帝国騎士団を追放されたのでもふもふ犬と冒険とスローライフを満喫する。~反逆の猟犬~

神谷ミコト

文字の大きさ
上 下
14 / 90

ダンジョンを攻略しよう

しおりを挟む
 翌日、昼間でぐっすり寝てから、まずは商会で一週間分の食料を調達する。

 地下四十階であれば一週間くらいあれば、踏破できるだろう。

 ライカは魔獣の肉を好んで食べるが、あまり美味しいものではない。オレは食料があったほうが幸せだ。

 さっそくダンジョンに行く。

 ライカも元気が有り余っている様だ。今までクッド村を出てからほとんど戦っていないもんな。オレと手合わせするだけだと物足りないのだろう。

 一階ではスライムやゴブリンが出現するとニーナさんは言っていた

 初めてのダンジョンだし、警戒して歩くか。

 ……

 オレは一度も剣を振ることなく十階まで到達した。

 ライカが魔獣を察知して、魔獣が気づく前に駆け出し、噛みつく。

 魔獣を全部一撃で倒した。

 久しぶりに戦闘できて血が沸き立つなと思っていたが、拍子抜けだ。このままどんどん進もう。

 十階、二十階と十階毎に強いボスが出るらしい。

 十階のゴブリンロードはライカの一撃で首が飛ぶ。

 二十階はウルフロードだ。フェンリルの笛があるからなのか、襲ってこない。むしろお腹をこちらに向けてどうぞお通りくださいと言わんばかりだ。

 ライカも戦う気がないらしく、大人しく戦わずに通過した。

 二十階を過ぎてからはオレも退屈で戦いたくなってきた。

 ライカに下がるように言うと不服そうに唸るが、言うことを聞いてくれた。

 オークが群がって多く出てくる。オークの肉はうまい。保管してライカにも食べさせよう。

 全て一撃で屠る。

 まるで豆腐を剣で斬るかのような感覚だ。

 魔獣が弱いのか。オレが強いのか。いや剣が良いのだろうな。剣をくれたフェンリル様々だ。

 三十階のオークロードも対峙するが恐怖を感じない。

 剣は使わず、ライカと魔法だけで倒すか。

 オークロードは大きな斧を振り回しているが、知能は低い。

 ライカのスピードに追いついていない。

 オークロードが攻撃しようと斧を振りかぶると、オレがサンダーアローを使い、足止めする。

 足が止まったところにライカが首元に噛みつく。

 オークロードが苦しそうな声をあげ、床に倒れ込んだ。

 これで終わりだ。拍子抜けにも程があるな。

 せめて四十階のボスでは楽しませてほしい。

 
 30階を過ぎると骸骨剣士が出てきた。アンデット系の魔獣だ。

 剣を持っていて、当たりはしないが。

 何と言っても数が多い。三十体はいるのではないか。こんなに多くの骸骨剣士が出るとはニーナさんから聞いていなかったが、問題はない。

 ライカと上手く連携しながら突破する。

 骸骨剣士一体一体は弱く少し物足りないが、まあ良い退屈しのぎにはなる。

 四十階のボスは骸骨ロードだ。

 手が四本あって、剣を四本持っている。動きが早いと言っていたっけ。

 オレは剣を抜く。ライカには待機を命じた。タイマンだ。

 四本手があるということは四回攻撃が飛んでくる。

 速度アップのバフをかける必要もないだろう。

 全て避けられる。

 躱して、躱して、躱して、躱して、反転しながら斬る。

 それを繰り返すだけ。

 骸骨ロードは骨だけで構成されていて、肉はないから血が出ない。

 ふむ。骨だから叩き割れば良いのか。

 四発躱して、思いっきり足を剣でひっぱたく。

 手応えあり。

 骸骨ロードの足の骨が折れて、膝をつく。

 オレは後ろに下がり、後はライカに任せよう。

 躱す良い訓練になる。

 その後、必死の抵抗を見せる骸骨ロードであったが、やはりライカの速度には着いてこれず、骸骨ロードの攻撃は当たらない。徐々に削っていった。

 数分は経っただろうか。

 骸骨ロードが床に倒れ込んで動かなくなった。

 魔石と装備品を落として消えたみたいだ。

 魔石と骸骨ロードの剣を拾う。

 もうこのダンジョンでやることはない。
 
 オークの肉をライカに食べされて、休憩したら戻ろう。

 ライカが骸骨ロードの魔石を欲しそうな顔で見ている。

 魔石は食べれないと思うが、ライカに上げるか。

 ライカに渡すと食べた。

 ライカが光に包まれる。大丈夫だろうか。ライカを観察すると楽しそうに駆け回っている。

 どうやら無事らしい。

 フェンリルに聞いておけば良かった。ライカが魔石を食べるなんて聞いていないぞ。

 ギルドに戻って、換金でもしよう。ダンジョンで命のやり取りができると期待しすぎたオレが悪かった。




 ギルドに戻る。夕方か。往復数時間で戻ってこれた。街に戻る前に仮面を付ける。

 ニーナさんに話しかける。

 「ニーナさん。こんにちは。」

 「あっライカさん。こんにちは。これからダンジョンに行くんですか。初級冒険者ですし、気をつけてくださいね。」

 「いえ。今戻ってきたところです。素材を買い取ってほしくて。」

 オレは骸骨ロードの剣とオークロード、ゴブリンロードの魔石を机に出した。

 「えっ。」

 ニーナさんが戸惑っている。

 「これは、ライカさんが取ってきたんですか。」

 「ええ。まあ。そんなところです。」

 しまった、何も考えなしに素材を出してしまった。Eランクなのを忘れていた。

 「調べますので、少々お待ちください。」そう言うと検品室へ素材を持ってニーナさんが出ていった。

 一時間は待たされただろうか。日ももう沈んでいる。

 「ライカさんお待たせしました。素材全て本物でした。こちらの金額で買い取らせていただきます。」

 ニーナさんから差し出された袋の中を見ると金貨30枚は入っている。帝国騎士の一カ月の給与と同じ金額だ。一日で一カ月の報酬を貰える。なんて冒険者は楽に稼げるのだろうか。

 「ありがとうございます。」お礼を言うと、ニーナさんが小声で話しかける。

 「ライカさん。注意してくださいね。普通の冒険者は骸骨ロードを倒せません。ギルドマスターも警戒していました。色々と理由があると思いますが、目立ってますよ。」

 オレは苦笑いするするしかなかった。

 商会に直接売りに行けばよかったな。

 「ニーナさん。ありがとう。気をつけるよ。」

 そう言って、去ろうとすると、ギルマスのサンドラが現れた。

 「待て。ライカ。いや本当はカノンか。」

 もうバレたのか。警戒しながら、オレは唾を飲み込んだ。
しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

ユーヤのお気楽異世界転移

暇野無学
ファンタジー
 死因は神様の当て逃げです!  地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。

推しがラスボスなので救いたい〜ゲーマーニートは勇者になる

ケイちゃん
ファンタジー
ゲームに熱中していた彼は、シナリオで現れたラスボスを好きになってしまう。 彼はその好意にラスボスを倒さず何度もリトライを重ねて会いに行くという狂気の推し活をしていた。 だがある日、ストーリーのエンディングが気になりラスボスを倒してしまう。 結果、ラスボスのいない平和な世界というエンドで幕を閉じ、推しのいない世界の悲しみから倒れて死んでしまう。 そんな彼が次に目を開けるとゲームの中の主人公に転生していた! 主人公となれば必ず最後にはラスボスに辿り着く、ラスボスを倒すという未来を変えて救いだす事を目的に彼は冒険者達と旅に出る。 ラスボスを倒し世界を救うという定められたストーリーをねじ曲げ、彼はラスボスを救う事が出来るのか…?

異世界に落ちたら若返りました。

アマネ
ファンタジー
榊原 チヨ、87歳。 夫との2人暮らし。 何の変化もないけど、ゆっくりとした心安らぐ時間。 そんな普通の幸せが側にあるような生活を送ってきたのにーーー 気がついたら知らない場所!? しかもなんかやたらと若返ってない!? なんで!? そんなおばあちゃんのお話です。 更新は出来れば毎日したいのですが、物語の時間は割とゆっくり進むかもしれません。

【完結】ご都合主義で生きてます。-商売の力で世界を変える。カスタマイズ可能なストレージで世の中を変えていく-

ジェルミ
ファンタジー
28歳でこの世を去った佐藤は、異世界の女神により転移を誘われる。 その条件として女神に『面白楽しく生活でき、苦労をせずお金を稼いで生きていくスキルがほしい』と無理難題を言うのだった。 困った女神が授けたのは、想像した事を実現できる創生魔法だった。 この味気ない世界を、創生魔法とカスタマイズ可能なストレージを使い、美味しくなる調味料や料理を作り世界を変えて行く。 はい、ご注文は? 調味料、それとも武器ですか? カスタマイズ可能なストレージで世の中を変えていく。 村を開拓し仲間を集め国を巻き込む産業を起こす。 いずれは世界へ通じる道を繋げるために。 ※本作はカクヨム様にも掲載しております。

やさしい異世界転移

みなと
ファンタジー
妹の誕生日ケーキを買いに行く最中 謎の声に導かれて異世界へと転移してしまった主人公 神洞 優斗。 彼が転移した世界は魔法が発達しているファンタジーの世界だった! 元の世界に帰るまでの間優斗は学園に通い平穏に過ごす事にしたのだが……? この時の優斗は気付いていなかったのだ。 己の……いや"ユウト"としての逃れられない定めがすぐ近くまで来ている事に。 この物語は 優斗がこの世界で仲間と出会い、共に様々な困難に立ち向かい希望 絶望 別れ 後悔しながらも進み続けて、英雄になって誰かに希望を託すストーリーである。

俺だけ永久リジェネな件 〜パーティーを追放されたポーション生成師の俺、ポーションがぶ飲みで得た無限回復スキルを何故かみんなに狙われてます!〜

早見羽流
ファンタジー
ポーション生成師のリックは、回復魔法使いのアリシアがパーティーに加入したことで、役たたずだと追放されてしまう。 食い物に困って余ったポーションを飲みまくっていたら、気づくとHPが自動で回復する「リジェネレーション」というユニークスキルを発現した! しかし、そんな便利なスキルが放っておかれるわけもなく、はぐれ者の魔女、孤高の天才幼女、マッドサイエンティスト、魔女狩り集団、最強の仮面騎士、深窓の令嬢、王族、謎の巨乳魔術師、エルフetc、ヤバい奴らに狙われることに……。挙句の果てには人助けのために、危険な組織と対決することになって……? 「俺はただ平和に暮らしたいだけなんだぁぁぁぁぁ!!!」 そんなリックの叫びも虚しく、王国中を巻き込んだ動乱に巻き込まれていく。 無双あり、ざまぁあり、ハーレムあり、戦闘あり、友情も恋愛もありのドタバタファンタジー!

異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。

sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。 目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。 「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」 これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。 なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。

田舎暮らしと思ったら、異世界暮らしだった。

けむし
ファンタジー
突然の異世界転移とともに魔法が使えるようになった青年の、ほぼ手に汗握らない物語。 日本と異世界を行き来する転移魔法、物を複製する魔法。 あらゆる魔法を使えるようになった主人公は異世界で、そして日本でチート能力を発揮・・・するの? ゆる~くのんびり進む物語です。読者の皆様ものんびりお付き合いください。 感想などお待ちしております。

処理中です...