上 下
26 / 27

ざまあ する?

しおりを挟む
執務室の前に着き
「レミーです。
ただ今戻りました。」
と声を掛けた。

「入れ!」
と中から伯爵の声が聞こえた。

「父上、こいつ凄い術を使います。お気をつけください。」
と後から追ってきたボリスが言った。

「レンドルフ伯爵、ボリスの言う通りです。
私は、あなたの駒には成りません。
それと、私を犯そうとしたボリスを私は許してません。
廃嫡の上追放していただけますか?」

伯爵は、目を通してた書類を握り締めた

「何を生意気な!小娘が!
自分の立場をわかっておるのか?」

「ええ、よくわかってます。あなたの命もボリスの命も今は私の手の中です。
私は蟻一匹殺すのと同じ位簡単にあなた達を殺せますよ。」

「なにを馬鹿なことを!」

「百聞は一見にしかず。臨死体験をしてもらいますね」

レミーは、伯爵を『収納』した。

「おまっ なにを!」

「ボリス、あなたも入る?」

「うわっ。勘弁してくれ。もう二度とあんなところに入りたくないよ。
お願いだ!やめてくれ!」

「ボリスは、ほんの一瞬入っただけじゃない。
そんなに、怖かったんだ。気絶してたわよね。」

「あんなところに入れられたら、生きた心地がしないよ。
僕は気絶してなかったら、気がふれてたはずだよ。」

「じゃあ、伯爵がどうなったか見てみましょう。」

レミーは、伯爵を『収納』から取り出した。

「父上!大丈夫ですか!
僕です。ボリスです。」

「ああ、何とかな。
レミー 人は死ぬとああなるのか?
光も音も匂いも重さも何も無い世界に行くのか?」

「今は無を感じてもらいましたが、実際は無そのものになるので、無を感じることも有りませんよ。」

「そうか。では、お前が死ね!」

レミーの足もとが突然無くなって、レミーは地下へと落とされた。

「ひゃあ~~」

レミーが下を見ると剣山の様に刃物が光っていた。

レミーは、瞬時にその刃物を『収納』して、代わりに布団を何枚も出した。

〈ふぅ~ 落とし穴か!
見えてる物なら怖くないけど、突然のトラップとかにはまだ対応しきれないわね〉

レミーは『自由空間』への扉を出して、再び伯爵の執務室に戻った。

「お お お前は~
なぜだ?
どうやって?」

「アワワワ お化けか?」

「ばかボリス。本人よ。
伯爵、今ので私も吹っ切れました。
まずは、痛い目にあってもらいますね。」

伯爵の頭上に石や岩が現われて次々と降り注ぐ。
部屋の中を走って逃げ回る伯爵を追いかけるようにどんどんと落ちてくる。

「やめてくれ。
助けてくれ。」

そして、先程レミーが落とされた落し穴にあしを踏み外し落ちて行った

「うわ~~」

「安心して!刃物は無いから」

ドスンという衝撃音と
「ぐぇっ」といううめき声が聞こえた。

「灯り」
魔法で下を照らして、ボリスと二人で覗き込むと
伯爵が動いていた。

レミーは、伯爵を一旦『収納』して、再び執務室に出した。

「足がぁー」

見れば、伯爵の右足があり得ない方向に折れ曲がっていた。

「私を殺そうとしたんだから、殺されて当然よね。
でも、言うことを聞けば、殺さないであげるわ。」

「わかった。何でも言うことを聞く。
だから、殺さないでくれ。」

「いいわ。でもその折れた足 そのままだと、死んじゃうわよ」

「治癒してもらえないのか?」

「切り落してから、傷口を塞ぐ位なら、してあげてもいいわよ。」

「元通りにも出来るんだろ。頼む!治してくれ!」

「そりゃ、出来ないこと無いけど、それって虫が良すぎない?
やっぱり面倒だから殺しちゃおうかしら。フフフ」

「わかった!頼む!足は諦める!助けてくれ!」

「仕方ないわね」

レミーは『部分収納』を使い、膝下で伯爵の足を切断して『治癒』で出血を止めた。

「これでもう大丈夫よ。
一応切り落とした足も返すわね。」

切断した血だらけの足を伯爵の目の前に出した。

ボコボコに顔が腫れ上がった伯爵は、一瞬重たそうなまぶたを開けて、その足を見ただけだった。

「ボリス!お前を廃嫡の上追放する。
ワシを恨むなよ。」

「はい、父上。
決して恨みません。
これまで育てていただきありがとうございました。」

「ううう ボリスよ
体に気を付けてな。」

「はい、父上こそお元気でいて下さい。ううう」


「ちょっと~ あんたたち、まるで私が悪者みたいじゃない。
やめてよ親子の今生の別れのシーンとかは…」

「いや、でも、実際、そうだし…」

「可哀想な目に合ったのは、わたしのほうよ、そこんところわかってる?
あんたたち親子のせいで、私は辛い日々をおくってきたのよ。
それがやっと、仕返しする千載一遇のタイミングが巡ってきたのよ。
それなのに、まるで私があなた達をいじめてるみたいじゃないの。」

「レミー様 お慈悲を」

「ボリス あんたはどれだけ私が大変だったか知らないでしょ。
スキルが無かったら今頃私は魔物の餌になってたはずよ」

「ぼくが餌になる番か。」

「あんた、少しは戦えるんでしょ。か弱い女性じゃあるまいし。」

「ペンより重い物は持ったことが無いよ。
戦うなんて、とんでもない。
枝ぶりのいい木でも探すよ。」

「馬鹿なこと言わないでよ。自殺なんかしたら、許さないから。」

「それじゃあ、許してくれるの?」

「冗談じゃない。許すわけないでしょ。」

「どっちみち許してくれないなら、自殺しても、しなくても同じだよね。」

「もういいわ、死ぬならご勝手に!
特別に温情でマジックバッグと10万G持たせてあげる。
せいぜいそれで生き抜いてみなさいよ。
それ以上は、期待しても無駄よ。」

レミーは『収納』からマジックバッグと10万Gを取り出し、ボリスに投げた。

「それじゃあねボリス。さようなら。
二度と会うことは無いわよ。もし、目の前に顔を出したら…」

「命は無いものと思え だろ。
わかってるよ。
マジックバッグとお金
一応礼を言う。
じゃあな!」

ボリスはそれらをひっつかんで、逃げる様にその場を去って行った。



「さて次は、伯爵!」

「ひっ!
まだなにか?!」

「全く、声かけただけで怯えないでよ。
あなたには、隠居してもらうわ。
ボリスの追放と私がこの伯爵家当主になったと内外に知らせなさい。
あなたにこれ以上危害を与えるつもりはないから、安心なさい。
但し、自由はもう無いわよ、これからは、北の角部屋があなたの部屋。
私の許可無しで部屋から出ることは許しません。見張りもつけます。」

「それでは、牢獄と一瞬ではないか?」

「私の『収納』の方がお望みかしら?」

「とんでもない!
よろこんで、北の角部屋に行くよ。」

こうして、レミー・レンドルフ伯爵が誕生した。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

男子高校生だった俺は異世界で幼児になり 訳あり筋肉ムキムキ集団に保護されました。

カヨワイさつき
ファンタジー
高校3年生の神野千明(かみの ちあき)。 今年のメインイベントは受験、 あとはたのしみにしている北海道への修学旅行。 だがそんな彼は飛行機が苦手だった。 電車バスはもちろん、ひどい乗り物酔いをするのだった。今回も飛行機で乗り物酔いをおこしトイレにこもっていたら、いつのまにか気を失った?そして、ちがう場所にいた?! あれ?身の危険?!でも、夢の中だよな? 急死に一生?と思ったら、筋肉ムキムキのワイルドなイケメンに拾われたチアキ。 さらに、何かがおかしいと思ったら3歳児になっていた?! 変なレアスキルや神具、 八百万(やおよろず)の神の加護。 レアチート盛りだくさん?! 半ばあたりシリアス 後半ざまぁ。 訳あり幼児と訳あり集団たちとの物語。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 北海道、アイヌ語、かっこ良さげな名前 お腹がすいた時に食べたい食べ物など 思いついた名前とかをもじり、 なんとか、名前決めてます。     *** お名前使用してもいいよ💕っていう 心優しい方、教えて下さい🥺 悪役には使わないようにします、たぶん。 ちょっとオネェだったり、 アレ…だったりする程度です😁 すでに、使用オッケーしてくださった心優しい 皆様ありがとうございます😘 読んでくださる方や応援してくださる全てに めっちゃ感謝を込めて💕 ありがとうございます💞

【完結】神から貰ったスキルが強すぎなので、異世界で楽しく生活します!

桜もふ
恋愛
神の『ある行動』のせいで死んだらしい。私の人生を奪った神様に便利なスキルを貰い、転生した異世界で使えるチートの魔法が強すぎて楽しくて便利なの。でもね、ここは異世界。地球のように安全で自由な世界ではない、魔物やモンスターが襲って来る危険な世界……。 「生きたければ魔物やモンスターを倒せ!!」倒さなければ自分が死ぬ世界だからだ。 異世界で過ごす中で仲間ができ、時には可愛がられながら魔物を倒し、食料確保をし、この世界での生活を楽しく生き抜いて行こうと思います。 初めはファンタジー要素が多いが、中盤あたりから恋愛に入ります!!

俺だけに効くエリクサー。飲んで戦って気が付けば異世界最強に⁉

まるせい
ファンタジー
異世界に召喚された熱海 湊(あたみ みなと)が得たのは(自分だけにしか効果のない)エリクサーを作り出す能力だった。『外れ異世界人』認定された湊は神殿から追放されてしまう。 貰った手切れ金を元手に装備を整え、湊はこの世界で生きることを決意する。

30代社畜の私が1ヶ月後に異世界転生するらしい。

ひさまま
ファンタジー
 前世で搾取されまくりだった私。  魂の休養のため、地球に転生したが、地球でも今世も搾取されまくりのため魂の消滅の危機らしい。  とある理由から元の世界に戻るように言われ、マジックバックを自称神様から頂いたよ。  これで地球で買ったものを持ち込めるとのこと。やっぱり夢ではないらしい。  取り敢えず、明日は退職届けを出そう。  目指せ、快適異世界生活。  ぽちぽち更新します。  作者、うっかりなのでこれも買わないと!というのがあれば教えて下さい。  脳内の空想を、つらつら書いているのでお目汚しな際はごめんなさい。

転生したら貴族の息子の友人A(庶民)になりました。

ファンタジー
〈あらすじ〉 信号無視で突っ込んできたトラックに轢かれそうになった子どもを助けて代わりに轢かれた俺。 目が覚めると、そこは異世界!? あぁ、よくあるやつか。 食堂兼居酒屋を営む両親の元に転生した俺は、庶民なのに、領主の息子、つまりは貴族の坊ちゃんと関わることに…… 面倒ごとは御免なんだが。 魔力量“だけ”チートな主人公が、店を手伝いながら、学校で学びながら、冒険もしながら、領主の息子をからかいつつ(オイ)、のんびり(できたらいいな)ライフを満喫するお話。 誤字脱字の訂正、感想、などなど、お待ちしております。 やんわり決まってるけど、大体行き当たりばったりです。

冤罪で山に追放された令嬢ですが、逞しく生きてます

里見知美
ファンタジー
王太子に呪いをかけたと断罪され、神の山と恐れられるセントポリオンに追放された公爵令嬢エリザベス。その姿は老婆のように皺だらけで、魔女のように醜い顔をしているという。 だが実は、誰にも言えない理由があり…。 ※もともとなろう様でも投稿していた作品ですが、手を加えちょっと長めの話になりました。作者としては抑えた内容になってるつもりですが、流血ありなので、ちょっとエグいかも。恋愛かファンタジーか迷ったんですがひとまず、ファンタジーにしてあります。 全28話で完結。

異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。

sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。 目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。 「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」 これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。 なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。

レベルを上げて通販で殴る~囮にされて落とし穴に落とされたが大幅レベルアップしてざまぁする。危険な封印ダンジョンも俺にかかればちょろいもんさ~

喰寝丸太
ファンタジー
異世界に転移した山田(やまだ) 無二(むに)はポーターの仕事をして早6年。 おっさんになってからも、冒険者になれずくすぶっていた。 ある日、モンスター無限増殖装置を誤って作動させたパーティは無二を囮にして逃げ出す。 落とし穴にも落とされ絶体絶命の無二。 機転を利かせ助かるも、そこはダンジョンボスの扉の前。 覚悟を決めてボスに挑む無二。 通販能力でからくも勝利する。 そして、ダンジョンコアの魔力を吸出し大幅レベルアップ。 アンデッドには聖水代わりに殺菌剤、光魔法代わりに紫外線ライト。 霧のモンスターには掃除機が大活躍。 異世界モンスターを現代製品の通販で殴る快進撃が始まった。 カクヨム、小説家になろう、アルファポリスに掲載しております。

処理中です...