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契約と報復
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環境が変わったからだろう初日から疲れた。<明けの明星>でゴブリンの丸焼きを購入し部屋で食べていると、部屋をノックする音が聞こえた。何やら外から騒がしい声が聞こえていくる。
「どうぞ。開いてますよ。」
「カイン。食事中だったのね申し訳ないわ。」
エンリルの弓矢のリーダーミナトとシンラ、ユキナと言っただろうか、3人で来るとは思わなかった。
「それはこちらが悪いから気にしないでくれ。4人分の椅子はないし、行きつけのバーにでもいこうか。」
それに美女エルフを3人も部屋に連れ込んでいるのは変なうわさが立っても嫌だし、今は極力、目立つような状況は避けたい。
「別にいいわよ。ベッドに腰掛ければいいじゃない。」
ミナトがそう言うとベッドに腰掛け、シンラ、ユキナは椅子に座る
「いいのか? 変なうわさがたっても責任は持てない。」
「別にいいわよ。それに…うわさが立ったら他の女がカインに寄り付かないもの。」
「まあ気にしないのなら良いんだ。それでどんな要件だ。」
ミナトがユキナに説明しなさいよと促す。
「はい。さっさきほどギルドでミナトが伝えたと思うんですけど、パーティ活動を手伝ってほしくて…」
それは先程ギルドで聞いた話だ。今はギルド職員としての仕事もあるし、週末しか時間が取れない。そんな状態でパーティに加入するのは無理がある。
「それはお断りさせていただいたはずです。ギルドの仕事もあるので時間的にパーティの活動のじゃまになると思う。」
「ううう…」
ユキナがしょんぼりした顔でうつむく
「ユキナしっかりと説明しなさいよ。カインさんのことが好きだからパーティが組みたいって」
横からシンラがはやし立てる
「~~~違います! そんな理由じゃありませんから。」
「とにかく、詳しく説明してくれ。」
「はぃ。実は…エルフの国では疫病がはやっていて、50Fのボス赤龍の卵が急ぎで必要なんです。」
「うわさで疫病の話は聞いたことがある。エルフは他の種族の介入を好まないしな。なるほど。それで50Fの赤龍の卵がほしいということか。」
「そのとおりです。赤龍の卵で病気を抑えられることが国の研究で最近わかったのですが、素材を取る難易度が高すぎて。パーティとしてダンジョン攻略を急いでいますが、どうして弓と魔法しかないわたしたちでは力不足で。近接物理攻撃の手段ががなくて困ってるんです。」
それで僕に話が来たと。なるほど筋は通っているな。
「エンリルの弓矢私たちは今40Fまで来ているので、50Fまではすぐに到達できると思います。50Fのボス赤龍が相手になるとどうしても前衛が足りていないんです。」
ギルドに所属しているパーティでCランクは珍しく全体の冒険者の10%もいない。基本的にパーティを組んでダンジョンに行っているので助っ人で手伝うようなお人よしはいない。仮にいたとしてもやましい気持ちを持つやつしかいないということか
「なるほど。そんな理由があったのか。理由はわかった。今ギルドに電話してメンゼフさんに聞いてみるよ。メンゼフさんからオッケーが出れば、ボスだけであれば攻略のお手伝いしますよ。」
3人とも満面の笑みになり、シンラとユキナに至ってはハイタッチをしている。
「本当に助かるわ。どうしても困ってたのよ。」
手伝ってくれるカインのためにならなんでもするわ。ぼそっとミナトがこぼす
「まだ決まったわけじゃないから、少しだけ待っていてほしい。」と伝えメンゼフさんに電話するために部屋を出る。
一階の受付にある電話を借りる。
「夜遅くにすみません。メンゼフさん実はこういう事がありまして…」
今までの経緯をメンゼフさんに説明し、個人的には力になりたいとも付け加える。
「事情はよーくわかった。休みの日だったら良いんじゃねえか。カインのやりたいようにやればいい、伝え忘れたことがあるから、この後ギルドに来てくれねえか。」
お礼を言い受話器を置く。部屋に戻り報告しよう。
部屋に戻ると、3人がベッドでゴロゴロしている。ユキナに至っては枕の匂いを嗅いでいるみたいだ。
「…ってなにをしてるんだ。」
「こっこれは違うんです。ミナトがカインさんいい匂いがするからベッドの匂いをかげっていったんです。」
あわあわととりみだしながらユキナが説明する
「まあいい。メンゼフさんからオッケーが出た。善は急げだ日曜日にでも攻略しにいこう」
「ほんとうですか! ありがとうございます!本当に嬉しいです。」
枕をギュッと抱きしめながらユキナが言う。
「とにかく枕はもとに戻しておいてくれ。さっそく赤龍攻略の話をしよう。赤龍は龍のなかでも気性が荒いから怒らせて僕にヘイトを向けさせる。前衛でタンク役は引き受けます。後衛が危なくなったら魔法でサポートするから、物理攻撃の範囲外から弓と水魔法でドカンと攻撃してくれ。―――」
◇
話し始めてから1時間はたっただろうか。
「カインあんた。すごいわ。改めてお願いしてよかったわ。」ミナトがうなずきながら言う。
「いえ、これくらいは普通ですよ。しっかりとボス戦は準備しないと最悪、死にますから。」
「ダンジョン攻略してる冒険者って脳筋ばかりだけど、やっぱり頭を使わないといけないのね。」
冒険者は脳筋ばかりはいいすぎだが、リスクは減らすのが冒険のセオリーだ。
「こんな感じで。日曜日は40Fまでワープして50Fまで一気にいって赤龍倒しましょう。お昼に出れば夕方には戻ってこれると思います。」
「わかったわ。ありがとう。お礼と言ってはなんだけど。」
ふと席をたったミナトがカインの頬にキスをする
恥ずかしくて顔が赤龍のように真っ赤になる
「からかわないでください。とにかく日曜日までしっかりと準備しててくださいね。」
「別にからかってないわ。真っ赤になる純粋なところも好きよ。私はカインがよければお付き合いしたいもの」
さらっとエルフの美女に言われたらこっちだって男だ。好きになってしまう。
「ユキナもにらんでいるし今日はここまでにしましょうか。それじゃあまた日曜日正午にギルド前集合で。」
たしかにユキナを見るとミナトをにらんでいた。
「そうだな。もういい時間だしここまでにしよう。この後メンゼフさんに呼ばれているからギルドによらないといけない」
4人そろって宿屋を出る。それじゃあここでとカインが言うとユキナがこちらを見ている
「カインさん私の宿はギルド方面なんで2人でいきましょっ」
「あんた抜け駆けしてんじゃないよ。たしかに私とシンラは反対方向の宿だけど。」
「抜け駆けしてカインさんにキスしたミナトには言われたくありません。」
ほらカインさんいきましょとユキナに腕を捕まれ、ギルドに向かって歩き出した。
◇
「今日はすみません。宿までおしかけちゃって。」
ユキナの先程までの元気はどこにいったんだろうか。もじもじしながら話しかけてくる。
「それに、腕も組んじゃってごめんなさい。」
「それは別にいいけど、冒険者に見られでもしたら変なうわさが立つぞ。」
「ミナトも言っていましたけど、カインさん女性冒険者の中で一番人気があるんですよ。それに特にカインさんにメリットが有るわけじゃないのに、ダンジョン攻略のお手伝いしてくれるなんていい人過ぎます。」
たしかに手伝うメリットがほとんどないのは事実だが、困っている人を助けないというのは『強さ』とは言えない。
ギルドに向かうために大通りから外れて暗い小道に入ると、何やら盗賊らしき男二人が道をふさぐ。
「おいおまえ。女連れてどこいくんだ? ホテルはこっちじゃねえぞ」
「おまえたちに関係ないだろう。ここを通してくれ。」
「おまえは生意気だな。ちょっとツラかせよ。最近、生意気らしいじゃねえか。」
なるほど。ただの酔っ払いというわけではないらしい。最近という言葉から読み取るに個人的な僕への恨みだろうか。服装から見るに盗賊だろう。さしずめイグニスの槍に新しく入ったニコラの部下か仲間ということか。
「服装から見るにニコラの仲間ってところか。」
「うるせえ。とにかく痛い目にあわせる約束なんだよっ。」
二人が剣を抜く。穏便に済ませたいが、剣を抜かれれば話は別だ。命に関わる。
「剣を抜くということは殺される覚悟はあるんだろうな。」
「すましてんじゃねえ。オラァ!」
目の前を縦に振られた剣が空を切る。後ろに避けなければまっぷたつだ。
斬るスピードを見るとそれなりに鍛えているのだろう。ランクで言うとDくらいか。
「彼女は関係ないから巻き込みたくはない。彼女だけでも逃してやってくれ。」
「おまえが死んでくれたら考えてやるよ。それにエルフは奴隷として高く売れるからなっ」
連続で二人が斬りかかってくるが。お世辞にも連携が取れているとは言えない。ちぐはぐな攻撃で簡単に防げる。
それでもユキナをかばいながら戦うのはまずい。敵が格下であっても時間が経てば人質に取られる可能性だってある。
男の剣で斬りかかってくるのを剣で受けいなす。バランスを崩しよろめく男の土手っ腹に無詠唱で呪文を腹にたたきこむ。
『ライトニング』
電撃が男にあたりギャーという悲鳴が響く。どうやら男は気絶したみたいだ。電気魔法だったら殺さず無力化して捕獲することができる。
もうひとりの男が信じられないような目でこちらを見る。
「くそっ! そんなっ。無詠唱で呪文が使えるなんて。聞いてねえ」
ユキナに攻撃対象を変えたみたいで、それならこれでどうだとユキナに斬りかかる。
「キャッ」とユキナの小さい悲鳴が聞こえる。
ユキナが持っているのは魔法使いの杖だ。剣での攻撃を防ぐのは難しい。
この距離では剣で受けるには間に合わない。ユキナに斬りかかろうとする剣を止めるには少し距離がある。
しょうがないこれで…
呪文『ロックブラスト』を唱える。
地面が突き出た衝撃で男が数メートルは浮いただろうか。地面に落ちてきた男は地面に芋虫のように丸まっていて、うめき声を上げている。
剣を鞘に収めながら「ユキナ。大丈夫か。」と声を掛ける。
「はい。大丈夫です。でもびっくりしましたよカインさん。いきなり襲われるなんて、安心したら腰が抜けましたよ~。」
普通はいきなり町中で襲われるとは思わないし、命の危険にさらされたんだ腰を抜かしてもしょうがないだろう。
「とにかく無事で良かった。後はギルドで処理する。命まで取るのは気が引けるし、2人をギルドに連れて行こう。」
気絶したふりをしてまた襲われても困る。<ライトニング>をもう一度発動し、うめき声を上げている男を気絶させた。
腰が抜け、へたり込んでいるユキナに手を差し出し、引っ張って起こす。
ユキナがカインに抱きつく。
「カインさん。本当に怖かったです。守ってくれてありがとうございます。」
「いやこちらこそすまない。巻き込んでしまった。」
「ほんとうにカインさんは私の王子様です。」
ユキナが顔を赤くしながら抱きついてきた。抱きついた手は力強いが震えている。
「とにかく、この2人をギルドへ連れて行こう。申し訳ないがユキナ手伝ってくれ。」
「わかりました。急に抱きついちゃってごめんなさい。」
「全然構わない。危険に晒したのはこちらの落ち度だ。それにこのことは2人だけの秘密にしてほしい。聞いた人は不安になるだろうし巻き込みたくはない。」
再度、いいね内緒だよ。とじっと目を見て伝える。
「はぅ~そんな見つめないで下さい。もちろん二人だけの秘密ですっ」顔を赤らめながら頷くユキナ
男二人を引きずりながらギルドまで連れていった。
「どうぞ。開いてますよ。」
「カイン。食事中だったのね申し訳ないわ。」
エンリルの弓矢のリーダーミナトとシンラ、ユキナと言っただろうか、3人で来るとは思わなかった。
「それはこちらが悪いから気にしないでくれ。4人分の椅子はないし、行きつけのバーにでもいこうか。」
それに美女エルフを3人も部屋に連れ込んでいるのは変なうわさが立っても嫌だし、今は極力、目立つような状況は避けたい。
「別にいいわよ。ベッドに腰掛ければいいじゃない。」
ミナトがそう言うとベッドに腰掛け、シンラ、ユキナは椅子に座る
「いいのか? 変なうわさがたっても責任は持てない。」
「別にいいわよ。それに…うわさが立ったら他の女がカインに寄り付かないもの。」
「まあ気にしないのなら良いんだ。それでどんな要件だ。」
ミナトがユキナに説明しなさいよと促す。
「はい。さっさきほどギルドでミナトが伝えたと思うんですけど、パーティ活動を手伝ってほしくて…」
それは先程ギルドで聞いた話だ。今はギルド職員としての仕事もあるし、週末しか時間が取れない。そんな状態でパーティに加入するのは無理がある。
「それはお断りさせていただいたはずです。ギルドの仕事もあるので時間的にパーティの活動のじゃまになると思う。」
「ううう…」
ユキナがしょんぼりした顔でうつむく
「ユキナしっかりと説明しなさいよ。カインさんのことが好きだからパーティが組みたいって」
横からシンラがはやし立てる
「~~~違います! そんな理由じゃありませんから。」
「とにかく、詳しく説明してくれ。」
「はぃ。実は…エルフの国では疫病がはやっていて、50Fのボス赤龍の卵が急ぎで必要なんです。」
「うわさで疫病の話は聞いたことがある。エルフは他の種族の介入を好まないしな。なるほど。それで50Fの赤龍の卵がほしいということか。」
「そのとおりです。赤龍の卵で病気を抑えられることが国の研究で最近わかったのですが、素材を取る難易度が高すぎて。パーティとしてダンジョン攻略を急いでいますが、どうして弓と魔法しかないわたしたちでは力不足で。近接物理攻撃の手段ががなくて困ってるんです。」
それで僕に話が来たと。なるほど筋は通っているな。
「エンリルの弓矢私たちは今40Fまで来ているので、50Fまではすぐに到達できると思います。50Fのボス赤龍が相手になるとどうしても前衛が足りていないんです。」
ギルドに所属しているパーティでCランクは珍しく全体の冒険者の10%もいない。基本的にパーティを組んでダンジョンに行っているので助っ人で手伝うようなお人よしはいない。仮にいたとしてもやましい気持ちを持つやつしかいないということか
「なるほど。そんな理由があったのか。理由はわかった。今ギルドに電話してメンゼフさんに聞いてみるよ。メンゼフさんからオッケーが出れば、ボスだけであれば攻略のお手伝いしますよ。」
3人とも満面の笑みになり、シンラとユキナに至ってはハイタッチをしている。
「本当に助かるわ。どうしても困ってたのよ。」
手伝ってくれるカインのためにならなんでもするわ。ぼそっとミナトがこぼす
「まだ決まったわけじゃないから、少しだけ待っていてほしい。」と伝えメンゼフさんに電話するために部屋を出る。
一階の受付にある電話を借りる。
「夜遅くにすみません。メンゼフさん実はこういう事がありまして…」
今までの経緯をメンゼフさんに説明し、個人的には力になりたいとも付け加える。
「事情はよーくわかった。休みの日だったら良いんじゃねえか。カインのやりたいようにやればいい、伝え忘れたことがあるから、この後ギルドに来てくれねえか。」
お礼を言い受話器を置く。部屋に戻り報告しよう。
部屋に戻ると、3人がベッドでゴロゴロしている。ユキナに至っては枕の匂いを嗅いでいるみたいだ。
「…ってなにをしてるんだ。」
「こっこれは違うんです。ミナトがカインさんいい匂いがするからベッドの匂いをかげっていったんです。」
あわあわととりみだしながらユキナが説明する
「まあいい。メンゼフさんからオッケーが出た。善は急げだ日曜日にでも攻略しにいこう」
「ほんとうですか! ありがとうございます!本当に嬉しいです。」
枕をギュッと抱きしめながらユキナが言う。
「とにかく枕はもとに戻しておいてくれ。さっそく赤龍攻略の話をしよう。赤龍は龍のなかでも気性が荒いから怒らせて僕にヘイトを向けさせる。前衛でタンク役は引き受けます。後衛が危なくなったら魔法でサポートするから、物理攻撃の範囲外から弓と水魔法でドカンと攻撃してくれ。―――」
◇
話し始めてから1時間はたっただろうか。
「カインあんた。すごいわ。改めてお願いしてよかったわ。」ミナトがうなずきながら言う。
「いえ、これくらいは普通ですよ。しっかりとボス戦は準備しないと最悪、死にますから。」
「ダンジョン攻略してる冒険者って脳筋ばかりだけど、やっぱり頭を使わないといけないのね。」
冒険者は脳筋ばかりはいいすぎだが、リスクは減らすのが冒険のセオリーだ。
「こんな感じで。日曜日は40Fまでワープして50Fまで一気にいって赤龍倒しましょう。お昼に出れば夕方には戻ってこれると思います。」
「わかったわ。ありがとう。お礼と言ってはなんだけど。」
ふと席をたったミナトがカインの頬にキスをする
恥ずかしくて顔が赤龍のように真っ赤になる
「からかわないでください。とにかく日曜日までしっかりと準備しててくださいね。」
「別にからかってないわ。真っ赤になる純粋なところも好きよ。私はカインがよければお付き合いしたいもの」
さらっとエルフの美女に言われたらこっちだって男だ。好きになってしまう。
「ユキナもにらんでいるし今日はここまでにしましょうか。それじゃあまた日曜日正午にギルド前集合で。」
たしかにユキナを見るとミナトをにらんでいた。
「そうだな。もういい時間だしここまでにしよう。この後メンゼフさんに呼ばれているからギルドによらないといけない」
4人そろって宿屋を出る。それじゃあここでとカインが言うとユキナがこちらを見ている
「カインさん私の宿はギルド方面なんで2人でいきましょっ」
「あんた抜け駆けしてんじゃないよ。たしかに私とシンラは反対方向の宿だけど。」
「抜け駆けしてカインさんにキスしたミナトには言われたくありません。」
ほらカインさんいきましょとユキナに腕を捕まれ、ギルドに向かって歩き出した。
◇
「今日はすみません。宿までおしかけちゃって。」
ユキナの先程までの元気はどこにいったんだろうか。もじもじしながら話しかけてくる。
「それに、腕も組んじゃってごめんなさい。」
「それは別にいいけど、冒険者に見られでもしたら変なうわさが立つぞ。」
「ミナトも言っていましたけど、カインさん女性冒険者の中で一番人気があるんですよ。それに特にカインさんにメリットが有るわけじゃないのに、ダンジョン攻略のお手伝いしてくれるなんていい人過ぎます。」
たしかに手伝うメリットがほとんどないのは事実だが、困っている人を助けないというのは『強さ』とは言えない。
ギルドに向かうために大通りから外れて暗い小道に入ると、何やら盗賊らしき男二人が道をふさぐ。
「おいおまえ。女連れてどこいくんだ? ホテルはこっちじゃねえぞ」
「おまえたちに関係ないだろう。ここを通してくれ。」
「おまえは生意気だな。ちょっとツラかせよ。最近、生意気らしいじゃねえか。」
なるほど。ただの酔っ払いというわけではないらしい。最近という言葉から読み取るに個人的な僕への恨みだろうか。服装から見るに盗賊だろう。さしずめイグニスの槍に新しく入ったニコラの部下か仲間ということか。
「服装から見るにニコラの仲間ってところか。」
「うるせえ。とにかく痛い目にあわせる約束なんだよっ。」
二人が剣を抜く。穏便に済ませたいが、剣を抜かれれば話は別だ。命に関わる。
「剣を抜くということは殺される覚悟はあるんだろうな。」
「すましてんじゃねえ。オラァ!」
目の前を縦に振られた剣が空を切る。後ろに避けなければまっぷたつだ。
斬るスピードを見るとそれなりに鍛えているのだろう。ランクで言うとDくらいか。
「彼女は関係ないから巻き込みたくはない。彼女だけでも逃してやってくれ。」
「おまえが死んでくれたら考えてやるよ。それにエルフは奴隷として高く売れるからなっ」
連続で二人が斬りかかってくるが。お世辞にも連携が取れているとは言えない。ちぐはぐな攻撃で簡単に防げる。
それでもユキナをかばいながら戦うのはまずい。敵が格下であっても時間が経てば人質に取られる可能性だってある。
男の剣で斬りかかってくるのを剣で受けいなす。バランスを崩しよろめく男の土手っ腹に無詠唱で呪文を腹にたたきこむ。
『ライトニング』
電撃が男にあたりギャーという悲鳴が響く。どうやら男は気絶したみたいだ。電気魔法だったら殺さず無力化して捕獲することができる。
もうひとりの男が信じられないような目でこちらを見る。
「くそっ! そんなっ。無詠唱で呪文が使えるなんて。聞いてねえ」
ユキナに攻撃対象を変えたみたいで、それならこれでどうだとユキナに斬りかかる。
「キャッ」とユキナの小さい悲鳴が聞こえる。
ユキナが持っているのは魔法使いの杖だ。剣での攻撃を防ぐのは難しい。
この距離では剣で受けるには間に合わない。ユキナに斬りかかろうとする剣を止めるには少し距離がある。
しょうがないこれで…
呪文『ロックブラスト』を唱える。
地面が突き出た衝撃で男が数メートルは浮いただろうか。地面に落ちてきた男は地面に芋虫のように丸まっていて、うめき声を上げている。
剣を鞘に収めながら「ユキナ。大丈夫か。」と声を掛ける。
「はい。大丈夫です。でもびっくりしましたよカインさん。いきなり襲われるなんて、安心したら腰が抜けましたよ~。」
普通はいきなり町中で襲われるとは思わないし、命の危険にさらされたんだ腰を抜かしてもしょうがないだろう。
「とにかく無事で良かった。後はギルドで処理する。命まで取るのは気が引けるし、2人をギルドに連れて行こう。」
気絶したふりをしてまた襲われても困る。<ライトニング>をもう一度発動し、うめき声を上げている男を気絶させた。
腰が抜け、へたり込んでいるユキナに手を差し出し、引っ張って起こす。
ユキナがカインに抱きつく。
「カインさん。本当に怖かったです。守ってくれてありがとうございます。」
「いやこちらこそすまない。巻き込んでしまった。」
「ほんとうにカインさんは私の王子様です。」
ユキナが顔を赤くしながら抱きついてきた。抱きついた手は力強いが震えている。
「とにかく、この2人をギルドへ連れて行こう。申し訳ないがユキナ手伝ってくれ。」
「わかりました。急に抱きついちゃってごめんなさい。」
「全然構わない。危険に晒したのはこちらの落ち度だ。それにこのことは2人だけの秘密にしてほしい。聞いた人は不安になるだろうし巻き込みたくはない。」
再度、いいね内緒だよ。とじっと目を見て伝える。
「はぅ~そんな見つめないで下さい。もちろん二人だけの秘密ですっ」顔を赤らめながら頷くユキナ
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実の父から家の恥だと言われて勘当され、行く当ても無く、着いた先はゴミだらけの古代遺跡。
そこで打ち捨てられていたゴミが話し掛けてきて、自分は古代兵器で、助けて欲しいと言ってきた。
なるほど。僕が得たのはゴミと意思疎通が出来るスキルなんだ……って、嬉しくないっ!
そんな事を思いながらも、話し込んでしまったし、連れて行ってあげる事に。
だけど、僕はただゴミに協力しているだけなのに、どこかの国の騎士に襲われたり、変な魔法使いに絡まれたり、僕を家から追い出した父や弟が現れたり。
どうして皆、ゴミが欲しいの!? ……って、あれ? いつの間にかゴミスキルが成長して、ゴミの修理が出来る様になっていた。
一先ず、いつも一緒に居るゴミを修理してあげたら、見知らぬ銀髪美少女が居て……って、どういう事!? え、こっちが本当の姿なの!? ……とりあえず服を着てっ!
僕を命の恩人だって言うのはさておき、ご奉仕するっていうのはどういう事……え!? ちょっと待って! それくらい自分で出来るからっ!
それから、銀髪美少女の元仲間だという古代兵器と呼ばれる美少女たちに狙われ、返り討ちにして、可哀想だから修理してあげたら……僕についてくるって!?
待って! 僕に奉仕する順番でケンカするとか、訳が分かんないよっ!
※第○話:主人公視点
挿話○:タイトルに書かれたキャラの視点
となります。
Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!
仁徳
ファンタジー
シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。
しかし彼は、異世界の知識を利用して新な魔法を生み出すスキル【魔学者】を使用できるが、彼はそのスキルを隠し、無能を演じていただけだった。
そうとは知らずに、彼を追放した赤いバラは、今までシロウのサポートのお陰で強くなっていたことを知らずに、ダンジョンに挑む。だが、初めての敗北を経験したり、その後借金を背負ったり地位と名声を失っていく。
一方自由になったシロウは、新な町での冒険者活動で活躍し、一目置かれる存在となりながら、追放したマリーを助けたことで惚れられてしまう。手料理を振る舞ったり、背中を流したり、それはまるで押しかけ女房だった!
これは、チート能力を手に入れてしまったことで、無能を演じたシロウがパーティーを追放され、その後ソロとして活躍して無双すると、他のパーティーから追放されたエルフや魔族といった様々な追放少女が集まり、いつの間にかハーレムパーティーを結成している物語!
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