魔探偵探偵事務所

カクカラ

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1章4節 幸せの居場所

3-1 (96話)

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「人の気配と・・・何て言ったらいいんだろ。重苦しい空気の中に「死にたい」、「苦しい」とかいろんな声が聞こえたんだけど。これって何か関係してるのかな」

なんてことだ。
あんなことを言わなければこんなことをしなくて済んだはずなのに。
いきなり思い出すようなことをするからまた現場に戻らなきゃいけなくなる。
しかも、もう夕方だってのにそれでも行くなんて思ってもみなかった。
でも、この暑苦しいのは何だ。
こんな人数この車に乗せたことないぞ。
俺とバカ城、あの生意気なガキに・・・依頼者とその付添人つきそいにん
嘘だと言ってくれ。
4人乗りに5人は無理があるだろ。
まさか、あいつが依頼者も来いなんて言うからろくでもないことに巻き込まれるんだ。

「なぁ、嬢ちゃん。本当にそうなんだな?」
「うん。何か気配はしてたけど本当にいたんだから」
「嘘ついたらここから出すからな。本当のことなんだな?」

コクリと頷く猪野糸。
本当に嘘なんかついていなければいいのだが、あいつはあいつで窓越しから景色見てやがるから何考えてんのか分かりもしねぇ。
冷静に考えるのはいいが、分かるように話してほしいもんよ。
車を走らせ現場へと向かっていく。
しかし、この時間は渋滞じゅうたいしているため混んでいる。

「ほんまに混んでますね・・・。どないします?パトランプつけましょか?」
「つけたところでどうなる。ギツギツの道で通らしてくれると思うか?都合よくいかないもんなんだよ」

こんな時に渋滞なんて今日はついているのかついていないのか。
動かないとイライラするんだよ。
チョビチョビしか動かないなんて正直腹が立つ。
でも、これはこれで仕方がないんだ。
なんせここを通る時、信号が変わるのが早すぎる。
1分したら赤になるなんてふざけてるのかと思った。
それならこの車を乗り捨ててでも急いで行きたい。
しかし、このバカ城は本当のペーパー中のペーパーだから何されるかわかったもんじゃない。
愛車に傷をつけられるなんて言語同断ごんごどうだん
殴って言い返す程度では済まないだろうな。
怒りをグッとこらえて耐えるんだ。
それが今の近道なんだからな。

「西崎さん、何とかしてもらえませんか?」
「んなこと言われても無理に決まってんだろ!!こんな渋滞してるなんて思ってもみなかったもんだからよ」
「ならこの時間までに着いてください。でないと、依頼者のおばあさん亡くなるかもしれないんで」

メモみたいなものを見せられた西崎。
そこに書かれてあったのは「7時までに依頼者の部屋に」としか書かれていなかった。
それぐらいなら問題ない。
絶対にこの渋滞から抜け出せる。
警察をなめているのか。
情報網じょうほうもうをなめるなと言いたいものだ。

「あの、何が起こるっていうんですか?」
「それはあなたの目で確かめてください。これがこの事件の真相だということを」

そう言って会話が途切とぎれた。
あの現場で一体何が起こるというのだろうか。
わからないことだらけのこの事件が解決するのだろうか。
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