ルーザー

烏帽子 博

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人間狩り

アルカトラス

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ー 人を殺して、自殺かぁ。でも同情の余地ありか? ー

ー えっ 私死んだんじゃ ー

ー ああ 死んだよ。だからこうしているんだ。ー

ー ここは、地獄ですか ー

ー 地獄?アハハ。そうだよな、人殺しの上に自殺だもんな。でもね地獄も天国も本当は無いのさ。
この虚無の世界があるだけさ。
あるといっても肉体の無い精神体さ。
でもそれもそのうち無になるだけたよ ー

ー 私もそうなる運命ですか ー

ー いいや。そうならわざわざ話し掛けないよ。
やってもらいたいことがあってね ー

ー 私に出来ることですか ー

ー 出来たらいいなぁ~ ー

ー どうゆうことですか?ー

ー ミッションインポッシブル
つまり限りなく不可能だけど、やってもらいたい作戦さ。
ある世界の『人間狩り』を無くしてもらいたい。ー

ー どうやったらその『人間狩り』は無くせるんですか ー

ー それを考えるのも君の仕事だよ
スキルを2つプレゼントするけど、現世の記憶は消すよ ー

ー 私に拒否権は?ー

ー あると思うかい?
スキルは選ばれた時に発現するから、その時を楽しみにね。
それじゃあ、行っておいで。簡単に死ぬなよ~ ー





ここは、アルカトラス星。
3561427 レイ これが私の認識番号と名前
歳は14、運が良けりゃあと36年の命だ。
ここでは50歳迄と寿命は決められている。
毎年1の月に50歳になった人は収容されてどこかに連れて行かれる。
マークに聞いた話だと『ガス室』で安楽死するそうだ。
今日も私はマークと配給の列に並んでいる。

「俺は15歳になったじゃん、もしゲームに選ばれたら、絶対に生き残ってウィナー側に行くんだ。」

「そんなの当たるわけないわよ。もし当たったとしたら、真っ先に殺されて終わりよ」

「レイお前こそ、弱っちいからすぐ殺られそうだ」

「そう、それじゃあ今日は私がターゲットやるわ。
捕まえてみなさい」

「俺がハンターか。楽勝だぜ」

この星で私たちは壁を挟んでウィナーとルーザーに分けられている。
ウィナー側の住人には、豊かな食事、娯楽、仕事など、やりたいと思うことが全て揃っているそうだ。
それに対して私たちのルーザー側には、何もない。
私たちの居住区は、壁と魔の森に挟まれた場所にある。
私は、ゲームに当たった時に備えてマーク相手にいつも訓練をしている

ゲームとは『人間を狩る』ゲームだ。
ドローンにより撮影されながらハンターチームとターゲットチームに分かれ殺し合いがこなわれる。

ゲームは三日間かけて無人島で開催され、相手を殺すか、相手チームを全滅させるとポイントが得られる。
5ポイントを得たものは、ウィナーとなる資格を得る。
5ポイントを得た者もゲーム終了まで退出は出来ない。

ハンターとして出場して、1ポイントも取れなかった者は、公開処刑される。
ハンターで5ポイント未満で終了したものは、次回開催でターゲットとして選出される。
ターゲットで終了まで生存した者には2ポイントが与えられる。
ターゲットで5ポイント未満で終了したものは、次回開催で再びターゲットとして選出される。

ハンター同士ターゲット同士は殺し合うと相手のポイントを奪える。ただし相手がポイントを持ってない場合は、何も得られない。

つまりは、このゲームに選ばれたら最後、殆ど生き残る人はいないシステムだ。
ポイントを持っていれば同じチームの人間にも命を狙われるのだから。

ハンターには、腰袋に3日分の携行食と自分の好きな武器が1つ支給される。

ターゲットには空の背嚢が支給されるのみだ。

尚、ハンターチームには、一匹の狩猟犬が貸与される

島のどこか3箇所にトレジャーBOXがあり。中身は武器の時もあれば、食料の時もあるが、時には、毒矢のトラップもある。




マークと魔の森に入って模擬ゲームをする。
私がターゲットなので先に逃げて、三十分後にマークが捜索スタートだ。

私たちのローカルルールでは、ハンターがターゲットにタッチしたらハンターの勝ち、夕方のサイレン迄逃げ切ったらターゲットの勝ちだ。


私は川を渡って対岸を少し歩き廻って足跡をつけてから、また川を渡って、自分の、足跡を戻って木に登った。ツタを使って枝伝いに別の木に飛びうつる。

下から見上げても分かりにくい木の上で、息を潜めて隠れることにした。

もう諦めたかなあ~と思った頃マークが現れた。
「レイ!この辺に居るだろ。もうすぐ捕まえるぞ!」

かなり焦ってるわね。もうすぐ時間切れよ。

「ひゃー なんだコレ? 助けてくれ~
レイ 頼む 助けに来てくれー」


「痛い 痛い やめろ!コノヤロー
レイ!居るなら助けてくれ~」

これはマークがよく使う手で、姿を見せると、「お前は甘いな」と追いかけて来るんだ。

「ちくしょーふざけんな!
お前なんかに食われるもんか!」


マークは見事に私の作ったトラップに引っ掛って、逆さ吊りになっていて、その下には三匹の灰色オオカミがウロウロしている。


「ねぇマーク!ナイフ持ってるんでしょ。自分でツタを切れば。」


「このトラップに引っかかったときに、ナイフ落としたんだ!」


「今日はもう私の勝ちでいい?そしたら、助けてあげるわよ」


「レイ見っけ!さてと」
マークは腕力だけでツタを登り始めた。

「またやられた!でも逃げ切って見せる。」

私はしばらく走ってからまた木に登った。

「ワオーン、ワオーン」

えっ?何で?灰色オオカミが私を追って来てるのよ。

私の登った木の下で三匹がウロウロしている。

「レイ!降りて来いよ。もうそこにいるのはわかってるんだよ」

「それじゃ 登って来なさいよ」

マークが近くまで登ってきた時に、私は、ジャンプして枝先につかまった。

枝は大きくしなり、折れそうなタイミングで下の枝に飛びうつる。これを3度繰り返して、地上に飛び降りて、オオカミをナイフでしとめた。

「あ~あ可哀想に、折角手懐けたのに」

ウーーーーー

その時夕方のサイレンが鳴った。

「今日はレイの勝ちだな」

「一応ね。でも本物のハンターなら弓とかあるでしょ、そしたらヤバイわね」

「まあな、でも矢を一発食らったくらいじゃ、急所でもない限り死なないよな、俺は槍か斧が好きだな」

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