18 / 90
ノース鉱山防衛戦Ⅲ 合流
しおりを挟む
ノース鉱山の街までライカに乗って飛ばして戻る。
スタンビートと衝突する声が聞こえてから、30分くらい経っただろうか。
街に近づく毎に男たちの叫び声が大きくなってくる。
よかった。なんとか間に合いそうだ。
「ライカ。北の門まで急ごう。多分そこにニーナさんも居るはずだ。指示を仰ごう。」
ライカがワオンと言い風のように走る。
振り落とされそうな速度だ。なんとかしがみつく。
どんどん街が大きくなってくる。
◇
街に入るとまだ街中に魔獣の姿は見えない。
北門の防衛線で魔獣の群れを止められているのだろう。
街中を一気に駆ける。
北門の監視塔に着く。ライカから降りて、階段を駆け上る。
「ライカは少し休んでいてくれ。」
そう言うと、ワオンとライカが返事をした。
ニーナさんが塔の上から、厳しい顔で戦況を見つめている。
「ニーナさん。」
ニーナに話しかける。
「誰よこんな忙しい時に。…ってカノンさん。どうしてここに。街の皆は無事ですか。」
ライカがいたからこの速度で戻ってこれたんだ。速さから見て、不審に思うのは当たり前だろう。
「途中でサンタルークから派遣された冒険者と合流しましたので、街の皆を引き渡しました。サンタルークまでは魔獣の姿はなかったみたいので、もう安全です。」
「そうなんですね。よかった。」
ニーナさんが安心した様にホッとしたようだ。
「それで、どれくらいで助けは来そうなの。」
「残念ですが、良く見積もっても。後1時間はかかると思います。」
ニーナさんの顔が曇る。
「そう。ちょっとまずいわね。」
塔から見下ろすと、道いっぱいに魔獣の群れが見える。数は300くらいだろうか。道一面に今日ダンジョンで目撃した魔獣がうじゃうじゃひしめいている。
30分戦っていても魔獣の数が減っている様には見えない。
それだけ魔獣の数が増えているのだろう。
このままでは城門前を突破されるのは時間の問題だ。
ニーナさんが大声で戦っている男たちに叫ぶ。
「街の皆は無事に保護されました! 後は勝つだけです。」
男たちは魔獣と戦いながら叫ぶ。
疲れから少しずつ動きが鈍ってきていたが、また力を取り戻したみたいだ。動きが良くなった。
「それで、カノンさんはどんな魔法を使ってここまで戻ってきたの。」
「ライカに引っ張らせて荷車を運びました。後は、歩いている全員に速度アップのバフをかけたので速く移動できたんだと思います。」
ニーナさんが驚いた顔になる。顎を手で抑えて何かを考えているようだ。
「それで僕は何をすればいいのでしょうか。」
「カノンさんの実力を信じてお願いしたいんだけど、ライカさんと魔獣の中を突っ切ってダンジョンの入り口の扉を閉めてもらえるかしら。もちろん扉が壊されている可能性もあるけれど、サンドラは閉めたとは言っていないから、扉さえ閉めてしまえば新しく魔獣が出てくることはないと思うの。」
たしかに魔獣の群れに目を向けると、鉱山の入り口からもぞろぞろと出てきている。
「わかりました。それでは、さっそく行きますね。右前が突破されそうなので、そこだけ魔獣を削ったら突っ走ります。」
「お願いしておいて聞くのはあれだけど…本当に大丈夫なの。」
力強く頷く。
「もちろんです。全てダンジョンで見た敵なので問題はないです。念のため、皆にバフの魔法をかけておきますよ。」
「わかったカノンあなたを信じるわ。この戦いが無事に終わったら、ご褒美あげるわ。後、あなたカノンって呼んだら反応していたわよ。」
そう言うとニーナが笑った。
「つい反応しちゃいました。ご褒美楽しみにしておきます。さっそく行きますね。」
オレは塔の上から飛び降りる。後ろからニーナさんの悲鳴が聞こえた気がするが、驚いたからだろう。
空中で降りながら、最上級火炎魔法インフェルノを防衛線を突破しようとしている魔獣の群れに放つ。
上手く着地して、叫ぶ。
「皆、オレが切り開く。なんとか持ちこたえてくれ。」
目の前の数十に及ぶ敵が一瞬で焼き消えた。
それを見た男たちが歓声を上げる。
見渡すと、男たちは傷ついている。肩で息をしているし疲労もピークだ。
ギリギリのところで持ちこたえている。
回復してあげたいが、キリがなく出現している魔獣の群れを止めるのが先だ。
戦っている皆に速度アップ・攻撃力アップ・防御力アップを重ねてかける。
「バフを掛けた。街は頼んだぞ! 」
そう言うと笛を吹いてライカを呼ぶ。
門から走ってきたライカに飛び乗り、鉱山を目指す。
目の前の魔獣だけ剣で薙ぎ払い、他は無視する。
ライカの速度は緩めさせない。
全速力で進む。
途中でキングサイズの骸骨ロードが見えたが、一旦後回しだ。
ダンジョンの扉の封鎖が最初のミッションだ。
鉱山の入り口から道は狭くなる。人間が数人しか入れない広さだ。
道に広がる魔獣をインフェルノで一掃して、前へ進む。
ダンジョンの扉が見えた。
扉の前にも敵がうようよといる。
「邪魔だ。道を開けろ! 」
もう一発、インフェルノをお見舞いして、扉の前にいた魔獣の群れを屠る。
ダンジョンの扉から出てきそうな敵を蹴飛ばして、扉を締めて、栓をする。
よかった。扉は壊されていないみたいだ。
これで魔獣ももう出てこないはずだ。
最初のミッションは完了だ。
スタンビートと衝突する声が聞こえてから、30分くらい経っただろうか。
街に近づく毎に男たちの叫び声が大きくなってくる。
よかった。なんとか間に合いそうだ。
「ライカ。北の門まで急ごう。多分そこにニーナさんも居るはずだ。指示を仰ごう。」
ライカがワオンと言い風のように走る。
振り落とされそうな速度だ。なんとかしがみつく。
どんどん街が大きくなってくる。
◇
街に入るとまだ街中に魔獣の姿は見えない。
北門の防衛線で魔獣の群れを止められているのだろう。
街中を一気に駆ける。
北門の監視塔に着く。ライカから降りて、階段を駆け上る。
「ライカは少し休んでいてくれ。」
そう言うと、ワオンとライカが返事をした。
ニーナさんが塔の上から、厳しい顔で戦況を見つめている。
「ニーナさん。」
ニーナに話しかける。
「誰よこんな忙しい時に。…ってカノンさん。どうしてここに。街の皆は無事ですか。」
ライカがいたからこの速度で戻ってこれたんだ。速さから見て、不審に思うのは当たり前だろう。
「途中でサンタルークから派遣された冒険者と合流しましたので、街の皆を引き渡しました。サンタルークまでは魔獣の姿はなかったみたいので、もう安全です。」
「そうなんですね。よかった。」
ニーナさんが安心した様にホッとしたようだ。
「それで、どれくらいで助けは来そうなの。」
「残念ですが、良く見積もっても。後1時間はかかると思います。」
ニーナさんの顔が曇る。
「そう。ちょっとまずいわね。」
塔から見下ろすと、道いっぱいに魔獣の群れが見える。数は300くらいだろうか。道一面に今日ダンジョンで目撃した魔獣がうじゃうじゃひしめいている。
30分戦っていても魔獣の数が減っている様には見えない。
それだけ魔獣の数が増えているのだろう。
このままでは城門前を突破されるのは時間の問題だ。
ニーナさんが大声で戦っている男たちに叫ぶ。
「街の皆は無事に保護されました! 後は勝つだけです。」
男たちは魔獣と戦いながら叫ぶ。
疲れから少しずつ動きが鈍ってきていたが、また力を取り戻したみたいだ。動きが良くなった。
「それで、カノンさんはどんな魔法を使ってここまで戻ってきたの。」
「ライカに引っ張らせて荷車を運びました。後は、歩いている全員に速度アップのバフをかけたので速く移動できたんだと思います。」
ニーナさんが驚いた顔になる。顎を手で抑えて何かを考えているようだ。
「それで僕は何をすればいいのでしょうか。」
「カノンさんの実力を信じてお願いしたいんだけど、ライカさんと魔獣の中を突っ切ってダンジョンの入り口の扉を閉めてもらえるかしら。もちろん扉が壊されている可能性もあるけれど、サンドラは閉めたとは言っていないから、扉さえ閉めてしまえば新しく魔獣が出てくることはないと思うの。」
たしかに魔獣の群れに目を向けると、鉱山の入り口からもぞろぞろと出てきている。
「わかりました。それでは、さっそく行きますね。右前が突破されそうなので、そこだけ魔獣を削ったら突っ走ります。」
「お願いしておいて聞くのはあれだけど…本当に大丈夫なの。」
力強く頷く。
「もちろんです。全てダンジョンで見た敵なので問題はないです。念のため、皆にバフの魔法をかけておきますよ。」
「わかったカノンあなたを信じるわ。この戦いが無事に終わったら、ご褒美あげるわ。後、あなたカノンって呼んだら反応していたわよ。」
そう言うとニーナが笑った。
「つい反応しちゃいました。ご褒美楽しみにしておきます。さっそく行きますね。」
オレは塔の上から飛び降りる。後ろからニーナさんの悲鳴が聞こえた気がするが、驚いたからだろう。
空中で降りながら、最上級火炎魔法インフェルノを防衛線を突破しようとしている魔獣の群れに放つ。
上手く着地して、叫ぶ。
「皆、オレが切り開く。なんとか持ちこたえてくれ。」
目の前の数十に及ぶ敵が一瞬で焼き消えた。
それを見た男たちが歓声を上げる。
見渡すと、男たちは傷ついている。肩で息をしているし疲労もピークだ。
ギリギリのところで持ちこたえている。
回復してあげたいが、キリがなく出現している魔獣の群れを止めるのが先だ。
戦っている皆に速度アップ・攻撃力アップ・防御力アップを重ねてかける。
「バフを掛けた。街は頼んだぞ! 」
そう言うと笛を吹いてライカを呼ぶ。
門から走ってきたライカに飛び乗り、鉱山を目指す。
目の前の魔獣だけ剣で薙ぎ払い、他は無視する。
ライカの速度は緩めさせない。
全速力で進む。
途中でキングサイズの骸骨ロードが見えたが、一旦後回しだ。
ダンジョンの扉の封鎖が最初のミッションだ。
鉱山の入り口から道は狭くなる。人間が数人しか入れない広さだ。
道に広がる魔獣をインフェルノで一掃して、前へ進む。
ダンジョンの扉が見えた。
扉の前にも敵がうようよといる。
「邪魔だ。道を開けろ! 」
もう一発、インフェルノをお見舞いして、扉の前にいた魔獣の群れを屠る。
ダンジョンの扉から出てきそうな敵を蹴飛ばして、扉を締めて、栓をする。
よかった。扉は壊されていないみたいだ。
これで魔獣ももう出てこないはずだ。
最初のミッションは完了だ。
0
お気に入りに追加
983
あなたにおすすめの小説
神様との賭けに勝ったので、スキルを沢山貰えた件。
猫丸
ファンタジー
ある日の放課後。突然足元に魔法陣が現れると、気付けば目の前には神を名乗る存在が居た。
そこで神は異世界に送るからスキルを1つ選べと言ってくる。
あれ?これもしかして頑張ったらもっと貰えるパターンでは?
そこで彼は思った――もっと欲しい!
欲をかいた少年は神様に賭けをしないかと提案した。
神様とゲームをすることになった悠斗はその結果――
※過去に投稿していたものを大きく加筆修正したものになります。
せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います
霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。
得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。
しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。
傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。
基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。
が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。
完結【真】ご都合主義で生きてます。-創生魔法で思った物を創り、現代知識を使い世界を変える-
ジェルミ
ファンタジー
魔法は5属性、無限収納のストレージ。
自分の望んだものを創れる『創生魔法』が使える者が現れたら。
28歳でこの世を去った佐藤は、異世界の女神により転移を誘われる。
そして女神が授けたのは、想像した事を実現できる創生魔法だった。
安定した収入を得るために創生魔法を使い生産チートを目指す。
いずれは働かず、寝て暮らせる生活を目指して!
この世界は無い物ばかり。
現代知識を使い生産チートを目指します。
※カクヨム様にて1日PV数10,000超え、同時掲載しております。
チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい
616號
ファンタジー
不慮の事故に遭い異世界に転移した主人公アキトは、強さや魔法を思い通り設定できるチートを手に入れた。ダンジョンや迷宮などが数多く存在し、それに加えて異世界からの侵略も日常的にある世界でチートすぎる魔法を次々と編み出して、自由にそして気ままに生きていく冒険物語。
【しっかり書き換え版】『異世界でたった1人の日本人』~ 異世界で日本の神の加護を持つたった1人の男~
石のやっさん
ファンタジー
12/17 13時20分 HOT男性部門1位 ファンタジー日間 1位 でした。
ありがとうございます
主人公の神代理人(かみしろ りひと)はクラスの異世界転移に巻き込まれた。
転移前に白い空間にて女神イシュタスがジョブやスキルを与えていたのだが、理人の番が来た時にイシュタスの顔色が変わる。「貴方神臭いわね」そう言うと理人にだけジョブやスキルも与えずに異世界に転移をさせた。
ジョブやスキルの無い事から早々と城から追い出される事が決まった、理人の前に天照の分体、眷属のアマ=テラス事『テラスちゃん』が現れた。
『異世界の女神は誘拐犯なんだ』とリヒトに話し、神社の宮司の孫の理人に異世界でも生きられるように日本人ならではの力を授けてくれた。
ここから『異世界でたった1人の日本人、理人の物語』がスタートする
「『異世界でたった1人の日本人』 私達を蔑ろにしチート貰ったのだから返して貰いますね」が好評だったのですが...昔に書いて小説らしくないのでしっかり書き始めました。
復讐完遂者は吸収スキルを駆使して成り上がる 〜さあ、自分を裏切った初恋の相手へ復讐を始めよう〜
サイダーボウイ
ファンタジー
「気安く私の名前を呼ばないで! そうやってこれまでも私に付きまとって……ずっと鬱陶しかったのよ!」
孤児院出身のナードは、初恋の相手セシリアからそう吐き捨てられ、パーティーを追放されてしまう。
淡い恋心を粉々に打ち砕かれたナードは失意のどん底に。
だが、ナードには、病弱な妹ノエルの生活費を稼ぐために、冒険者を続けなければならないという理由があった。
1人決死の覚悟でダンジョンに挑むナード。
スライム相手に死にかけるも、その最中、ユニークスキル【アブソープション】が覚醒する。
それは、敵のLPを吸収できるという世界の掟すらも変えてしまうスキルだった。
それからナードは毎日ダンジョンへ入り、敵のLPを吸収し続けた。
増やしたLPを消費して、魔法やスキルを習得しつつ、ナードはどんどん強くなっていく。
一方その頃、セシリアのパーティーでは仲間割れが起こっていた。
冒険者ギルドでの評判も地に落ち、セシリアは徐々に追いつめられていくことに……。
これは、やがて勇者と呼ばれる青年が、チートスキルを駆使して最強へと成り上がり、自分を裏切った初恋の相手に復讐を果たすまでの物語である。
[鑑定]スキルしかない俺を追放したのはいいが、貴様らにはもう関わるのはイヤだから、さがさないでくれ!
どら焼き
ファンタジー
ついに!第5章突入!
舐めた奴らに、真実が牙を剥く!
何も説明無く、いきなり異世界転移!らしいのだが、この王冠つけたオッサン何を言っているのだ?
しかも、ステータスが文字化けしていて、スキルも「鑑定??」だけって酷くない?
訳のわからない言葉?を発声している王女?と、勇者らしい同級生達がオレを城から捨てやがったので、
なんとか、苦労して宿代とパン代を稼ぐ主人公カザト!
そして…わかってくる、この異世界の異常性。
出会いを重ねて、なんとか元の世界に戻る方法を切り開いて行く物語。
主人公の直接復讐する要素は、あまりありません。
相手方の、あまりにも酷い自堕落さから出てくる、ざまぁ要素は、少しづつ出てくる予定です。
ハーレム要素は、不明とします。
復讐での強制ハーレム要素は、無しの予定です。
追記
2023/07/21 表紙絵を戦闘モードになったあるヤツの参考絵にしました。
8月近くでなにが、変形するのかわかる予定です。
2024/02/23
アルファポリスオンリーを解除しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる