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サンドタウンと同盟を結ぶ

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 護衛の人たちが持ってくれたので四人で食べた。その後も泳いだり日光浴して休みを満喫した。心身ともに疲れたいたのだろう。体がすごく軽く感じる。

 首長ミトの家でサンドタウンを守ったお祝いをかねてご馳走になった。サンドタウンの食事は肉料理が中心だ。肉を食べるとスタミナがつく。

 「カノン、これ美味しいね。」

 ライカはどんどん肉を食べている。オレの数倍は食べている。どこにそんなに入るのか少し心配になるが、フェンリルには人間の常識は当てはまらないのだろう。

 「ああ。すごく美味しい。元気が出るな。」

 他愛のない話で食事を楽しんだ。



 「皆に聞いてほしい話があるんだ。」

 食事が落ち着いた頃合いを見て、オレはカルスの事を話し始めた。

 「カルスは教会から派遣されていた。数週間前からこの街で怪しいことがあったと思うが、それもカルスが原因だ。暴走もカルスが仕組んだことだと本人が言っていた。」

 ミトが頷きながら聞いている。教会の人間ということは知っていたのだろう。

 「私たちの街に協力すると言っていた教会のカルスが、なぜそんなことしたのかしら。」

 「ああ、ミトを殺そうとしていたらしい。ミトが殺されればこの街の住民は帝国に戦争を仕掛けるだろ。それが一番の狙いだったみたいだ。オレたちが帝国の依頼でミトを殺したと言えば説明がつくとk何が得ていた。」

 「たしかにそうね。見抜けなかった自分が悔しいわ。」

 「しょうがないだろう。カルスが研究者なのは事実だ。まさかそんな人間が裏で糸を引いているなんて思わないさ。」

 「それにしてもよくカルスが教会の人間だって気がついたわね。」

 「色々と不可解な点があったんだが、それは長くなる。割愛させてもらうよ。」

 ミトが頷いた。

 「それでカルスはどこにいったの。」

 ライカがオレの目を見ている。

 「カルスは、昨日オレとオアシスで決闘した。魔人化したカルスは強かったがなんとか倒した。いやオレが殺したんだ。」

 「だからカノンは悲しそうな顔していたのね。」

 「まあそうだ。」

 寂しそうな顔をしたライカがオレの後から抱きついた。

 「友だちだったのにね。」

 「ああ。残念だよ。でも、もう大丈夫だ。オレにはライカやロミがいるからな。」

 ライカの顔が笑顔に変わった。

 「サンドタウンの代表としてはカノンたちにお礼しかないわ。それで、私たちになにか出来ることはないかしら。」

 「そうだな。ミトほど強ければオレたちの冒険に付いてきてほしいが、立場が許さないだろう。気持ちだけ受け取っておくよ。」

 「………そうね。」

 少しミトは不機嫌になった。眉間にシワが寄っている。しょうがないだろう。首長なんだから。

 「ミトには一つだけ確認しておきたい。帝国と争う気はあるのか。隣の公国と仲がいいという噂を聞いているが。」

 「公国とは貿易をしているだけよ、お金をもらっているわけじゃないわ。」

 なるほど。噂は噂だったか。

 「そうか。良かった。帝国は教会の魔の手が迫っている。オレは教会のやることが許せない。もし教会と争いが起きたら協力してほしい。」
 
 「私は首長だけど一存では決められないわ。街の皆で話し合う必要はあると思う。何をするのかにもよるけれど。」

 「そうだな。まだ具体的には決まっている訳じゃないし、何かあったら連絡はさせてもらう。もちろんこれはお願いだ。駄目なら駄目でいいさ。」

 「そう言ってもらえると助かるわ。サンドタウンとカノンたちの同盟ってところかしら。」

 ミトが手を差し出す。オレは手を握り強く握手した。サンドタウンとは友好な関係を築けたみたいだ。

 「カノンたちはいつまでここにいるの。」

 「そうだな。数日中にはサンドタウンを出ようと思っている。調べたいこともあるし、今は連絡待ちだ。」

 「わかった。ちゃんと皆で送別のお祝いはさせてね。急にいなくなっちゃ嫌よ。」

 オレは頷かなかった。

 帝都からロミの従魔、クロスケが帰ってくれば、すぐにでも旅立ちたい。

 「カノン、僕はライカと一緒に先に宿に帰っているよ。ライカが寝そうだ。僕はカルスの研究書も見たい。なにか分かることがあるかもしれないしね。」

 ロミが小さな体でウトウトしていたライカをおんぶしてテントから出ていった。


 ミトと二人っきりになる。昨日のことを思い出して少し気まずい。

 「カノン…もし私があなたにこの街にいてほしいって言ったら居てくれる? 」

 「さっき言った通り、オレは教会の陰謀を止めたい。」

 「たしかにカルスの件は気の毒に思ったわ、それでもいいじゃない。私はカノンといたいの。」

 「それは残念だが無理だな。オレは戦うことでしか生きられない。」

 「バカそんな事ないわよ。」

 ミトが抱きつく。抱きついた体は少し震えていた。

 「カノンが戦場で大変な時間を過ごしたとロミから聞いたわ。それでもカノンにも幸せになる権利はあるじゃない。私はカノンと一緒にいたいのよ。」

 「そう言ってもらえるのは嬉しい。嬉しいが…まずは教会だ。帝国が教会に乗っ取られればまた戦争が始まるだろう。そうなればこの街だけ平和が続くなんてありえない。」

 「それは…そうだけど。」

 「教会の問題を解決すれば、また来るさ。この街のことは気に入っている。」

 「約束して。」

 ミトが小指を差し出す。オレも小指でみ合わせて誓った。


 「カノン、今日はもう用事ないでしょ。今日はずっと一緒に居てほしいな。」

 ミトがオレの目を見て妖しく笑った。
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