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ep4
海賊船
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「オヤカタ!空から女の子が!」
マストの上の遠見台にいる男が叫んでいる。
「バカヤロー、船長と呼べ!船長と
女の子だぁ~?
マジかよ!」
二人の女が空から舞い降りて来た。その乗っていた物は、二人が船に着く瞬間にパッと消えて無くなった。
「天使じゃあねぇよな」
「あなたにとっては悪魔かもね。
あなたがこの船の船長?」
「ああ、そうだ」
「だったら…」
シーナは船長の後に回り込み、首元にタガーを突きつけ、ランは船長の下半身を丸出しにして、足を、縛った。
「今から、私シーナが船長よ。
私の連れのランが副船長
元船長は………そうね船長補佐にしてあげる」
「バカヤロー、俺を殺したって俺の手下がお前らの言うことなんか聞くもんか」
「ええい。控え 控え~~い」
「ラン」
「この方をどなたと心得る!」
「ラン またそれやるの?」
「千のギフトを持つ『緋の眼』の魔術師、シーナ様にあらせられるぞ!」
「しょうがないわね」
シーナがウィンクすると『緋の眼』が現れ、ついでに七色の後光もだした。
ランは、振動する棒をかざしている。
ー ラン、それ出すのやめてよ。
代わりに炎を纏った剣を渡すから ー
ー は~~い ー
ランの返事は、相変わらず気の抜けた感じだが、ランの炎魔法は、効果抜群だった。
剣先から出る炎は人の大きさほどの龍をかたちどり、その口からは、ボッボッと火を吐いている。
クルーたちは、しばらく唖然として、見ていたが
「まだ、私たちの言うことを聞けない人はいるかしら?
襲いかかって来てもいいのよ」
クルーたちは、一人また一人と、武器を床に置き、片膝をついて、恭順の姿勢になった。
「あとはあなただけね。
元船長。」
ー ラン この人の拘束を解いてズボンもはかせて、剣も持たせて ー
ー 剣も?いいんですか? ー
ー 斬りかかって来てもらいたいのよ。ほらマリーの持ってた『反射』の効果を試したいのよ。
あなたは、離れていてね。ー
「俺は、お前になんか従わないぞ。
俺を自由にしたことを、後悔させてやる。
『千手剣』」
船長の連撃がシーナに向って振りかざされた。
「アヒッ ブベッ グェ アバババ」
身体のあちこちから血が吹き出し、白目をむいて倒れてる船長の姿が表れた。
それに対して、シーナは全くの無傷で立っている。
シーナは、船長に止血と、骨折箇所に添え木をしてから、全身包帯でぐるぐる巻にした。
「私との相性は、最悪だったみたいね。
とりあえず血は止めたけど、助かるかどうかは、本人の気力次第ってところね。
そこの二人、この人をキャビンに運びなさい。」
「「イエス マム」」
二人は声を揃えて返事をした。
シーナは、クルーのリーダー格を集めそれぞれの役割を把握した。
航海士のゲロッパ 通称GPが№2のようだ。
「GPあの船長とこの船のことを何でもいいから話してくれる。」
「船長の名前は、フリット、ぼくの育ての親です。
子どもの頃ぼくは両親を殺され、ぼくだけ生き残ったんです。」
「それって、親の仇に育てられたってこと?」
「ええ、ぼくが生き残るには、それしか無かったから」
「長くなりそうだから、その先は、また改めて聞くわ。
この船のことを話してよ。」
「この船は、オルカ号
スピードタイプの海賊船で、狙った獲物は逃がさない。
クルーも精鋭揃いで、勇敢で、砲撃の腕も自慢です。」
「だったら、なんでさっき誰も私に向ってこなかったのかな。」
「フリット船長に勝てるクルーは、誰も居ません。
そのフリット船長が、ああも簡単にやられては、あなたに歯向かっても無駄でしょう。
勇敢でもあまりに無謀なことはしませんよ。
あなたの強さは、我々の想像を越えてます。」
「そりゃどうも。」
「GP この船は、どこを目指してたの?」
「目指す?ですか?
俺たちはこのあたりの商船や貨物船を狙って、稼いでます。
特に目指すものは無く」
「船を襲って、人を殺して積荷を奪う。
山賊と一緒ね。
心が傷まないの?」
「ぼくたちが、楽しんで人殺しをしてると思いますか?
やらなきゃこっちが死ぬんです。
誰かが死ねば、その嫁も子どもも、生きていけないんです。」
「魚をとったり、畑で野菜作りとかは駄目なの?」
「ぼくは、今の生き方しか知らない。そんな仕事で生活できると思えませんよ。」
「それで、海賊?」
「ええ、金持ちの奴らは、何の苦労もなく暮らしてるでしょ。
そいつらから、金を取るんだ。
そんなやついない方がいいんだ。」
「それで、殺しもするんでしょ。
そんなの自分の境遇の不幸を人に押し付けてるだけよ。
八つ当たりよ。相手はとんだとばっちりよ。」
「じゃあ、どうすればいいって言うんだよ。
あんたらだって、力ずくでぼくらの船を奪ったんだ。
これまでもそうしてきたんだろ。
違うか?」
「そうよ。山賊団を2つ潰したわ。罪もない旅人を襲って、その持ち物と命を奪ってた人たちよ
許されることじゃないわ。」
「ぼくたちを全員処刑しようって言うのかい。
好きにしなよ。今までと同じようにね。」
「処刑しないわよ。私の手足になって働いてもらうわ。」
シーナは、自分の正義も、人からは違って見えることがわかった。
ー でもいいわ。私をここに送り込んだ女神が『第二の人生を楽しまれよ』って言ったもん。ー
マストの上の遠見台にいる男が叫んでいる。
「バカヤロー、船長と呼べ!船長と
女の子だぁ~?
マジかよ!」
二人の女が空から舞い降りて来た。その乗っていた物は、二人が船に着く瞬間にパッと消えて無くなった。
「天使じゃあねぇよな」
「あなたにとっては悪魔かもね。
あなたがこの船の船長?」
「ああ、そうだ」
「だったら…」
シーナは船長の後に回り込み、首元にタガーを突きつけ、ランは船長の下半身を丸出しにして、足を、縛った。
「今から、私シーナが船長よ。
私の連れのランが副船長
元船長は………そうね船長補佐にしてあげる」
「バカヤロー、俺を殺したって俺の手下がお前らの言うことなんか聞くもんか」
「ええい。控え 控え~~い」
「ラン」
「この方をどなたと心得る!」
「ラン またそれやるの?」
「千のギフトを持つ『緋の眼』の魔術師、シーナ様にあらせられるぞ!」
「しょうがないわね」
シーナがウィンクすると『緋の眼』が現れ、ついでに七色の後光もだした。
ランは、振動する棒をかざしている。
ー ラン、それ出すのやめてよ。
代わりに炎を纏った剣を渡すから ー
ー は~~い ー
ランの返事は、相変わらず気の抜けた感じだが、ランの炎魔法は、効果抜群だった。
剣先から出る炎は人の大きさほどの龍をかたちどり、その口からは、ボッボッと火を吐いている。
クルーたちは、しばらく唖然として、見ていたが
「まだ、私たちの言うことを聞けない人はいるかしら?
襲いかかって来てもいいのよ」
クルーたちは、一人また一人と、武器を床に置き、片膝をついて、恭順の姿勢になった。
「あとはあなただけね。
元船長。」
ー ラン この人の拘束を解いてズボンもはかせて、剣も持たせて ー
ー 剣も?いいんですか? ー
ー 斬りかかって来てもらいたいのよ。ほらマリーの持ってた『反射』の効果を試したいのよ。
あなたは、離れていてね。ー
「俺は、お前になんか従わないぞ。
俺を自由にしたことを、後悔させてやる。
『千手剣』」
船長の連撃がシーナに向って振りかざされた。
「アヒッ ブベッ グェ アバババ」
身体のあちこちから血が吹き出し、白目をむいて倒れてる船長の姿が表れた。
それに対して、シーナは全くの無傷で立っている。
シーナは、船長に止血と、骨折箇所に添え木をしてから、全身包帯でぐるぐる巻にした。
「私との相性は、最悪だったみたいね。
とりあえず血は止めたけど、助かるかどうかは、本人の気力次第ってところね。
そこの二人、この人をキャビンに運びなさい。」
「「イエス マム」」
二人は声を揃えて返事をした。
シーナは、クルーのリーダー格を集めそれぞれの役割を把握した。
航海士のゲロッパ 通称GPが№2のようだ。
「GPあの船長とこの船のことを何でもいいから話してくれる。」
「船長の名前は、フリット、ぼくの育ての親です。
子どもの頃ぼくは両親を殺され、ぼくだけ生き残ったんです。」
「それって、親の仇に育てられたってこと?」
「ええ、ぼくが生き残るには、それしか無かったから」
「長くなりそうだから、その先は、また改めて聞くわ。
この船のことを話してよ。」
「この船は、オルカ号
スピードタイプの海賊船で、狙った獲物は逃がさない。
クルーも精鋭揃いで、勇敢で、砲撃の腕も自慢です。」
「だったら、なんでさっき誰も私に向ってこなかったのかな。」
「フリット船長に勝てるクルーは、誰も居ません。
そのフリット船長が、ああも簡単にやられては、あなたに歯向かっても無駄でしょう。
勇敢でもあまりに無謀なことはしませんよ。
あなたの強さは、我々の想像を越えてます。」
「そりゃどうも。」
「GP この船は、どこを目指してたの?」
「目指す?ですか?
俺たちはこのあたりの商船や貨物船を狙って、稼いでます。
特に目指すものは無く」
「船を襲って、人を殺して積荷を奪う。
山賊と一緒ね。
心が傷まないの?」
「ぼくたちが、楽しんで人殺しをしてると思いますか?
やらなきゃこっちが死ぬんです。
誰かが死ねば、その嫁も子どもも、生きていけないんです。」
「魚をとったり、畑で野菜作りとかは駄目なの?」
「ぼくは、今の生き方しか知らない。そんな仕事で生活できると思えませんよ。」
「それで、海賊?」
「ええ、金持ちの奴らは、何の苦労もなく暮らしてるでしょ。
そいつらから、金を取るんだ。
そんなやついない方がいいんだ。」
「それで、殺しもするんでしょ。
そんなの自分の境遇の不幸を人に押し付けてるだけよ。
八つ当たりよ。相手はとんだとばっちりよ。」
「じゃあ、どうすればいいって言うんだよ。
あんたらだって、力ずくでぼくらの船を奪ったんだ。
これまでもそうしてきたんだろ。
違うか?」
「そうよ。山賊団を2つ潰したわ。罪もない旅人を襲って、その持ち物と命を奪ってた人たちよ
許されることじゃないわ。」
「ぼくたちを全員処刑しようって言うのかい。
好きにしなよ。今までと同じようにね。」
「処刑しないわよ。私の手足になって働いてもらうわ。」
シーナは、自分の正義も、人からは違って見えることがわかった。
ー でもいいわ。私をここに送り込んだ女神が『第二の人生を楽しまれよ』って言ったもん。ー
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