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決着~さらば友よ~
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ルークの斬撃は重い…確かに重いが…受けきれないわけではないっ!
斬撃をルークが続ける。
カインはなんなく剣で弾く。
例え魔法でバフをかけられなくても…やれるっ。
今度はこっちの番だっ。
カインのカウンターがルークの鎧に傷をつける。
「どうした。ルークこんなもんか。」
「うるせえ。ざこカインがっ。これでやってやるぜっ! 」
ルークがカインから距離を取り、今までで一番の早さで駆け出す。
「くらえぇぇぇカインっ! 」
ルークの代名詞<連続突き>が繰り出される。
さすがに剣で受け切るのは無理だが…赤龍の盾なら別だっ。
剣と盾がぶつかる金属音が響き渡るっ。
今までの盾だったら絶対に壊されていた。ノーマさんが作ってくれた赤龍の盾に感謝だ。
スキルは万能ではない。出すことに時間がかかること。そして…終わった後の隙だっ!
カインの渾身のカウンターがルークの左腕に当たる。
もっていくことはできなかったが、腕から血が流れている。
これで左腕はもう使えないだろう。
「ルークもう終わりだ。大人しく投降しろっ。」
◇
金属同士のぶつかる音が聞こえて、十六夜は目を覚ました。
ニコラに刺された背中が痛い。血は止まっているがまだ痺れている。
手だけはどうにか動かせそうだ。
小刀で縄を切ろうとするが見当たらない。どうやら取り上げられたのか。
視線を上げるとカインがルークと対峙している。
ルークを追い詰めているみたいだ。
「くそがあああああ」
ルークが怒り狂い雄叫びを上げる。
「こうなりゃ。手段は選ばねぇ」
ルークが十六夜やミナトたちに向けて腰から取り出した魔法具を発動させた。
電撃の矢が十六夜に駆ける。
(ダメッ。これは避けられない。)
十六夜は目をつぶった。
―――
(これは間に合わない。だが体ごと飛び込めば、助けられるっ!)
カインが十六夜たちをかばうために体を投げ出す。
電撃がカインの背中にあたる。
カインはよろめき床に倒れこむ。
「カインッッ! 」十六夜の悲鳴が聞こえる気がするが…意識が遠のき体は動かなくなった。
◇
ルークが大声で笑いながらカインに近づく。
「バカなやつだぜっ。カインはお人好しだからなっ想像通りだっ。」
カインはルークの頭を蹴る。
「あんた、辞めなさいよ。この卑怯者っ。」
十六夜が叫ぶ。
ルークはうつ伏せのカインを蹴り仰向けにして、笛を取った。
「これで俺の勝ちだカイン。ニコラがギルドに駆け込んだとしても、どんなに急いでもここに来るのに往復一時間以上はかかる。いやもっとだな。オレは30分あればダンジョンを脱出できるっ。従属の首輪を2人につけて連れて行くかっ。」
勝ちを確信したルークは高らかに笑った。
ルークが十六夜やエンリルの弓矢メンバーの前に移動する。
エンリルの弓矢のメンバーはまだ意識がない。
手には従属の首輪を2個持っている。現在帝国では従属の首輪は販売が禁止されている。奴隷制度撤廃に伴い厳しい処罰の対象になっていた。
「さて、十六夜って言ったか。オレがニコラを逃した理由がわかるか。」
十六夜はは分からなかった。
仮にニコラがギルドまで駆け込んでくれて助けを呼んだとしても、ルークが逃げるほうだ先だろう。
「分からねえか。オレがニコラを逃した理由が。アイツは間違いなくギルドに駆け込む。オレが十六夜とカインを殺すと分かってるからな。自分は悪くないとアピールするために間違いなくメンゼフを呼んでくるだろう。」
ルークが笑いながら続ける。
「そうしたら、メンゼフは53階に向かってくるよな。」
たしかにそうだ。53階に今いるのだから。
「だから、十六夜、お前に従属の首輪をつけてやるよっ。それでお前に命じてやるんだ。残りの2人を殺せってな。そして、55階以上まで一人で上がって笛を吹けとな。そこから先は魔物にでも喰われてくれっ。」
なんて卑劣な考えをする男なのだ。私にエンリルのメンバーを殺させて55階で笛を鳴らさせる。そうしたら、メンゼフは55階に直行するということか。
その間に、ルークは追手を隠れてやり過ごしてダンジョンを抜け出す気だ。
「もう一つの首輪はオレ好みのミナトに付ける。こいつはオレの奴隷にして連れて行くからなっ。」
ルークは高らかと笑いながら、十六夜の首を抑える。
十六夜は抵抗するが、力で抑え込まれる。
十六夜の首に首輪が着けられた。
◇
「カイン起きて。」
オレは優しい女性の声で意識を取り戻す。
ここはっ…赤龍のときにも来た場所だ。
カインはうつ伏せた体勢から顔を上げる。
目の前にはイフリートのイブとウンディーネが立っている。
「カイン、あなたはまだ気が付いていないわ。」
「オレは何を気がついていないんだっ。」
自分も無力さが悔しくて悔しくて、床を思いっきり叩く。
「バカね、カイン。欲しければ求めればいいのよっ。私たちは魔宝具如きに負けないわよ。精霊を舐めるなっ。」
イブが怒っている。
たしかに、ルークは魔法具で雷魔法を使っていた。
オレは…アイツを倒すっ。
頼むっ。イブそして、ウンディーネさん力を貸してくれっ。
「ええもちろんですわっ。今度はゆっくりお話しましょう。わたしは南の……」
最後の方は聞き取れなかったが。今はルークを倒すために戻ろう。
◇
カインは意識は戻ったが体は動かない。
頼むイブ! 力を貸してくれっ!
指輪が光りだす。
体中にエネルギーが満ち溢れる。
これならっ。ルークをやれるっ!
カインは起き上がり、イブっルークに攻撃だと命じた。
指輪から『火の矢』が駆ける。
ルークは盾でなんとか弾いた。
「チッ復活しやがったか。良いのかカイン。それ以上攻撃したら十六夜にこいつらを殺させる。」
「ふっ、なあルーク…お前はオレのことがずっと怖かったんだろ。今もそうだ。卑怯なことしないとオレには勝てないって本当は分かってるんだろ。」
カインがルークを煽った。今はルークを人質から引き離さないと。
「計画変更だっ。お前はオレが殺す。」
ルークが走り出し、カインに斬りかかる。
ルークの斬撃を交わし、一撃でルークの盾を弾く。
不思議な感覚だ。体中が力であふれている。
ルーク悪いがオレの勝ちだっ!
二撃目でルークの胸を斬る。
手応えありだっ。
ルークの胸から血が流れる。
「くそっ、ザコカインのくせに。」
ルークが胸を手で抑えながら膝をつく。
「本当に終わりだ。ルーク。」
「おい十六夜、そいつらを殺せっ。そして加勢しろっ。」
従属の首輪で操作されている十六夜は、自分の意に反し、先程ルークから受け取った短剣を掴む。
「いやっ。やめて。体が勝手に。」
「わりいな。カイン。お前だけ幸せにさせてたまるかよっ! 」
ルークがカインの脚を掴み、助けに行く邪魔をする。
なんとか止めようとするが、十六夜の振り下ろす手は止まらない。
十六夜はこれから起こる悲惨な未来から目を背けようとして目をつぶった。
―――刹那。
「おいおい、オレの大事なギルドメンバーに、なに人殺しさせようとしてんだよっ。」
この声は…
「メンゼフさんっ! 」
カインが叫ぶ。
メンゼフとマンゼフが十六夜の短剣を弾き、拘束していた。
危なかった。ギリギリ間に合った。
「チッなんでだよ。なんでお前たちがここに居るんだよっ。」
ルークが叫ぶ。
「おうルークか。おまえが犯人だったとはな。たしかにニコラは助けてと言ってきたぜ。ただ場所はギルドじゃねえ。52階でだがっ。」
ルークは理解ができない。ニコラが裏切ったのか…でもここに到着するのが早すぎる…
「おまえには何が起こったか理解できないかっ。これも全部カインの策略だっ。」
カインはギルドを出る前にメンゼフにあるお願いしていたのだ。まだ試作段階で実際にうまくいくかはわからなかったが、小型の持ち運びできる<助け手>を使いたいと。急いでメンゼフは工場に取りに行った。
小型機を持ったメンゼフはマンゼフと共に俺をちょうど10分遅れでダンジョン進行を進めたていた。
そして、カインは10分ごとに助け手を鳴らしていた。
普段は笛が鳴れば緊急事態が起こったと判断して助けに行くルールだが、あえてルールを逆にしたのだ。
笛を定期的に吹かなくなったら戦闘突入したというサイン。二度連続で吹いたらダンジョンの入り口の封鎖という風にいくつかサインを決めていた。
ルークと戦闘開始して10分が過ぎ52階からメンゼフとマンゼフ、そして報告にきたニコラを縄で縛り、53階の広場まで来たということだ。
「オレたちの勝ちだっルーク」
カインはルークに高らかと宣言した。
ルークが恨めしそうな目でカインを見上げる。
カインやギルドを完全に欺けたと思った。それを確信にしたのは笛を奪った事だった。ルークはカインから奪った笛を叩きつけた。
「うおおおお。うるせえうるせえ。殺してやる。カインおまえだけでも道連れだっ。」
ルークは立ち上がり、最後の力を振り絞り剣を振る。
カインは残念な気持ちになった。なぜこんなにもルークは変わってしまったのか。イグニスの槍で共に2年間切磋琢磨してきた。本当はこんなやつじゃなかったんだけどな。でもルークは罪を償うべきだっ!あの時、追放された時しっかりと話していればよかったのか。でももう遅い…。
「ルークわるいがおまえとはここでお別れだ。これはパーティ…いやギルド全員の総意なんだよ。」
カインの一閃
ルークの右腕が宙を舞った。
ルークの悲鳴が聞こえる。
「オレの腕が…オレの腕が…」
「カインそこまでだっ。こいつには生きて罪を償わせる。余罪もたくさんある。帝都議会のおえらいさんもカンカンだぜ。帝都の牢屋で一生過ごすことになるかもな。カインがルークを殺る必要なんてねえよ。」
メンゼフさんがルークを縄で捕縛する。
やっと終わった。よかった。無事にルークを倒せた。
ホッと一息つく。
カインは疲労と安心感からか、その場で倒れ込んだ。
◇
カインは目を覚ます。
見渡すと皆、マンゼフさんの回復で良くなったみたいだ。意識を取り戻している。
本当によかった。
ルークとニコラは縄に縛られ、帝国騎士に引き渡されているところだった。帝国騎士が10人がかりで輸送するなんて…帝国議会も勇者ルークの反逆を重要事件と判断したのだろう。
目覚めたカインに気がついたルークが話しかける。
「おいっ。カインおまえオレに勝ったと思うんじゃねえぞ。オレは牢屋を必ず出てやる。そうしたらお前の大事なギルドのやつ、全員襲ってやるよ。」
「まだ言ってるのか…やってみろよ。何度でもオレが倒すさっ。せいぜい牢屋でも頑張ってくれ。なっ。元勇者のルーク様」
てめえと言いルークが残った左手でカインを殴ろうとするが、騎士に引っ張られていった。
散々な目にあったんだ。
これくらいは言ってもバチは当たらないだろう。
ルークは中指をカインに向けて立てていたが、騎士に殴られ大人しく連れて行かれた。
連れて行かれるニコラと目が合う。口がごめんなさい。と動いている気がした。
やっと終わった。
ホッとしたカインは後ろにふり返る。誰かに抱きつかれて倒れ込んだ。
どうやら抱きついたのはエンリルの弓矢の3人みたいだ。
この子たちにもルークの件で巻き込んでしまったな。
「おい、いちゃつくのは帰ってからにしろ。ほらっギルドに帰るぞ。」
マンゼフさんが笑顔でカインに手を差し伸べる。
ガッシリと手を掴み。起き上がる。そのままの勢いでメンゼフさんと熱い抱擁をかわす。
「よくやったぞ! カイン。」
オレは居場所である冒険者ギルドを守れたんだ。
さあ我らのギルドに帰ろう!
斬撃をルークが続ける。
カインはなんなく剣で弾く。
例え魔法でバフをかけられなくても…やれるっ。
今度はこっちの番だっ。
カインのカウンターがルークの鎧に傷をつける。
「どうした。ルークこんなもんか。」
「うるせえ。ざこカインがっ。これでやってやるぜっ! 」
ルークがカインから距離を取り、今までで一番の早さで駆け出す。
「くらえぇぇぇカインっ! 」
ルークの代名詞<連続突き>が繰り出される。
さすがに剣で受け切るのは無理だが…赤龍の盾なら別だっ。
剣と盾がぶつかる金属音が響き渡るっ。
今までの盾だったら絶対に壊されていた。ノーマさんが作ってくれた赤龍の盾に感謝だ。
スキルは万能ではない。出すことに時間がかかること。そして…終わった後の隙だっ!
カインの渾身のカウンターがルークの左腕に当たる。
もっていくことはできなかったが、腕から血が流れている。
これで左腕はもう使えないだろう。
「ルークもう終わりだ。大人しく投降しろっ。」
◇
金属同士のぶつかる音が聞こえて、十六夜は目を覚ました。
ニコラに刺された背中が痛い。血は止まっているがまだ痺れている。
手だけはどうにか動かせそうだ。
小刀で縄を切ろうとするが見当たらない。どうやら取り上げられたのか。
視線を上げるとカインがルークと対峙している。
ルークを追い詰めているみたいだ。
「くそがあああああ」
ルークが怒り狂い雄叫びを上げる。
「こうなりゃ。手段は選ばねぇ」
ルークが十六夜やミナトたちに向けて腰から取り出した魔法具を発動させた。
電撃の矢が十六夜に駆ける。
(ダメッ。これは避けられない。)
十六夜は目をつぶった。
―――
(これは間に合わない。だが体ごと飛び込めば、助けられるっ!)
カインが十六夜たちをかばうために体を投げ出す。
電撃がカインの背中にあたる。
カインはよろめき床に倒れこむ。
「カインッッ! 」十六夜の悲鳴が聞こえる気がするが…意識が遠のき体は動かなくなった。
◇
ルークが大声で笑いながらカインに近づく。
「バカなやつだぜっ。カインはお人好しだからなっ想像通りだっ。」
カインはルークの頭を蹴る。
「あんた、辞めなさいよ。この卑怯者っ。」
十六夜が叫ぶ。
ルークはうつ伏せのカインを蹴り仰向けにして、笛を取った。
「これで俺の勝ちだカイン。ニコラがギルドに駆け込んだとしても、どんなに急いでもここに来るのに往復一時間以上はかかる。いやもっとだな。オレは30分あればダンジョンを脱出できるっ。従属の首輪を2人につけて連れて行くかっ。」
勝ちを確信したルークは高らかに笑った。
ルークが十六夜やエンリルの弓矢メンバーの前に移動する。
エンリルの弓矢のメンバーはまだ意識がない。
手には従属の首輪を2個持っている。現在帝国では従属の首輪は販売が禁止されている。奴隷制度撤廃に伴い厳しい処罰の対象になっていた。
「さて、十六夜って言ったか。オレがニコラを逃した理由がわかるか。」
十六夜はは分からなかった。
仮にニコラがギルドまで駆け込んでくれて助けを呼んだとしても、ルークが逃げるほうだ先だろう。
「分からねえか。オレがニコラを逃した理由が。アイツは間違いなくギルドに駆け込む。オレが十六夜とカインを殺すと分かってるからな。自分は悪くないとアピールするために間違いなくメンゼフを呼んでくるだろう。」
ルークが笑いながら続ける。
「そうしたら、メンゼフは53階に向かってくるよな。」
たしかにそうだ。53階に今いるのだから。
「だから、十六夜、お前に従属の首輪をつけてやるよっ。それでお前に命じてやるんだ。残りの2人を殺せってな。そして、55階以上まで一人で上がって笛を吹けとな。そこから先は魔物にでも喰われてくれっ。」
なんて卑劣な考えをする男なのだ。私にエンリルのメンバーを殺させて55階で笛を鳴らさせる。そうしたら、メンゼフは55階に直行するということか。
その間に、ルークは追手を隠れてやり過ごしてダンジョンを抜け出す気だ。
「もう一つの首輪はオレ好みのミナトに付ける。こいつはオレの奴隷にして連れて行くからなっ。」
ルークは高らかと笑いながら、十六夜の首を抑える。
十六夜は抵抗するが、力で抑え込まれる。
十六夜の首に首輪が着けられた。
◇
「カイン起きて。」
オレは優しい女性の声で意識を取り戻す。
ここはっ…赤龍のときにも来た場所だ。
カインはうつ伏せた体勢から顔を上げる。
目の前にはイフリートのイブとウンディーネが立っている。
「カイン、あなたはまだ気が付いていないわ。」
「オレは何を気がついていないんだっ。」
自分も無力さが悔しくて悔しくて、床を思いっきり叩く。
「バカね、カイン。欲しければ求めればいいのよっ。私たちは魔宝具如きに負けないわよ。精霊を舐めるなっ。」
イブが怒っている。
たしかに、ルークは魔法具で雷魔法を使っていた。
オレは…アイツを倒すっ。
頼むっ。イブそして、ウンディーネさん力を貸してくれっ。
「ええもちろんですわっ。今度はゆっくりお話しましょう。わたしは南の……」
最後の方は聞き取れなかったが。今はルークを倒すために戻ろう。
◇
カインは意識は戻ったが体は動かない。
頼むイブ! 力を貸してくれっ!
指輪が光りだす。
体中にエネルギーが満ち溢れる。
これならっ。ルークをやれるっ!
カインは起き上がり、イブっルークに攻撃だと命じた。
指輪から『火の矢』が駆ける。
ルークは盾でなんとか弾いた。
「チッ復活しやがったか。良いのかカイン。それ以上攻撃したら十六夜にこいつらを殺させる。」
「ふっ、なあルーク…お前はオレのことがずっと怖かったんだろ。今もそうだ。卑怯なことしないとオレには勝てないって本当は分かってるんだろ。」
カインがルークを煽った。今はルークを人質から引き離さないと。
「計画変更だっ。お前はオレが殺す。」
ルークが走り出し、カインに斬りかかる。
ルークの斬撃を交わし、一撃でルークの盾を弾く。
不思議な感覚だ。体中が力であふれている。
ルーク悪いがオレの勝ちだっ!
二撃目でルークの胸を斬る。
手応えありだっ。
ルークの胸から血が流れる。
「くそっ、ザコカインのくせに。」
ルークが胸を手で抑えながら膝をつく。
「本当に終わりだ。ルーク。」
「おい十六夜、そいつらを殺せっ。そして加勢しろっ。」
従属の首輪で操作されている十六夜は、自分の意に反し、先程ルークから受け取った短剣を掴む。
「いやっ。やめて。体が勝手に。」
「わりいな。カイン。お前だけ幸せにさせてたまるかよっ! 」
ルークがカインの脚を掴み、助けに行く邪魔をする。
なんとか止めようとするが、十六夜の振り下ろす手は止まらない。
十六夜はこれから起こる悲惨な未来から目を背けようとして目をつぶった。
―――刹那。
「おいおい、オレの大事なギルドメンバーに、なに人殺しさせようとしてんだよっ。」
この声は…
「メンゼフさんっ! 」
カインが叫ぶ。
メンゼフとマンゼフが十六夜の短剣を弾き、拘束していた。
危なかった。ギリギリ間に合った。
「チッなんでだよ。なんでお前たちがここに居るんだよっ。」
ルークが叫ぶ。
「おうルークか。おまえが犯人だったとはな。たしかにニコラは助けてと言ってきたぜ。ただ場所はギルドじゃねえ。52階でだがっ。」
ルークは理解ができない。ニコラが裏切ったのか…でもここに到着するのが早すぎる…
「おまえには何が起こったか理解できないかっ。これも全部カインの策略だっ。」
カインはギルドを出る前にメンゼフにあるお願いしていたのだ。まだ試作段階で実際にうまくいくかはわからなかったが、小型の持ち運びできる<助け手>を使いたいと。急いでメンゼフは工場に取りに行った。
小型機を持ったメンゼフはマンゼフと共に俺をちょうど10分遅れでダンジョン進行を進めたていた。
そして、カインは10分ごとに助け手を鳴らしていた。
普段は笛が鳴れば緊急事態が起こったと判断して助けに行くルールだが、あえてルールを逆にしたのだ。
笛を定期的に吹かなくなったら戦闘突入したというサイン。二度連続で吹いたらダンジョンの入り口の封鎖という風にいくつかサインを決めていた。
ルークと戦闘開始して10分が過ぎ52階からメンゼフとマンゼフ、そして報告にきたニコラを縄で縛り、53階の広場まで来たということだ。
「オレたちの勝ちだっルーク」
カインはルークに高らかと宣言した。
ルークが恨めしそうな目でカインを見上げる。
カインやギルドを完全に欺けたと思った。それを確信にしたのは笛を奪った事だった。ルークはカインから奪った笛を叩きつけた。
「うおおおお。うるせえうるせえ。殺してやる。カインおまえだけでも道連れだっ。」
ルークは立ち上がり、最後の力を振り絞り剣を振る。
カインは残念な気持ちになった。なぜこんなにもルークは変わってしまったのか。イグニスの槍で共に2年間切磋琢磨してきた。本当はこんなやつじゃなかったんだけどな。でもルークは罪を償うべきだっ!あの時、追放された時しっかりと話していればよかったのか。でももう遅い…。
「ルークわるいがおまえとはここでお別れだ。これはパーティ…いやギルド全員の総意なんだよ。」
カインの一閃
ルークの右腕が宙を舞った。
ルークの悲鳴が聞こえる。
「オレの腕が…オレの腕が…」
「カインそこまでだっ。こいつには生きて罪を償わせる。余罪もたくさんある。帝都議会のおえらいさんもカンカンだぜ。帝都の牢屋で一生過ごすことになるかもな。カインがルークを殺る必要なんてねえよ。」
メンゼフさんがルークを縄で捕縛する。
やっと終わった。よかった。無事にルークを倒せた。
ホッと一息つく。
カインは疲労と安心感からか、その場で倒れ込んだ。
◇
カインは目を覚ます。
見渡すと皆、マンゼフさんの回復で良くなったみたいだ。意識を取り戻している。
本当によかった。
ルークとニコラは縄に縛られ、帝国騎士に引き渡されているところだった。帝国騎士が10人がかりで輸送するなんて…帝国議会も勇者ルークの反逆を重要事件と判断したのだろう。
目覚めたカインに気がついたルークが話しかける。
「おいっ。カインおまえオレに勝ったと思うんじゃねえぞ。オレは牢屋を必ず出てやる。そうしたらお前の大事なギルドのやつ、全員襲ってやるよ。」
「まだ言ってるのか…やってみろよ。何度でもオレが倒すさっ。せいぜい牢屋でも頑張ってくれ。なっ。元勇者のルーク様」
てめえと言いルークが残った左手でカインを殴ろうとするが、騎士に引っ張られていった。
散々な目にあったんだ。
これくらいは言ってもバチは当たらないだろう。
ルークは中指をカインに向けて立てていたが、騎士に殴られ大人しく連れて行かれた。
連れて行かれるニコラと目が合う。口がごめんなさい。と動いている気がした。
やっと終わった。
ホッとしたカインは後ろにふり返る。誰かに抱きつかれて倒れ込んだ。
どうやら抱きついたのはエンリルの弓矢の3人みたいだ。
この子たちにもルークの件で巻き込んでしまったな。
「おい、いちゃつくのは帰ってからにしろ。ほらっギルドに帰るぞ。」
マンゼフさんが笑顔でカインに手を差し伸べる。
ガッシリと手を掴み。起き上がる。そのままの勢いでメンゼフさんと熱い抱擁をかわす。
「よくやったぞ! カイン。」
オレは居場所である冒険者ギルドを守れたんだ。
さあ我らのギルドに帰ろう!
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我が家にはおまけがいる。それは俺の兄、しかし兄はすべてに置いて俺に勝っており、俺は凡人以下。兄を差し置いて俺が跡取りになったら俺は詰む。何とかこの状況から逃げ出したい。
スキル間違いの『双剣士』~一族の恥だと追放されたが、追放先でスキルが覚醒。気が付いたら最強双剣士に~
きょろ
ファンタジー
この世界では5歳になる全ての者に『スキル』が与えられる――。
洗礼の儀によってスキル『片手剣』を手にしたグリム・レオハートは、王国で最も有名な名家の長男。
レオハート家は代々、女神様より剣の才能を与えられる事が多い剣聖一族であり、グリムの父は王国最強と謳われる程の剣聖であった。
しかし、そんなレオハート家の長男にも関わらずグリムは全く剣の才能が伸びなかった。
スキルを手にしてから早5年――。
「貴様は一族の恥だ。最早息子でも何でもない」
突如そう父に告げられたグリムは、家族からも王国からも追放され、人が寄り付かない辺境の森へと飛ばされてしまった。
森のモンスターに襲われ絶対絶命の危機に陥ったグリム。ふと辺りを見ると、そこには過去に辺境の森に飛ばされたであろう者達の骨が沢山散らばっていた。
それを見つけたグリムは全てを諦め、最後に潔く己の墓を建てたのだった。
「どうせならこの森で1番派手にしようか――」
そこから更に8年――。
18歳になったグリムは何故か辺境の森で最強の『双剣士』となっていた。
「やべ、また力込め過ぎた……。双剣じゃやっぱ強すぎるな。こりゃ1本は飾りで十分だ」
最強となったグリムの所へ、ある日1体の珍しいモンスターが現れた。
そして、このモンスターとの出会いがグレイの運命を大きく動かす事となる――。
お荷物認定を受けてSSS級PTを追放されました。でも実は俺がいたからSSS級になれていたようです。
幌須 慶治
ファンタジー
S級冒険者PT『疾風の英雄』
電光石火の攻撃で凶悪なモンスターを次々討伐して瞬く間に最上級ランクまで上がった冒険者の夢を体現するPTである。
龍狩りの一閃ゲラートを筆頭に極炎のバーバラ、岩盤砕きガイル、地竜射抜くローラの4人の圧倒的な火力を以って凶悪モンスターを次々と打ち倒していく姿は冒険者どころか庶民の憧れを一身に集めていた。
そんな中で俺、ロイドはただの盾持ち兼荷物運びとして見られている。
盾持ちなのだからと他の4人が動く前に現地で相手の注意を引き、模擬戦の時は2対1での攻撃を受ける。
当然地味な役割なのだから居ても居なくても気にも留められずに居ないものとして扱われる。
今日もそうして地竜を討伐して、俺は1人後処理をしてからギルドに戻る。
ようやく帰り着いた頃には日も沈み酒場で祝杯を挙げる仲間たちに報酬を私に近づいた時にそれは起こる。
ニヤついた目をしたゲラートが言い放つ
「ロイド、お前役にたたなすぎるからクビな!」
全員の目と口が弧を描いたのが見えた。
一応毎日更新目指して、15話位で終わる予定です。
作品紹介に出てる人物、主人公以外重要じゃないのはご愛嬌()
15話で終わる気がしないので終わるまで延長します、脱線多くてごめんなさい 2020/7/26
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