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唐突な追放
しおりを挟む「No.6カノン、お前は親の威光で騎士団に居るだけだ、もう良いだろう追放だ。今すぐここから出て行け。」
男はカノンにそう言った。
俺の名前はカノン=リシャール17歳。貴族リシャール家の三男坊。帝国騎士団の第二小隊に所属している。
今、クビになったので実質、無職らしいのだが。
おいおい、皆も見ているし、帰りの馬車で言う話なのかと思う。
数日前まで帝国は共和国と数年にわたり戦争をしていた。オレは騎士として戦場に駆り出されていてた。停戦を迎えて馬車で帝都に帰っている途中なのだが、どうやらクビを宣言されたらしい。戦場では騎士は数人毎にパーティを組んで行動していた。当然帰りの馬車も一緒だ。
パーティリーダーであり帝国騎士団のNo.1である団長エドガーが先程クビを宣言した男だ。
一緒に働いていた他の騎士は黙っているが、どうもオレを睨んでいるように見える。
「なっなぜだ、オレは戦場で一番活躍していたはずだが。」
「口を慎めNo.6。お前は親の威光でここにいるだけなんだよ。」
ちなみにNO.6はオレの番号だ。親の威光で戦場で活躍できるのか。言っていることの意味がわからない。
オレは帝国のために身を粉にして働いてきたつもりだ。リシャール家の三男坊ということもあり、武勲を立てるしかなかった。元々三男坊が貴族だとしても家を告げるわけがない。戦場では敵を。そして魔獣を誰よりも撃墜してきたのだ。
急なことすぎて話が頭にはいってこない。
この数年、戦争中にパーティを組んでいたメンバーを見るが無関心を装っていてかばってもくれない。どうやらこの話にあまり関わりたくはないみたいだ。
「反論できんだろカノン。お前はリシャール家のぼっちゃんだからここにいるんだ。オレが追放と言ったんだ。早く馬車から降りろ。」
たしかにオレは貴族だ。それもリシャール家というすこぶる評判は悪い。武闘派の成り上がりだとよく貴族たちに陰口を言われている事は知っている。だがそれとこれとは関係なくないか。
「まあ待ってくれエドガー。オレはたしかにリシャール家の出なのは事実だが、それだけで騎士団をクビにするのは意味がわからない。」
「うるせえよカノン! 早く降りろ。おまえが騎士団に居るだけで評判が悪くなるんだよ。」
突っかかってくるのは赤髪長髪の戦士、鍛え抜かれた筋肉で大きな斧を使うのが特徴の男。No.8のクロスナーだ勝ち気な性格と素行の悪さはオレ以上だ。平民出身で騎士にまで成り上がったクロスナーはオレを目の敵にしている。
次に青髪クールな魔道士No.9フラメルもクロスナーに賛同した。
「そうですね。確かにNo.6の評判は悪い。家柄もあるが態度も協調性がないし、戦争が停戦した今、これから騎士にいても足を引っ張るだけだろう。」
クールなフラメルは昔からの知り合いだ。お互い貴族で親が親しいこともあり、ずっと小さい頃から一緒にいた。戦場では攻撃でも回復魔法でもお世話になった。
お前まで賛同するのか。フラメル。
No.7シイナに目を向ける。カノンとシイナは恋仲であった。
双剣使いのシイナ。オレと同じ黒髪だ。元々馬が合わなかったが、戦場で背中を預けていくなかで、恋仲にまでなった。シイナお前はオレの味方だよな。
「わたしもNo.6はいらないと思う。戦場では貴重だったけど騎士にいて良い人材ではないと思うわ。いなくても騎士団はやっていける。」
シイナはオレの名前すら呼んでくれない。将来を誓いあっていたはずなのにあれは夢だったんだろうか。正直シイナに言われたのが一番ショックだ。目すらも合わせてはくれない。
No.1の団長エドガーが皆の意見を聞いて満足そうにオレに告げた。
「よしっ。全面一致だな。将軍にはオレから言っておく。おまえが辞めたいと言い、去っていったとな。」
「分かりました。オレが抜ければ良いんですね。」
勝ち誇った顔をしたエドガーが言った。
「そうだ。No.6。何か最後に言いたいことでもあるか。」
いきなりクビだと言われても頭がついていかないが…
「オレがなにかしたのか。クビになる理由を詳しく聞きたい。」
「最後だから、言ってやるよ。まずおまえがいなくてもこれから騎士団は回っていくこと。そしてお前の評判の悪さだ。勝手な行動が多すぎるし家柄もある。どうせリシャール家のことだ、無理やりカノンを騎士団に入れたんだろう。」
ドヤ顔でエドガーが言う。
オレはため息しか出ない。
「あのなあ、団長、いやエドガー、勝手な行動って言ってるけどそれに助けられたのは誰だよ。オレがいなかったらここの人間全員死んでたぜ。それにエドガーこそ父親が帝国の将軍だからここにいるような男だ。武術もそこそこ。頭は悪い。典型的なバカ息子はお前だよ。」
戦場では頭の固いエドガーの尻拭いばかりしていた。と言うか、エドガーの言うことに従っていたら間違いなく初日で死んでた。
今にもカノンを殴ろうとして、エドガーが顔を真赤にして立ち上がった。
その時、恋仲だったシイナが思い口を開いた。
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追記
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