好きの距離感

杏西モジコ

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好きの距離感

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 冬は良かった。本当に、冬は。裕介は一つ空けて隣りの席に座る純也を横目で恨めしそうに見つめた。真剣に教壇に立つ教授の話を聞き、熱心にスクリーンに映し出されたスライドをノートに書き写している。裕介の方を向く様子は全くない。それもそうだ、昼過ぎのこの時間帯の窓際は視線を向ければ目を細めたくなる西陽が差し込む。ブラインドを閉め切っているのにも関わらず、隙間から抜き差すその光は、机や腕を照らし、この空調の効きすぎた教室内でじわじわと裕介を攻めた。特に夏のこの時期にそんな方へ顔を向けるやつは居なかったし、増してや好んでその席を取る学生も少ない。同じ列に座る学生も居るにはいるが、基本空調を苦手とする寒がりだけだ。では、何故裕介がこの席にいるのか。
それはわざわざ一つ席を開けて座った純也が暑いのを嫌がるからだった。

 昼食をゆっくりとサークルの部室で食べた二人がこの教室に入った時には、殆どの席が埋まっていて、空席は疎らに空いており、隣同士で座れるのはこの席のみだった。
「純さん、俺前行くんで」
「なんでよ。隣に座れば……あ、でもここ眩しいかなぁ」
 その表情を見て尻尾があったのなら、きっと垂れ下がっている気がした。
「……良いっすよ。俺が窓際座ります」
「裕くん眩しくない?」
「ブラインドも閉まってるし、別にこの時間ぐらい我慢できますから」
 そう言い、裕介は純也の背中を押して内側の席へ座らせる。荷物を置くために真ん中を開けて隣に座った。
「ありがと。俺暑いの苦手だから」
「……知ってます」
 静かにそう答え、冒頭に戻る。不貞腐れた様な考え方だったが、実際はそれで合っていた。なんというか、最近の距離感が遠い気がしたのだ。
 ついさっきも、部室で少し離れた席に座って自分達の間に携帯用扇風機を立てていた。普通っちゃ普通なのだが、純也の行動としては不自然だった様に思えて仕方ない。というのも、去年の夏は裕介がサークルに入部したばかりで物理的にも精神的にも距離があって殆ど喋ることはなかったのだが、秋口から冬にかけては事あるごとに抱きついて来たり、肩を組んできたり、一人暮らしの純也の部屋に泊まりに行った際は、狭い部屋なのにこたつもわざわざ隣に入ってきた。春先だって、歩き難いとさえ思うほどに近距離にいたし、それから……。
 上げれば数え切れない。そのぐらいずっと自分からくっついてきたくせに、この季節になった途端これだ。いや、気持ちは分かるんだけれど、腑に落ちない。横目でチラリと彼の様子を伺えば、ブラインドから差し込む日差しに邪魔をされず、涼しげな顔で快適そうに授業を受けている。
 本当……冬はよかった。冬は。



「眩しくなかった?」
「……まぁまぁっスね」
 授業が終わり、教科書やノートを鞄に詰め込むと、裕介と純也は他の学生が先に出ていくのを見送ってから教室を出た。
「やっぱり。ごめんね」
「いや、別に」
 教室から出ると、ぶわっと温い風が身体に纏わりつく。さっきまで乾いていた腕や首が一瞬でじわりと汗ばんだ。
「あ。そうだ、今日も裕くん泊まりに来るよね?夕飯久々に自炊したいんだけどさ、何食べる?」
 スマホを取り出した純也は、料理アプリを開きながら『夏 美味しい 簡単 おかず』を検索していた。
「そうっスねぇ……。辛いもの…とか?」
「あー、良いね。キムチ……あ、チゲ鍋?」
「夏にそれは絶対後悔しますよ」
「えー」
 じゃあ、何が良いんだよぉー。と、純也は唇を尖らせながら画面をスクロールする。
「あ、俺それが良いです」
 画面を横から覗き込むと、裕介の心惹かれるメニューが見え、思わず口を挟んだ。
「え、どれ?」
「これです」
 裕介が純也の肩に自分の肩をぴたりとくっつけ、画面に表示されたメニューを指さした。純也の腕も自分の腕も若干しっとりしているのがわかったが、裕介はそのまま話続ける。
「この、豚キムチ。これで米と味噌汁が良……」
 言い切る前に触れていた純也の肩が裕介の肩からサッと離れた。
「……あ、えっと。ごめん、豚キムチ?良いと思う!お味噌汁の具は何が良い?」
 純也は白々しく慌てた様子を見せた。
「……なめこ以外なら何でも良いです」
「あ、うん」
 何も言われなかったことにホッとした様子で純也は返事をした。その表情に小さな苛立ちが増す。
「純さん、この後スーパー行くんスよね?」
「……そのつもりだけど」
「なら、ロッカーにパソコン置いてから行きたいんでロビーに居てください」
「えっ。そのぐらい着いてくってば」
「……そうですか」
 適当に返事をすると、罰の悪そうな表情をしていた純也も面白くなさそうな顔をする。しかし、それでも裕介はその場で純也の態度に対して詰めることはしなかった。


 二人の通う大学には、パソコンを置いていける鍵付きロッカーが全学生に宛がわれていた。年中きちんと空調管理もされていて、この時期は精密機械を保管する場所とあって他の教室と同じ様に冷房が効いている。入口付近には冷気が廊下にも流れており、ただ通り過ぎる学生さえも表情を変えていた。
「待っててください」
「んー、俺も行く」
「……入れるだけなのに」
 ただロッカーに荷物を入れ込むだけなのに、ここまで付き合わせるのは後輩としては気が引けてもう一度声をかけたが、純也はそれを断りくっついてきた。
「うわぁ、ここ寒いぐらいだ」
 そういうと純也は裕介の隣りにピタリとくっつく。沢山のロッカーが並ぶこの場所では窮屈で仕方ない。シャツの袖を軽く摘まれ、裕介は口をへの字に曲げるとその手を離した。
「だから外で待ってたらって言ったんですよ。あとそれ服伸びる」
「えー。だってさぁ」
 シャツ離された手を寂しそうに見つめながら不貞腐れた顔をした。
 いやここ狭いし。っていうか、さっき自分から近寄るのを嫌がった癖になんだその顔は……。
「あ、純也!お前、良いところにっ」
 裕介のロッカー前に辿り着くと、通路の方から純也に誰かが声を掛けた。
「あ、相模だ。どうしたの」
 相模と呼ばれたその男は純也と裕介よりも背が高く、髪色も赤茶で金縁の細い眼鏡を掛けた同じサークル仲間だった。軽く手を振りながら二人に近寄り、純也の肩を抱く。すると、直ぐそばにいた裕介にやっと気がついて怪訝そうな顔をした。
「なんだ、裕介もいたのか」
「どうも」
 むすっとした顔を向け、軽く会釈をする。裕介はこの先輩が苦手だった。
「なんだよその顔。そんなんじゃ彼女出来ねぇぞ、もっと爽やかにニッコリしとけって」
「余計なお世話っスね」
「お前本当に可愛くねぇなぁ」
「あはは。で、どうしたの?」
 どうせまた、純さんを合コンに誘いに来たんだろ。良いからさっさとその手を離せ。
 自分の肌がくっついただけで直ぐ離れた事を思い出し、苛立ちが増す。この男は許されて、何故自分は駄目なのだと。
「さっきの授業でゼミ同期半数いてさ。都合つくやつで同期飲みしようってなったから、お前もって思って」
 相模は純也ににこりと笑って、行くだろ?と続けた。そのさも当然だろうという言い方が引っかかり、裕介は眉をピクリと動かす。
「ううん。今日はパス」
「えー。それ、『今日も』じゃん。もしかしてまた裕介か?」
「だったら何んスか」
 相模は裕介に鋭い目を向けた。たぶん、以前も裕介との先約を優先して断られたからだろう。別に独り占めしている訳じゃないし、タイミングが悪かっただけだと裕介はその目を睨み返す。
「いや、俺明日までのレポートも終えてないから。次また誘ってよ」
 純也の一言が睨み合いの間に入ると、相模はため息を漏らしながら首を縦に振る。
「はいはい。分かったよ」
 口ではそう言いながらもあまり納得はしていない感じがまた裕介を苛立たせる。純也の肩に回していた相模の腕が、一瞬だけぎゅっと力を込めたのを見逃さなかった。
「んじゃ次、絶対な」
「うん。またね」
「裕介は今度俺とサシ飲みね」
「それ、断っても良いやつですか」
「本っ当に、清々しい程可愛くないね君は」
 相模は裕介の返事を待たずに、純也だけに微笑んでロッカールームから出て行った。
「相模、なんでここに俺がいるの分かったんだろ」
 そんなの俺の台詞だと思ったが、裕介は溜息だけ漏らしてパソコンを入れ込んだロッカーを強めに閉めた。



 結局、何事も無かったかの様に買い物を済ませていつもの様に純也のアパートへとやってきた。裕介の気にしていない素振りに安心して、スーパーでは軽くハミングしていたし、精肉コーナーでは何食わぬ顔で近づいてきた。だからこそ余計に何を以ってあの態度なのか全く分からないまま、モヤモヤを抱いた状態で裕介は玄関で靴を脱いだ。
「ひぇー、あっつい」
 玄関のドアを開けた時からもわっとした熱気が身体中にまとわりつく。そんなのはこの時期当たり前な事なのだが、純也はそれを早々に無くそうと、テレビの前に置かれたローテーブルから冷房のリモコンを乱暴に取ると、躊躇なく電源を押した。
「待ってて、直ぐに涼しくなるから」
 裕介は黙って頷くと、スーパーで買い込んだ食材を冷蔵庫に仕舞い込んだ。もう何度も足を運んだ勝って知ったる他人の部屋である。本当は先輩の部屋という事を意識して、一言断りを入れるべきだとは頭の隅で思ってはいるものの、それ以上の関係になりたいという気持ちの方が勝ってしまい、身体が勝手に動いていた。
「効く前にシャワー浴びてきて良いよ。俺、夕飯の支度するし」
 自分の荷物を置くと、純也は冷蔵庫に物を仕舞う裕介に声をかける。手に取ったのはシンクの横に伏せていたザルだった。
「家主が先にどうぞ」
「いやそこはお客の裕くんが入るべきでしょ」
 米を二合分米櫃から取出してザルへ移すと、蛇口を捻って米を研ぎ始める。
「なら、一緒でも良いっスけど」
 冷蔵庫に最後の物を入れ込み、扉を閉めると同時に裕介が言った。すると、純也の手から持っていたザルがシンクに落ち、ボトンと音を響かせる。
「あはは、なに言ってんの。わ、笑わせないでよ……ザル、落としたじゃん」
「純さん照れてます?」
「は、何言って……男同士だもん、別に変じゃないし照れてない、けどっ。ほ、ほら、うちのシャワー室狭いし!」
 電気をまだつけていない暗い台所でも、純也の顔が赤くなっているのが分かるのに、本人は首を思いっきり横に振った。
「耳、赤いっスよ」
「それはっ……今日、暑いからっ」
「ふぅん」
 裕介が純也に詰め寄ると、同じ分純也は後退る。その行動がまたも裕介を苛立たせ、小さな舌打ちを生んだ。
「それ……なんなんですか」
「……え?」
 何のことだと、不思議そうな顔を向けられ裕介の頭に熱が昇る。冷たい風が腕を掠めたが、今の裕介の熱はそんな物では収まりそうにない。
「ついこの間まで、うざったいぐらいに引っ付いて来たと思えば……俺、アンタの暖房器具かなんかっスか。冬は人恋寂しくて、夏になると暑苦しくて鬱陶しいなら、俺じゃなくても良いでしょ。さっきみたいに、相模さんだって別に」
 あーあーあー。
 勢いよく漏れた言葉は止まらずにそのまま吐き出された。言い切ってからかっこ悪くて、恥ずかしくて仕方ない気持ちがどっと押し寄せる。相模に軽く抱かれた肩が憎くてたまらなくて、嫌な言葉が喉の奥から無理矢理にも出ようとする。
「触られたくないならそう言ってください」
 どうせ、俺の気持ちなんて知らないでしょうに。
 思わずそんな毒の様なセリフが出かけたが、こんなしょうもない事を言った上に、勢いで言えるような軽い気持ちではない。裕介はぐっと堪えて今にも飛び出しそうな言葉を飲み込んだ。
「そう、じゃない。そうじゃなくて、俺……裕くんが嫌な顔したらって」
 たどたどしく言い返す純也の声は出しっぱなしの水道の音にどんどん吸収されていく。
「嫌って?嫌がるならもっと早く態度に出しますけど」
 また、つい嫌な強い言い方で返してしまった。水道の音によって掻き消されてくれと願うが、そうはならず、純也が眉をハの字に寄せる。その悔しそうな、悲しそうなその目がさっき放った言葉を小さな後悔に変えた。
「ち、違くて!俺、汗凄いから……匂いとか気になってただけで……。涼しいところなら、汗乾いてたし、気にしないでくっついちゃったけど……」
 もごもごとはっきりとしない言い方で純也が答えた。スーパーの精肉コーナーやロッカールームでの行動はそういうことだと合点がいく。
 だとしても相模に肩を抱かれっ放しは違うだろ。
「別に。汗とか気にしませんよ、俺」
「だから、俺が気にするって話で!気に障ったならごめん……。たしかに、さっき廊下で嫌なの態度とったと思う……」
 しゅん、と首を垂れる。きっと裕介の言いたい事はあまり伝わっていない。しかし、こうなるともう裕介には何も言えなかった。
「ったく……」
 裕介は大きな溜息を吐き、流しっぱなしの蛇口を止めた。
「純さん」
「……何?」
 裕介は今度はゆっくり近付いて、自分より少し身長の高い純也の顔を覗き込んだ。自分のせいで裕介が怒ってしまったと、反省をしているのは分かるが裕介曰く、もうそこがどうこうではない。
「あの。俺がアンタの汗とか気にしないの、なんでか分かります?」
「……え?」
 謝って欲しいはもう通り越している裕介は、何も分かっていないまま自分をキョトンと見つめる純也に眉を寄せた。
「裕く……ひぁっ!」
 不思議そうな顔をした純也に痺れを切らした裕介は、噛み付く様に純也の首筋に唇を付けた。
「んぁっ、な……なに、急にっ……ふぁっ」
 引き剥がそうにも、熱の籠った舌が首筋を這って力が抜けてしまう。ジュッ、と音を立てて這わせた唇をゆっくり離すと、顔を真っ赤に染め、涙を浮かべて困惑した表情が裕介を見上げていた。
「裕く……なんで……」
「俺、夏こそくっついて欲しかったんスけど。冬ばっかり俺のとこ来るし……。何が言いたいか分かりますよね?」
 強い眼光にじっと見つめられ、ゾクゾクっと純也の身体に熱が走った。
「でも……冬、こたつで隣りはもう座るなって」
「当たり前。俺がどんだけ我慢してたか……。アンタ、どんだけ鈍感なんスか」
 はぁ、と今日何度目かの大きな溜息を吐くと、裕介は軽く純也の片頬をつねった。
「い、いひゃいよぉ」
「罰ですよ……ったく」
 暗くて分かりづらいが、裕介の耳も赤くなっていた。

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