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ep3

戦地へ

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「今時アスラ国からジョンジ国に入ろうなんて物好きな娘さん達だなぁ
命の保証は無いよ。
気を付けてな。」

検問所では、そんな言葉をかけられたが、友好国同士ということで、すんなり入国出来た。

アクアとリンダに身体強化の魔法をかけ、『再構築』で体力を回復させて、三日三晩走り通して、戦地へと到着した。

ー アクア・リンダ、安全な所迄下がって待っててね ー

シーナはランと黒頭巾に覆面で合戦場へと向かった。

「ラン、最大火力の半分位のパワーで兵たちを驚かせて!
なるべく派手にね
兵たちに当てないでよ」

合戦場の真上にファイアーボールが打ち上がり、それは、どんどん大きく膨らんでいった。

「なんだなんだ!」

「あんなもん落ちてきたら、ひとたまりもないぞ」

巨大なファイアーボールは合戦場から数km離れて行き、落下するように地面に着弾した。

地震のような揺れと爆風が兵士たちを襲う。
伏せていなけれは、とても立っていられない状況だ。風に乗って飛び散った小石は、まるで弾丸のような凶器だった。
砂塵が舞い上がり視界が遮られた。

爆心地の方から二人の人影が戦場へと向って来た。
そばまで来ると二人の周りだけは砂塵が無くクリアなのがわかる。

「女か?」

そう見て取れた瞬間、眩い光球が二人の後にあらわれ、逆光で顔形はよくわからない。

「両国の兵士に告ぐ!
即時戦闘を停止し、自陣に戻りなさい!」

ロスキ軍の将校が、
「あの者たちに射掛けよ!弓部隊・魔法部隊撃て!」

「ラン『収納』して。」

矢も魔法も二人の前で次々と消滅してゆく。

「もう一度言います。
即時戦闘を停止し、全ての兵は自陣に戻りなさい!」

ジョンジ軍からの攻撃は無く、兵は、じりじりと自軍に下がりだしている。
シーナは、ここぞと『緋の眼』になる。

「千のギフトを持つ『緋の眼』の魔術師とその弟子だ!
アスラからの援軍だ!」
誰かがそう叫ぶと、ジョンジ軍は、一気に退却始めた。

先ほどのロスキ軍の将校は、「討て討て、誰でもいいあの女を討て!」と荒れ狂って叫んでいる。

シーナは『縮地』で一気に駆け寄り、馬上の将校を殴り飛ばした。

ランがやって来て地面に倒れてる将校を踏みつけると、将校は丸裸になった。

「この人、大人なのに皮被ってるわ」

「ラン、あなたもパンツ見えるわよ」


「た 退却だぁー」
別の将校の言葉に、我先にとロスキ兵は自陣に逃げ帰った。

「ちょっと~
この男、どうすんのよ~
置いてかないでよ」

ランは将校の顔をまたいで仁王立ちしている。

「うぅ~」

苦しげに将校は目覚めて

「イチゴか!」

と一声言って、また気を失った。

将校の乗っていた馬がまだ側にいたので、シーナが話しかけた。

ー あなたに乗ってもいいかしら?
この裸の男を引っ張って行きたいんだけど ー

ー いいよ。馬語が話せる人間。珍しいな。ー

裸の将校を縛り上げ、気合を入れて起こす。
馬に乗ったシーナが引っ張り、あとからランが将校から取り上げたムチを持ってついて行く。

市中引回しスタイルでロスキ軍の陣へと入ると、武装した兵に取り囲まれた。

「ハハハ、バカめ
やれ!」

「バカはアンタよ!」

ギフト『威圧』を込めてシーナが一喝すると、周りの兵士が動きを止めた。

ランが動くと取囲んでいた兵士たちが皆丸裸になった。

「駄目よそこ!手で隠さない!」

ー ラン あなたの趣味は、後にしてくれる。ややこしくなるから ー

ー は~~~い ー

「今から、あなた達の生命を保証するわ。但し、私たちに服従するならだけど。」

「俺たちをどうしようってんだよ!」

「国に帰って、奥さんお子さんと平和な家庭を過ごしてもらうわ。」

「バカにしてるのか?」

「そうよ。わざわざよその国と戦って何になるのよ。
たくさんの死人と未亡人と孤児を作ってまで欲しいものがあるの?
あなたの無事を祈ってる家族のことを考えたことあるの?
戦いはやめて自分の国に帰るのが、ベストじゃない?」

シーナがそんな話をしてる脇でランは、メジャーを持って別の作業に没頭している。

「えーっと、あなたは優ね。、こっち
あなたは良ね、こっちの列に並んで」

ー ラン なんで敵を階級で分けないの?交渉事の基本よ ー

ー 裸にしたから、階級なんてわからないんだもん。だから等級で分けてるの。ー

「なんでさっき縛って連れてきた将校だけ、外れて一人なの」

「この人規格外の不良品ですよ。
小さいし、皮付きだし」

「もうそれ、いいから。」


「この軍の大将。一番偉い人は誰ですか?」

誰も口を開かないが、視線が例の将校に集まる。

ランは、羽ペンでその将校のそれをサワサワしてる
「おい!やめろ!」

「大きくなったら、皮むけるのかな?」

「やめろ!貴様!
俺を誰だと思ってる!」

「誰なの」

「パーチン大統領の息子 ソーチンだ」

「粗チン!」

「違う!ソーチンだ!」

この二人のやり取りに周囲の兵士は、笑いを必死に堪えて、肩が震えてる。

ランが、又羽ペンでサワサワして
「やっぱ粗チンよ!」

こらえきれなくなった一人の兵士が
「プッ」と吹くと
一斉に爆笑が広がった。

シーナが制するように手をサッと挙げると、笑いは鎮まった。

「ソーチンさん、あなた達の兵糧と武器は、もらうわよ、今夜の食事分だけ残してね。
サッサと帰ることをオススメするわ。」

ー ラン、この人たちの服を出してあげなさい。この軍の武器は全てあなたが収納してね、私は兵糧を取り上げてくるから ー

翌朝トボトボと腹を押さえながらロスキ軍は撤退して行った。

「シーナ。
あの人たち、お腹の具合が悪そう。アチコチで………」

「そうね、昨日の夜のスープに下剤入れてあげたから。
彼らが踏み荒らした畑に肥料ね」

「パーチン大統領は、やっつけなくていいの?」

「ロスキ人たちがなんとかするのを期待しましょうよ。」

「私たちは?これから」

「もちろん、南のビーチよ」

「やったぁー」

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