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団長エドガーの災難Ⅹ凋落
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親父ルノガ―に掛け合うが、その後も数時間に渡ってこっぴどく説教された。
騎士団団長として自覚が足りないだの、カノンと比べてダメだだの。
俺様がカノンに負けている。嘘だろ。
とにかく反省しているふりをして、なんとか逃れた。
ストレスも溜まっているし、後でシイナにたっぷりと甘えよう。
帝都の飲み屋でシイナたちと憂さ晴らしを兼ねて飲んでいた。
皆上手く行かずにイライラが募っているようだ。
俺様が奢ってやって団長としての器の大きさを見せつけないと。
「ねえ、やっぱり私たちにカノンって必要だったんじゃないかしら。」
シイナがぽそりと呟く。
血が沸騰する。
「あ? 今、何か言ったかシイナ。」
俺様より先に怒ったのはクロスナーだった。
「今日だってダンジョン二十階のボスですら苦戦したわ。フラメルのバフの効きも弱いし、これってカノンがいた頃はなかったわよね。」
フラメルが珍しく感情を露わにして、立ち上がる。
「僕のせいにするっていうのか。僕は今までと同じようにバフもかけたし、抜かりなく動いていたさ。」
「まあ、座れよ。フラメル。誰もお前を責めてはいない。」
本当はフラメルのせいだと思っているけど、団長らしく振る舞わないと。
「偉そうに言ってるけど、森でのウルフ戦も今日も攻撃食らってるのは団長だぜ。」
カッチーン。はい。こいつしめる。庇ってやったのにそんなこともわからないのか雑魚が。
立ち上がりフラメルの胸ぐらを掴む。
「俺様やクロスナーは前線で体張ってんだ。後衛でちんたらしているお前が言っていいセリフじゃないだろ。」
フラメルも睨み返してきた。
「いい加減にしてよ。」
シイナが止めに入る。
「王様だって、ルノガ―将軍だってカノンが必要だから、連れてこいって言ってるんでしょ。このままじゃ私たち貴族も剥奪されるわよ。それに教会だって怒っている。」
教会のことを出されると皆、何も言えなくなる。
教会のサポートあっての豪遊が出来ているのだから当然だ。教会から見捨てられては困る。
「シイナの言うことは分かるが、俺たちがカノンに頭下げるのはゴメンだぜ。」
よく言った。クロスナー。
「まあクロスナーの言うことは分かる。ただ今この場にカノンはいない。どちらにせよアイツに会わなくてはいけないな。」
酒を飲み干し、もう一杯注文する。
「どうするの。エドガー。策でもあるの。」
「ああ。一応考えはある。あのギルドの女、たしかニーナと言ったか。アイツはカノンは東に行ったと言っていたが、あの女はカノンを庇っている。恐らく向かったのは反対側の西だろう。」
俺様の推理が外れるわけないんだ。
「たしかに。そうかもしれないわね。」
「ああ。魔法都市マジクトなら魔法使いも多くてローブで身も隠しやすいしな。」
たしかにと皆が頷く。俺様は気を良くして続ける。
「カノン捜索はどうなるかわからんが、依頼がくれば西から向かおう。もちろん密告がある可能性も高いし、そうすれば具体的なカノンの位置もわかるだろうしな。」
「さすがは団長だわ。」
ふふん。シイナめ俺様が喜ぶツボを良く知っている。
「団長は偉そうに言ってるけど、俺は納得できない。どうせ魔法使いを下に見てるんだろ。」
フラメルが突っかかってくる。フラメルからすると面白くないのだろう。
「その話はさっき終わっただろ。」
「いいや。終わってないね。戦闘中もそうだ。役立たずだの、魔力がすぐ尽きるだの言われてついていけないね。」
グチグチとしつこいやつだ。酒が入るとフラメルはダメだな。
「そうは思っていない。俺たちにフラメルは必要なんだ。」
「ふん。偉そうに。剣をダンジョンに落として怒られた癖によくそんなに偉そうにできるな。」
さすがに切れた。ぶっ殺す。
「おい、フラメルいい加減にしろ。一度ぶっ殺されねえと分からねえのか。」
立ち上がり再度、フラメルの胸ぐらを掴む。
「カッコつけてろ。僕が魔法使いとして騎士団を支えてきたんだ。団長は偉そうにしたるだけだろ。」
「てめえ。」
殴ろうとすると、他で飲んでいる冒険者から野次が飛ぶ。
「騎士団同士がやりあってるぞ。」「ケンカだケンカ」「戦争では活躍したらしいが、戦争が終ってからは騎士団はお荷物らしいぜ。」「他の街の奴らも言ってた。調子に乗るなよお荷物騎士団。」
酔っ払いにバカにされるなんて許せない。
俺様は帝国の騎士団の団長だぞ。
俺様はフラメルを持っていった手を離し、なめたことを言った酔っぱらいを殴った。
酔っ払いが倒れ込む。
汚え冒険者風情が、騎士団様に偉そうに言ってんじゃねえ。
その後、他の冒険者が俺に殴りかかってくる。
上等だ。全員ぶっ殺してやる。
こんな雑魚どもに俺様が遅れを取るわけがない。
殴っては殴られを繰り返す。
通報があったのだろう。憲兵が入ってきた。
「お前たち。動くな! 」
これで俺様をバカにした冒険者は捕まる。
「お前、大人しく着いてこい。」
なっなぜ俺様たちが連れて行かれるんだ。
紐で縛られる。痛い。乱暴に扱うな。
「ふざけんな。俺様たちは絡まれたんだ。なぜ俺様たちが連れて行かれるんだ。」
「うるさい。言い訳するな。通報では先に騎士団が殴ったと聞いているぞ。言い訳は牢屋で聞く。」
乱闘騒ぎでなぜ俺様が取り押さえられるんだ。
それに牢屋だって。ふざけるな。俺様は天下の騎士団団長様だぞ!
騎士団団長として自覚が足りないだの、カノンと比べてダメだだの。
俺様がカノンに負けている。嘘だろ。
とにかく反省しているふりをして、なんとか逃れた。
ストレスも溜まっているし、後でシイナにたっぷりと甘えよう。
帝都の飲み屋でシイナたちと憂さ晴らしを兼ねて飲んでいた。
皆上手く行かずにイライラが募っているようだ。
俺様が奢ってやって団長としての器の大きさを見せつけないと。
「ねえ、やっぱり私たちにカノンって必要だったんじゃないかしら。」
シイナがぽそりと呟く。
血が沸騰する。
「あ? 今、何か言ったかシイナ。」
俺様より先に怒ったのはクロスナーだった。
「今日だってダンジョン二十階のボスですら苦戦したわ。フラメルのバフの効きも弱いし、これってカノンがいた頃はなかったわよね。」
フラメルが珍しく感情を露わにして、立ち上がる。
「僕のせいにするっていうのか。僕は今までと同じようにバフもかけたし、抜かりなく動いていたさ。」
「まあ、座れよ。フラメル。誰もお前を責めてはいない。」
本当はフラメルのせいだと思っているけど、団長らしく振る舞わないと。
「偉そうに言ってるけど、森でのウルフ戦も今日も攻撃食らってるのは団長だぜ。」
カッチーン。はい。こいつしめる。庇ってやったのにそんなこともわからないのか雑魚が。
立ち上がりフラメルの胸ぐらを掴む。
「俺様やクロスナーは前線で体張ってんだ。後衛でちんたらしているお前が言っていいセリフじゃないだろ。」
フラメルも睨み返してきた。
「いい加減にしてよ。」
シイナが止めに入る。
「王様だって、ルノガ―将軍だってカノンが必要だから、連れてこいって言ってるんでしょ。このままじゃ私たち貴族も剥奪されるわよ。それに教会だって怒っている。」
教会のことを出されると皆、何も言えなくなる。
教会のサポートあっての豪遊が出来ているのだから当然だ。教会から見捨てられては困る。
「シイナの言うことは分かるが、俺たちがカノンに頭下げるのはゴメンだぜ。」
よく言った。クロスナー。
「まあクロスナーの言うことは分かる。ただ今この場にカノンはいない。どちらにせよアイツに会わなくてはいけないな。」
酒を飲み干し、もう一杯注文する。
「どうするの。エドガー。策でもあるの。」
「ああ。一応考えはある。あのギルドの女、たしかニーナと言ったか。アイツはカノンは東に行ったと言っていたが、あの女はカノンを庇っている。恐らく向かったのは反対側の西だろう。」
俺様の推理が外れるわけないんだ。
「たしかに。そうかもしれないわね。」
「ああ。魔法都市マジクトなら魔法使いも多くてローブで身も隠しやすいしな。」
たしかにと皆が頷く。俺様は気を良くして続ける。
「カノン捜索はどうなるかわからんが、依頼がくれば西から向かおう。もちろん密告がある可能性も高いし、そうすれば具体的なカノンの位置もわかるだろうしな。」
「さすがは団長だわ。」
ふふん。シイナめ俺様が喜ぶツボを良く知っている。
「団長は偉そうに言ってるけど、俺は納得できない。どうせ魔法使いを下に見てるんだろ。」
フラメルが突っかかってくる。フラメルからすると面白くないのだろう。
「その話はさっき終わっただろ。」
「いいや。終わってないね。戦闘中もそうだ。役立たずだの、魔力がすぐ尽きるだの言われてついていけないね。」
グチグチとしつこいやつだ。酒が入るとフラメルはダメだな。
「そうは思っていない。俺たちにフラメルは必要なんだ。」
「ふん。偉そうに。剣をダンジョンに落として怒られた癖によくそんなに偉そうにできるな。」
さすがに切れた。ぶっ殺す。
「おい、フラメルいい加減にしろ。一度ぶっ殺されねえと分からねえのか。」
立ち上がり再度、フラメルの胸ぐらを掴む。
「カッコつけてろ。僕が魔法使いとして騎士団を支えてきたんだ。団長は偉そうにしたるだけだろ。」
「てめえ。」
殴ろうとすると、他で飲んでいる冒険者から野次が飛ぶ。
「騎士団同士がやりあってるぞ。」「ケンカだケンカ」「戦争では活躍したらしいが、戦争が終ってからは騎士団はお荷物らしいぜ。」「他の街の奴らも言ってた。調子に乗るなよお荷物騎士団。」
酔っ払いにバカにされるなんて許せない。
俺様は帝国の騎士団の団長だぞ。
俺様はフラメルを持っていった手を離し、なめたことを言った酔っぱらいを殴った。
酔っ払いが倒れ込む。
汚え冒険者風情が、騎士団様に偉そうに言ってんじゃねえ。
その後、他の冒険者が俺に殴りかかってくる。
上等だ。全員ぶっ殺してやる。
こんな雑魚どもに俺様が遅れを取るわけがない。
殴っては殴られを繰り返す。
通報があったのだろう。憲兵が入ってきた。
「お前たち。動くな! 」
これで俺様をバカにした冒険者は捕まる。
「お前、大人しく着いてこい。」
なっなぜ俺様たちが連れて行かれるんだ。
紐で縛られる。痛い。乱暴に扱うな。
「ふざけんな。俺様たちは絡まれたんだ。なぜ俺様たちが連れて行かれるんだ。」
「うるさい。言い訳するな。通報では先に騎士団が殴ったと聞いているぞ。言い訳は牢屋で聞く。」
乱闘騒ぎでなぜ俺様が取り押さえられるんだ。
それに牢屋だって。ふざけるな。俺様は天下の騎士団団長様だぞ!
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