魔探偵探偵事務所

カクカラ

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1章2節 狩人の目覚め

3-3,4 (32,33話)

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そこにいるのは誰なんだ。
見えるようで見えない。
そう思っていた。
だけど、現実にいる。悪魔が。
目の前にいるのは悪魔だ。

「初めまして。刈られていく人間の末路まつろをみるのは楽しいなぁ・・・主人マスター
「そうだろ?こんな世の中にした人間達を始末しなきゃ変えられないんだよ。法律や権力だけで勝ち取れる世界じゃ意味ないんだよ。権力や法律に関係なく力を手にしたものがこの世界を変えるんだよ。わかるかい?」

こんな力がなんのためになるというのだ。
ただのワガママにしか聞こえない。
あの出来事がきっかけで悪魔にとりつかれてしまった。
憎悪ぞうおが膨れ上がるにつれて悪魔は主人の言うとおりに動いていく。
まるでペットのように飼いならされていくように。
気に食わない人を次々に無造作むぞうさに襲うなんてそれこそ犯罪者。
警察官がこんな行為をしても変えられるわけがない。
むしろ、こんなことをしてなんになるというのだ。
市民を守る立場の人間が市民を殺す側になるなんてとんでもないこと。
それこそ人間の恥というもの。
悪魔に頼ろうなんて行為そのものが許せない。
鎌を振り回すような悪魔を持つ人間は最低な人間。
世界を変えるのは人1人の力なのだ。
そんなやつを許すわけにはいかない。

「わからないね。あんたみたいなのがいるからこの世の中は変わらないんだよ。事件ばっかり起こるから警察だって存在するんじゃねーか。それがなくなれば警察なんていらねーよ」
「なぁ、こいつやってもいいか?」
「まだだ、。やれというまではやるな」

アンクー。それが悪魔の名前。
ガイコツ顔に赤いフードを被った鎌男。
いかにも死神らしい存在をしている。
犯人は銃を構えて岩城に向けて撃つつもりでいた。

「こいつはよせっ!!まだここに来て間もないんだぞ!!」
「そんなのは関係ないんだよ」

そんなことは気にもせず、1発岩城の足に撃った。
ひざまずくように倒れる岩城。
痛みに耐えている。
苦しいはずだ。
そんな声を聞いてウズウズしている犯人。
部下がやられているのに何もしないわけにはいかない。
突進しようと西崎は突っ込んだ。
でも、死神が目の前に現れて右脇腹みぎわきばらを鎌で振り下ろす。
幻想げんそうかとも思ったが、違う。

これは現実だ。
痛みがくる。血が出てくる。
意識が薄れていく。
気力で立ち上がる西崎。

「ぐっ・・・」
「邪魔だからさっさとこの舞台から降りてくれよ・・・」

1発、2発。次々と西崎に撃たれていく。
苦しいどころではない。
立ってもいられないくらいの痛み。
西崎はその場で気力を失い倒れた。
大量の血がその場を血に染めた。
息も呼吸も心臓の音もしていない。
もう死んでしまったのか。

「西崎警視っ!!!!」

立ち上がれない。
痛みが勝っていく。
助けなければ。
西崎を助けなければいけない。
でも、足が動けない。
いつきながら犯人に迫ってく。
だが、遠くて届きそうにもない。
もう終わりなのか?
こんな人生で終わる自分がみにくいと思った。
その瞬間1発の銃が撃たれた。
岩城はその場に倒れこんだ。
誰も助けてくれない。
そう思いながら息を引き取るように眠った。
暗闇を照らす満月。
2人は満月に看取みとられながら深い眠りについた。
そこに助けがくることを知らぬまま・・・。


深い眠りについた2人。でも、どこからか声がする。
聞き覚えのあるような声なのかどうかわからない。
ゆっくりと目を開けていく。
何もない空間。あの時の場所とは違う。
まっさらな感じの世界。
居心地のいい場所。新鮮しんせんな匂いがする。
ずっとここにいていたい。
目が覚めないでほしいと願いながら。

「そうか・・・あの時撃たれたんだ。むなしい死に様だな」
「俺は西崎警視を守ろうとして・・・。あのまま・・・」

2人は思い思いのことを思い出しながら目をつぶった。
これで人生の幕引まくひきになる。そう考えていたはずだった。
「生きていたいか・・・」
その声に反応してしまった。
生きていたい。もちろんまだここで死ねない。
まだやり残したことがある。

「なら契約だ・・・。お前たち2人と契約してやる」

周りが真っ黒に染まってく。
そこに1点を見つめる1つの目。
赤く燃える目。手を差し伸べるように2人を導いた。
現実に戻る頃、犯人は次なる行動をしようとしていた。
同じように全身に傷をつける。
その作業を悪魔にやらせる最中だった。

「もう止めなよ。こんなことして何になるの?」

どこからか聞こえる声。
周りを見渡す犯人と悪魔。
見渡すと前から1人やってくる。
左目が赤く光っている。間違いない、シンの姿だ。
銃声を聞きつけてやってきた。
ゆっくりと歩き始めるシン。
すると、2人がゆっくりと起き上がっていく。
まるでゾンビのように。
シンが前に出てきたときにはしっかりと立っていた。
ふらついてはいるもののしっかりとした意識を持っている。

「だ、誰だ、てめぇは!!」

名乗ろうとしたが、こんな人間に名乗るようなものじゃない。
悪に満ちた犯人をさばくときがやってくる。

「魔道なんかに頼ってるからこうなるんだよ。ま、まだ契約してないだけ助かるけど」
「ごちゃごちゃうるさいんだよ!!」

1発2発とシンに向かって銃を乱射らんしゃさせた犯人。
しかし、かすりもしない。
それどころか後ろの2人にも当たっていない。
どういう事なのだろうか。

「いいか。バカのすることなんて見通しなんだよ。魔道はこうやって使うんだよ。さあ、いいよ。お前たちの好きにしな、ロキ」

2人が一斉にゆっくりと動いていく。
犯人と魔道のアンクーにターゲットにして。
それと同時に銃を乱射したり、アンクーに指示を出して殺すように命令させた。
しかし、何をしてもかすりもしない。
1歩1歩近づいてくる。
牙をむく魔物のような目つき。これこそ悪魔。
悪夢が一瞬のうちに去っていくように事が終わってしまった。
2人はそのまま倒れこんだ。
意識を失ったように深い眠りに。
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