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1、帰郷
しおりを挟む『見つけた』
児童養護施設から学校に向かう途中、そんな声が聞こえた途端に僕は意識を失った。
ーーーーーーーー
んっ、ここは?
目を開けると見覚えのない、でもどこか懐かしい雰囲気の部屋だった。
「ここ、どこ?」
あれ、声が何か高くなってる!
しかもよく見ると手も小さくなってるし!どういう事?!
ーコンコンー
「お目覚めでしょうか。入っても宜しいですか?」
「ど、どうじょ」
呂律も回らない!どうして?!
「失礼します。」
「あのぉ、ここはどこなんでしゅか?」
「こちらはアルディール辺境伯様の屋敷の一室でございます。お名前をお伺いしても宜しいですか?」
「”るか”でしゅ。僕はどうしてここにいるんでしゅか?」
「それはですね、ルカ様がこの屋敷の前に倒れていらっしゃったからでございます。何故倒れていたか覚えていらっしゃいますか?」
えっーと、学校に行こうと思って歩いてたら…
「あっ!きゅーにみちゅけたって言われて、きじゅいたらこの部屋で寝てたんでしゅ。」
「そうでしたか。では何故でしょうかね…」
「つかにゅことを聞きましゅが、僕は何しゃいくらいに見えしゅか?」
「三歳位でしょうか。っ!ルカ様の御髪が!」
ん?髪の毛?っ!!
いつもと同じ黒髪だったのにみるみるうちに銀髪に変わっていった。
「ふぇっ!どぉして!?」
「その色は…!御当主様にお知らせしてまいりますっ!」
ーバタバタバター
ーバタバタバター
ードンッー
「ルーカス!」
?
「誰でしゅか?僕はルカでしゅよ?」
「っ!覚えていないか…、ここにいたのは産まれてすぐだけだったからな…。君の父親のデューク・アルディールだ。」
えっ!父親?
「僕に親はいましぇん。赤ちゃんのときにしゅてられていたそうでしゅ。」
「それは違う!この屋敷で産まれてすぐに誘拐されてしまったんだ!誘拐した者はすぐに捕らえたがルーカスは見つからなかった…」
そんな…
「犯人のスキルは異世界送還だった。手を尽くしたが異世界にはどうやっても行けなかった…。この三年間ルーカスのことを忘れたことは無かった!君の髪の毛の色、それはアルディール家の者に現れる髪色なんだ。それに、三日月型の痣に心当たりはないか?それも我が家の象徴だ」
確かに僕には二の腕に三日月型の痣がある。昔からあるみたいだ。長袖を着ているし、初めて会ったこの人達が知ってる訳はないから…
「ほんとーに、おとぉしゃんでいいんでしゅか…?」
「あぁ。おいで」
「うわーん!おとぉしゃーんっ!」
求めてやまなかった親の温もり。
養護施設では先生はいたが、それはあくまで先生だ。親にはなれない。
抱きしめられると、何だかとても懐かしい気持ちになった。
ーグスッー
「さぁ、他の家族の所にも行こう。ルーカスにはお母さんもお姉さんもお兄さんもいるんだぞ。みんなお前のことを待ってたんだ。」
───────────────
どうだったでしょうか。不慣れですが、優しく見守っていて下さい。
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