平民に落とされた元お嬢様は超時空スキル持ちの聖女に覚醒。ざまあもいいけど恋がしたい。

烏帽子 博

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自由空間

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「私 スキルがまた増えた」

「えっ?スキルって増えるものなの?
そんなの聞いたことが無いわよ」

「俺も聞いたこと無いよ」

「ちょっと行って、見てくる」

レミーは、そう言うと目の前にドアを出した。
レミーがそのドアを開けて中に入るとレミーもドアも消えて無くなった。

「レミー!」
「レミー 何処だ!」

皆が呆然としていると又ドアが現われて、中からレミーが出てきた。

「レミー 心配したじゃない、突然消えるんだもん。」

「ごめんね。ちょっと試したかったから。」



自由空間の中は明るく真っ白な世界がどこまでも広がっていた。
足もとは、しっかりしていてちゃんと重力も感じる。
『収納』に有った土を撒いてみると、普通に地面があるように見えた。

ルーシーの部屋をイメージしてドアを出すと
ドアの向こうにルーシーの部屋が現れた。

一度ルーシーの部屋に入ってから再び自由空間に入りそして、皆の居る場所に戻ってみたのだった。

「凄い便利よ。今ルーシーの部屋まで、行って帰って来たんだから。」

「うそ、何それ瞬間移動?」

「それに近いかなぁ
バージョンアップすればそれも出来そうだけど」

「ふぇ~~ どこでも行けるの?」

「それは、行ったことのある場所だけよ。
知らない所は、イメージ出来ないから。」

「それじゃあ、ここで依頼分の薬草採取し終わったら、歩かないでパッとギルドに戻って、パッと城に戻ってくつろげる訳?」

「でも、そんなことしたらギルドに居る人を驚かせちゃうし、皆に能力を知られちゃうわ」

「そうね。」

「なぁ」

「何 アレス
今大事な話をしてるのよ。邪魔しないでよ」

「ルーシー そう言うなよ。
俺に考えが有るんだよ」

「へー アレスが!
言ってみたら。
多分ろくな考えじゃないだろうけど、ヒント位にはなるかもね」

「さっきレミーは、ドアを出したよな。
だったら、ギルドの出入り口のドアを僕らが使うときだけ『転移』の扉にしちゃえばいいと思ったんだ。
それなら、僕らが外から普通に入って来たように見えるだろ。」

「アレス!
やるじゃない。
レミーの評価ポイント高いわよ。
ねっレミー。」

「ちょっと待ってよ。そんなこと上手く出来るかなあ~
でも上手く出来たら、使える技よね。
アレス、ありがとう。」

「ハハハ 惚れ直したかい?」

「そこまでは、いかないわ」

「アレス撃沈ね。ふふっ」

「ところでアレス。薬草は集まったの。」

「ああ、依頼分位は集めたよ。」

「それじゃあ、私はレミーのスキルの検証するから、アレス、ホセ、メリッサで魔物でも狩って待ってて。」

「え~~~
俺もそっちがいいなあ~」

「ワガママ言わないの。行きましょレミー。」

レミーがドアを出すと、ルーシーは怖がりもせずにサッサと中に入って行った。
レミーも慌てて後を追った。

「へえー こんなところに出るんだ。
何にも無いのね。」

「私の『収納』に有るものは出せるみたいだから、何でも持って来れるはずよ」

「へえー、じゃあ例のアジトもここに出せるんだ」

「ええ、出しましょうか?」

「今は、いいわ。
それより検証が先よ。
練習の為に、私の部屋に繋げてみて。」

二人で、まずルーシーの部屋に行った。

「私はここでドアの方を見てるから、
レミーは、ドアから普通に出入りするように見せて、さっきの場所と往復してみせて。」

「わかったわ。やってみるね。」

レミーは、ルーシーの部屋のドアを何度も出たり入ったりしたり、
ドアを『収納』したりまた出してみたりした。

ドアを開けたままにして、そこに転移用のドアを出してみたり、思い付く限り色々試してみた。

元々の転移用のドアは、上の部分が丸くなっていてアンシンメトリーの派手な彩色がされている。
ルーシーの部屋のドアとは、形状も装飾も色合いも全て違っていた。

「ルーシー、ちょっと無理みたい。
全然ドアが違うんだもん」

「そっかぁ。
そのうち出来るようになるといいわね。」
ルーシーは意外とあっさり引き下がった。

「まぁそれでも、私の部屋の中に来れるだけでも凄い事よね。
ねぇレミー
あなたもここに住みなさいよ。
元々あなたの家だったんだし、いいでしょ。」

「そんな、申し訳ないわ。
今の私は、ただの平民よ。」

「そんなこと気にしなくていいわよ。
もうそう決めたから!」

やれやれ、お嬢様のお相手も大変だ。
でも宿代がかからないのは助かると思った。
アレスと一つ屋根の下というのに少し抵抗があったが、彼なら大丈夫だろう。

「もしかしてアレスのこと考えてる?」

「んぁっ」

「当たりね!
じゃあ、彼のところに戻りましょう。」

二人が薬草採取をしていた平原に戻ると直ぐに皆集まって来た。

「アレス案は駄目でした。今後に期待しましょう。
で、こっちは何か成果あった?」

「メリッサがゴブリンの巣を見つけたんだけど、20匹以上居るみたいで、ヤバそうだから、まだ手つかずなんだよ。」

「それじゃあ、サッサと片づけましょう。折角の経験値もらわないとね。
アレスとホセで囮になって巣から出てこさせて。
出てくれば、女子三人の餌食よ」

ゴブリンたちは、メリッサの弓とルーシーのファイアーアローで次々と倒されて行く。
たまに盾を持った個体が居るとレミーが盾を『収納』して攻撃が通りやすくしている。

10匹程倒すと、ゴブリンナイト二匹とゴブリンジェネラルが出てきた。

流石に彼らは矢は避けるし、ファイアーアローも通用しない。
しかし、レミーが三匹を『収納』して、あっけなく方はついた。

「やっぱり、レミーの『収納』は最強よね。
敵がパッと消えて終わりなんて凄過ぎよね。
さて、もう帰りましょ」

レミーがドアを出して皆入っていった。
一旦自由空間を経由して、ルーシーの部屋に5人は移動した。

「メリッサ、ホセ
あなたたちのギルドカードよこしなさい。
あなた達は家でやることがあるでしよ。
私たち三人でギルドに行って来るから。
それと、メリッサ。
お父様に今日からレミーがずっと家に泊まることになったからと伝えて、出来たら、客間以外の普通の部屋を用意してあげて。」

「さっ レミー アレス
行きましょう。」
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