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ピラミッドの小部屋

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 体調が良くなったロミを連れてカルスとの食事に向かう。

 ロミとカルスは話が盛り上がっていた。時代は壁画だ。と言っているが、オレには何を知っているのかさっぱりわからない。

 「カノン、彼は本物だ。すごいね。私も頑張らないといけないさ。」

 そう言うとロミが頷いた。

 オレには理解できないが、仲良くなったらならそれでいい。

 「明日は四十階にでも行こうよ。ロミに見せたいものがあるんだ! 」

 カルスもニコニコしている。

 「そうだな。明日は四十階まで行こうか。」

 時間を見ると二時間経っていた。ずっと二人で研究の話をしていた。

 「そろそろ部屋に戻ろう。ロミも明日また熱が出たら、ダンジョンには連れて行かないからな。」

 「もちろんだよカノン。楽しいけど良い時間だ。先に部屋に戻るよ。お休みカルス。」

 「俺も休ませてもらうよ。いやあ今日は楽しかった。」



 部屋に戻るとロミは上機嫌だった。

 「ロミはカルスを気に入ったみたいだな。」

 「カノンには分からないさ。世の中には真に研究を志している研究者がどれだけ少ないことか。明日ダンジョンに行けないと困るからね。先に寝るよ。」

 ロミはそう言うとベッドに入り寝た。

 俺はどうしてもオアシスが見たかった。ライカを連れて街を散歩しよう。

 街中に人の姿は見えない。カルスが言っていた通り、住民は警戒しているのだろう。空を見上げると星が一面に広がり、月も満月に近い。明日にはライカは人間になるな。

 オアシスに着く。

 水の中には夜は入れないみたいだが、水面に星が描かれているように奇麗に見える。

 明日はカルスと約束しているが、それが終わったらオアシスでゆっくりしよう。
 
 「カノンか。」

 後を振り返るとカルスが立っていた。

 「ああ。カルスか。どうしたこんなところに。」

 「俺もカノンと一緒だ。オアシスが見たくなってな。」

 「そうか。」


 カルスト会話はないが特に不快には感じない。ただオアシスを座って、見ている。

 「そういえば、ロミが喜んでいたぞ。カルスは本物の研究者だって。」

 「それはありがたい。ロミも凄かった。あれは本物の天才だ。」

 そう言うとカルスが嬉しそうに笑った。

 「また首長たちに言いがかりを付けられてもごめんだ。先に宿に帰るよ。」

 「俺はもう少しだけここにいようかな。」

 オレとライカは先に宿に戻った。



 翌朝、カルスとダンジョンに向かう。ロミとずっと話をしていて、オレとライカは敵を倒すのが仕事になりそうだ。

 昨日、攻略した三十階まで無傷で上がり、一度休憩する。途中で何度もカルストロミが立ち止まり、議論が始るから、朝一に出たのにもう昼を過ぎていた。

 「このままだと日が暮れてしまう。一気に四十階まで行こう。」

 全員が頷く。

 四十階の扉を開けると、蟹ロードが二匹いた。

 蟹の動きは蠍よりも早い。横には素早く動けるらしい。

 「ライカ、前に出るぞ!右を担当してくれ! 」

 ライカとオレが前衛で、後衛はロミだ。

 ロミが上級雷撃魔法サンダーボルトを放つ。

 蟹の動きが止まる。蟹は雷に弱いようだ。

 オレは草薙の剣で斬る。

 硬いが蠍以下だ。草薙の剣でサクッと斬れる。

 一撃で蟹を倒せた。

 ライカは昨日オレが指導した通り、頭を使って戦っているみたいだ。素早く左の腕を噛み取る。

 その後も勝っているスピードで優位に進め、右の腕も噛みちぎった。

 ロミの魔法があったから、楽な戦闘だった。

 魔石を拾いながら、カルスに話しかけた。「もう大丈夫だ。好きに研究をしてくれ。」

 「ああ、ありがとう。ロミこれなんだけどキミはどう思う。」

 二人だけの世界が始まった。オレはライカと模擬戦でもして時間をつぶす。


 まだまだ時間はかかりそうだ。

 壁に腰掛けて座ろうとすると、壁が回転して開く。どうも奥に小部屋があるようだ。

 「おい、この中も何か壁に書かれているぞ。」

 ロミとカルスが倒れているオレには目もくれず個室に入り、壁とにらめっこしている。少しくらい気遣ってくれてもいいだろう。

 起き上がり、置かれている宝箱を開けた。

 そこには魔法具だろうか。指輪が置かれている。

 「これは指輪か。」

 手に取り観察する。

 「それが伝説の指輪です。それを探していたんです。小部屋にあったからダンジョンで見つからなかったのか。」

 「カノンさん、それ俺に貸してくれませんか。研究が終わったら返しますから。」

 カルスがこちらを物欲しそうな顔で見ている。ロミも頷く。良いということだろう。

 カロスに指輪を渡した。

 また二人の話が始まった。暇だ。せっかくだし少しだけ寝よう。




 どれくらいの時間が経っただろうか。体感ではもう夕暮れも近い。

 ライカの変化もあるし、そろそろ戻らないとな。

 「二人とも、そろそろ街に帰らないか。」

 「ああ。カノン感謝するよ。この指輪が見つかれば古代史の研究がまた進められる。」

 「カノン、大手柄だね。僕も楽しかったよ。」
 
 歩いて階段を降ろうとした時に、カルスが言った。

 「俺さっきの小部屋に忘れ物したみたいだ。少し先に行っていてください。」

 「大丈夫か。ここで待っていてもいいが。」

 「いえ。すぐに終わりますから。俺、走るのだけは速いので。」

 そう言うとカルスが小部屋に走っていった。

 オレはロミとライカとゆっくりと戻る。すぐにカルスが追いついてきた。


 ダンジョンを出ると、街が騒がしい。叫び声がが聞こえて、火も上がっているようだ。

 「何かあったみたいだ。急ごう。」

 走って街に向かう。首長たちが蠍や蟹と戦っているようだ。

 
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