
  英貞童女睜大眼睛,「竟、竟有此等荒唐事!這是何時發生的?」
  「就在剛才。唉,不勝唏噓啊。」
  張天師嘆了口氣。英貞童女瞥見鋼先胸前微弱的光芒,搖頭道:
  「天師寬心,此人魂魄尚在。容我設法。九天玄女、六合慧女,速速準備法器。」
  她朝身旁兩名下屬吩咐。
  九天玄女答道:「遵命。就由我施法吧。六合,妳來幫我的忙。」
  「好的,姊姊。」
  眾目睽睽之下,九天玄女走進正殿,取出葫蘆往鋼先身上灑水,又脫下外袍蓋在他身上。接著,她從六合慧女手中接過護符,置於鋼先身上,隨即結印念咒。法事完畢,她長吁一口氣。
  「這是在做什麼?」
  張天師問道。九天玄女整了整衣襟,答道:
  「我用靈水修復他的肉身,這樣可以多爭取一些時日。」
  「妳、妳的意思是,能讓他起死回生?」
  英貞童女搖了搖頭。
  「目前還不行。靈魂一旦出竅,就難以長久附體。據說人間有一種靈藥名叫『返魂丹』,服了就能重塑魂魄。但尋找此藥需時頗久,在這期間,必須有人進入他的身體,暫時維繫魂魄。」
  「這、這怎麼可能?」
  張天師滿臉狐疑。九天玄女解釋道:  
  「這是極其罕見的秘法,就連天界也只有屈指可數的仙人能施展。利用旁人的魂魄牽引目標靈魂。但若是凡人,其中一方就會失去肉身。所以這任務非得由天界眾完成不可。」
  天魁星忽然站了出來,自告奮勇道:
  「鋼先之傷,乃我一時失手所致。這項任務就交給在下了。」
  「什、什麼?」
  張天師等人面面相覷,一臉不安。英貞童女卻苦笑著說:
  「張天師雖有所顧慮,但眼下也只能如此了。天魁星為人魯莽,但忠厚老實,責任心強,此事就交給他比較穩妥。」
  張天師趕緊說:「哪、哪裡的話。我明白了。只要童女及時備妥返魂丹,就沒問題。」
  然而李秀卻一臉疑惑地打岔道:「可是這樣不要緊嗎?太史監的記載顯示,一百零八星有聚合的趨勢。若讓天魁星附身,恐怕會……」
  英貞童女心領神會,點頭接話:「餘下一百零七星會被鋼先吸引過來,是吧。他們居然偷溜下凡,明明早有禁令不許擅闖人間。」
  天魁星在英貞童女的注視下,趕忙躬身賠罪。
  英貞童女嚴肅地說:「對鋼先而言雖然不太公平,但還是要麻煩他協助尋回一百零七星。恐怕那些星宿已經附在凡人身上逍遙法外了。為了阻止這一切,鋼先必須踏上星宿尋訪之旅。」
  聽到這唐突的要求,張天師驚愕地說:「這、這……鋼先又沒犯什麼滔天大罪,怎能受此奇冤。」
  見張天師為難,雷先站出來說:「天師,只要弟弟還有一線生機,不管多危險,我都會陪他走下去的!」
  「這樣啊。既然如此……」
  張天師終於點頭同意。正當眾人鬆了口氣,英貞童女卻要大家迴避。
  「接下來天魁星要與鋼先合體,屆時會迸發強光,恐傷了在座各位的眼睛,還請迴避。」
  張天師等人退出正殿,關上大門。藍白色光芒透過門縫激射而出,在雪地上反射出炫目光暈。
  過了好一會兒,大門終於打開。英貞童女和六合慧女走出,對眾人說:
  「法術十分高深,或許要持續到明早。諸位無需在此久候,請先行歇息吧。」
  眾人聽罷,便各自散去。

  ◇

  然而不久,張應究折返正殿,恭恭敬敬地施了一禮。
  「天師張曉之長子張應究,有要事求見英貞童女。」
  英貞童女和六合慧女應聲而出。
  「何事?法術尚未完成呢。」
  「非常抱歉……關於方才尋找一百零七星之事,晚輩有一事相求。」
  「但說無妨。」
  「是。那麼……」
  應究壓低聲音說了幾句,再次一揖,離開了正殿。
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俊也
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時は1945年3月、敗色濃厚の日本軍。 今まさに沖縄に侵攻せんとする圧倒的戦力のアメリカ陸海軍を前に、日本の指導者達は若者達による航空機の自爆攻撃…特攻 で事態を打開しようとしていた。 「バカかお前ら、本当に戦争に勝つ気があるのか!?」 その男はただの学徒兵にも関わらず、平然とそう言い放ち特攻出撃を拒否した。 当初は困惑し怒り狂う日本海軍上層部であったが…!? 姉妹作「新訳 零戦戦記」共々宜しくお願い致します。 共に 第8回歴史時代小説参加しました!

生意気な女の子久しぶりのお仕置き

恩知らずなわんこ
現代文学
久しくお仕置きを受けていなかった女の子彩花はすっかり調子に乗っていた。そんな彩花はある事から久しぶりに厳しいお仕置きを受けてしまう。

若妻の穴を堪能する夫の話

かめのこたろう
現代文学
内容は題名の通りです。

要塞少女

水城洋臣
歴史・時代
蛮族に包囲され孤立した城を守り抜いた指揮官は、十四歳の少女であった。  三国時代を統一によって終わらせた西晋王朝の末期。  かつて南中と呼ばれた寧州で、蛮族の反乱によって孤立した州城。今は国中が内紛の只中にあり援軍も望めない。絶体絶命と思われた城を救ったのは、名将である父から兵法・武芸を学んだ弱冠十四歳の少女・李秀であった……。  かの『三國志』で、劉備たちが治めた蜀の地。そんな蜀漢が滅びた後、蜀がどんな歴史を辿ったのか。  東晋時代に編纂された史書『華陽國志』(巴蜀の地方史)に記された史実を元にした伝奇フィクションです。

連合艦隊司令長官、井上成美

ypaaaaaaa
歴史・時代
2・26事件に端を発する国内の動乱や、日中両国の緊張状態の最中にある1937年1月16日、内々に海軍大臣就任が決定していた米内光政中将が高血圧で倒れた。命には別状がなかったものの、少しの間の病養が必要となった。これを受け、米内は信頼のおける部下として山本五十六を自分の代替として海軍大臣に推薦。そして空席になった連合艦隊司令長官には…。 毎度毎度こんなことがあったらいいな読んで、楽しんで頂いたら幸いです!

朱元璋

片山洋一
歴史・時代
明を建国した太祖洪武帝・朱元璋と、その妻・馬皇后の物語。 紅巾の乱から始まる動乱の中、朱元璋と馬皇后・鈴陶の波乱に満ちた物語。全二十話。

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