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1章2節 狩人の目覚め
3-9,10 (38,39話)
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鋳剣の方針を曲げなかった西崎に驚く岩城。
あんなに突っかかってた西崎の態度が変わっていた。
あの事件で何か変ったようにも見えたが、そんなわけでもない。
いつもの西崎にしか見えない。
鋳剣も2人の手の紋章に気づいたようだ。
しかし、何も聞くことはなかった。
ただ、黙ってみるふりをして。
「あの・・・聞くことあるんや・・・」
「ないよ。聞くことなんて」
そう言って立ち去っていった。
何も聞くことがないなんて何か怪しいと思っていた。
でも、黙っているなんて思ってもみなかった。
それともわかっていて黙ったのか。
まったくわからない人物でもあった。
そのあとも資料整理をして車で出かけた。
その場所はあの事務所だった。
契約紋章の事について話を聞きにいくのだった。
このまま隠さずにいても紋章がばれるだけ。
何とかしてもらおうと事務所に向かうのだった。
そんな車中の中でこんな話をしていた。
「ほんまに死んだんですかね・・・俺ら」
「何を聞いてるんだ、お前は」
変な話をふってくる。
2人がもともと死んでいたなんて思ってもいない。
こうやって生きていること自体が怪しいぐらいでもあった。
あの時傷があったのに、気づいたらなくなっていたなんて非科学的すぎる。
魔道のことも信じてはいないが、本当にいるなんてことは信じたくても信じきれない。
そして、この紋章も。
こんな非科学的なことなんてありえない。
死んで生き返るなんてまるでゾンビだ。
こうやって日常を過ごしているのに、こんなことも気づかなかったなんて。
「だって、あの事件で俺らやられたんですよ。それがこうやって生きてるなんて思わないじゃないですか」
「確かにそうだな。気にするななんて言われたら余計に気になる。でも、これは魔探偵がやったことなんだ。しかも、あんなガキにな。でも、その理由は聞いたんだ。これ以上詮索するな」
わかってる。でも、気になるんだ。
何もできなかった自分を責めているわけではない。
ただ、あの事件で何もできなかったのが不服なんだ。
七つの大罪に引っかかったから魔道を呼び出せることができた。
でも、どんな罪なのかわかった以上知る権利というものは存在する。
聞くべきことは聞かなければいけない。
それを確かめなければいけないのだと。
* * *
「ほら、着いたぞ」
事務所に着いて、車から降りた。
いつ見ても立派な建物。
これは何度見ても飽きない。
中に入ってシンのいる部屋に向かった。
場所は知っているから案内役に頼まなくてもわかる。
これでもう3回目。
場所くらい知っていて当然のこと。
長い廊下があの時の事を思い出す。
そんな前の事じゃなかったはずなのについこの間のように思える。
シンのいる部屋に着いてノックをした。
声がしたので中に入ると、シンは座って何かを触っていた。
「これはお2人とも。お元気そうで何よりです」
「それはどうも」
子供のくせに生意気な様子で聞いてくる。
こっちは死ぬところだったんだ。
しかも、昨日の今日でお元気そうとはなんだ。
少し腹が立つ。
そんないらだちを抑えながらも冷静に話をした。
「今回はすまなかった。いろいろと文句をふっかけて。おかげで事件解決にまで至った。礼を言わせてくれ。ありがとう」
「頭でも打ちましたか?ちょっと様子が変ですよ」
「頭なんて打ってない!!お前が打ったんじゃないか?」
今日は口が悪い。何だこの態度は。
無性にイライラしてくる。
1発平手でもやってやろうか。
そうしたら少しは楽になるだろう。
「それよりこの手の紋章。どうしたらいい?隠そうにも隠せないんだが」
「他人には見えてないんだし、いいじゃないですか」
「俺らが気になるんだ。どうにかしてくれ」
そういって差しだされたのは黒い手袋だった。
指の部分が出ている手袋。
これをやれというのだろうか。
「うちの魔探偵からこれを渡してくれと言われました。それで紋章を隠してください」
その手袋を手にとってはめた。
とてもいい具合にフィットしている。
握るのにも少しゆとりがある。
「ゆとりがある方が便利でしょ。銃だって握ったときに安定できるように施してありますのでお気になさらないでください。何せここの特注なので」
「助かる。それより・・・」
「あのっ!!1つだけいいですか?僕たち、どんな罪を犯したんですか?確かに前におっしゃっていましたよね。でも、僕たち2人に対しての罪が何なのか知りたいんです」
岩城から質問なんて珍しいことだった。
でも、聞いても仕方がない質問。
答えが返ってくるかわからない唐突な質問にシンは答えてくれるのだろか。
重い口を開いてくれるのだろうか。
そのことで契約紋章のことも聞き出せることを願いながら。
ガチャっと音を立てた。
また知恵の輪で遊んでいるのだろうか。
本当に暇な魔探偵だと思いながらも正直に話してくれた。
知恵の輪を机に置いて。
「言ってもいいの?それで後悔しない?」
「構いません、僕は」
岩城の決意を無駄にはしたくなかった。
西崎は黙ってそれを聞くようにした。
本当のことを受け入れるのだから。
「あんたたち2人の罪は憤怒だよ」
「憤怒・・・」
「怒りか。まあ、当然だわな。丸腰で犯人に突っかかっても太刀打ちできなかったのは事実だからな。でも、何が事の引き金になったっていうんだ?」
「僕が前にも言ったように2人は罪に触れてしまったと言いましたけど、本来なら2人ともが別々の類で同時に罪に触れるなんてことは早々ありません。例外といってもいいぐらいです。ただ、唯一一致していたのは憤怒、憤りということになるわけです。偶然にも2人同時に発動したせいなのか魔道にも届いてしまったという結果になっただけです。つまり、今2人は命ごと共有しているという事になります」
2人の意思が偶然にも魔道に届いてしまった。
魔道がそれに呼び寄せられるかのように。
2人同時にってことはまれにあるらしいが、こんな形で魔道を呼ぶことは異例だという。
通常1人の人間につき魔道は1体が原則。
しかし、人間2人に対して魔道1体は荷が重い。
体に異変を起こしても仕方がない。
魔道にも限界というものは存在する。
限界を突破すれば暴走する。
そのことを知っていてあえて契約を試みたのだ。
その結果、お互い魔道でつながっている状態になる。
ただ、不安定になるために暴走する。
あの日、暴走をしていたというのはそのことを意味していた。
そして、暴走が止まり一定の能力を使ったからか魔道の機能が停止し、深い眠りについたのではと推測をした。
つまり、今魔道は2人の中にある。
お互いに共有していることを2人は知る。
「共有って・・・じゃあ、どっちかが死んだらどないなるんです?」
「2人とも死ぬってわけだよ。お互いに共有している状態になるんだから」
片方が死ねばどちらも死ぬ運命になる。
両方やられても一緒。
互いに罪を共有している状態での契約なのだから。
「仮にこの契約をなかったことにしたらどうなる?」
「それも同じ。あんたたちは死んでる状態に巻き戻る」
どっちにしても死ぬという選択は変わらない。
片方が契約、もう片方が他の魔道に変えても無駄になる。
同じ罪同士でいる以上、それは結束なのだ。
「ならこの契約紋章の絵は何だ?」
「それだけはわからないんだ。今回見たのが初めてだから」
契約紋章は本人にはどういうものなのかわからない。
それは他人が契約したときにしかわからないことになっている。
しかし、なぜシンの目が赤くなっていたのだろうか。
その質問をしてみた。
しかし、すぐには話そうとはしなかった。
これだけは思い出したくない過去があったから。
「すまん・・・。そのことについては触れないほうがよかったな」
「いいんだ。いずれわかるときがくるから」
重い空気になっていく部屋。
いてても重苦しい感じになっていく。
岩城は重要なことを言い始めた。
特別魔道対策室なんて何のことだと。
シンはそのことについては知らないと言葉にした。
これはいったい誰が許可をしたのだろうか。
それが謎のまま時が過ぎてしまった。
1週間、1か月、1年・・・。
そんなこんなで4年の月日が経った。
あんなに突っかかってた西崎の態度が変わっていた。
あの事件で何か変ったようにも見えたが、そんなわけでもない。
いつもの西崎にしか見えない。
鋳剣も2人の手の紋章に気づいたようだ。
しかし、何も聞くことはなかった。
ただ、黙ってみるふりをして。
「あの・・・聞くことあるんや・・・」
「ないよ。聞くことなんて」
そう言って立ち去っていった。
何も聞くことがないなんて何か怪しいと思っていた。
でも、黙っているなんて思ってもみなかった。
それともわかっていて黙ったのか。
まったくわからない人物でもあった。
そのあとも資料整理をして車で出かけた。
その場所はあの事務所だった。
契約紋章の事について話を聞きにいくのだった。
このまま隠さずにいても紋章がばれるだけ。
何とかしてもらおうと事務所に向かうのだった。
そんな車中の中でこんな話をしていた。
「ほんまに死んだんですかね・・・俺ら」
「何を聞いてるんだ、お前は」
変な話をふってくる。
2人がもともと死んでいたなんて思ってもいない。
こうやって生きていること自体が怪しいぐらいでもあった。
あの時傷があったのに、気づいたらなくなっていたなんて非科学的すぎる。
魔道のことも信じてはいないが、本当にいるなんてことは信じたくても信じきれない。
そして、この紋章も。
こんな非科学的なことなんてありえない。
死んで生き返るなんてまるでゾンビだ。
こうやって日常を過ごしているのに、こんなことも気づかなかったなんて。
「だって、あの事件で俺らやられたんですよ。それがこうやって生きてるなんて思わないじゃないですか」
「確かにそうだな。気にするななんて言われたら余計に気になる。でも、これは魔探偵がやったことなんだ。しかも、あんなガキにな。でも、その理由は聞いたんだ。これ以上詮索するな」
わかってる。でも、気になるんだ。
何もできなかった自分を責めているわけではない。
ただ、あの事件で何もできなかったのが不服なんだ。
七つの大罪に引っかかったから魔道を呼び出せることができた。
でも、どんな罪なのかわかった以上知る権利というものは存在する。
聞くべきことは聞かなければいけない。
それを確かめなければいけないのだと。
* * *
「ほら、着いたぞ」
事務所に着いて、車から降りた。
いつ見ても立派な建物。
これは何度見ても飽きない。
中に入ってシンのいる部屋に向かった。
場所は知っているから案内役に頼まなくてもわかる。
これでもう3回目。
場所くらい知っていて当然のこと。
長い廊下があの時の事を思い出す。
そんな前の事じゃなかったはずなのについこの間のように思える。
シンのいる部屋に着いてノックをした。
声がしたので中に入ると、シンは座って何かを触っていた。
「これはお2人とも。お元気そうで何よりです」
「それはどうも」
子供のくせに生意気な様子で聞いてくる。
こっちは死ぬところだったんだ。
しかも、昨日の今日でお元気そうとはなんだ。
少し腹が立つ。
そんないらだちを抑えながらも冷静に話をした。
「今回はすまなかった。いろいろと文句をふっかけて。おかげで事件解決にまで至った。礼を言わせてくれ。ありがとう」
「頭でも打ちましたか?ちょっと様子が変ですよ」
「頭なんて打ってない!!お前が打ったんじゃないか?」
今日は口が悪い。何だこの態度は。
無性にイライラしてくる。
1発平手でもやってやろうか。
そうしたら少しは楽になるだろう。
「それよりこの手の紋章。どうしたらいい?隠そうにも隠せないんだが」
「他人には見えてないんだし、いいじゃないですか」
「俺らが気になるんだ。どうにかしてくれ」
そういって差しだされたのは黒い手袋だった。
指の部分が出ている手袋。
これをやれというのだろうか。
「うちの魔探偵からこれを渡してくれと言われました。それで紋章を隠してください」
その手袋を手にとってはめた。
とてもいい具合にフィットしている。
握るのにも少しゆとりがある。
「ゆとりがある方が便利でしょ。銃だって握ったときに安定できるように施してありますのでお気になさらないでください。何せここの特注なので」
「助かる。それより・・・」
「あのっ!!1つだけいいですか?僕たち、どんな罪を犯したんですか?確かに前におっしゃっていましたよね。でも、僕たち2人に対しての罪が何なのか知りたいんです」
岩城から質問なんて珍しいことだった。
でも、聞いても仕方がない質問。
答えが返ってくるかわからない唐突な質問にシンは答えてくれるのだろか。
重い口を開いてくれるのだろうか。
そのことで契約紋章のことも聞き出せることを願いながら。
ガチャっと音を立てた。
また知恵の輪で遊んでいるのだろうか。
本当に暇な魔探偵だと思いながらも正直に話してくれた。
知恵の輪を机に置いて。
「言ってもいいの?それで後悔しない?」
「構いません、僕は」
岩城の決意を無駄にはしたくなかった。
西崎は黙ってそれを聞くようにした。
本当のことを受け入れるのだから。
「あんたたち2人の罪は憤怒だよ」
「憤怒・・・」
「怒りか。まあ、当然だわな。丸腰で犯人に突っかかっても太刀打ちできなかったのは事実だからな。でも、何が事の引き金になったっていうんだ?」
「僕が前にも言ったように2人は罪に触れてしまったと言いましたけど、本来なら2人ともが別々の類で同時に罪に触れるなんてことは早々ありません。例外といってもいいぐらいです。ただ、唯一一致していたのは憤怒、憤りということになるわけです。偶然にも2人同時に発動したせいなのか魔道にも届いてしまったという結果になっただけです。つまり、今2人は命ごと共有しているという事になります」
2人の意思が偶然にも魔道に届いてしまった。
魔道がそれに呼び寄せられるかのように。
2人同時にってことはまれにあるらしいが、こんな形で魔道を呼ぶことは異例だという。
通常1人の人間につき魔道は1体が原則。
しかし、人間2人に対して魔道1体は荷が重い。
体に異変を起こしても仕方がない。
魔道にも限界というものは存在する。
限界を突破すれば暴走する。
そのことを知っていてあえて契約を試みたのだ。
その結果、お互い魔道でつながっている状態になる。
ただ、不安定になるために暴走する。
あの日、暴走をしていたというのはそのことを意味していた。
そして、暴走が止まり一定の能力を使ったからか魔道の機能が停止し、深い眠りについたのではと推測をした。
つまり、今魔道は2人の中にある。
お互いに共有していることを2人は知る。
「共有って・・・じゃあ、どっちかが死んだらどないなるんです?」
「2人とも死ぬってわけだよ。お互いに共有している状態になるんだから」
片方が死ねばどちらも死ぬ運命になる。
両方やられても一緒。
互いに罪を共有している状態での契約なのだから。
「仮にこの契約をなかったことにしたらどうなる?」
「それも同じ。あんたたちは死んでる状態に巻き戻る」
どっちにしても死ぬという選択は変わらない。
片方が契約、もう片方が他の魔道に変えても無駄になる。
同じ罪同士でいる以上、それは結束なのだ。
「ならこの契約紋章の絵は何だ?」
「それだけはわからないんだ。今回見たのが初めてだから」
契約紋章は本人にはどういうものなのかわからない。
それは他人が契約したときにしかわからないことになっている。
しかし、なぜシンの目が赤くなっていたのだろうか。
その質問をしてみた。
しかし、すぐには話そうとはしなかった。
これだけは思い出したくない過去があったから。
「すまん・・・。そのことについては触れないほうがよかったな」
「いいんだ。いずれわかるときがくるから」
重い空気になっていく部屋。
いてても重苦しい感じになっていく。
岩城は重要なことを言い始めた。
特別魔道対策室なんて何のことだと。
シンはそのことについては知らないと言葉にした。
これはいったい誰が許可をしたのだろうか。
それが謎のまま時が過ぎてしまった。
1週間、1か月、1年・・・。
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