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旅立ち

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レミーは14歳、この孤児院に来て2年が経った。
その間シスターメアリーから生活魔法全般を教わり『超時空』スキルもレベルアップした。
『収納』スペースは聖堂よりも大きくなり、生き物も入れられる様になった。
しかも「生きたまま」とか「解体して」も選べる。
「一部収納」では大岩の半分を収納とかも出来た。

一方シスターメアリーは聖なる力に目覚め『治癒』が使える様にまでなっていた。

「まだ5人位でパワー切れ」とのことで、シスターアマンダには『聖なる力』のことは秘密にしていた。





「夜分遅くに申し訳有りません。
どうか仲間をお助け下さい。
お願いします。どうかどうかお助け下さい。」

必死な男の声で、私は飛び起きた。

シスターメアリーは
「あの感じじゃ、助からない状態よ、対応してみて『やっぱり駄目でした』だと逆恨みされるわよ。
無視したほうがいいと思うわ」

「でも、助けられる可能性があるなら…」

レミーは取り急ぎガウンを羽織って玄関へと急いだ。
玄関を開け『灯り』を出すと、血だらけの男が二人照らし出された。
一人の男は、既に意識も無くて片腕を失っている。

「この方を助けて下さい。お願いします。ううう。」

レミーはその場で『診察』を行う
全身打撲で、骨折だらけ、内臓も損傷し、失った腕からの出血も多く既に死んでいる状態に見えた。

「残念ですが、既にお亡くなりに…」

レミーがそこまで言ったときに、
男は「サンダー!」と
既に死んだと思われた男に、攻撃魔法を放った。

すると、死んだと思われた男が口から血を吐き、心臓の鼓動が不整脈状態ながら一瞬再開した。

レミーは、その時を逃さず『治癒』を行った。
腕の止血をし、損傷した内臓を修復した。
そこで一旦『治癒』を止め、『再生』で血液を増やした。
再び『治癒』で骨折を治すと
患者さんは自然呼吸を始め顔色も赤みがさした。

「もう大丈夫ですか?」

「彼があの時死んでいたら、この先意識が無い寝たきり状態になるかも知れません。
意識が回復するように祈りましょう。」

「よかった、この方なら大丈夫なはずだ。ありがとう」

それだけを言うと、その男もまた気絶してしまった。

レミーは、その男にも『治癒』を施して、二人を一旦『収納』し、空き部屋のベッドへと運んで寝かせた。

一度部屋に戻りシスターメアリーに事情を話すと

「えー 二人も連れ込んだの。
シスターアマンダ明日なんて言うかなぁ~」

「それで、今夜は二人に付き添いたいと思って」

「ちょっと待ってよ、見ず知らずの男二人が寝てる部屋に行くって言うの?
駄目よそんなの。」

「でも彼らがいつ目覚めるかわからないし
面倒みないと」

「もう~仕方ないわね
あたしも行くからね
ちゃんと修道服を着てね」

レミーとシスターメアリーは、二人して、男たちが寝ている部屋に行った。

「で、こっちの腕が無い方が死にそうだったのね」

「そうです」

「門の外で騒いでたのがこっちの人ね」

「はい。」

「二人共Cランクかぁ~まともな治療費は払えそうにないわね。
あんたのことだから、まだ何ももらって無いんでしょうよ」

「ええ、そうです」

「ん~まぁ。当然かぁ~ 私先に寝るから。
後で交代してあげるからね」
は朝まで起きなかった。そして男たちも。
レミーは、自分に『回復』を掛けて寝不足を解消していた。

「ミス・レミーおはよう。ゴメンね。代わるって言ったのにぐっすり寝ちゃって。」

「気にしなくていいですよ。『聖なる力』を自分に使ったので」

「そんなこともできるのね。いったい、どんだけ先に行ってるのか………
私、シスターアマンダに報告してくるわ。
あと、シスターアマンダが来るまでに『クリーン』かけときなさいよ、この部屋ひどい臭い」

シスターメアリーは部屋を出てから自分に『クリーン』を掛けて行った。

レミーは、カーテンを開けて、窓を開けた。
魔法に頼らなくても朝の新鮮な空気を入れればいいわよね。
二人の男には『クリーン』を掛けた。

そして清潔になった二人の顔を見て見ると
「二人ともイケメンだ!」
思わず口に出して言ってしまった。

『再生』レミーは、失ったはずの男の腕をもと通りに治した。

もう能力を隠し通せないわね。

レミーは、自分の部屋に戻り修道服を脱ぎ、普通の平民が着るような服に着替えた。
そして、脱いだ修道服の上に手紙を置いた。

「シスターにはなりたくないので、旅にでます。これまでお世話になりました。
これまでのご恩に感謝します。レミー」

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