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ノース鉱山防衛戦Ⅱ 決起
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ライカと一緒に急いで広場へ向かう。
さっきよりもどんどんと地鳴りが大きく響いている。数十分で魔獣の群れは街まで到着するだろう。
頭領が皆の前に立ち、宣言する。
「スタンビートだ。女、子どもはサンタルークまで避難する。体が不自由なものには荷車を用意した。皆無事でサンタルークまでたどり着いてくれ。後の事は任せた! 俺たち鉱山の男が引き止める! 」
勇ましく頭領が発言しているが、街を防衛する親しい者の死を覚悟しているのだろう。
皆、誰も何も発しない。
「時間がねえ、引率はそこのカノンが行う。別れは済ませただろ。今すぐ街を出てくれっ! 」
ある冒険者が遮るように発言する。
「待ってくれ。オレは戦うなんて言ってねえ。ギルドの命令とはいえ、犬死はごめんだ。」
死地に向かうのを強制されるのは確かに誰だって嫌だ。
「いえ、ギルドの権限で緊急事態には冒険者は強制参加です。もし逃げよう者なら、お尋ね者になりますよ。」
ニーナさんが食い下がる。一人でも多くの戦力が必要なのだ。
脅すのも当然だろう。
「でもよ。そうは言っても、10年前のスタンビートでは給金は支払われなかった。それなのに義務だけ課すのは不平等じゃねえか。」
他の冒険者もそうだそうだと口々に文句を言う。
「わかりました。サンドラに変わって副ギルドマスターの私が、宣言します。必ず戦闘に参加した冒険者には金貨100枚を支払うよう、ギルド本部に今から連絡しておきます。もし支払われなかったら、私を奴隷にでも、外国にでも売り飛ばして下さい。そのお金から受け取ってもらっても構いません。」
そう言われると、先ほどまで文句を言っていた冒険者も黙り込んだ。
ニーナさんの覚悟を見たら何も言えない。
彼女がギルドマスターだったらこんなことも起きなかっただろう。
「おい。お前ら。確かに全員が無事になんて事はありえねえ。物語じゃねえんだ。だがな、こんなに若いねーちゃんが命かけてんだ。オレたちの手で鉱山を守るぞっ! 」
男たちが雄叫びをあげる。
頭領がオレに寄ってきて、頭を下げる。
「ニーナから聞いた。ライカ…いや、カノンといったか、街の人々を頼む。サンタルークまで導いてくれ。」
「わかりました。一人も傷つけずサンタルークまで導きます。安心して下さい。」
「ああ任せた。頼むぜ。色男。」
そう言うと、肩に手をポンと叩いて、頭領は去っていった。
ニーナさんに話しかける。
「ニーナさんお元気で。まずは街の人間を安全にサンタルークまで導きます。」
「はい。カノンさんもお元気で。私たちもできる限り、食い止めます。」
ギュッと握手して、皆を非難させるため、女性のところに行く。子どもも合わせて30人くらいか。荷車が2台あって、子どもと体が不自由な老人が乗っている。
「初めまして。僕が引率します。カノンです。みなさんついてきて下さい。焦らなくていいですが、急ぎましょう。」
そう言うと、皆カノンについてきた。
少しずつ街が遠くなる。まだ雄叫びは聞こえない。衝突はしていないみたいだ。
荷車はあるが、引く馬はいない。人力で引くしかないのだ。
これだと数時間どころじゃない。もっとかかるだろう。
「ライカ。お願いできるか。」
ライカがワオンと声をあげる。
荷車の先を引いている女性を退けて、ライカが2台を紐で引っ張る。
すごい速さだ。
馬よりも馬力がある。さすがはライカだ。
オレも皆を安全なところへ届けたら、すぐに戻って戦闘に参加する必要がある。
まとめて皆に速度アップのバフをかける。
これで歩いていても、走るくらいの速度は出るはずだ。
街道では魔獣は出なかった。
ただひたすら街を目指して歩く。誰も話さない。
ライカが荷車を引く車輪の音。歩く音だけが聞こえている。
30分は経っただろうか。
後ろで大きな音が聞こえてきた。衝突したみたいだ。
「みんな、振り返らないで。今は急ぎましょう。彼らの頑張りを無駄にしてはいけません。」
女性たちが頷く。
強い人たちだ。
愛する人が自分たちを守るために、魔獣と戦っているのだ。
心配に決まっている。
それなのに、感情を出さないのはすごいことだと思う。
◇
目の前から馬に乗った冒険者が二人向かってきたのが見えた。
「君たちが、ノース鉱山の住民かい。ここまでよく無事に来たね。」
「ええ。そうです。引率の冒険者カノンです。よかった。あと歩いてどれくらいですか。」
「そうだな。歩いて1時間半くらいか。ここまで早かったね。報告もらってから時間はそこまで経っていないみたいだけど。」
「そうですね。助けの冒険者はあとどれくらいできますか。」
「さっき出たはずだから、1・2時間くらいだろう。」
それまで少ない人数で街が守れるとは到底思えない。オレが行くしかないか。
「あとはお願いしますね。」
「おい。 待て少年。どう言うことだ! 」
後ろからオレを引き止める声が聞こえるが、振り返っている時間はない。
駆け出すスピードを落とさない。
ライカが横を走っている。
ライカがアオンと吠えた。私に乗れということか。
ライカに飛び乗ると、とんでもないスピードでどんどん進む。
馬の数倍は早いぞ。
これなら、間に合うかもしれない。
無事でいてくれ。ニーナさん。そして皆んな。
さっきよりもどんどんと地鳴りが大きく響いている。数十分で魔獣の群れは街まで到着するだろう。
頭領が皆の前に立ち、宣言する。
「スタンビートだ。女、子どもはサンタルークまで避難する。体が不自由なものには荷車を用意した。皆無事でサンタルークまでたどり着いてくれ。後の事は任せた! 俺たち鉱山の男が引き止める! 」
勇ましく頭領が発言しているが、街を防衛する親しい者の死を覚悟しているのだろう。
皆、誰も何も発しない。
「時間がねえ、引率はそこのカノンが行う。別れは済ませただろ。今すぐ街を出てくれっ! 」
ある冒険者が遮るように発言する。
「待ってくれ。オレは戦うなんて言ってねえ。ギルドの命令とはいえ、犬死はごめんだ。」
死地に向かうのを強制されるのは確かに誰だって嫌だ。
「いえ、ギルドの権限で緊急事態には冒険者は強制参加です。もし逃げよう者なら、お尋ね者になりますよ。」
ニーナさんが食い下がる。一人でも多くの戦力が必要なのだ。
脅すのも当然だろう。
「でもよ。そうは言っても、10年前のスタンビートでは給金は支払われなかった。それなのに義務だけ課すのは不平等じゃねえか。」
他の冒険者もそうだそうだと口々に文句を言う。
「わかりました。サンドラに変わって副ギルドマスターの私が、宣言します。必ず戦闘に参加した冒険者には金貨100枚を支払うよう、ギルド本部に今から連絡しておきます。もし支払われなかったら、私を奴隷にでも、外国にでも売り飛ばして下さい。そのお金から受け取ってもらっても構いません。」
そう言われると、先ほどまで文句を言っていた冒険者も黙り込んだ。
ニーナさんの覚悟を見たら何も言えない。
彼女がギルドマスターだったらこんなことも起きなかっただろう。
「おい。お前ら。確かに全員が無事になんて事はありえねえ。物語じゃねえんだ。だがな、こんなに若いねーちゃんが命かけてんだ。オレたちの手で鉱山を守るぞっ! 」
男たちが雄叫びをあげる。
頭領がオレに寄ってきて、頭を下げる。
「ニーナから聞いた。ライカ…いや、カノンといったか、街の人々を頼む。サンタルークまで導いてくれ。」
「わかりました。一人も傷つけずサンタルークまで導きます。安心して下さい。」
「ああ任せた。頼むぜ。色男。」
そう言うと、肩に手をポンと叩いて、頭領は去っていった。
ニーナさんに話しかける。
「ニーナさんお元気で。まずは街の人間を安全にサンタルークまで導きます。」
「はい。カノンさんもお元気で。私たちもできる限り、食い止めます。」
ギュッと握手して、皆を非難させるため、女性のところに行く。子どもも合わせて30人くらいか。荷車が2台あって、子どもと体が不自由な老人が乗っている。
「初めまして。僕が引率します。カノンです。みなさんついてきて下さい。焦らなくていいですが、急ぎましょう。」
そう言うと、皆カノンについてきた。
少しずつ街が遠くなる。まだ雄叫びは聞こえない。衝突はしていないみたいだ。
荷車はあるが、引く馬はいない。人力で引くしかないのだ。
これだと数時間どころじゃない。もっとかかるだろう。
「ライカ。お願いできるか。」
ライカがワオンと声をあげる。
荷車の先を引いている女性を退けて、ライカが2台を紐で引っ張る。
すごい速さだ。
馬よりも馬力がある。さすがはライカだ。
オレも皆を安全なところへ届けたら、すぐに戻って戦闘に参加する必要がある。
まとめて皆に速度アップのバフをかける。
これで歩いていても、走るくらいの速度は出るはずだ。
街道では魔獣は出なかった。
ただひたすら街を目指して歩く。誰も話さない。
ライカが荷車を引く車輪の音。歩く音だけが聞こえている。
30分は経っただろうか。
後ろで大きな音が聞こえてきた。衝突したみたいだ。
「みんな、振り返らないで。今は急ぎましょう。彼らの頑張りを無駄にしてはいけません。」
女性たちが頷く。
強い人たちだ。
愛する人が自分たちを守るために、魔獣と戦っているのだ。
心配に決まっている。
それなのに、感情を出さないのはすごいことだと思う。
◇
目の前から馬に乗った冒険者が二人向かってきたのが見えた。
「君たちが、ノース鉱山の住民かい。ここまでよく無事に来たね。」
「ええ。そうです。引率の冒険者カノンです。よかった。あと歩いてどれくらいですか。」
「そうだな。歩いて1時間半くらいか。ここまで早かったね。報告もらってから時間はそこまで経っていないみたいだけど。」
「そうですね。助けの冒険者はあとどれくらいできますか。」
「さっき出たはずだから、1・2時間くらいだろう。」
それまで少ない人数で街が守れるとは到底思えない。オレが行くしかないか。
「あとはお願いしますね。」
「おい。 待て少年。どう言うことだ! 」
後ろからオレを引き止める声が聞こえるが、振り返っている時間はない。
駆け出すスピードを落とさない。
ライカが横を走っている。
ライカがアオンと吠えた。私に乗れということか。
ライカに飛び乗ると、とんでもないスピードでどんどん進む。
馬の数倍は早いぞ。
これなら、間に合うかもしれない。
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