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イグニスの槍はダンジョンに挑戦する

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 イグニスの槍のルキナ、ソラ、アパムは翌日、五十階のボス赤龍を目指してダンジョンに挑戦していた。

 昨日はギルドから泣いて宿に帰って、泣いた。

 一晩かけてソラとアパムが慰めてくれたし、機嫌も良くなってきた。

 まずはリハビリも兼ねてクエストに三人で挑戦することになった。

 機嫌が戻った私は泣き止み二人に命令する。

 「三人で実績を出せば、また冒険者の応募も来るわよ。とりあえずA級難易度のクエストを受けるわよ。」

 ソラは不安からもう少し下のランクのクエストを受けようと止めたが、私は認めなかった。ソラは臆病なところがある。私がしっかりとイグニスの槍を引っ張らないと。

 「ふん、本当にソラは心配性ね。私が魔法でドカンとやってやるわよ。絶対にカインに負けないわ。」



 翌朝、ルキナたちはギルドでA級クエストを探していた。

 冒険者がこちらを見てコソコソ話をしている。

 昨日のことが話題になっているのだろう。

 ルキナはいらついたがこれ以上問題を起こして、理不尽に冒険者資格を剥奪など言われることは嫌だと思い我慢した。

 我慢しても、噂話は聞こえてくる。

 「カインさんはエンリルの弓矢と赤龍倒したらしいぜ。さすがはカインさんだな。オレたちも見習わないといけないな。」

 ルキナの苛つきは頂点に達する。

 「ソラ、アパムこのクエストにするわよ。」

 ルキナが掲示板の紙を取りメンバーに見せる。

 内容は「赤龍の逆鱗の収集」と書かれている。

 ソラはもっと低い階層にしましょう。って言ってたけど、私のプライドが許さないもの。カインにできて私にできないわけ無いでしょ。

 ルキナはソラの静止を振り切って、依頼書を手に取りミントのところに提出した。




 転移陣でワープして四十階から攻略を進める。

 前衛がアパムだけで心もとないが、傷だらけになりながら、何度も休憩を挟みながら四十九階の階段までたどり着いた。階段を上がれば赤龍との戦いだ。

 「ソラ、アパム回復終わった。さっさと行くわよ。」

 早くクリアしてカインをギャフンと言わせてやるわ。

 ソラが慌てて止める。

 「まっ待ってください。魔力回復ポーション買うお金もなかったので、まだ魔力は回復していません。ルキナさん焦る気持ちはわかりますが、慎重に行きましょうよ。」

 実際のところ階段前に到着してから数分しか経っていないが、ルキナには一時間以上休んでいるように感じていた。

 「ソラ何言ってんのよ。今まではこれくらいの時間で準備整えてたでしょ。アパムもいつまで座り込んでるのよ。だらしない。」

 「アア、すまない。」

 アパムが座り込み肩で息をしている。

 アパムが疲れているのも当然だった。前衛はアパム一人で何度も魔獣と激突して後衛を助けるために身を削っているのだ。しかし、頭に血が上っているルキナには到底理解できない。

 ほんとにイラつくわね。アパムとソラも新しくメンバーが入ったらクビにしたいわ。私の足を引っ張っているだけじゃない。

 リーダーだからメンバーを引っ張らないと。

 アメとムチだ。ここはアメをあげよう。

 「わかったわよ。どうせ私が悪いんでしょ。後数分だけ待つわ。」

 と言いルキナがドカッと床に座り込む。


 パーティ内では皆、話をしない。カインがいた頃は皆、ボス戦前でテンションが上って、疲れるくらいに盛り上がっていたのだが。

 パーティの雰囲気は最悪だった。



 数分たち、ルキナが偉そうに命令する。

 「ほら行くわよ。作戦はアパムが前衛で、私が後衛から水魔法で攻撃するわ。ソラはアパムの回復して頂戴。戦闘中は私の指示に従いなさいよ。」

 「待って下さい。そんなの作戦じゃないですよ。以前赤龍を攻略した時にカインさんが立てた作戦使いましょうよ。」

 またカイン。カイン。カイン。

 うるさいっ。

 「ソラ、愛しのカインはもういないのよ。それに今のイグニスの槍のリーダーは私よ。」

 ソラとアパムは言い返してこないが、顔を見合わせている。
 
 本当にイライラする。

 賢い私に服従してればいいのよ。

 「異論はないみたいね。ほら行くわよっ。」



 扉を勢いよく開ける。

 ソラが先制攻撃できないから静かにと言うが関係ない。

 赤龍ごとき私の魔法で倒してやるわ。

 赤龍に目をやると、もう目を覚ましている。

 「アパム。戦士らしく前衛を頼むわよ。」

 アパムが赤龍に駆け出すが、疲れているからかいつもより移動速度が遅い。

 赤龍が全面にブレスを吐く。

 アパムは防ぎきれず、ルキナとソラに火があたる。

 「熱い! 痛いわね。アパムちゃんと守りなさい。ソラはわたしを回復! 」

 赤龍は攻撃力が高いこともあるが一番の恐ろしさは何といっても凶暴性だ。冒険者が攻撃しても、ひるまずに攻撃を繰り出してくる。前衛が一人だと攻撃にまで手が回らない。

 アパムは防戦一方で、盾で守ることしかできない。

 「アパム。攻撃しなさいよっ! 魔法詠唱もできないわ。」

 本当にアパムはどんくさい。

 命令通り攻撃したアパムだが、スキをつかれ赤龍の尻尾が当たる。

 アパムが後ろに吹っ飛ぶ。

 アパムが床に叩きつけられて、起き上がらない。

 「あんた。なに攻撃当たってるのよ。もう! ソラ、回復しに行って! 」

 叫ぶがソラは動かない。

 「無理ですよ。私に赤龍の攻撃が当たったら一発で死にます。ルキナさん魔法撃って! そのスキに助けます。」

 偉そうに意見してくるソラにムカつくが今は赤龍に集中しよう。

 状況的にピンチだ。

 「わかったわよ。」

 ルキナが水属性の中級魔法『スプラッシュ』を発動する。

 ソラが走り、アパムに回復魔法を施す。

 赤龍はスプラッシュが当たりノックバックしているが、まだまだ体力はありそうだ。

 「ソラ引きなさい! アパムは前衛で踏ん張りなさい! 」

 ソラとアパムがコソコソ何か話している。

 私の言う事を聞けば勝てるのに。

 戦闘中になにしてるのよ。

 ルキナはイライラするのを抑えて詠唱を始める。

 その時、ソラとアパムがこっちに向かって走り出した。

 「何勝手に退いているのよ! 攻撃がこっちに来たら魔法を撃てないじゃないっ! 」

 アパムが目の前に来る。

 ルキナはアパムに思いっきり首の後ろを殴られた。
 
 ルキナは意識を失った。




 ルキナが気がつくとアパムにおんぶされている。首が痛い。

 「首が痛いわね…はっ。赤龍は? 赤龍はどこよ! 」

 ルキナが叫ぶ。

 「落ち着いてください。ルキナさん。今撤退しています。今の私たちでへやっぱり赤龍は無理です。」

 どうやら赤龍から撤退したみたいだ。

 「勝手に撤退してんじゃないわよソラ! アパム降ろしなさい。」

 アパムがルキナを降ろす。

 「どういうことよ、ソラ。説明しなさい。リーダーに逆らうなら、ここであなたに罰を与えるわ。」

 ルキナはソラを睨み詰め寄る。

 ソラは怒った顔をしている。

 パチンと言う音が響き、徐々に頬がじんじんする。ビンタされたのか。

 「なっなにすんのよ。私に逆らう気なの。」

 「もういい加減に現実見て下さいよルキナさん。私はルキナさんのことが好きですが、今のルキナさんのことは嫌いです。」

 ソラが泣きだしたのを見てルキナは言葉を失った。

 私がイグニスの槍のリーダーなのに。なんで怒られなきゃいけないの。

 「アア。ソラの言うとおりだ。このままではオレたちはランクが落ちるばかりだ。冷静になろう。」

 あのハイしか言わないアパムにまで言われるなんて。

 頭にまた血が上る。

 「私が悪いの? おかしいじゃない。なにがいけないのよ。」

 キュッと唇をかみしめる。
 
 「ルキナさんだけが悪いとは言っていません。私も悪いんです。ルキナさんを止められなかった。いや、その前にカインさんもルークさんも止められなかった責任があります。」

 ソラが強い決心をした目で見つめる。

 なによ。回復しかできないソラのくせに。

 「今日のところは撤退しましょう。勇者の取り消しとS級ランクから落とされたことも帝国議会に報告しましょう。ルークさんの件もありますし、もしかすると事情を酌んでくれるかもしれません。」

 たしかに。言われたからはいそうですか。と従うのは私らしくない。

 なんで今まで帝国議会に直談判することを思いつかなかったのだろう。

 「わかったわよ。今日はソラに免じて撤退するわ。明日にでも帝国議会に行きましょう。どうしても納得できないもの。」

 勇者に戻れる可能性があると思うと元気が出てきた。

 今日はお風呂に入ってゆっくりしよう。明日から勇者に戻れるんだ。

 こうして三人はダンジョンから撤退した。
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