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カイン アベル ルルカ
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レミーを預かっていた教会は、レンドルフ伯爵の領地の中心の町「レンドルフ」の北のハズレのあたりに有った。
レンドルフ伯爵は、レミーの伯父で、ボリスの一件でレミーを平民に落とし孤児院に入れた張本人だ。
レンドルフ伯爵の領地の北には森が広がっていて、その先には自分が12歳までいたタイロン領があるはず。
今は男爵だった父も母もいないし、領地の名前も変わっているかもしれないが、旅立ちの最初に訪れるのはそこがいいと前から決めていた。
旅立ちのタイミングとしては突然だけど、
生活魔法も聖なる力も超時空スキルもそこそこ使えるようになったので、シスターメアリーからは、「もういつ出て行ってもあなたなら大丈夫」と言われていた。
旅立つにあたって、服を2着と毛布を2枚、それに小遣いを貯めたお金を『収納』に入れた。
食料に関しては、以前から食事の度に少しずつ残して、『収納』に入れてある。
時間停止の所に入れてあるので、腐りもしないし、温度もそのままだ。
食器も、この日に備えて前から『収納』にしまってある。
「荷物は、たったこれだけね。
旅支度も簡単。
さぁ森に入りましょう。
それでは、行ってきま~す。」
孤児院から出るとまだ早朝の冷たい風がほほを撫でて肌寒い。
森に入ると、木々が色付きながら葉を落とす頃で、街道は一気にカラフルになった。
「綺麗!」
木漏れ日が赤や黄色の葉を照らして鮮やかだ。
〈恋人と手を繋いでこんな所を歩いてみたいなぁ
そういえば、昨日の二人はイケメンだったなぁー
また、何処かで会えるかな。〉
レミーは、昨日助けたイケメンたちとの妄想デートをしながら、森の中の街道を歩いて進んで行った。
「ウギャウギャ」
「ウギャウギャ」
なんか気持ち悪い声が聞こえたと思ったら、手に棍棒を持ったゴブリンが2匹やって来た。
「気持ち悪っ」
〈イケメン二人のはずがゴブリン二匹なんて最低〉
ゴブリンを『収納』して解体した。
街道脇の地面を一旦収納して、出来た穴にゴブリンを出して、また地面を戻した。
一応、討伐証明になる左耳だけは、『収納』に残しておいた。
またしばらく歩いて行くと、水音が聞こえてきた。
レミーは少し急な坂を降りて行き、河原についた。
大小様々な石を『収納』に入れたり出したりして石組みの囲いを作り、木を同じように切り出しては屋根になるように並べた。
出来た小屋の中をガンガンに暖めて、汗をかいてから、身を切るような冷たい川で水浴びをし、また小屋で汗をかいて、川に、飛び込んだ。
「ふぁ~ 整った!
きっと私は、この世界でサウナを楽しんだ、第一号よね」
石のテーブルと石の椅子を出して、ランチにした。
『収納』から温かいスープとパンを出して、道中で見つけたリンゴをデザートにした。
「どうせなら、美味しく食べられる魔物が来ないかしら?
オークとか来ないかしら。
色んな料理がそしたら出来るわよね。
ポークソテーでしょ
とんかつでしょ
角煮もいいわよね
しょうが焼
しゃぶしゃぶ
チャーシュー
ベーコン
肉野菜炒め
チンジャオロース
豚まん
餃子
胃袋ガッチリつかんで、華燭の典を挙げるのよ
もちろんイケメンとね。」
レミーは、石の小屋やテーブルをしまい、再び街道をあるきだした。
「クワッ クワッ」
ワイルドターキーは、レミーを見つけるなり飛びかかってきた。
しかしその爪がレミーに届くことはもちろん無かった。
「ヒャッホー
チキン チキン♫」
レミーがやってるのは見た物を『収納』するだけ。
戦闘とは全く言えない状態だ。
一瞬にして、ワイルドターキーはレミーの『収納』へと姿を消した。
レミーの弱点を敢えて言えば、気付かない所から狙撃とか襲われる、又はレミーの動体視力で追えない程のスピードを持った相手といった所だろう。
そして、しばらく歩いて行くと、一台の荷馬車がオーク3匹に襲われていた。
「いいなぁ~オークだ」
荷馬車は冒険者が3人で守っているが、冒険者が若干不利な戦いのようだった。
一人の冒険者が、オークの棍棒をまともに脇腹あたりにくらって、吹っ飛んだ。
レミーは近くに駆け寄り
「オーク、もらっても良いですかぁ~」
と大声で叫んだ。
「お願い!一緒に戦って!」
魔道士風の女性が返事をしてくれた。
「オーク三匹、遠慮なくいただきます。」
レミーは、そう叫ぶとオークを『収納』した。
一瞬でオークが姿を消した事に、何が起きたのか分からず二人の冒険者は放心状態だ。
レミーは先程オークに吹っ飛ばされた人に駆け寄り『治癒』を施した。
レミーが手をかざすと、男性の腹部が光を帯びて、やがて光はゆっくりと消えた。
「えっ な 治ってる」
「ええ、私が 『治癒』かけました。」
「あワワワ。せっ 聖女様」
その人は、土下座スタイルで、頭を地面にこすりつける様にして
「聖女様 ありがとうございます。
私のような者に、『聖なる力』を使っていただき、本当に感謝致します。
心苦しいのですが、今は持ち合わせがあまり無く、これしかお渡し出来ませんが、不足分も必ず後ほどお渡し致しますのでお許しください。」
その人は、お金の入った袋を、袋ごと差し出した。
その時他の冒険者も駆け寄り膝立ちで手を組み
「アベル、お前だけに苦労はさせない」
「そうよ、アベル
私たち兄妹、死ぬも生きるも一緒じゃない」
二人は、アベルの差し出した袋に重ねるように金の入った袋を出した。
「カイン!ルルカ!
ありがとう。
聖女様に助けていただいたこの命、その火が尽きるまで二人に捧げる。」
「これでも足りないと思いますが、不足分は、申し訳有りませんがランドルフの冒険者ギルドでお渡ししたいのですが、よろしいですか。」
なんなんだろう?この茶番劇は?
レンドルフ伯爵は、レミーの伯父で、ボリスの一件でレミーを平民に落とし孤児院に入れた張本人だ。
レンドルフ伯爵の領地の北には森が広がっていて、その先には自分が12歳までいたタイロン領があるはず。
今は男爵だった父も母もいないし、領地の名前も変わっているかもしれないが、旅立ちの最初に訪れるのはそこがいいと前から決めていた。
旅立ちのタイミングとしては突然だけど、
生活魔法も聖なる力も超時空スキルもそこそこ使えるようになったので、シスターメアリーからは、「もういつ出て行ってもあなたなら大丈夫」と言われていた。
旅立つにあたって、服を2着と毛布を2枚、それに小遣いを貯めたお金を『収納』に入れた。
食料に関しては、以前から食事の度に少しずつ残して、『収納』に入れてある。
時間停止の所に入れてあるので、腐りもしないし、温度もそのままだ。
食器も、この日に備えて前から『収納』にしまってある。
「荷物は、たったこれだけね。
旅支度も簡単。
さぁ森に入りましょう。
それでは、行ってきま~す。」
孤児院から出るとまだ早朝の冷たい風がほほを撫でて肌寒い。
森に入ると、木々が色付きながら葉を落とす頃で、街道は一気にカラフルになった。
「綺麗!」
木漏れ日が赤や黄色の葉を照らして鮮やかだ。
〈恋人と手を繋いでこんな所を歩いてみたいなぁ
そういえば、昨日の二人はイケメンだったなぁー
また、何処かで会えるかな。〉
レミーは、昨日助けたイケメンたちとの妄想デートをしながら、森の中の街道を歩いて進んで行った。
「ウギャウギャ」
「ウギャウギャ」
なんか気持ち悪い声が聞こえたと思ったら、手に棍棒を持ったゴブリンが2匹やって来た。
「気持ち悪っ」
〈イケメン二人のはずがゴブリン二匹なんて最低〉
ゴブリンを『収納』して解体した。
街道脇の地面を一旦収納して、出来た穴にゴブリンを出して、また地面を戻した。
一応、討伐証明になる左耳だけは、『収納』に残しておいた。
またしばらく歩いて行くと、水音が聞こえてきた。
レミーは少し急な坂を降りて行き、河原についた。
大小様々な石を『収納』に入れたり出したりして石組みの囲いを作り、木を同じように切り出しては屋根になるように並べた。
出来た小屋の中をガンガンに暖めて、汗をかいてから、身を切るような冷たい川で水浴びをし、また小屋で汗をかいて、川に、飛び込んだ。
「ふぁ~ 整った!
きっと私は、この世界でサウナを楽しんだ、第一号よね」
石のテーブルと石の椅子を出して、ランチにした。
『収納』から温かいスープとパンを出して、道中で見つけたリンゴをデザートにした。
「どうせなら、美味しく食べられる魔物が来ないかしら?
オークとか来ないかしら。
色んな料理がそしたら出来るわよね。
ポークソテーでしょ
とんかつでしょ
角煮もいいわよね
しょうが焼
しゃぶしゃぶ
チャーシュー
ベーコン
肉野菜炒め
チンジャオロース
豚まん
餃子
胃袋ガッチリつかんで、華燭の典を挙げるのよ
もちろんイケメンとね。」
レミーは、石の小屋やテーブルをしまい、再び街道をあるきだした。
「クワッ クワッ」
ワイルドターキーは、レミーを見つけるなり飛びかかってきた。
しかしその爪がレミーに届くことはもちろん無かった。
「ヒャッホー
チキン チキン♫」
レミーがやってるのは見た物を『収納』するだけ。
戦闘とは全く言えない状態だ。
一瞬にして、ワイルドターキーはレミーの『収納』へと姿を消した。
レミーの弱点を敢えて言えば、気付かない所から狙撃とか襲われる、又はレミーの動体視力で追えない程のスピードを持った相手といった所だろう。
そして、しばらく歩いて行くと、一台の荷馬車がオーク3匹に襲われていた。
「いいなぁ~オークだ」
荷馬車は冒険者が3人で守っているが、冒険者が若干不利な戦いのようだった。
一人の冒険者が、オークの棍棒をまともに脇腹あたりにくらって、吹っ飛んだ。
レミーは近くに駆け寄り
「オーク、もらっても良いですかぁ~」
と大声で叫んだ。
「お願い!一緒に戦って!」
魔道士風の女性が返事をしてくれた。
「オーク三匹、遠慮なくいただきます。」
レミーは、そう叫ぶとオークを『収納』した。
一瞬でオークが姿を消した事に、何が起きたのか分からず二人の冒険者は放心状態だ。
レミーは先程オークに吹っ飛ばされた人に駆け寄り『治癒』を施した。
レミーが手をかざすと、男性の腹部が光を帯びて、やがて光はゆっくりと消えた。
「えっ な 治ってる」
「ええ、私が 『治癒』かけました。」
「あワワワ。せっ 聖女様」
その人は、土下座スタイルで、頭を地面にこすりつける様にして
「聖女様 ありがとうございます。
私のような者に、『聖なる力』を使っていただき、本当に感謝致します。
心苦しいのですが、今は持ち合わせがあまり無く、これしかお渡し出来ませんが、不足分も必ず後ほどお渡し致しますのでお許しください。」
その人は、お金の入った袋を、袋ごと差し出した。
その時他の冒険者も駆け寄り膝立ちで手を組み
「アベル、お前だけに苦労はさせない」
「そうよ、アベル
私たち兄妹、死ぬも生きるも一緒じゃない」
二人は、アベルの差し出した袋に重ねるように金の入った袋を出した。
「カイン!ルルカ!
ありがとう。
聖女様に助けていただいたこの命、その火が尽きるまで二人に捧げる。」
「これでも足りないと思いますが、不足分は、申し訳有りませんがランドルフの冒険者ギルドでお渡ししたいのですが、よろしいですか。」
なんなんだろう?この茶番劇は?
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