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ep2

一本松の丘

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そこに書かれていたのは…

「ラインハルトの身柄は、我々が預かった。
返して欲しかったら、
明日の正午、一本松の丘に来い!」

「これは誘拐犯からの手紙ですね。
ローズさんのお兄さんが攫われたんですよね。」

「ランラン、それはちょっと違うと思うわ。
これはラインハルトの狂言よ」
そうローズが言うと

「狂言って?」

「自作自演の嘘の誘拐事件って意味よ」

「嘘なんですか?なんで?そんな嘘を」

「それは行ってみないとわからないけど、無視して首都に向かいましょう。」

「えっ?いいの?行かなくて。」

「別に、構わないでしょ。殺すとか書いてないしね。」

こうして三人は、翌日昼過ぎにル・ドマン商会の本店に到着した。

「クリスティの娘ローズが来たとルシェリー様にお伝えください。」


先程声を掛けた女性ではなく中年の男性がやって来て

「お待たせしました。ローズ様ですね。
大きくなられましたな。バントウです。
お小さかったから、覚えていらっしゃらないですか?」

「私はルシェリーに会いたいんだけど」

「ルシェリー様はお会いにならないそうです。」

「それならそれで、いいわ。
私はこのル・ドマン商会の代表のドマンの命により本店の査察にきたローズです。
明日は、営業を停止、棚卸しをします。
良いですね。」

「ローズさん、かっこいい!」
「ランラン余計なこと今言わないの!」

「ローズ様、突然お越しになってそう言われても、対応出来ません」

「なんの対応ですか?都合悪いことを隠す時間が欲しいと言うことですか?」

「いやいや、そうではなく。お客様に事前連絡も無く営業しないと言うのは、よくないと」

「では、大赤字を出してる現況の責任は、誰が取るんでしょう。
代表代行のルシェリーそれとも、その補佐役のあなたかしら。
!今すぐ指示を出しなさい!
それとも指揮権を私に委ねますか。」





その頃ラインハルトは、護衛に命じて、一本松に縛りつけてもらい、ローズの到着を待っていた。

「ローズのやつ。なんで来ないんだ!
もう正午から1時間だぞ、足も痺れてきたし。まったく!」

たまに通りかかる人が居るが、みな見て見ぬふりをして通り過ぎてゆく。

「ぼくだって、恥ずかしいんだぞ!
なんなんだよ。」

「おい、犬!こっちに来るな!
シッ シッ
あっちにいけ! シッ」

犬は、ラインハルトの足元で片足を上げて

「ジョボボボ」

「ああ~ なんて日だ!」





ル・ドマン商会にシーナたちが到着する数分前

「ローズ、あなた本店の再建なんて、本当にやれるの?」

「シーナ、正直な話、余り自信は無いのよ。
でもパパはもうサルドラだけで十分だって言ってるし、私がやらないと」

「そうなると継母のルシェリーと異母兄のラインハルトがじゃまよね。」

「あの二人は、お金を湯水のように使うけど、それくらいのことでどうにかなる店じゃ無いはずなのよ。
他にもいくつか原因が、有るはずなのよ。」

「所で、ローズあなたドマンさんと同じ『商魂』が有るってラインハルトに行ってたわよね」

「ああ、それ、嘘よ。
正妻の子ってだけで偉そうだから、ちょっと口から出ちゃったの」

「だったら、ちょっとプレゼントがあるから、こっちに来て。」

シーナが馬を止めて降りると、ローズもそれに続いた。
二人が向き合って、シーナが手を伸ばすと、ローズは一瞬身を引いて

「また胸を揉まれるの?」

「いやなの?」

「意図することがあるんでしょ、早くやりなさいよ」

ローズは顔を紅くして、横を向いた。

シーナは、両手でローズの胸を掴んで、暫くして手を離した。

ローズは、何かが入って来た感覚はあったが、以前にシーナの魔力を注がれた時とは、また違う感覚だった。

ー ローズ、聞こえる?私の声 ー

ローズは、シーナが口を動かしてないのにの声が聞こえて、驚いた。

「えっ?聞こえたわよ。
なにこれ?」

ー 私の声も聞こえるかしら ー

「えっえっ?誰?」

ー ずっと一緒にいたのにわからないの? ー

ー ローズ、頭で念じた言葉を相手に届けたり受取る技をあなたにあげたのよ。念じて返してみなさい ー

ー シーナ!聞こえる?ー

ー 出来たわね おめでとう ー

ー でも、さっき別の女性の声も、ランランでもないし ー

ー フフフ、この技
実は私、ジュピターに教わったの
あなたに話しかけたの、ジュピターじゃない? ー

ー ジュピター!あなたなの。さっきの声 ー

ー そうよ やっと気づいてくれた。
これまでなんども試したのよ。ー

ー ごめんね。気づかなくて
これからたくさんお喋りしましょう ー

ー ローズ、このことはランランにもまだ秘密にしている。
あとギフトを2つ渡したわ。
『商才』と『幸運』よ
きっと役にたつと思うわ ー

「あっ ローズさんズルい、シーナさんに胸揉んでもらって。
シーナさん私の胸も揉んで下さいよ~
えっ?どうしたんですか二人共?黙ってて、なんか変なの~」

「ランランあなたにはまだ早いの。
乙女になったんだから、もう少し慎み深くしなさいよ」

「はぁ~~い」





ローズと馬のジュピターは、色々な話をしながら歩を進めた。

初めて会った頃の事、ローズがゴンズ一家に攫われた時のことなど。

ー ねぇジュピター、私たちは友だちよね ー

ー 馬と人が?ー

ー そうよ。シーナとランランは、暫くしたら別れないとならないわ。
あなたとは、ずっと一緒にいたいわ、友達として ー

ー シーナと離れて、あなたと?ー

ー そうよ、ダメ?ー

ー いいわよ。でも私
もう お婆さん馬 だからずっとは、難しいわよ ー


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