11 / 47
ep2
宿屋2
しおりを挟む
209号室のドアを開けると、そこは予想以上の惨状だった。
荷物が背の高さ位まで積み上がっている。
とても横になるどころか、このままだと立って寝ることになりそうな部屋だった。
シーナのギフト『再構築』には、一旦収納しておく機能がある。
シーナは手当り次第 一旦全て収納することにした。
色々な物がシーナが触れるとパッと消えてゆく。
30分位してようやくベッドが現れた。
「え~~~~っ!
何これ?荷物は?」
ポプルさんがやってきて、荷物の減った部屋を見て驚いて固まっている。
「私のギフトで、荷物を一旦全部処分している所ですけど、何か?」
「ん?いや
手際がいいな。
手伝いは要らない?」
「手伝いは、必要有りませんけど、本当にポプルさんの確認無しでどんどん処分してもいいんですか?」
「ああ、構わないよ、もう何年もここに入ったきりの荷物ばかりだから。仮に価値があっても、使うことがないから、ここに仕舞われた品物さ。
スペースを作って部屋として使えるようにしたほうが、価値が出ると思うから。」
「それじゃあ、処分じゃ無くて、私が売りさばいてもいいですか?」
「ん~~ そうだな。
それで当座の給金がわりってことで
うんそれでいいかな」
「私は、全然構いませんけど」
「ベッドも、壊れてるから気をつけて。
じゃ あとよろしく」
あっさりとポプルさんは、部屋から出ていった。
「さてと、やりますか!」
荷物が無くなると造り付けのクローゼットが現れた。
クローゼットの中の荷物はどれもカビがふいている。問答無用で収納するとクローゼット自体、カビだらけだった。
薄汚れた窓から射し込んだ日光がクローゼットの中を照らしている。
北西の角部屋だった。
多分冬になると結露が酷いんだろう。
断熱よね。クローゼットも収納して、カビも全て取り除き、
シーナ流断熱材を壁側に敷き詰めた。
断熱材は古着を繊維に戻して、カビや水分を取り除き、綿状にしたものを木で作った型枠に入れて作った。
窓も小さくして、上部はスノコ状にしてスライドすれば換気できるようにした。
窓はペアガラスに加工した。
床も天井も残りの壁も、全て自前の断熱材で囲った。
壊れたベッドの脚を直して、ブランケットとマットレスも新品に再構築した。
カーテンをどうしようか考えてる所にメアリーさんがやって来た。
「えっ うそ なにこの部屋は?
半分位ギフトで片付けてたってポプルが言ってたけど、もう完璧じゃない。客室より綺麗になってる。」
「いや、まだカーテンと机をどうしようかと、考えてた所なんです。」
「あっそうそう
驚いて言うの忘れてたわ。
夕食の時間よ。下に降りてきてね。
もういいんじゃないこれだけ綺麗になったんなら。」
メアリーさんは、そう言いながら部屋に入ってきた。
「あれ?確かこのベッド壊れてたはずなのに、綺麗に直って新品みたいね。
それにこのマットレス。凄いわ。フカフカしてる。
ねぇ あなた 他のベッドもこんなふうにフカフカにできるの?」
「ええまあ、材料が揃えばですが」
「材料?このベッドは、どうやったの?」
「この部屋にあった、たくさんの荷物や衣類を材料に私のギフトで作りました」
「へぇー 凄いわね。
これから色々と頼んでもいい?」
「何でも と言うわけにはいきませんが、できるだけお力になります。」
「ありがとう。それで十分よ。他に何ができるの?」
「う~~ん 大体何でもできるかなぁ~
魔法は、今の所 光と土だけですけど。」
「ギフトがあって魔法もダブルなの?
凄い人ね。」
「あの~ そろそろ下に行っても………」
「あら ごめんなさい。私ったら。
質問責めにしちゃったわね。」
二人で階段を降りてゆくとホーリーさんが、手招きしている。
「メアリー なにやっとったんだい?
シーナを呼びに行くって上がっていって、ちっとも戻って来ないから、スープが冷めてしもうたわ」
「ああ。ごめんなさい。だってシーナさん凄いんで、色々と聞きたくなって、それで…」
「わかったから、スープを温めなおしてきておくれ」
「は~~い」
「口ばかりで、余り手を動かさない嫁じゃが、気立てがいいのが取り柄でのう。
ポプルは尻に敷かれておる」
シーナはどう返していいか迷ったが
「そうなんですか?
でも仲が良さそうなご夫婦ですね」
とお茶を濁した。
食事中は、ずっとホーリーさんの嫁の愚痴につきあわされ。少々疲れる食事だった。
食後厨房に顔を出して、メアリーさんに声をかけた。
「私食べたことのある料理は、材料が有ればギフトを使って再現できます。」
「あっ そうなの。
そうよね、あんなこと出来るんだから。
やってもらおうかしら。」
シーナが調理台に皿を並べる端から、料理が盛られてゆく。
「えっ えっ え~~~~っ
こんな、簡単に?」
「よかったら、味見してください」
「はふ はふ
あ~ おいひい
合格、私の作ったのと変わらないって言うか、私のより美味しく感じるけど」
そこへポプルさんが戻ってきて、
「後の料理はまだ?って
もうできてるのか。
早いな」
「シーナが作ってくれたのよ。
私もホールやるね」
メアリーさんは料理を持って行った。
「これを君が?」
「メアリーさんに試食してもらい、お墨付きをもらいました」
「この食べかけのも君が?」
「はい、それさっきメアリーさんに試食してもらったやつですけど」
「ちょっと俺も食べてみていいかな」
「もちろんです。」
「うん うん
ちゃんとできてる。
美味しいよ。」
「ありがとうございます」
「それじゃあ、早速この料理、運んでくる。」
「あと何食作ればいいですか?」
「お客様が席につく時間がバラバラだから余り早くに作ってもな。
このあともやってくれるかい。」
「ええ、私でよければ、やらさせて下さい。」
ポプルさんは、料理を運んで戻ってくると
「シーナさん、この後の時間は、エールを飲む人が多いんだけど、酒のつまみになる物も作れるかい?」
「ええ、原価はどのくらいの物を作りますか?」
「えっ、原価も考えて作れるのかい。素晴らしい。」
シーナは、唐揚げと豚串とポテチと野菜の浅漬けを作った。
このつまみが大好評と言うこともあったが、シーナが客席迄出向いて、エールを冷やすパフォーマンス「キンキンエール」でエールが爆売れし完売した。
このキンキンサービスでのチップはそのままシーナの収入としてもらったので、宿もシーナもウィンウィンだ。
サービスが評判で、泊り客以外で呑みにやってくる客も次第に増えていった。
全室ベッドのマットレスをシーナバージョンに作り変え、各室の傷んだ部分も全て補修すると
泊り客数はどんどん増えて、宿は常に予約で満室に、夕方には晩酌目当てで宿の前には行列が出来るようになった。
荷物が背の高さ位まで積み上がっている。
とても横になるどころか、このままだと立って寝ることになりそうな部屋だった。
シーナのギフト『再構築』には、一旦収納しておく機能がある。
シーナは手当り次第 一旦全て収納することにした。
色々な物がシーナが触れるとパッと消えてゆく。
30分位してようやくベッドが現れた。
「え~~~~っ!
何これ?荷物は?」
ポプルさんがやってきて、荷物の減った部屋を見て驚いて固まっている。
「私のギフトで、荷物を一旦全部処分している所ですけど、何か?」
「ん?いや
手際がいいな。
手伝いは要らない?」
「手伝いは、必要有りませんけど、本当にポプルさんの確認無しでどんどん処分してもいいんですか?」
「ああ、構わないよ、もう何年もここに入ったきりの荷物ばかりだから。仮に価値があっても、使うことがないから、ここに仕舞われた品物さ。
スペースを作って部屋として使えるようにしたほうが、価値が出ると思うから。」
「それじゃあ、処分じゃ無くて、私が売りさばいてもいいですか?」
「ん~~ そうだな。
それで当座の給金がわりってことで
うんそれでいいかな」
「私は、全然構いませんけど」
「ベッドも、壊れてるから気をつけて。
じゃ あとよろしく」
あっさりとポプルさんは、部屋から出ていった。
「さてと、やりますか!」
荷物が無くなると造り付けのクローゼットが現れた。
クローゼットの中の荷物はどれもカビがふいている。問答無用で収納するとクローゼット自体、カビだらけだった。
薄汚れた窓から射し込んだ日光がクローゼットの中を照らしている。
北西の角部屋だった。
多分冬になると結露が酷いんだろう。
断熱よね。クローゼットも収納して、カビも全て取り除き、
シーナ流断熱材を壁側に敷き詰めた。
断熱材は古着を繊維に戻して、カビや水分を取り除き、綿状にしたものを木で作った型枠に入れて作った。
窓も小さくして、上部はスノコ状にしてスライドすれば換気できるようにした。
窓はペアガラスに加工した。
床も天井も残りの壁も、全て自前の断熱材で囲った。
壊れたベッドの脚を直して、ブランケットとマットレスも新品に再構築した。
カーテンをどうしようか考えてる所にメアリーさんがやって来た。
「えっ うそ なにこの部屋は?
半分位ギフトで片付けてたってポプルが言ってたけど、もう完璧じゃない。客室より綺麗になってる。」
「いや、まだカーテンと机をどうしようかと、考えてた所なんです。」
「あっそうそう
驚いて言うの忘れてたわ。
夕食の時間よ。下に降りてきてね。
もういいんじゃないこれだけ綺麗になったんなら。」
メアリーさんは、そう言いながら部屋に入ってきた。
「あれ?確かこのベッド壊れてたはずなのに、綺麗に直って新品みたいね。
それにこのマットレス。凄いわ。フカフカしてる。
ねぇ あなた 他のベッドもこんなふうにフカフカにできるの?」
「ええまあ、材料が揃えばですが」
「材料?このベッドは、どうやったの?」
「この部屋にあった、たくさんの荷物や衣類を材料に私のギフトで作りました」
「へぇー 凄いわね。
これから色々と頼んでもいい?」
「何でも と言うわけにはいきませんが、できるだけお力になります。」
「ありがとう。それで十分よ。他に何ができるの?」
「う~~ん 大体何でもできるかなぁ~
魔法は、今の所 光と土だけですけど。」
「ギフトがあって魔法もダブルなの?
凄い人ね。」
「あの~ そろそろ下に行っても………」
「あら ごめんなさい。私ったら。
質問責めにしちゃったわね。」
二人で階段を降りてゆくとホーリーさんが、手招きしている。
「メアリー なにやっとったんだい?
シーナを呼びに行くって上がっていって、ちっとも戻って来ないから、スープが冷めてしもうたわ」
「ああ。ごめんなさい。だってシーナさん凄いんで、色々と聞きたくなって、それで…」
「わかったから、スープを温めなおしてきておくれ」
「は~~い」
「口ばかりで、余り手を動かさない嫁じゃが、気立てがいいのが取り柄でのう。
ポプルは尻に敷かれておる」
シーナはどう返していいか迷ったが
「そうなんですか?
でも仲が良さそうなご夫婦ですね」
とお茶を濁した。
食事中は、ずっとホーリーさんの嫁の愚痴につきあわされ。少々疲れる食事だった。
食後厨房に顔を出して、メアリーさんに声をかけた。
「私食べたことのある料理は、材料が有ればギフトを使って再現できます。」
「あっ そうなの。
そうよね、あんなこと出来るんだから。
やってもらおうかしら。」
シーナが調理台に皿を並べる端から、料理が盛られてゆく。
「えっ えっ え~~~~っ
こんな、簡単に?」
「よかったら、味見してください」
「はふ はふ
あ~ おいひい
合格、私の作ったのと変わらないって言うか、私のより美味しく感じるけど」
そこへポプルさんが戻ってきて、
「後の料理はまだ?って
もうできてるのか。
早いな」
「シーナが作ってくれたのよ。
私もホールやるね」
メアリーさんは料理を持って行った。
「これを君が?」
「メアリーさんに試食してもらい、お墨付きをもらいました」
「この食べかけのも君が?」
「はい、それさっきメアリーさんに試食してもらったやつですけど」
「ちょっと俺も食べてみていいかな」
「もちろんです。」
「うん うん
ちゃんとできてる。
美味しいよ。」
「ありがとうございます」
「それじゃあ、早速この料理、運んでくる。」
「あと何食作ればいいですか?」
「お客様が席につく時間がバラバラだから余り早くに作ってもな。
このあともやってくれるかい。」
「ええ、私でよければ、やらさせて下さい。」
ポプルさんは、料理を運んで戻ってくると
「シーナさん、この後の時間は、エールを飲む人が多いんだけど、酒のつまみになる物も作れるかい?」
「ええ、原価はどのくらいの物を作りますか?」
「えっ、原価も考えて作れるのかい。素晴らしい。」
シーナは、唐揚げと豚串とポテチと野菜の浅漬けを作った。
このつまみが大好評と言うこともあったが、シーナが客席迄出向いて、エールを冷やすパフォーマンス「キンキンエール」でエールが爆売れし完売した。
このキンキンサービスでのチップはそのままシーナの収入としてもらったので、宿もシーナもウィンウィンだ。
サービスが評判で、泊り客以外で呑みにやってくる客も次第に増えていった。
全室ベッドのマットレスをシーナバージョンに作り変え、各室の傷んだ部分も全て補修すると
泊り客数はどんどん増えて、宿は常に予約で満室に、夕方には晩酌目当てで宿の前には行列が出来るようになった。
0
お気に入りに追加
801
あなたにおすすめの小説

妹が聖女の再来と呼ばれているようです
田尾風香
ファンタジー
ダンジョンのある辺境の地で回復術士として働いていたけど、父に呼び戻されてモンテリーノ学校に入学した。そこには、私の婚約者であるファルター殿下と、腹違いの妹であるピーアがいたんだけど。
「マレン・メクレンブルク! 貴様とは婚約破棄する!」
どうやらファルター殿下は、"低能"と呼ばれている私じゃなく、"聖女の再来"とまで呼ばれるくらいに成績の良い妹と婚約したいらしい。
それは別に構わない。国王陛下の裁定で無事に婚約破棄が成った直後、私に婚約を申し込んできたのは、辺境の地で一緒だったハインリヒ様だった。
戸惑う日々を送る私を余所に、事件が起こる。――学校に、ダンジョンが出現したのだった。
更新は不定期です。

巻き込まれ召喚・途中下車~幼女神の加護でチート?
サクラ近衛将監
ファンタジー
商社勤務の社会人一年生リューマが、偶然、勇者候補のヤンキーな連中の近くに居たことから、一緒に巻き込まれて異世界へ強制的に召喚された。万が一そのまま召喚されれば勇者候補ではないために何の力も与えられず悲惨な結末を迎える恐れが多分にあったのだが、その召喚に気づいた被召喚側世界(地球)の神様と召喚側世界(異世界)の神様である幼女神のお陰で助けられて、一旦狭間の世界に留め置かれ、改めて幼女神の加護等を貰ってから、異世界ではあるものの召喚場所とは異なる場所に無事に転移を果たすことができた。リューマは、幼女神の加護と付与された能力のおかげでチートな成長が促され、紆余曲折はありながらも異世界生活を満喫するために生きて行くことになる。
*この作品は「カクヨム」様にも投稿しています。
**週1(土曜日午後9時)の投稿を予定しています。**

豊穣の巫女から追放されたただの村娘。しかし彼女の正体が予想外のものだったため、村は彼女が知らないうちに崩壊する。
下菊みこと
ファンタジー
豊穣の巫女に追い出された少女のお話。
豊穣の巫女に追い出された村娘、アンナ。彼女は村人達の善意で生かされていた孤児だったため、むしろお礼を言って笑顔で村を離れた。その感謝は本物だった。なにも持たない彼女は、果たしてどこに向かうのか…。
小説家になろう様でも投稿しています。
完結【真】ご都合主義で生きてます。-創生魔法で思った物を創り、現代知識を使い世界を変える-
ジェルミ
ファンタジー
魔法は5属性、無限収納のストレージ。
自分の望んだものを創れる『創生魔法』が使える者が現れたら。
28歳でこの世を去った佐藤は、異世界の女神により転移を誘われる。
そして女神が授けたのは、想像した事を実現できる創生魔法だった。
安定した収入を得るために創生魔法を使い生産チートを目指す。
いずれは働かず、寝て暮らせる生活を目指して!
この世界は無い物ばかり。
現代知識を使い生産チートを目指します。
※カクヨム様にて1日PV数10,000超え、同時掲載しております。

異世界に召喚されたが「間違っちゃった」と身勝手な女神に追放されてしまったので、おまけで貰ったスキルで凡人の俺は頑張って生き残ります!
椿紅颯
ファンタジー
神乃勇人(こうのゆうと)はある日、女神ルミナによって異世界へと転移させられる。
しかしまさかのまさか、それは誤転移ということだった。
身勝手な女神により、たった一人だけ仲間外れにされた挙句の果てに粗雑に扱われ、ほぼ投げ捨てられるようなかたちで異世界の地へと下ろされてしまう。
そんな踏んだり蹴ったりな、凡人主人公がおりなす異世界ファンタジー!

リリゼットの学園生活 〜 聖魔法?我が家では誰でも使えますよ?
あくの
ファンタジー
15になって領地の修道院から王立ディアーヌ学園、通称『学園』に通うことになったリリゼット。
加護細工の家系のドルバック伯爵家の娘として他家の令嬢達と交流開始するも世間知らずのリリゼットは令嬢との会話についていけない。
また姉と婚約者の破天荒な行動からリリゼットも同じなのかと学園の男子生徒が近寄ってくる。
長女気質のダンテス公爵家の長女リーゼはそんなリリゼットの危うさを危惧しており…。
リリゼットは楽しい学園生活を全うできるのか?!

転生令嬢の食いしん坊万罪!
ねこたま本店
ファンタジー
訳も分からないまま命を落とし、訳の分からない神様の手によって、別の世界の公爵令嬢・プリムローズとして転生した、美味しい物好きな元ヤンアラサー女は、自分に無関心なバカ父が後妻に迎えた、典型的なシンデレラ系継母と、我が儘で性格の悪い妹にイビられたり、事故物件王太子の中継ぎ婚約者にされたりつつも、しぶとく図太く生きていた。
そんなある日、プリムローズは王侯貴族の子女が6~10歳の間に受ける『スキル鑑定の儀』の際、邪悪とされる大罪系スキルの所有者であると判定されてしまう。
プリムローズはその日のうちに、同じ判定を受けた唯一の友人、美少女と見まごうばかりの気弱な第二王子・リトス共々捕えられた挙句、国境近くの山中に捨てられてしまうのだった。
しかし、中身が元ヤンアラサー女の図太い少女は諦めない。
プリムローズは時に気弱な友の手を引き、時に引いたその手を勢い余ってブン回しながらも、邪悪と断じられたスキルを駆使して生き残りを図っていく。
これは、図太くて口の悪い、ちょっと(?)食いしん坊な転生令嬢が、自分なりの幸せを自分の力で掴み取るまでの物語。
こちらの作品は、2023年12月28日から、カクヨム様でも掲載を開始しました。
今後、カクヨム様掲載用にほんのちょっとだけ内容を手直しし、1話ごとの文章量を増やす事でトータルの話数を減らした改訂版を、1日に2回のペースで投稿していく予定です。多量の加筆修正はしておりませんが、もしよろしければ、カクヨム版の方もご笑覧下さい。
※作者が適当にでっち上げた、完全ご都合主義的世界です。細かいツッコミはご遠慮頂ければ幸いです。もし、目に余るような誤字脱字を発見された際には、コメント欄などで優しく教えてやって下さい。
※検討の結果、「ざまぁ要素あり」タグを追加しました。

【完結】特別な力で国を守っていた〈防国姫〉の私、愚王と愚妹に王宮追放されたのでスパダリ従者と旅に出ます。一方で愚王と愚妹は破滅する模様
岡崎 剛柔
ファンタジー
◎第17回ファンタジー小説大賞に応募しています。投票していただけると嬉しいです
【あらすじ】
カスケード王国には魔力水晶石と呼ばれる特殊な鉱物が国中に存在しており、その魔力水晶石に特別な魔力を流すことで〈魔素〉による疫病などを防いでいた特別な聖女がいた。
聖女の名前はアメリア・フィンドラル。
国民から〈防国姫〉と呼ばれて尊敬されていた、フィンドラル男爵家の長女としてこの世に生を受けた凛々しい女性だった。
「アメリア・フィンドラル、ちょうどいい機会だからここでお前との婚約を破棄する! いいか、これは現国王である僕ことアントン・カスケードがずっと前から決めていたことだ! だから異議は認めない!」
そんなアメリアは婚約者だった若き国王――アントン・カスケードに公衆の面前で一方的に婚約破棄されてしまう。
婚約破棄された理由は、アメリアの妹であったミーシャの策略だった。
ミーシャはアメリアと同じ〈防国姫〉になれる特別な魔力を発現させたことで、アントンを口説き落としてアメリアとの婚約を破棄させてしまう。
そしてミーシャに骨抜きにされたアントンは、アメリアに王宮からの追放処分を言い渡した。
これにはアメリアもすっかり呆れ、無駄な言い訳をせずに大人しく王宮から出て行った。
やがてアメリアは天才騎士と呼ばれていたリヒト・ジークウォルトを連れて〈放浪医師〉となることを決意する。
〈防国姫〉の任を解かれても、国民たちを守るために自分が持つ医術の知識を活かそうと考えたのだ。
一方、本物の知識と実力を持っていたアメリアを王宮から追放したことで、主核の魔力水晶石が致命的な誤作動を起こしてカスケード王国は未曽有の大災害に陥ってしまう。
普通の女性ならば「私と婚約破棄して王宮から追放した報いよ。ざまあ」と喜ぶだろう。
だが、誰よりも優しい心と気高い信念を持っていたアメリアは違った。
カスケード王国全土を襲った未曽有の大災害を鎮めるべく、すべての原因だったミーシャとアントンのいる王宮に、アメリアはリヒトを始めとして旅先で出会った弟子の少女や伝説の魔獣フェンリルと向かう。
些細な恨みよりも、〈防国姫〉と呼ばれた聖女の力で国を救うために――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる