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王は月夜に優しく囁く1
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ウルは重いまぶたを開けた。低血圧の彼にとって朝は気温が高かろうが低かろうが関係なく起き上がるのが辛い。しかし、遅れてしまえばどんな罰が待っているか分からないためクラクラと脳が揺れるような感覚と戦いながらいそいそと服を着替えた。
「ウル、朝の湯浴みの時間だ。手伝え」
大きな声が部屋の奥から響く。
「はい、ただいまっ」
長い髪を後ろで結い上げると、慌ただしく奥の部屋を開け深々と一礼した。
「フレン様、おはようございます」
「早くしろ」
ウルに命令するフレンは部屋の半分程もある天蓋付きのベッドの上で偉そうに胡座をかいている。そのふんぞり返った男のもとに行き、ウルは失礼します、と一声かけフレンの寝巻きを脱がしていった。
「お前、今朝も俺より遅く起きたな?」
「……申し訳ございません…」
「全く……何のために俺の部屋の中に置いていると思っているんだ」
フレンは大きな溜息をつく。一糸纏わぬ姿になると、その後ろからバスローブの袖を丁寧に通させた。ウルは歩くフレンの後ろにつき、彼が向かう浴室へと同行した。
百姓一家のウルの家は貧しい四人家族で、小麦や稲を作って生活をしていた。農作物はほとんど売りに出し、年貢を納めるので精一杯で自分達の食べ物は後回しだったがそれでも仲良く楽しく暮らしていた。
ある年のことだった。
国内で厄介な病が流行り、ウルの家も両親が倒れてしまった。病気の感染力は酷く、国内で一気に広まり、国王夫婦までもが、流行病に倒れてしまった。更に運が悪いことに看病にあたっていた給仕係も続々と倒れていく最中、これは好機と踏んだ近隣諸国が攻めてくるようになっていったのだ。この現状打破のため、元々帝王学や戦術家としても注目を浴びていた国王嫡男のフレン王子が立ち上がり、近隣諸国軍に応戦した。しかし彼の采配により戦況も変わってはいったが終息にはなかなか辿りつかない。
そこでフレンの姉であるエリスが隣国の王子と婚姻を結び、そこで得た兵の戦力によって惨敗は免れたものの、かなり兵士を失ってしまった。その結果、戦況が落ち着くまではということで国民からも兵を募らざるを得ない結果となってしまったのだった。そして、この百姓一家にも白羽の矢が刺さり、長男であるセイルは兵士として徴兵されていったのである。
兵を出した家には対価として食糧や資金が送られる。ウルの兄セイルは医者に診せることもできずにいた両親の為になるのであれば、と嫌な顔せず受け入れていた。
不幸中の幸いなのか、次男であるウルは元々身体が弱く家の仕事もままならないため連れて行かれることはなかった。
セイルは絶対に帰って来ると信じていた両親は、彼らが残した資金で闘病生活を送っていたが結局助かることがなかった。
戦後、兄の戦死を知り天涯孤独となったウルは人手の足りない城に奉公人として遣われることになった。なんでも戦時中にウルの兄であるセイルにフレン国王が世話になったと言っていた様だった。その国王自らがウルを連れてくるよう使用人へ言い渡したのだ。その有り難い誘いは貧しいウルには勿体無い言葉で、すぐに首を縦に振った。身体の弱かったウルが一人で百姓仕事もできるわけがなく、近所の農家に全て譲り渡し、文字通り身一つで城に向かった。
初日は城の兵士に案内をされていたが、二日目にして朝寝坊をした挙句、大きくて広い城内で迷子になる失態。歩き回り迷いに迷ったウルは中庭にまで出てしまった。どうにかして給仕長のいる場所へ戻らねばと慌てていると、誰かに思いっきりぶつかってしまった。
「痛っ!」
鼻を強打し、顔を抑え込んだウル。思わずしゃがみ込んで身悶えていると頭上から声がした。
「……お前は」
ウルは顔を見上げ、ギョッとした。そこにいたのは国民であれば誰もが知っている人だったのだ。
「あっ、お、おおはようございますフレン国王様っ!」
深々と下げた頭はもう一生上げることはないだろうと思った。縛り首、晒し首、火あぶりの刑、ギロチン……いろんな極刑が脳裏に浮かび、より一層顔色を青ざめさせる。
「お前、名は」
「あ、いやその、国王陛下に僕の名前なんて」
「良いから名乗れ。王の命令が聞けないのか」
「う、ウルです!」
ウルは頭を下げたまま声を大にして答えた。普段出し慣れない大声に加え、ずっと首を垂れているこの姿勢は正直しんどい。だんだんと頭に血がのぼっていくのがわかり、目の奥につうんとした鈍痛が響いた。
「ウル。頭を上げよ」
フレンがそう言うが、ウルはクラクラとする頭が重く感じ、なかなか上げることができない。
「ウル」
名前を再び呼ばれたウルは、「はいっ」とまた大きな返事をしながら顔を上げてしまった。
ぱちんと何かが弾け、目の前が真っ暗になった。ふわっと宙に浮かんだ様な感じがし、次の瞬間背中に痛みが走る。名前を呼ぶフレンの声は近くでしたのは分かっていたが、応えることも出来ない。頭が重くて何も出来ない。閉じた目はずっと回っているようで気持ち悪い。
ウルは先程のやり取りで貧血を起こしてしまい、その場で倒れ込んでしまったのだった。
目が覚めると、大きな天蓋付きのベッドに寝かされていた。ゆっくりと身体を起こすと、昨日ウルに仕事を教えると紹介された給仕長のマイヤがベッドのすぐ横に立っていた。
「ウル、気分は」
「マイヤさんっ、その……ごめんなさい、僕っ」
マイヤは眉を寄せ、溜息をついた。
「体調管理は仕事の一環ですよ。フレン様がそばにいてくださったから良かったものの……」
マイヤは呆れながら言ったが、ウルの耳にはフレンという国王の名前が一際大きく聞こえた。
「あ、それでその」
ウルがマイヤに何か尋ねようとした時だった。部屋の奥のドアが思いっきり開く音が聞こえた。
「目が覚めたか、ウル」
勢いよく入ってきたのはフレンだった。マイヤはゆっくり頭を下げ、扉の方へと下がり出す。
「えっ、ちょ、マイヤさんっ」
「ウル、もう気分は良いのか」
マイヤを呼び止めようとするウルの声に被せてフレンが尋ねた。ゴクンと唾を飲み込み、ウルはゆっくりと頷いた。
「あの、申し訳ございませんでしたっ。僕が勝手に倒れただけなのに、陛下のお手を煩わせてしまって」
「別に問題ない。それと、そんなに深々と頭は下げるな。また倒れるぞ」
フレンはベッドに腰掛け、ウルの頭をゆっくりと撫でた。
「もう少し気を楽にしろ」
「で、でもっ」
あわあわと慌てて答えようとするウルを見て、フレンは「ふふふ」と小さく笑った。ウルの長い髪を指で梳かしながらベッドに胡座をかく。
「お前に頼があるんだが」
「頼み……ですか?」
「この城内は広いくせして給仕役に男はたった一人、お前だけだ」
「はぁ……」
「更に都合がいいことに歳も近い」
フレンは顔を近づけて鼻息荒く言った。だからなんだと言い返したいところだが、相手は国王で何も言えない。髪の毛に手を絡められ、ウルは顔を背けることも出来なかった。
「そこでだな。お前に俺の側近として身の回りの世話を頼みたい」
「……は?」
文字通り開いた口が塞がらないウルを鼻で笑いながらフレンは続けた。
「なに、政治関連は手を出させやしない。しかし湯浴みや着替え、食事、この部屋の掃除は全部お前が世話をしろ」
「ま、待ってくださいっ。話が急すぎますっ」
「急なものか。王である俺が言ってるんだ。ここでのお前の予定は常に俺が握っているも同然だろ。それにセイルともお前を守ると約束した。まさかこんなにも似ていないとは思ってもいなかったがな」
するりとフレンの指先からウルの長い髪がすり抜ける。兄がどんな風に自分のことをフレンに話していたのか気になったが、今はそれどころではなかった。
「お前の部屋もすぐ横の部屋にした」
「えっ!」
「母上が使っておられた部屋だし、綺麗なままのはずだ」
「ちょ、陛下っ!困りますっ!僕は田舎の百姓の出なんですよっ、そんなお部屋を充てがわれる理由がありませんっ!」
ウルが身を乗り出し意見する。くらっと一瞬目眩を起こしかけたが、踏ん張った。ここで倒れてしまうと大変なことになりかねない。まだ城に入ってたった一日しか経っていないのだ。こんな急展開は心臓にも悪すぎる。
「お前の理由などどうでも良いだろ」
ウルは青ざめた顔で首を大きく横に振った。
「諦めが悪いな。受け入れろ、お前の人生はもう俺と一蓮托生だ」
「そんなっ……!ならせめて、部屋だけでも」
「ダメだ。もう隣の部屋に準備させている」
フレンがぴしゃりと答えた。その言葉を聞いてへたるウルをみて国王は笑った。
「俺のベッドに堂々と寝っ転がれるんだから、なんの心配も要らんだろう。今日は何もしなくていい。何かあったらマイヤを呼べ。俺は公務に戻る。明日からは頼んだぞ」
「ちょ、陛下っ!」
「あとその陛下はやめろ。フレンで良い」
立ち止まって考え直してくれると思ったが、フレンはそれだけ言うとバタンと大きな音を立てて部屋から出て行った。
こうしてウルはフレン国王自らが選んだ側近給仕役としてすぐ横の部屋に住み込みで働くことになったのだった。
「ウル、朝の湯浴みの時間だ。手伝え」
大きな声が部屋の奥から響く。
「はい、ただいまっ」
長い髪を後ろで結い上げると、慌ただしく奥の部屋を開け深々と一礼した。
「フレン様、おはようございます」
「早くしろ」
ウルに命令するフレンは部屋の半分程もある天蓋付きのベッドの上で偉そうに胡座をかいている。そのふんぞり返った男のもとに行き、ウルは失礼します、と一声かけフレンの寝巻きを脱がしていった。
「お前、今朝も俺より遅く起きたな?」
「……申し訳ございません…」
「全く……何のために俺の部屋の中に置いていると思っているんだ」
フレンは大きな溜息をつく。一糸纏わぬ姿になると、その後ろからバスローブの袖を丁寧に通させた。ウルは歩くフレンの後ろにつき、彼が向かう浴室へと同行した。
百姓一家のウルの家は貧しい四人家族で、小麦や稲を作って生活をしていた。農作物はほとんど売りに出し、年貢を納めるので精一杯で自分達の食べ物は後回しだったがそれでも仲良く楽しく暮らしていた。
ある年のことだった。
国内で厄介な病が流行り、ウルの家も両親が倒れてしまった。病気の感染力は酷く、国内で一気に広まり、国王夫婦までもが、流行病に倒れてしまった。更に運が悪いことに看病にあたっていた給仕係も続々と倒れていく最中、これは好機と踏んだ近隣諸国が攻めてくるようになっていったのだ。この現状打破のため、元々帝王学や戦術家としても注目を浴びていた国王嫡男のフレン王子が立ち上がり、近隣諸国軍に応戦した。しかし彼の采配により戦況も変わってはいったが終息にはなかなか辿りつかない。
そこでフレンの姉であるエリスが隣国の王子と婚姻を結び、そこで得た兵の戦力によって惨敗は免れたものの、かなり兵士を失ってしまった。その結果、戦況が落ち着くまではということで国民からも兵を募らざるを得ない結果となってしまったのだった。そして、この百姓一家にも白羽の矢が刺さり、長男であるセイルは兵士として徴兵されていったのである。
兵を出した家には対価として食糧や資金が送られる。ウルの兄セイルは医者に診せることもできずにいた両親の為になるのであれば、と嫌な顔せず受け入れていた。
不幸中の幸いなのか、次男であるウルは元々身体が弱く家の仕事もままならないため連れて行かれることはなかった。
セイルは絶対に帰って来ると信じていた両親は、彼らが残した資金で闘病生活を送っていたが結局助かることがなかった。
戦後、兄の戦死を知り天涯孤独となったウルは人手の足りない城に奉公人として遣われることになった。なんでも戦時中にウルの兄であるセイルにフレン国王が世話になったと言っていた様だった。その国王自らがウルを連れてくるよう使用人へ言い渡したのだ。その有り難い誘いは貧しいウルには勿体無い言葉で、すぐに首を縦に振った。身体の弱かったウルが一人で百姓仕事もできるわけがなく、近所の農家に全て譲り渡し、文字通り身一つで城に向かった。
初日は城の兵士に案内をされていたが、二日目にして朝寝坊をした挙句、大きくて広い城内で迷子になる失態。歩き回り迷いに迷ったウルは中庭にまで出てしまった。どうにかして給仕長のいる場所へ戻らねばと慌てていると、誰かに思いっきりぶつかってしまった。
「痛っ!」
鼻を強打し、顔を抑え込んだウル。思わずしゃがみ込んで身悶えていると頭上から声がした。
「……お前は」
ウルは顔を見上げ、ギョッとした。そこにいたのは国民であれば誰もが知っている人だったのだ。
「あっ、お、おおはようございますフレン国王様っ!」
深々と下げた頭はもう一生上げることはないだろうと思った。縛り首、晒し首、火あぶりの刑、ギロチン……いろんな極刑が脳裏に浮かび、より一層顔色を青ざめさせる。
「お前、名は」
「あ、いやその、国王陛下に僕の名前なんて」
「良いから名乗れ。王の命令が聞けないのか」
「う、ウルです!」
ウルは頭を下げたまま声を大にして答えた。普段出し慣れない大声に加え、ずっと首を垂れているこの姿勢は正直しんどい。だんだんと頭に血がのぼっていくのがわかり、目の奥につうんとした鈍痛が響いた。
「ウル。頭を上げよ」
フレンがそう言うが、ウルはクラクラとする頭が重く感じ、なかなか上げることができない。
「ウル」
名前を再び呼ばれたウルは、「はいっ」とまた大きな返事をしながら顔を上げてしまった。
ぱちんと何かが弾け、目の前が真っ暗になった。ふわっと宙に浮かんだ様な感じがし、次の瞬間背中に痛みが走る。名前を呼ぶフレンの声は近くでしたのは分かっていたが、応えることも出来ない。頭が重くて何も出来ない。閉じた目はずっと回っているようで気持ち悪い。
ウルは先程のやり取りで貧血を起こしてしまい、その場で倒れ込んでしまったのだった。
目が覚めると、大きな天蓋付きのベッドに寝かされていた。ゆっくりと身体を起こすと、昨日ウルに仕事を教えると紹介された給仕長のマイヤがベッドのすぐ横に立っていた。
「ウル、気分は」
「マイヤさんっ、その……ごめんなさい、僕っ」
マイヤは眉を寄せ、溜息をついた。
「体調管理は仕事の一環ですよ。フレン様がそばにいてくださったから良かったものの……」
マイヤは呆れながら言ったが、ウルの耳にはフレンという国王の名前が一際大きく聞こえた。
「あ、それでその」
ウルがマイヤに何か尋ねようとした時だった。部屋の奥のドアが思いっきり開く音が聞こえた。
「目が覚めたか、ウル」
勢いよく入ってきたのはフレンだった。マイヤはゆっくり頭を下げ、扉の方へと下がり出す。
「えっ、ちょ、マイヤさんっ」
「ウル、もう気分は良いのか」
マイヤを呼び止めようとするウルの声に被せてフレンが尋ねた。ゴクンと唾を飲み込み、ウルはゆっくりと頷いた。
「あの、申し訳ございませんでしたっ。僕が勝手に倒れただけなのに、陛下のお手を煩わせてしまって」
「別に問題ない。それと、そんなに深々と頭は下げるな。また倒れるぞ」
フレンはベッドに腰掛け、ウルの頭をゆっくりと撫でた。
「もう少し気を楽にしろ」
「で、でもっ」
あわあわと慌てて答えようとするウルを見て、フレンは「ふふふ」と小さく笑った。ウルの長い髪を指で梳かしながらベッドに胡座をかく。
「お前に頼があるんだが」
「頼み……ですか?」
「この城内は広いくせして給仕役に男はたった一人、お前だけだ」
「はぁ……」
「更に都合がいいことに歳も近い」
フレンは顔を近づけて鼻息荒く言った。だからなんだと言い返したいところだが、相手は国王で何も言えない。髪の毛に手を絡められ、ウルは顔を背けることも出来なかった。
「そこでだな。お前に俺の側近として身の回りの世話を頼みたい」
「……は?」
文字通り開いた口が塞がらないウルを鼻で笑いながらフレンは続けた。
「なに、政治関連は手を出させやしない。しかし湯浴みや着替え、食事、この部屋の掃除は全部お前が世話をしろ」
「ま、待ってくださいっ。話が急すぎますっ」
「急なものか。王である俺が言ってるんだ。ここでのお前の予定は常に俺が握っているも同然だろ。それにセイルともお前を守ると約束した。まさかこんなにも似ていないとは思ってもいなかったがな」
するりとフレンの指先からウルの長い髪がすり抜ける。兄がどんな風に自分のことをフレンに話していたのか気になったが、今はそれどころではなかった。
「お前の部屋もすぐ横の部屋にした」
「えっ!」
「母上が使っておられた部屋だし、綺麗なままのはずだ」
「ちょ、陛下っ!困りますっ!僕は田舎の百姓の出なんですよっ、そんなお部屋を充てがわれる理由がありませんっ!」
ウルが身を乗り出し意見する。くらっと一瞬目眩を起こしかけたが、踏ん張った。ここで倒れてしまうと大変なことになりかねない。まだ城に入ってたった一日しか経っていないのだ。こんな急展開は心臓にも悪すぎる。
「お前の理由などどうでも良いだろ」
ウルは青ざめた顔で首を大きく横に振った。
「諦めが悪いな。受け入れろ、お前の人生はもう俺と一蓮托生だ」
「そんなっ……!ならせめて、部屋だけでも」
「ダメだ。もう隣の部屋に準備させている」
フレンがぴしゃりと答えた。その言葉を聞いてへたるウルをみて国王は笑った。
「俺のベッドに堂々と寝っ転がれるんだから、なんの心配も要らんだろう。今日は何もしなくていい。何かあったらマイヤを呼べ。俺は公務に戻る。明日からは頼んだぞ」
「ちょ、陛下っ!」
「あとその陛下はやめろ。フレンで良い」
立ち止まって考え直してくれると思ったが、フレンはそれだけ言うとバタンと大きな音を立てて部屋から出て行った。
こうしてウルはフレン国王自らが選んだ側近給仕役としてすぐ横の部屋に住み込みで働くことになったのだった。
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