なんで私が、異世界送りって酷くない?再構築ギフトって、なに?

烏帽子 博

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ep1

事情聴取

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「トニー 迷子って言うから小さな子どもかと思ったのに、大人じゃないか」

「MJ とにかくわけわからない娘なんだよ。
俺のことを おじさん とか言うし、火あぶり にされるとか言って泣くし、俺のこと 誘拐犯 かと疑うし、
MJから話聞いてやってくれよ。
女同士の方が話しやすいだろ。頼むよ。」

「わかったわよ。あたしが話しするわ。
それと、『火あぶり』以外は、あながち間違いとは言えないわよ」

「俺 おじさんで誘拐犯に見える?」


「    」

MJと呼ばれた女性は、赤髪に茶色の瞳。
身長は美里より少し大きくて175cm位か、筋肉質で如何にも戦士という風情だが、何よりも印象深いのは隻眼の黒い眼帯だった。
女性ながら、こんな威圧感のある人は美里にとって初めての出会いだった。


「あなたシーナって言うのね。
私はメアリージェーンよ。みんなからはMJって呼ばれてるわ。
ここの守備隊の隊長よ」

やっぱ、凄い人だったんだ。

「えっ それじゃあトニーさんより偉い人?」

「上司だけど、偉くは無いわよ。
まぁ、私のことは置いといて…
あんたこの街に何しに来たの?それとどこから来たの?」

ちょっと~
急に尋問?
心の準備がまだなんだけど

「あ はい えっと~


私、日本国の東京都って街にいたんです。

それで、突然光に包まれて、気がついたら、さっきいた場所に立ってました

ここは、何て言う国かもこの街の名前も知りません」


MJさんのリアクションは、以外と普通だった。

「へえー そうなんだ。私もあなたの言う国も街も知らないわ。
それで、何が原因かも分からずにこの街に飛ばされて来たって言うことかい?」


「ええ そうなんです。まるで遭難ですよ。」


「シーナちゃん、上手い!」

「そこ反応するんだ。
やっぱトニーは、おじさん確定ね。」

「ウグッ」



「話を戻すわよ。シーナその他に何か変わったこととか感じたこととか無いの?」

「信じてもらえないと思うけど……」

「いいから、言ってみなさい」

「女神様に会いました。それで『選ばれただけの娘だ』とか『ギフトをあげる』とか『言語と読み書き出来るようにする』って言われました。」

「すごい話ね。女神様から直接ギフトをもらったのね。
でも、それ人に言わないほうがいいかも。」

「ええ、そうですよね、だいたいラノベでもそうですよね。」

「ラノベ?なんの事?」

「ああ、本のことです。
私みたいに、突然知らない世界に迷い込む話とかを想像して書いた、私のいた世界にある ありふれた本ですよ。」

「へえー 読んでみたいな。
で、女神様からはどんなギフトをもらったんだい?」

「今の今 MJさんが、秘密にしたほうがいいって言ったじゃないですか。
言わなきゃだめですか?」

「あ そ そうだな
そこは言わなくてもいいわ。
疑うわけじゃ無いが、シーナの住んでた国と街の名前とシーナの名前を、両方の国の文字で書いてくれるかい?」

美里は、やはりこの国の文字もスラスラと書くことができた。

日本国 東京都 シーナ

自分で書いた字を見て、また涙が出てきた。


「シーナどうしたの?」


「母国の文字も、時と共に次第に忘れるかもと思ったら悲しくなって……」

「ごめんなさい。辛い思いをさせたわね。
でも、わかったわ
あなたのこと、私は信じるわ。」

「ありがとう MJさん」

「あなた魔法は?」

「えっ魔法ですか?」

「そう魔法。何か使える?」

「わかりません。日本にいた頃は、魔法を使える人は誰もいなかったので。
この世界の人は、みんな魔法使えるんですか?」

「ああ ほとんどの人が魔法を使うよ。
シーナは、女神様からギフトをもらったって言ってたわよね。
多分魔力も有ると思う。
調べてみる?」

「調べられるんですか?」

「ええ、このでは犯罪者を捕まえてくることも有るから、調べられるのよ。
ギフトとかも見えちゃうけど、いい?」

「ん~ まぁいいっか。
自分のことが分からないよりはマシよね。
秘密にはしてくれるんですよね。
魔力と適性があれば、魔法覚えられるんでしょ」

「そうよ
フフフ 楽しみよね
何が出るかな?」

「因みにMJさんは?」

「私は『統率』と『剣技』ギフトがあるわ。
魔法適性は『土』
兵隊の私には余り使いみちないわ」

「使い道が無い?
そうなんですか?
石を作って飛ばして攻撃したり、土壁作って盾にしたりは?」

「えっ なにそれ?
そんな使い方聞いたこともないわ。
まぁ壁の方はできないことないだろうけど、実戦向きじゃ無いわね。
それもラノベの知識?」

「ええ。そうです。本の中の夢の話です。」

「そうなんだ、でもなんか参考になりそうだな。
で、鑑定していいのかな?」

「MJさんの、ギフトとかも聞いといて、自分だけ秘密にしたいとかはできませんよ。
私も知りたいし、お願いします。」

「それじゃあ」

MJが眼帯をずらすと燃えるような緋色の目が現れた。

その目から射貫かれるような視線をほんの一瞬あび、MJは再び眼帯をした。

「え~~~~~
緋色の目!
アニメのキャラみたい!
もしかして、見えない鎖とか操れますか?」

「アニメ?見えない鎖?
何の話だ?またラノベか?」

「ん~
まあ、わかりやすく言うと、絵本に出てくる登場人物で、戦う時に目の色が緋色に変化して、特殊な能力を発揮するんです。」


「そうか、私のこの目は『鑑定』が出来るんだ。だが凄く疲れるので、普段は使わないんだ。
他にも秘めた力が有るかも知れんな。
ハハハ。
で、シーナの鑑定ができたわ。」

「あの一瞬で ですか?」



MJによると

名前 シーナ
年齢 15歳
レベル 1
体力 C
魔力 D
魔法適性 光
ギフト 再構築 言語マスター

「シーナ まぁまぁ、一般ピーポーの能力ね。
魔力も少ないけど有るわね。
属性光だから、ランプ的な使い方ね
でも『再構築』ってギフトは聞いたこと無いわよ
使ってみた?」

「いいえ、まだ全然。魔法もギフトもどうやったら使えるのか知らないし。
使うとどうなりますか?」

「う~ん それは自分でしか分からないかな」

「どうやって発動するのかしら?」

「ギフトを使うのはイメージして使う感じかな。
私の場合は、こんな技ができたらとか思って、ひたすら剣を振っているうちに身についたり、仲間を鼓舞してるうちに、みんなの闘志が上がったりとかだったのよ。」

「魔法の方は?」

「適性が土だからな。
無いよりはマシ程度と思ったから、余り真面目には取り組んでないのよ。一応自分の魔力を感じる練習をしてから、それを動かしてみて、手に集められるようになってから、地面にあてて使ってみたていどよ」

「MJ 君は卑下しすぎだよ。
普通の人は、適性があっても、そんなに簡単にできないでしょ。
シーナ MJは、何しても俺から見たら天才だから。
その点割引いて、考えた方がいいよ」

「トニー あんたバカね。
シーナは、女神様が遣わした娘だよ。
私どころか、とんでもない力を発揮するかも知れないんだよ
そのへんの一般人と同じじゃないと、私はにらむわ。」

「そっか そうだよな
きっと非凡な才能が有るんだろうなぁ」



「お願いがあります。」
シーナが二人に突然頭を下げた。

「私、帰る家もお金も有りません。
知り合いも今こうして出逢ったお二人しかいません。
私に出来ることなら、エッチなこと以外は何でもやりますから、助けてもらえませんか?」


すると MJとトニーは顔を見合わせて

「プッ アハハハハ」

「ごめん、心配させたわね。そりゃ不安よね。
最初からあなたのことは助けるつもりだったわよ。
安心しなさい。
ここの宿舎には余裕もあるから、そこで寝泊まり出来るわよ。
食事も2食付きよ。
掃除とか、配膳、皿洗いをしてくれればいいわ。
働きに応じて小遣いもあげるし、魔法の使い方や戦闘訓練もしてあげるわよ。」

「戦う訓練はちょっと………
でも、ありがとうございます。
おせわになります。」

「ハハハ 余程平和な国から来たんだな。
自分の身を守れないと危ない目に遭うぞ」

「そんなに怖い所なんだ!
訓練も、受けて見ようかなぁ~
私 運動は苦手なんだけと」
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