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決着~さらば友よ~
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ルークの斬撃は重い…確かに重いが…受けきれないわけではないっ!
斬撃をルークが続ける。
カインはなんなく剣で弾く。
例え魔法でバフをかけられなくても…やれるっ。
今度はこっちの番だっ。
カインのカウンターがルークの鎧に傷をつける。
「どうした。ルークこんなもんか。」
「うるせえ。ざこカインがっ。これでやってやるぜっ! 」
ルークがカインから距離を取り、今までで一番の早さで駆け出す。
「くらえぇぇぇカインっ! 」
ルークの代名詞<連続突き>が繰り出される。
さすがに剣で受け切るのは無理だが…赤龍の盾なら別だっ。
剣と盾がぶつかる金属音が響き渡るっ。
今までの盾だったら絶対に壊されていた。ノーマさんが作ってくれた赤龍の盾に感謝だ。
スキルは万能ではない。出すことに時間がかかること。そして…終わった後の隙だっ!
カインの渾身のカウンターがルークの左腕に当たる。
もっていくことはできなかったが、腕から血が流れている。
これで左腕はもう使えないだろう。
「ルークもう終わりだ。大人しく投降しろっ。」
◇
金属同士のぶつかる音が聞こえて、十六夜は目を覚ました。
ニコラに刺された背中が痛い。血は止まっているがまだ痺れている。
手だけはどうにか動かせそうだ。
小刀で縄を切ろうとするが見当たらない。どうやら取り上げられたのか。
視線を上げるとカインがルークと対峙している。
ルークを追い詰めているみたいだ。
「くそがあああああ」
ルークが怒り狂い雄叫びを上げる。
「こうなりゃ。手段は選ばねぇ」
ルークが十六夜やミナトたちに向けて腰から取り出した魔法具を発動させた。
電撃の矢が十六夜に駆ける。
(ダメッ。これは避けられない。)
十六夜は目をつぶった。
―――
(これは間に合わない。だが体ごと飛び込めば、助けられるっ!)
カインが十六夜たちをかばうために体を投げ出す。
電撃がカインの背中にあたる。
カインはよろめき床に倒れこむ。
「カインッッ! 」十六夜の悲鳴が聞こえる気がするが…意識が遠のき体は動かなくなった。
◇
ルークが大声で笑いながらカインに近づく。
「バカなやつだぜっ。カインはお人好しだからなっ想像通りだっ。」
カインはルークの頭を蹴る。
「あんた、辞めなさいよ。この卑怯者っ。」
十六夜が叫ぶ。
ルークはうつ伏せのカインを蹴り仰向けにして、笛を取った。
「これで俺の勝ちだカイン。ニコラがギルドに駆け込んだとしても、どんなに急いでもここに来るのに往復一時間以上はかかる。いやもっとだな。オレは30分あればダンジョンを脱出できるっ。従属の首輪を2人につけて連れて行くかっ。」
勝ちを確信したルークは高らかに笑った。
ルークが十六夜やエンリルの弓矢メンバーの前に移動する。
エンリルの弓矢のメンバーはまだ意識がない。
手には従属の首輪を2個持っている。現在帝国では従属の首輪は販売が禁止されている。奴隷制度撤廃に伴い厳しい処罰の対象になっていた。
「さて、十六夜って言ったか。オレがニコラを逃した理由がわかるか。」
十六夜はは分からなかった。
仮にニコラがギルドまで駆け込んでくれて助けを呼んだとしても、ルークが逃げるほうだ先だろう。
「分からねえか。オレがニコラを逃した理由が。アイツは間違いなくギルドに駆け込む。オレが十六夜とカインを殺すと分かってるからな。自分は悪くないとアピールするために間違いなくメンゼフを呼んでくるだろう。」
ルークが笑いながら続ける。
「そうしたら、メンゼフは53階に向かってくるよな。」
たしかにそうだ。53階に今いるのだから。
「だから、十六夜、お前に従属の首輪をつけてやるよっ。それでお前に命じてやるんだ。残りの2人を殺せってな。そして、55階以上まで一人で上がって笛を吹けとな。そこから先は魔物にでも喰われてくれっ。」
なんて卑劣な考えをする男なのだ。私にエンリルのメンバーを殺させて55階で笛を鳴らさせる。そうしたら、メンゼフは55階に直行するということか。
その間に、ルークは追手を隠れてやり過ごしてダンジョンを抜け出す気だ。
「もう一つの首輪はオレ好みのミナトに付ける。こいつはオレの奴隷にして連れて行くからなっ。」
ルークは高らかと笑いながら、十六夜の首を抑える。
十六夜は抵抗するが、力で抑え込まれる。
十六夜の首に首輪が着けられた。
◇
「カイン起きて。」
オレは優しい女性の声で意識を取り戻す。
ここはっ…赤龍のときにも来た場所だ。
カインはうつ伏せた体勢から顔を上げる。
目の前にはイフリートのイブとウンディーネが立っている。
「カイン、あなたはまだ気が付いていないわ。」
「オレは何を気がついていないんだっ。」
自分も無力さが悔しくて悔しくて、床を思いっきり叩く。
「バカね、カイン。欲しければ求めればいいのよっ。私たちは魔宝具如きに負けないわよ。精霊を舐めるなっ。」
イブが怒っている。
たしかに、ルークは魔法具で雷魔法を使っていた。
オレは…アイツを倒すっ。
頼むっ。イブそして、ウンディーネさん力を貸してくれっ。
「ええもちろんですわっ。今度はゆっくりお話しましょう。わたしは南の……」
最後の方は聞き取れなかったが。今はルークを倒すために戻ろう。
◇
カインは意識は戻ったが体は動かない。
頼むイブ! 力を貸してくれっ!
指輪が光りだす。
体中にエネルギーが満ち溢れる。
これならっ。ルークをやれるっ!
カインは起き上がり、イブっルークに攻撃だと命じた。
指輪から『火の矢』が駆ける。
ルークは盾でなんとか弾いた。
「チッ復活しやがったか。良いのかカイン。それ以上攻撃したら十六夜にこいつらを殺させる。」
「ふっ、なあルーク…お前はオレのことがずっと怖かったんだろ。今もそうだ。卑怯なことしないとオレには勝てないって本当は分かってるんだろ。」
カインがルークを煽った。今はルークを人質から引き離さないと。
「計画変更だっ。お前はオレが殺す。」
ルークが走り出し、カインに斬りかかる。
ルークの斬撃を交わし、一撃でルークの盾を弾く。
不思議な感覚だ。体中が力であふれている。
ルーク悪いがオレの勝ちだっ!
二撃目でルークの胸を斬る。
手応えありだっ。
ルークの胸から血が流れる。
「くそっ、ザコカインのくせに。」
ルークが胸を手で抑えながら膝をつく。
「本当に終わりだ。ルーク。」
「おい十六夜、そいつらを殺せっ。そして加勢しろっ。」
従属の首輪で操作されている十六夜は、自分の意に反し、先程ルークから受け取った短剣を掴む。
「いやっ。やめて。体が勝手に。」
「わりいな。カイン。お前だけ幸せにさせてたまるかよっ! 」
ルークがカインの脚を掴み、助けに行く邪魔をする。
なんとか止めようとするが、十六夜の振り下ろす手は止まらない。
十六夜はこれから起こる悲惨な未来から目を背けようとして目をつぶった。
―――刹那。
「おいおい、オレの大事なギルドメンバーに、なに人殺しさせようとしてんだよっ。」
この声は…
「メンゼフさんっ! 」
カインが叫ぶ。
メンゼフとマンゼフが十六夜の短剣を弾き、拘束していた。
危なかった。ギリギリ間に合った。
「チッなんでだよ。なんでお前たちがここに居るんだよっ。」
ルークが叫ぶ。
「おうルークか。おまえが犯人だったとはな。たしかにニコラは助けてと言ってきたぜ。ただ場所はギルドじゃねえ。52階でだがっ。」
ルークは理解ができない。ニコラが裏切ったのか…でもここに到着するのが早すぎる…
「おまえには何が起こったか理解できないかっ。これも全部カインの策略だっ。」
カインはギルドを出る前にメンゼフにあるお願いしていたのだ。まだ試作段階で実際にうまくいくかはわからなかったが、小型の持ち運びできる<助け手>を使いたいと。急いでメンゼフは工場に取りに行った。
小型機を持ったメンゼフはマンゼフと共に俺をちょうど10分遅れでダンジョン進行を進めたていた。
そして、カインは10分ごとに助け手を鳴らしていた。
普段は笛が鳴れば緊急事態が起こったと判断して助けに行くルールだが、あえてルールを逆にしたのだ。
笛を定期的に吹かなくなったら戦闘突入したというサイン。二度連続で吹いたらダンジョンの入り口の封鎖という風にいくつかサインを決めていた。
ルークと戦闘開始して10分が過ぎ52階からメンゼフとマンゼフ、そして報告にきたニコラを縄で縛り、53階の広場まで来たということだ。
「オレたちの勝ちだっルーク」
カインはルークに高らかと宣言した。
ルークが恨めしそうな目でカインを見上げる。
カインやギルドを完全に欺けたと思った。それを確信にしたのは笛を奪った事だった。ルークはカインから奪った笛を叩きつけた。
「うおおおお。うるせえうるせえ。殺してやる。カインおまえだけでも道連れだっ。」
ルークは立ち上がり、最後の力を振り絞り剣を振る。
カインは残念な気持ちになった。なぜこんなにもルークは変わってしまったのか。イグニスの槍で共に2年間切磋琢磨してきた。本当はこんなやつじゃなかったんだけどな。でもルークは罪を償うべきだっ!あの時、追放された時しっかりと話していればよかったのか。でももう遅い…。
「ルークわるいがおまえとはここでお別れだ。これはパーティ…いやギルド全員の総意なんだよ。」
カインの一閃
ルークの右腕が宙を舞った。
ルークの悲鳴が聞こえる。
「オレの腕が…オレの腕が…」
「カインそこまでだっ。こいつには生きて罪を償わせる。余罪もたくさんある。帝都議会のおえらいさんもカンカンだぜ。帝都の牢屋で一生過ごすことになるかもな。カインがルークを殺る必要なんてねえよ。」
メンゼフさんがルークを縄で捕縛する。
やっと終わった。よかった。無事にルークを倒せた。
ホッと一息つく。
カインは疲労と安心感からか、その場で倒れ込んだ。
◇
カインは目を覚ます。
見渡すと皆、マンゼフさんの回復で良くなったみたいだ。意識を取り戻している。
本当によかった。
ルークとニコラは縄に縛られ、帝国騎士に引き渡されているところだった。帝国騎士が10人がかりで輸送するなんて…帝国議会も勇者ルークの反逆を重要事件と判断したのだろう。
目覚めたカインに気がついたルークが話しかける。
「おいっ。カインおまえオレに勝ったと思うんじゃねえぞ。オレは牢屋を必ず出てやる。そうしたらお前の大事なギルドのやつ、全員襲ってやるよ。」
「まだ言ってるのか…やってみろよ。何度でもオレが倒すさっ。せいぜい牢屋でも頑張ってくれ。なっ。元勇者のルーク様」
てめえと言いルークが残った左手でカインを殴ろうとするが、騎士に引っ張られていった。
散々な目にあったんだ。
これくらいは言ってもバチは当たらないだろう。
ルークは中指をカインに向けて立てていたが、騎士に殴られ大人しく連れて行かれた。
連れて行かれるニコラと目が合う。口がごめんなさい。と動いている気がした。
やっと終わった。
ホッとしたカインは後ろにふり返る。誰かに抱きつかれて倒れ込んだ。
どうやら抱きついたのはエンリルの弓矢の3人みたいだ。
この子たちにもルークの件で巻き込んでしまったな。
「おい、いちゃつくのは帰ってからにしろ。ほらっギルドに帰るぞ。」
マンゼフさんが笑顔でカインに手を差し伸べる。
ガッシリと手を掴み。起き上がる。そのままの勢いでメンゼフさんと熱い抱擁をかわす。
「よくやったぞ! カイン。」
オレは居場所である冒険者ギルドを守れたんだ。
さあ我らのギルドに帰ろう!
斬撃をルークが続ける。
カインはなんなく剣で弾く。
例え魔法でバフをかけられなくても…やれるっ。
今度はこっちの番だっ。
カインのカウンターがルークの鎧に傷をつける。
「どうした。ルークこんなもんか。」
「うるせえ。ざこカインがっ。これでやってやるぜっ! 」
ルークがカインから距離を取り、今までで一番の早さで駆け出す。
「くらえぇぇぇカインっ! 」
ルークの代名詞<連続突き>が繰り出される。
さすがに剣で受け切るのは無理だが…赤龍の盾なら別だっ。
剣と盾がぶつかる金属音が響き渡るっ。
今までの盾だったら絶対に壊されていた。ノーマさんが作ってくれた赤龍の盾に感謝だ。
スキルは万能ではない。出すことに時間がかかること。そして…終わった後の隙だっ!
カインの渾身のカウンターがルークの左腕に当たる。
もっていくことはできなかったが、腕から血が流れている。
これで左腕はもう使えないだろう。
「ルークもう終わりだ。大人しく投降しろっ。」
◇
金属同士のぶつかる音が聞こえて、十六夜は目を覚ました。
ニコラに刺された背中が痛い。血は止まっているがまだ痺れている。
手だけはどうにか動かせそうだ。
小刀で縄を切ろうとするが見当たらない。どうやら取り上げられたのか。
視線を上げるとカインがルークと対峙している。
ルークを追い詰めているみたいだ。
「くそがあああああ」
ルークが怒り狂い雄叫びを上げる。
「こうなりゃ。手段は選ばねぇ」
ルークが十六夜やミナトたちに向けて腰から取り出した魔法具を発動させた。
電撃の矢が十六夜に駆ける。
(ダメッ。これは避けられない。)
十六夜は目をつぶった。
―――
(これは間に合わない。だが体ごと飛び込めば、助けられるっ!)
カインが十六夜たちをかばうために体を投げ出す。
電撃がカインの背中にあたる。
カインはよろめき床に倒れこむ。
「カインッッ! 」十六夜の悲鳴が聞こえる気がするが…意識が遠のき体は動かなくなった。
◇
ルークが大声で笑いながらカインに近づく。
「バカなやつだぜっ。カインはお人好しだからなっ想像通りだっ。」
カインはルークの頭を蹴る。
「あんた、辞めなさいよ。この卑怯者っ。」
十六夜が叫ぶ。
ルークはうつ伏せのカインを蹴り仰向けにして、笛を取った。
「これで俺の勝ちだカイン。ニコラがギルドに駆け込んだとしても、どんなに急いでもここに来るのに往復一時間以上はかかる。いやもっとだな。オレは30分あればダンジョンを脱出できるっ。従属の首輪を2人につけて連れて行くかっ。」
勝ちを確信したルークは高らかに笑った。
ルークが十六夜やエンリルの弓矢メンバーの前に移動する。
エンリルの弓矢のメンバーはまだ意識がない。
手には従属の首輪を2個持っている。現在帝国では従属の首輪は販売が禁止されている。奴隷制度撤廃に伴い厳しい処罰の対象になっていた。
「さて、十六夜って言ったか。オレがニコラを逃した理由がわかるか。」
十六夜はは分からなかった。
仮にニコラがギルドまで駆け込んでくれて助けを呼んだとしても、ルークが逃げるほうだ先だろう。
「分からねえか。オレがニコラを逃した理由が。アイツは間違いなくギルドに駆け込む。オレが十六夜とカインを殺すと分かってるからな。自分は悪くないとアピールするために間違いなくメンゼフを呼んでくるだろう。」
ルークが笑いながら続ける。
「そうしたら、メンゼフは53階に向かってくるよな。」
たしかにそうだ。53階に今いるのだから。
「だから、十六夜、お前に従属の首輪をつけてやるよっ。それでお前に命じてやるんだ。残りの2人を殺せってな。そして、55階以上まで一人で上がって笛を吹けとな。そこから先は魔物にでも喰われてくれっ。」
なんて卑劣な考えをする男なのだ。私にエンリルのメンバーを殺させて55階で笛を鳴らさせる。そうしたら、メンゼフは55階に直行するということか。
その間に、ルークは追手を隠れてやり過ごしてダンジョンを抜け出す気だ。
「もう一つの首輪はオレ好みのミナトに付ける。こいつはオレの奴隷にして連れて行くからなっ。」
ルークは高らかと笑いながら、十六夜の首を抑える。
十六夜は抵抗するが、力で抑え込まれる。
十六夜の首に首輪が着けられた。
◇
「カイン起きて。」
オレは優しい女性の声で意識を取り戻す。
ここはっ…赤龍のときにも来た場所だ。
カインはうつ伏せた体勢から顔を上げる。
目の前にはイフリートのイブとウンディーネが立っている。
「カイン、あなたはまだ気が付いていないわ。」
「オレは何を気がついていないんだっ。」
自分も無力さが悔しくて悔しくて、床を思いっきり叩く。
「バカね、カイン。欲しければ求めればいいのよっ。私たちは魔宝具如きに負けないわよ。精霊を舐めるなっ。」
イブが怒っている。
たしかに、ルークは魔法具で雷魔法を使っていた。
オレは…アイツを倒すっ。
頼むっ。イブそして、ウンディーネさん力を貸してくれっ。
「ええもちろんですわっ。今度はゆっくりお話しましょう。わたしは南の……」
最後の方は聞き取れなかったが。今はルークを倒すために戻ろう。
◇
カインは意識は戻ったが体は動かない。
頼むイブ! 力を貸してくれっ!
指輪が光りだす。
体中にエネルギーが満ち溢れる。
これならっ。ルークをやれるっ!
カインは起き上がり、イブっルークに攻撃だと命じた。
指輪から『火の矢』が駆ける。
ルークは盾でなんとか弾いた。
「チッ復活しやがったか。良いのかカイン。それ以上攻撃したら十六夜にこいつらを殺させる。」
「ふっ、なあルーク…お前はオレのことがずっと怖かったんだろ。今もそうだ。卑怯なことしないとオレには勝てないって本当は分かってるんだろ。」
カインがルークを煽った。今はルークを人質から引き離さないと。
「計画変更だっ。お前はオレが殺す。」
ルークが走り出し、カインに斬りかかる。
ルークの斬撃を交わし、一撃でルークの盾を弾く。
不思議な感覚だ。体中が力であふれている。
ルーク悪いがオレの勝ちだっ!
二撃目でルークの胸を斬る。
手応えありだっ。
ルークの胸から血が流れる。
「くそっ、ザコカインのくせに。」
ルークが胸を手で抑えながら膝をつく。
「本当に終わりだ。ルーク。」
「おい十六夜、そいつらを殺せっ。そして加勢しろっ。」
従属の首輪で操作されている十六夜は、自分の意に反し、先程ルークから受け取った短剣を掴む。
「いやっ。やめて。体が勝手に。」
「わりいな。カイン。お前だけ幸せにさせてたまるかよっ! 」
ルークがカインの脚を掴み、助けに行く邪魔をする。
なんとか止めようとするが、十六夜の振り下ろす手は止まらない。
十六夜はこれから起こる悲惨な未来から目を背けようとして目をつぶった。
―――刹那。
「おいおい、オレの大事なギルドメンバーに、なに人殺しさせようとしてんだよっ。」
この声は…
「メンゼフさんっ! 」
カインが叫ぶ。
メンゼフとマンゼフが十六夜の短剣を弾き、拘束していた。
危なかった。ギリギリ間に合った。
「チッなんでだよ。なんでお前たちがここに居るんだよっ。」
ルークが叫ぶ。
「おうルークか。おまえが犯人だったとはな。たしかにニコラは助けてと言ってきたぜ。ただ場所はギルドじゃねえ。52階でだがっ。」
ルークは理解ができない。ニコラが裏切ったのか…でもここに到着するのが早すぎる…
「おまえには何が起こったか理解できないかっ。これも全部カインの策略だっ。」
カインはギルドを出る前にメンゼフにあるお願いしていたのだ。まだ試作段階で実際にうまくいくかはわからなかったが、小型の持ち運びできる<助け手>を使いたいと。急いでメンゼフは工場に取りに行った。
小型機を持ったメンゼフはマンゼフと共に俺をちょうど10分遅れでダンジョン進行を進めたていた。
そして、カインは10分ごとに助け手を鳴らしていた。
普段は笛が鳴れば緊急事態が起こったと判断して助けに行くルールだが、あえてルールを逆にしたのだ。
笛を定期的に吹かなくなったら戦闘突入したというサイン。二度連続で吹いたらダンジョンの入り口の封鎖という風にいくつかサインを決めていた。
ルークと戦闘開始して10分が過ぎ52階からメンゼフとマンゼフ、そして報告にきたニコラを縄で縛り、53階の広場まで来たということだ。
「オレたちの勝ちだっルーク」
カインはルークに高らかと宣言した。
ルークが恨めしそうな目でカインを見上げる。
カインやギルドを完全に欺けたと思った。それを確信にしたのは笛を奪った事だった。ルークはカインから奪った笛を叩きつけた。
「うおおおお。うるせえうるせえ。殺してやる。カインおまえだけでも道連れだっ。」
ルークは立ち上がり、最後の力を振り絞り剣を振る。
カインは残念な気持ちになった。なぜこんなにもルークは変わってしまったのか。イグニスの槍で共に2年間切磋琢磨してきた。本当はこんなやつじゃなかったんだけどな。でもルークは罪を償うべきだっ!あの時、追放された時しっかりと話していればよかったのか。でももう遅い…。
「ルークわるいがおまえとはここでお別れだ。これはパーティ…いやギルド全員の総意なんだよ。」
カインの一閃
ルークの右腕が宙を舞った。
ルークの悲鳴が聞こえる。
「オレの腕が…オレの腕が…」
「カインそこまでだっ。こいつには生きて罪を償わせる。余罪もたくさんある。帝都議会のおえらいさんもカンカンだぜ。帝都の牢屋で一生過ごすことになるかもな。カインがルークを殺る必要なんてねえよ。」
メンゼフさんがルークを縄で捕縛する。
やっと終わった。よかった。無事にルークを倒せた。
ホッと一息つく。
カインは疲労と安心感からか、その場で倒れ込んだ。
◇
カインは目を覚ます。
見渡すと皆、マンゼフさんの回復で良くなったみたいだ。意識を取り戻している。
本当によかった。
ルークとニコラは縄に縛られ、帝国騎士に引き渡されているところだった。帝国騎士が10人がかりで輸送するなんて…帝国議会も勇者ルークの反逆を重要事件と判断したのだろう。
目覚めたカインに気がついたルークが話しかける。
「おいっ。カインおまえオレに勝ったと思うんじゃねえぞ。オレは牢屋を必ず出てやる。そうしたらお前の大事なギルドのやつ、全員襲ってやるよ。」
「まだ言ってるのか…やってみろよ。何度でもオレが倒すさっ。せいぜい牢屋でも頑張ってくれ。なっ。元勇者のルーク様」
てめえと言いルークが残った左手でカインを殴ろうとするが、騎士に引っ張られていった。
散々な目にあったんだ。
これくらいは言ってもバチは当たらないだろう。
ルークは中指をカインに向けて立てていたが、騎士に殴られ大人しく連れて行かれた。
連れて行かれるニコラと目が合う。口がごめんなさい。と動いている気がした。
やっと終わった。
ホッとしたカインは後ろにふり返る。誰かに抱きつかれて倒れ込んだ。
どうやら抱きついたのはエンリルの弓矢の3人みたいだ。
この子たちにもルークの件で巻き込んでしまったな。
「おい、いちゃつくのは帰ってからにしろ。ほらっギルドに帰るぞ。」
マンゼフさんが笑顔でカインに手を差し伸べる。
ガッシリと手を掴み。起き上がる。そのままの勢いでメンゼフさんと熱い抱擁をかわす。
「よくやったぞ! カイン。」
オレは居場所である冒険者ギルドを守れたんだ。
さあ我らのギルドに帰ろう!
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途端に手のひらを返され『無能勇者』というレッテルを貼られずさんな扱いを受けた上に、一方的にリュウジは凶悪な魔物が住む地へ追放されてしまう。
しかしリュウジは知る。あの胡散臭い占い師に押し売りされた小枝が【ミストルティン】という様々なアイテムを吸収し、その力を自由自在に振るうことが可能で、更に経験を積めばレベルアップしてさらなる強力な能力を手に入れることが出来るチートアイテムだったことに。
「ミストルティン。アブソープション!」
『了解しましたマスター。レベルアップして新しいスキルを覚えました』
「やった! これでまた便利になるな」
これはワンコインで押し売りされた小枝を手に異世界へ突然召喚され無能とレッテルを貼られた男が幸せを掴む物語。
~ワンコインで買った万能アイテムで幸せな人生を目指します~
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アイテムボックスの最も冴えた使い方~チュートリアル1億回で最強になったが、実力隠してアイテムボックス内でスローライフしつつ駄竜とたわむれる~
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得た能力を使って何とかピンチを逃れようとし、思いついたアイデアを咄嗟に実行に移したんだ。
直後、俺の体はアイテムボックスの中に入り、難を逃れることができた。
このまま戻っても捻りつぶされるだけだ。
そこで、アイテムボックスの中は時間が流れないことを利用し、チュートリアルバトルを繰り返すこと1億回。ついにレベルがカンストする。
アイテムボックスの外に出た俺はドラゴンの角を折り、危機を脱する。
助けた竜の巫女と共に彼女の村へ向かうことになった俺だったが――。
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その外国人は背中に背負子と鍬を背負っていたからきっと近所の農家の人なのだろう。意外と流暢な日本語を話す。が、言葉の意味はあまり理解してないらしく、『県道は何処か?』と聞いても首を傾げていた。
『道は何処にありますか?』と言ったら、漸く理解したのか案内してくれるというので着いていく。
が、行けども行けどもどんどん森は深くなり、不審に思い始めた頃に少し開けた場所に出た。
そこは農具でも置いてる場所なのかボロ小屋が数軒建っていて、外国人さんが大声で叫ぶと、人が十数人ゾロゾロと小屋から出てきて、俺の周りを囲む。
そして何故か縄で手足を縛られて大八車に転がされ……。
⚠️超絶不定期更新⚠️
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