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ノース鉱山防衛戦Ⅲ 合流

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 ノース鉱山の街までライカに乗って飛ばして戻る。

 スタンビートと衝突する声が聞こえてから、30分くらい経っただろうか。

 街に近づく毎に男たちの叫び声が大きくなってくる。

 よかった。なんとか間に合いそうだ。

 「ライカ。北の門まで急ごう。多分そこにニーナさんも居るはずだ。指示を仰ごう。」

 ライカがワオンと言い風のように走る。

 振り落とされそうな速度だ。なんとかしがみつく。

 どんどん街が大きくなってくる。

 



 街に入るとまだ街中に魔獣の姿は見えない。

 北門の防衛線で魔獣の群れを止められているのだろう。

 街中を一気に駆ける。

 北門の監視塔に着く。ライカから降りて、階段を駆け上る。

 「ライカは少し休んでいてくれ。」

 そう言うと、ワオンとライカが返事をした。
 
 ニーナさんが塔の上から、厳しい顔で戦況を見つめている。

 「ニーナさん。」

 ニーナに話しかける。

 「誰よこんな忙しい時に。…ってカノンさん。どうしてここに。街の皆は無事ですか。」

 ライカがいたからこの速度で戻ってこれたんだ。速さから見て、不審に思うのは当たり前だろう。

 「途中でサンタルークから派遣された冒険者と合流しましたので、街の皆を引き渡しました。サンタルークまでは魔獣の姿はなかったみたいので、もう安全です。」

 「そうなんですね。よかった。」

 ニーナさんが安心した様にホッとしたようだ。

 「それで、どれくらいで助けは来そうなの。」

 「残念ですが、良く見積もっても。後1時間はかかると思います。」

 ニーナさんの顔が曇る。

 「そう。ちょっとまずいわね。」

 塔から見下ろすと、道いっぱいに魔獣の群れが見える。数は300くらいだろうか。道一面に今日ダンジョンで目撃した魔獣がうじゃうじゃひしめいている。
 

 30分戦っていても魔獣の数が減っている様には見えない。

 それだけ魔獣の数が増えているのだろう。

 このままでは城門前を突破されるのは時間の問題だ。


 ニーナさんが大声で戦っている男たちに叫ぶ。

 「街の皆は無事に保護されました! 後は勝つだけです。」

 男たちは魔獣と戦いながら叫ぶ。

 疲れから少しずつ動きが鈍ってきていたが、また力を取り戻したみたいだ。動きが良くなった。

 
 「それで、カノンさんはどんな魔法を使ってここまで戻ってきたの。」

 「ライカに引っ張らせて荷車を運びました。後は、歩いている全員に速度アップのバフをかけたので速く移動できたんだと思います。」

 ニーナさんが驚いた顔になる。顎を手で抑えて何かを考えているようだ。

 「それで僕は何をすればいいのでしょうか。」

 「カノンさんの実力を信じてお願いしたいんだけど、ライカさんと魔獣の中を突っ切ってダンジョンの入り口の扉を閉めてもらえるかしら。もちろん扉が壊されている可能性もあるけれど、サンドラは閉めたとは言っていないから、扉さえ閉めてしまえば新しく魔獣が出てくることはないと思うの。」
 
 たしかに魔獣の群れに目を向けると、鉱山の入り口からもぞろぞろと出てきている。

 「わかりました。それでは、さっそく行きますね。右前が突破されそうなので、そこだけ魔獣を削ったら突っ走ります。」

 「お願いしておいて聞くのはあれだけど…本当に大丈夫なの。」

 力強く頷く。

 「もちろんです。全てダンジョンで見た敵なので問題はないです。念のため、皆にバフの魔法をかけておきますよ。」

 「わかったカノンあなたを信じるわ。この戦いが無事に終わったら、ご褒美あげるわ。後、あなたカノンって呼んだら反応していたわよ。」

 そう言うとニーナが笑った。

 「つい反応しちゃいました。ご褒美楽しみにしておきます。さっそく行きますね。」

 オレは塔の上から飛び降りる。後ろからニーナさんの悲鳴が聞こえた気がするが、驚いたからだろう。

 空中で降りながら、最上級火炎魔法インフェルノを防衛線を突破しようとしている魔獣の群れに放つ。

 上手く着地して、叫ぶ。

 「皆、オレが切り開く。なんとか持ちこたえてくれ。」

 目の前の数十に及ぶ敵が一瞬で焼き消えた。

 それを見た男たちが歓声を上げる。

 見渡すと、男たちは傷ついている。肩で息をしているし疲労もピークだ。

 ギリギリのところで持ちこたえている。

 回復してあげたいが、キリがなく出現している魔獣の群れを止めるのが先だ。

 戦っている皆に速度アップ・攻撃力アップ・防御力アップを重ねてかける。

 「バフを掛けた。街は頼んだぞ! 」

 そう言うと笛を吹いてライカを呼ぶ。

 門から走ってきたライカに飛び乗り、鉱山を目指す。

 目の前の魔獣だけ剣で薙ぎ払い、他は無視する。

 ライカの速度は緩めさせない。

 全速力で進む。

 途中でキングサイズの骸骨ロードが見えたが、一旦後回しだ。

 ダンジョンの扉の封鎖が最初のミッションだ。



 鉱山の入り口から道は狭くなる。人間が数人しか入れない広さだ。

 道に広がる魔獣をインフェルノで一掃して、前へ進む。

 ダンジョンの扉が見えた。

 扉の前にも敵がうようよといる。

 「邪魔だ。道を開けろ! 」

 もう一発、インフェルノをお見舞いして、扉の前にいた魔獣の群れを屠る。

 ダンジョンの扉から出てきそうな敵を蹴飛ばして、扉を締めて、栓をする。

 よかった。扉は壊されていないみたいだ。

 これで魔獣ももう出てこないはずだ。

 最初のミッションは完了だ。
 
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