なんで私が、異世界送りって酷くない?再構築ギフトって、なに?

烏帽子 博

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ep2

野宿とアジト

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「今日はここでキャンプにするわよ」

「えっ?シーナさん。
ここの周り林じゃない?
こんな所で?」

「そうよ」

シーナが林の中に入って行った。

街道からちょっと死角になった場所で、シーナが動いた。

「ローズ少しここで待ってて」

シーナがそう言うと、あっという間に、あたりの木が無くなって、整地され地面が現われた。

「なによこれ!シーナさんは、こんなことも出来るの?」

「まぁね。さて、キャンプディナーを始めましょう」

「大丈夫?またあの人たち襲って来るかも知れないんでしょ」

「ジュピターとアクアも警戒してくれてるから、大丈夫よ。
まぁ襲って来るとしても、真夜中よ。」

「そうなの?」

「そうよ」

「信じるわよ」

「いいわよ」

「それで、今からどうするのよ。」

「美味しい、晩ごはん作る。」

「そ~ そ~なのね。余裕なんだ。」

「わたし失敗しないので!」

「私は、何したら?」

「そうね。私がかまど作るから、薪集めて火をつけてくれる。」





「ボン」



「シーナさん、ごめんなさい。かまど壊れちゃったわ」


「どうしたらこうなるの?」


「魔法でかまどと薪に火をつけようとしたら。爆発して………」

「なるほど。
でも気にしないでいいわ。
魔力のコントロールを覚えないとね。
しばらくは、魔法は禁止ね。
少しずつ教えるから。」

シーナはすすだらけのローズを綺麗にし、かまどを再設置して、薪に火をつけた。

二人はウサギもも肉の香草焼きと、野菜たっぷりの豚骨スープをお腹いっぱいに食べた。

「ローズ、あの木にかかってるハシゴを登って。
そこにベッドを造ったからそこで休んで」

「シーナさんは?」

「私も木の上に行くわよ。
下のテントは、念のための罠よ」

「そうなんだ~」

「もう寝ましょ」

「まだ寝るには早すぎるわよ。眠くないし。」

「奴らが来るとしたら真夜中よ。眠くなくても目をつぶって、少しでも今のうちに休んでおくべきなのよ」

「わかったわ。よく考えてるのね。」





木々の間から瞬く星が見える。
さっきの男たちが攻めてくるかと思うとローズはなかなか寝付けなかった。
シーナの寝息を聞きながら、ローズはしばらく星を見て過した。

ー 本当に来るのかな。来なければいいけど
シーナが来るって言うから、多分来るんだろうなぁ ー







ー シーナ、シーナ!昼間の男たちと他にも何人かやって来たわ ー

頭の中にジュピターの声が聞こえた。

ー ジュピター、知らせてくれてありがとう。アクアと隠れていてね ー

火の着いた矢がテントに突き刺さった。
テントが燃え出すと、二人の男が暗闇から出てきた。

「だ 誰もこの中にはいません!」

そう言うと、すぐにその男は首を押さえて倒れ、痙攣している。
そしてもう一人の男も倒れた。

「どうしたんだお前ら!」

何人かの男たちが駆け寄ってくるが、一人、また一人と倒れてゆく

「クソっ、敵は近くにいるぞ!探せ」

声の主は近くの林の中でキャンプ広場の様子を、見ていた。

ー あいつが頭ね ー

シーナは『緋の眼』を開いて見た。

名前 キンブル
魔法適性 風
ギフト サーチ アンロック

ー 盗賊らしい能力持ちね ー

『緋の眼』で確認すると他にも数人が広場に出て来ないで、木陰で様子を伺っていた。

キンブル以外は、魔法もギフトも持ってないようだ。

『緋の眼』で見つけられる範囲の盗賊全員を次々と倒した。
頭のキンブルからは魔法とギフトを奪った。
土魔法で石牢を作り、盗賊全員をそこに放り込んだ。
パンツ以外は武装解除して、彼らの持ち物を没収した。
シーナは、盗賊を倒すのに、彼らの周りの空気から酸素を取り去ることで窒息させて倒したのだ。
もちろん死なないように微妙に調整した。

「おい姉ちゃん。盗賊から物を盗むとは、大した玉だな」

「盗んだんじゃ無くて、取り上げたのよ。
それに玉なんかないわよー」

「好きにしろ!どうせ俺たち捕まりゃ死刑だ。ここで殺せよ」

「断るわ!ちゃんと罪を償いなさいよ。
アジトには、他にもお宝があるんでしょ。
私が有効利用してあげようか?
あの世には持ってけないでしょ。」

「アンタも欲深いなぁ~
いいぜ、場所を教えてやるよ。
涅槃で待つ」

「いや、アンタが行くのは地獄の方でしょ」


ー ん~どうしよう?
盗賊のお宝を取りに戻ると、またタイムロスよね
でも、折角くれるって言うんだから、もらっちゃおうかな ー

「で、アジトの場所は?」

「街道を東に5キロ進むと川がある。
その川を2キロ位上流へと登って行くと、滝がある。
滝の上にはまた東に向かう小路があるんだ。
そこを進むとすぐに竹やぶが有って、その中に小さな祠があるんだ。
祠に入って、祭壇の裏にドアがある。その中がアジトだ。
後は好きに探せばいい。ただし、宝部屋に行くにはいくつかの仕掛けがある。せいぜい気をつけるんだな。」

「わかったわ。御礼にあなた達が持ってた携行食と水嚢は返してあげるわ。それで数日は、生き延びられるでしょ。じゃあね」

シーナは大木に掛けたハシゴをするすると登り。夜明け迄寝ることにした。

「シーナさん。起きて。シーナさん。起きなさいよ。」

「ああ おはようローズ」

「ハシゴを出してよ。お花を摘みに行きたいの」

「ハイハイ トイレね
もうこの木の上に用は無いから、身の回りの物も、忘れずに持って降りるのよ」


シーナがハシゴを出すと
ローズは、すぐに降りて行った。

「ねぇ。シーナさん
あっ

 ー こうゆう時名前呼ぶなって言われてたっけ ー

テントが燃やされてて、男の人たちが石の中に。」


「アンタが寝てる間に捕まえたのよ」

「全然気づきませんでした。で、どうするんですこの人たち。」

「どうもしないよ。町についたら、守備隊に言う。それだけ。
ほら、さっさと花摘みに行っといで。」






二人は、キンブルの話したアジトに向けて出発した。

キンブルの話どうりに進み、祠を見つけて中に入った。

「ローズ、アンタはここで待機」

「え~ 嫌よ。
ここアジトなんでしょう。
さっき捕まえた以外の盗賊が帰ってきたら怖いし、盗賊のアジトって見てみたいし」

「盗賊は、中にも居るかも知れないわ」

「だったら余計も、一緒にいた方がいいでしょ」

「わかったわ。ついてきなさい。
ただし、アチコチ仕掛けが有るらしいから、慎重にね」

「はーい」

「カチッ」

「ヒャアー」

ローズの足もとは落し穴だった。
咄嗟にシーナが手を伸ばして、ローズを掴まえたので、大事には至らなかった。

ー いきなりのお出迎えね ー

「サーチ」

早速キンブルから手に入れたギフトを使ってみたら、中の構造が手に取るようにわかった。
やはり数人の男が残っているようだ。

戦うのも面倒なので、予め人の居る部屋は、部屋ごと石牢にした。

奥の方から騒ぐ声がした。

「中にもいたんですか?盗賊」

「そうよ。でももう閉じ込めたわ」

まだ仕掛けが有るから注意して。
『サーチ』はまだ使い慣れていない為か、仕掛けはよく分からなかった
『緋の眼』に切り替えて調べながら進むと。

「止まって!罠があったわよ」

土魔法で石を転がすと投網が飛んで来た。

「今回は、落し穴じゃあ無いんですね」

「そうね。同じのも有るかも知れないけど、こうゆう罠の仕掛けは、面白がって考える人が多いから、色んなパターンが有るわね。
おっと 有ったわよ。」

また石を転がすと壁から弓矢が飛び出してきた。

「地面のスイッチを踏まなければいいんでしょ」

「今のは、そのパターンね、全部そうとは限らないから」



「誰か助けて」女性の声がする。

「今行くから」ローズがすぐに反応する。

「だめよ。待ちなさい。」

「えっ だって 女の人が」

「盗賊の女かも知れないのよ」

「でも、それなら助けを求めたりしないでしょ」

「わからないわ。助かる為なら、なんでもするんじゃない。罠も有るから慎重に行くわよ」

『緋の眼』であたりを見ながら慎重に声のする部屋の方に進んだ。

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