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貴族への復権
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レミーは、なんだかその夜はなかなか寝付けなかった。
勿論初めてのベッドということもあったが、どうにも自分のポジションが気に入らなかった。
次期男爵のアレスの妻として迎えられても、アレスの心は、メリッサに向っている。
たとえばメリッサが側室となって、毎夜アレスが通い詰めたら、自分は耐えられるのか?
メリッサが身体はアレスに許しても、心はホセだったら?
ホセの純情がいつかルーシーに届いたら?
ルーシーのブラコンに負けてアレスが関係を持ったら?
ホセが奥様に………
あ~~~もう!
どの道私は蚊帳の外みたいだわ。
色々なパターンを考えてみても楽しい未来は、見えて来なかった。
こうしてモヤモヤしたまま10日程が過ぎた。
レミーは、「異次元の覇者」パーティリーダーとして、冒険者への依頼をこなしながら過ごしていた。
4人は多少ぎくしゃくしながらもDランク程度の魔物は難なく倒していた。
そしてレミーはDランクにルーシーとメリッサはEランクになっていた。
この日も、いくつかの依頼をこなして、城に戻るとレンドルフ家からの使者が訪れていた。
レミーたちが応接間へと行くとそこにはランドルフ男爵とあのボリスが居た。
「おお、戻ったか。お待ちかねだったよ」
「レミー 久しぶりだな」
「ボリス なんの用よ」
「こちらの男爵の尽力で、お前の貴族への復権がかなったんだよ。
で、俺様が迎えに来てやったという訳だ。
お前は親父の養女、今日からレミー・レンドルフだ。
俺とは義理の兄妹だ。
あのときのことは、目をつぶってやるよ。
さぁ支度しろ、帰るぞ」
「お父様!これはどういうこと!」
ルーシーが男爵にくってかかった。
「仕方ないんだ。
復権を叶えるには、伯爵様の養女になるのが筋だ。
我々とは、血のつながりがないからな。
伯爵様が望まれれば、それに従わざるを得ないんだよ。」
「お別れは手短に頼むよ。サッサと帰りたいんだ」
ボリスはもう要件は済んだとばかりに、せかしてくる。
「ボリス殿、今日はもうじき暗くなる時間ですので、こちらにお泊り下さい。ささやかではございますが歓迎の宴をご用意致します。」
ランドルフ男爵がそう言うと
「そうか それなら、折角だし泊まっていくか。」
とボリスが言ったが、瞬時にレミーが
「私のスキルで、一瞬でレンドルフ城に戻れますから、宴は必要ありません。」
「ああ、そうね。
レミーいつでも遊びに来ていいから。
待ってるわ。」
「ありがとうルーシー。遊びに来るから。
皆さんお世話になりました。
さ ボリス行くわよ。」
レミーがそう言って席を立つと、ボリスは後について来ながら
「お前が仕切るなよ!偉そうに」
「ボリス 城に戻ったら、可愛がってあげる」
「なっ!なんだよ。それ」
「ふふっ。まぁその時になれば分かるわ。」
レミーは玄関の衛兵に
「ボリス殿下がおかえりよ」
と告げた。
玄関脇の小部屋で待っていると
「お待たせ致しました馬車のご用意が出来ました」
と呼ばれた。
〈別に馬車は無くてもいいんだけど、ここに置いてく訳にもいかないしね〉
ボリスが先に馬車に乗り込んだ。
レミーは、ドアの所にいる馭者にドアを閉めさせ、馭者ごと馬車を『収納』した。
自由空間へのドアを出して移動して、また直ぐにレンドルフ城玄関へと移動した。
馭者と馬車を『収納』から出すと、馬が驚いて暴走してしまった。
馭者はレミーの脇でヘナヘナとへたりこんでいる。
「仕方ないわね」
走り去る馬車の前に、土壁をどんどんとめぐらせて行く、周りを取り囲むようにして、こちらへと戻るルートのみを残した。
もうもうと土煙があがり壁が完成すると、馬は意外にも冷静さを取戻したようだ。
走るのを止めて、ゆっくり歩いてこちらに向ってくる。
こちらもまた落着きを取り戻した馭者が馬の轡を押さえ、事無きを得た。
一応彼の尊厳の為にレミーは馭者にクリーンの魔法をかけてあげた。
土壁を『収納』して、辺りを元通りに戻してから、馬車のドアを開けると、中でボリスが白目をむいて気絶していた。
「やっぱりだらしない男ね。
こんな奴が伯爵になったら皆の不幸よね」
レミーは、そうつぶやくと魔法で水を出して、バシャバシャとボリスの顔にかけた。
「うわっ ブハッ
おい やめろ!」
レミーは、面白くなってしまいそのまましばらく続けた。
「やめろ!
やめて。
やめてくれ~~
ブハッ
ゲホゲホ」
ボリスが水を飲んでむせてるようなので、そこで水を出すのをやめた。
馬車の中も外も水びたしになったが『収納』と『クリーン』で綺麗にした。
「お前何するんだ!」
「着いたのに白目むいて、だらし無く気絶してるから、起こしてあげたのよ。
そんな姿を周りの人に見せないようにしてあげたのよ。
感謝しなさいよ。」
〈なんか私ルーシーみたい〉
レミーは笑みがこぼれた。
「なに、ニヤついてるんだよ」
ボリスがそう言いながら馬車から出てくる。
「あんたには、関係無いわよ」
と言い返した。
〈さて、どんなふうに「ざまあ」しようかな〉
「ふふっ」
レミーは笑みを漏らしながら、伯爵の執務室へと向かった。
勿論初めてのベッドということもあったが、どうにも自分のポジションが気に入らなかった。
次期男爵のアレスの妻として迎えられても、アレスの心は、メリッサに向っている。
たとえばメリッサが側室となって、毎夜アレスが通い詰めたら、自分は耐えられるのか?
メリッサが身体はアレスに許しても、心はホセだったら?
ホセの純情がいつかルーシーに届いたら?
ルーシーのブラコンに負けてアレスが関係を持ったら?
ホセが奥様に………
あ~~~もう!
どの道私は蚊帳の外みたいだわ。
色々なパターンを考えてみても楽しい未来は、見えて来なかった。
こうしてモヤモヤしたまま10日程が過ぎた。
レミーは、「異次元の覇者」パーティリーダーとして、冒険者への依頼をこなしながら過ごしていた。
4人は多少ぎくしゃくしながらもDランク程度の魔物は難なく倒していた。
そしてレミーはDランクにルーシーとメリッサはEランクになっていた。
この日も、いくつかの依頼をこなして、城に戻るとレンドルフ家からの使者が訪れていた。
レミーたちが応接間へと行くとそこにはランドルフ男爵とあのボリスが居た。
「おお、戻ったか。お待ちかねだったよ」
「レミー 久しぶりだな」
「ボリス なんの用よ」
「こちらの男爵の尽力で、お前の貴族への復権がかなったんだよ。
で、俺様が迎えに来てやったという訳だ。
お前は親父の養女、今日からレミー・レンドルフだ。
俺とは義理の兄妹だ。
あのときのことは、目をつぶってやるよ。
さぁ支度しろ、帰るぞ」
「お父様!これはどういうこと!」
ルーシーが男爵にくってかかった。
「仕方ないんだ。
復権を叶えるには、伯爵様の養女になるのが筋だ。
我々とは、血のつながりがないからな。
伯爵様が望まれれば、それに従わざるを得ないんだよ。」
「お別れは手短に頼むよ。サッサと帰りたいんだ」
ボリスはもう要件は済んだとばかりに、せかしてくる。
「ボリス殿、今日はもうじき暗くなる時間ですので、こちらにお泊り下さい。ささやかではございますが歓迎の宴をご用意致します。」
ランドルフ男爵がそう言うと
「そうか それなら、折角だし泊まっていくか。」
とボリスが言ったが、瞬時にレミーが
「私のスキルで、一瞬でレンドルフ城に戻れますから、宴は必要ありません。」
「ああ、そうね。
レミーいつでも遊びに来ていいから。
待ってるわ。」
「ありがとうルーシー。遊びに来るから。
皆さんお世話になりました。
さ ボリス行くわよ。」
レミーがそう言って席を立つと、ボリスは後について来ながら
「お前が仕切るなよ!偉そうに」
「ボリス 城に戻ったら、可愛がってあげる」
「なっ!なんだよ。それ」
「ふふっ。まぁその時になれば分かるわ。」
レミーは玄関の衛兵に
「ボリス殿下がおかえりよ」
と告げた。
玄関脇の小部屋で待っていると
「お待たせ致しました馬車のご用意が出来ました」
と呼ばれた。
〈別に馬車は無くてもいいんだけど、ここに置いてく訳にもいかないしね〉
ボリスが先に馬車に乗り込んだ。
レミーは、ドアの所にいる馭者にドアを閉めさせ、馭者ごと馬車を『収納』した。
自由空間へのドアを出して移動して、また直ぐにレンドルフ城玄関へと移動した。
馭者と馬車を『収納』から出すと、馬が驚いて暴走してしまった。
馭者はレミーの脇でヘナヘナとへたりこんでいる。
「仕方ないわね」
走り去る馬車の前に、土壁をどんどんとめぐらせて行く、周りを取り囲むようにして、こちらへと戻るルートのみを残した。
もうもうと土煙があがり壁が完成すると、馬は意外にも冷静さを取戻したようだ。
走るのを止めて、ゆっくり歩いてこちらに向ってくる。
こちらもまた落着きを取り戻した馭者が馬の轡を押さえ、事無きを得た。
一応彼の尊厳の為にレミーは馭者にクリーンの魔法をかけてあげた。
土壁を『収納』して、辺りを元通りに戻してから、馬車のドアを開けると、中でボリスが白目をむいて気絶していた。
「やっぱりだらしない男ね。
こんな奴が伯爵になったら皆の不幸よね」
レミーは、そうつぶやくと魔法で水を出して、バシャバシャとボリスの顔にかけた。
「うわっ ブハッ
おい やめろ!」
レミーは、面白くなってしまいそのまましばらく続けた。
「やめろ!
やめて。
やめてくれ~~
ブハッ
ゲホゲホ」
ボリスが水を飲んでむせてるようなので、そこで水を出すのをやめた。
馬車の中も外も水びたしになったが『収納』と『クリーン』で綺麗にした。
「お前何するんだ!」
「着いたのに白目むいて、だらし無く気絶してるから、起こしてあげたのよ。
そんな姿を周りの人に見せないようにしてあげたのよ。
感謝しなさいよ。」
〈なんか私ルーシーみたい〉
レミーは笑みがこぼれた。
「なに、ニヤついてるんだよ」
ボリスがそう言いながら馬車から出てくる。
「あんたには、関係無いわよ」
と言い返した。
〈さて、どんなふうに「ざまあ」しようかな〉
「ふふっ」
レミーは笑みを漏らしながら、伯爵の執務室へと向かった。
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