なんで私が、異世界送りって酷くない?再構築ギフトって、なに?

烏帽子 博

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ep4

秘宝

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「島が見えたぞ~」

キャビンで朝食をとっていたシーナたちに、クルーの知らせがきた。

二人は急いで食事を済ませて、甲板に出る。

「おい!何だこれ!船の下にどデカいなにかがいるぞ!」
クルーのその声を聞いてすぐに、イカのような吸盤のついた触手が船に絡み付いてきた。

『一閃』
太い足をシーナが切り落とした。

「ジュウ~」少し離れた所ではランが足を焼き切っている。

イカ焼きのような臭いが、辺りに立ち込める。

二人は次々と足を切り落としていったが、あとからどんどんわいてくる。

「いったいコイツ何本足有るのよ!」

シーナは空に飛びあがって、俯瞰で見ている。

「キャ」ランも
ランが絡みつかれては、火魔法で焼き切っている。

ー ラン 絡みつかれる前に、処理しなさいよ ー

ー はあ~~い ー

ランも、飛びあがって火球を飛ばして対応している。

シーナは、高みの見物を決め込んでいる。

ー シーナ、コイツ小さくなってない?ー

ー そうね、足はどんどん再生するみたいだけど、少しずつ小振りになってるわね ー

ー ランが100本位クラーケンの足を切った頃には、クラーケンは、当初の半分位の大きさになっていた ー

ー ラン、そろそろ仕留めちゃってもいいわよ ー

ー はあ~~い ー

ランは水面からほんの少し見えていたクラーケンの口に、圧縮した空気の球を送りこんだ。

「バア~ん!」

ランのユルイ言葉とは裏腹に、クラーケンは、バラバラにはじけ飛んだ。

「あらっ?」

甲板の上には残骸のようだが、まだうごめいてるそれが有ったが、シーナは、摘んで海に捨てた。

ー ラン お疲れ。もういいわ ー

ランも当然ソレを見つけていたが、それ以上何もしなかった。

落ち着いた所で、秘宝島を見ると、周囲は切り立った崖になっていて、上陸に適した場所が無いように見えた。


「あれがM字岩ね」

ハルモトさんによると、干潮の時にのみM字岩の真ん中にワレメが現れて、そこが上陸するための唯一のルートだそうだ。


潮が引くタイミングを待って、ボートに分乗して、シーナたちは、M字岩のワレメを通過した。

ワレメの奥は丸く湾になっていて波もなく、ボートから下を見ると海底まで綺麗に見えた。
海底は、ゴツゴツした岩が多く、海藻もあり、小魚が見え隠れしている。
中層から上には、少し大きな魚がゆったりと泳いでいる。

陸の方へと進んで行くと、海底がしだいにに砂地へと変わり、プライベートビーチのようだった。

砂浜にボートを乗り上げて、ついに秘宝島に上陸を果たした。

上陸してすぐに目についたのは
「ようこそ秘宝島へ」
の看板だ。

たどり着くのが困難な、隠された財宝のある島のイメージとは真逆のその俗っぽい看板に、シーナはイヤな予感がした。

「シーナ あの看板の所が通路になっているわよ」

シーナも当然気付いていたが

「そうね、行ってみましょう」

その通路へと一行は進んで行った。
通路は、ジャングルを切り開いたようで、周りの植生は濃く、鳥や獣の声が鳴り響いている。

シーナが、ランの足元に目をやると何かが足に貼り付いている。
改めて自分の足を見てみると同じように何かがくっついている。

「やだー これ! ラン あなたも!
ヒルよヒル!
足に食いつかれているわ!」

手で引っ張っても簡単には取れなかったが、火の魔法で炙るとポロポロと取れた。

ヒルを全て取り去り、ギフト『再構築』で、二人の服を肌の露出がほとんど無い物に変えた。

ヒル以外にも絶え間なく虫がよって来て、その度にシーナもランも、ワーキャー言っては撃ち落として進んで行く。

「もー嫌!こんな虫だらけの所!」

「これでお宝が無かったら、島ごと吹き飛ばす。」

などと物騒なことを言いながら進むと、開けた場所に出た。

そこでまず目についたのは、巨大な男根の石像と女陰の岩だった。

「あ!」

シーナは、そうひとこと言って一瞬立ち尽くした。

目の前に現れたのは
『南海の秘宝館』の看板がある建物だった。

そばにゆくと、チケット売り場があり、『R15 成人のみ入場可』の表示が有った。

館内の展示物は、予想どうり
『四十八手浮世絵絵巻』
『ゼウスと女たち』
『天の岩戸のストリップ』
『神々の近親相姦』
『光源氏のあれ』
『クレオパトラのなに』
『信長と蘭丸の絡み』

などなど、あやしい物が色々有った。

土産物ゾーンでは、バイブにローター、セクサロイド、袋とじ写真集、各種精力ドリンク、ローション、ソーブ仕様のマットにイスなど成人向け商品がわんさか並べて有った。

ランは、バイブのコーナーで品定めをしている。
「これは流石に大き過ぎるわよね。
こっちのイボイボと、クネクネ動くのもいいわね。
シーナはどれがいい?」

「私は要らないわ。」

「そうなの?指派なのね~」

などとわけのわからないことを言っている。

「もういいわ。『南海の秘宝』は私は要らないわ。ビーチで待ってるから、好きなだけランは買っていいわ」

シーナは、飛んでビーチへと戻った。

魚や貝をとり、火をおこして、海鮮バーベキューの準備をして、ランたちを待った。

クラーケンの脚が焼け上がった頃、ランや他のクルーも戻って来て宴会が始まった。

宴もたけなわとなった時
「やまちゃん。あなた達に船は、返すわ。
私たちはここでお別れよ。」

「えっ シーナたちここに定住するの?」

「まさか
もう空を長時間飛べるから、船は、要らなくなっただけよ。」

「そうなんだ」

「あなたたちは、又海賊家業に戻るの?」

「海賊はやめて、船で交易の仕事をするよ。」

シーナは『緋の眼』になってやまちゃんを見た。

「ホントだって。信用してよ~」

「あまり詐欺まがいのことはしないのよ。元ペテン師のやまちゃん」

「もう、俺ってそんなに信用無いの~」

不満げなやまちゃんとは裏腹に、一同うなずいていた。
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