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前世
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空野玲美、それが前世でのレミーの名だった。
アラフォー独身女性で、男性経験は無かった。
「彼氏欲しい誰かいい男いないかしら」
「私も早く結婚したい」
「私の王子様は、どうして私を見つけてくれないの」
そんなボヤきを続けて、適齢期もとっくに過ぎてしまった。
自分に近い歳の男性は、もうほとんど売約済で
独身は不良物件ばかりに見えていた。
自分より若い後輩も次々と寿退社をしてご祝儀をどれだけ払わされたことか。
男性と言えるかどうかだが、幼い頃近所に「しんちゃん」と言う男の子がいた。
幼稚園の頃はよく手を繋いで遊んでいたけど、小学校に入ると、私は女の子と彼は男の子とばかり遊ぶようになった。
しんちゃんはスポーツが得意で、野球チームに入っていてよく活躍していた。
何人かの友だちに誘われてしんちゃんの応援に行ったことがあって、その時にしんちゃんが打ったり走って点が入ると、友だちがキャーキャー言ってるのが少し嫌だった。
でも、「しんちゃんのことが好きなの?」と聞かれると、いつも「別に」と応えていた。
中学校から高校は女子校に入ってたので、男の子とは全然付き合いが無かった。
小学校の頃しんちゃんは「玲美を甲子園に連れて行ってやる」なんて言ってたけど、野球で有名な高校に入ったけど、レギュラーにはなれなかったそうだ。
たまたま近所でしんちゃんと出会った時に近所の公園に誘われて、しんちゃんから告白された。
私はしんちゃんが私のことをそんな風に思っていたなんて、びっくりしてオロオロしてしまった。
「ごめんなさい」って一言だけ言って駆け出して逃げてしまった。
部屋に戻って、しんちゃんのことを考えると心臓がドキドキした。
ウソっ!これが恋?
そんなはずはない。
私は必死に否定した。
私は部屋に貼ってあるアイドルのポスターようなイケメンが好きなんだ。
しんちゃんは、子どもの頃から坊主頭のジャガイモでイケメンとは対極のタイプだ。
でも笑うと可愛くて、体もガッチリして胸板も厚くて、あの胸に抱きしめられたらと思ったら、またドキドキした。
大学ではテニスサークルに入った。
そこでは、男女共にテニスはそこそこで、出会いの場として活用しているみたいだった。
私もイケメンの先輩に心を寄せていたけど、先輩の周りにはいつも私より綺麗でスタイルのいい娘達が纏わりついていた。
ある日ちょっとその先輩から声を掛けられたら、その娘たちに恐い顔で睨まれた。
同期の男の子から何度か「俺とつき合わない?」って言われたことがあったけど、みんなタイプに思えなくて断ってた。
ある日サークルからの帰りに駅でしんちゃんとばったり出会った。
隣には可愛らしい女の子がいた。
「俺彼女できたんだ。夢子って言うんだ。」
誇らしげなしんちゃん
「植松夢子です」
「空野玲美です」
「玲美のことは前に話したよな、幼馴染だって」
「うん、高校の時に告って振られたんでしょう」
「ああ、あん時は野球でも夢破れ、玲美にも振られてどん底だったなぁー」
「悪かったわね。慰めてもあげなくて。」
「いいよ。今更。
それに俺には夢子って彼女が今はいるし」
「はいはい。分かりました。ごちそう様
お二人お幸せにね。」
私は、その場から逃げ出した。
なんか悔しい。
しんちゃんに対して私は何もしてこなかった。
と言うか一度振ったんだ。
あの娘私に似た顔つきだった。私と違って巨乳だけど……
しんちゃんは、きっとずっと私のことが好きだったんだ。
だから似たような顔つきの娘を彼女にしたんだわ。
うすうすはそうかなぁーって思ってたけど……
しんちゃんは、最後の為に取っておいたピースなのに………
途中で奪い取られた?!
大学を卒業して、中堅の会社に入り総務部に配属された。
ここでも、可愛い子は半年から長くても2年以内には社内恋愛して、寿退社してゆく。
入社して2年目の頃、しんちゃんから結婚披露宴の招待状が届いた。
ついにこの時が来たか~
玲美は正直ショックだった。
いつかしんちゃんは、また私の所に来てくれると期待していたのにと。
玲美は駅で会って以来何のアクションもしんちゃんに対して行ってないのに、勝手に期待していた。
それでも玲美も二十代位の時は、何度かデートに誘われたりもした。
だが玲美は、好みのタイプのイケメンにしか興味がなく、断ってばかりいた。
また、イケメンや優良物件を他の女子と争う気もなく気がつけば、お局様と呼ばれ、男性からも一目を置かれる立場になっていた。
「彼氏欲しい誰かいい男いないかしら」
「私も早く結婚したい」
「私の王子様は、どうして私を見つけてくれないの」
こんなセリフを一人のアパートで玲美が呟き続けてるとは、誰も知らなかった。
そして、ある日
上司に性的関係にならないかと求められてブチぎれた。
「冗談じゃない。あんたみたいな脂ぎったおっさんとなんて」
玲美は啖呵を切って、会社を早退した。
「あんな上司の下で働けるか!バカヤロー」
玲美は一人で居酒屋を二軒ハシゴしてからバーに立ち寄り、バーテンダー相手に絡んで、愚痴って、そしてウイスキーをあおった。
「あたしだって寿退社したかったわよ。ちくしょう。」
どうやって家まで戻ったのかわからない。
しかし玲美は自宅の玄関前まではたどり着いていたのはうっすら覚えている。
そう玲美は、そこで寝込んでしまい翌朝には冷たくなっていた。
アラフォー独身女性で、男性経験は無かった。
「彼氏欲しい誰かいい男いないかしら」
「私も早く結婚したい」
「私の王子様は、どうして私を見つけてくれないの」
そんなボヤきを続けて、適齢期もとっくに過ぎてしまった。
自分に近い歳の男性は、もうほとんど売約済で
独身は不良物件ばかりに見えていた。
自分より若い後輩も次々と寿退社をしてご祝儀をどれだけ払わされたことか。
男性と言えるかどうかだが、幼い頃近所に「しんちゃん」と言う男の子がいた。
幼稚園の頃はよく手を繋いで遊んでいたけど、小学校に入ると、私は女の子と彼は男の子とばかり遊ぶようになった。
しんちゃんはスポーツが得意で、野球チームに入っていてよく活躍していた。
何人かの友だちに誘われてしんちゃんの応援に行ったことがあって、その時にしんちゃんが打ったり走って点が入ると、友だちがキャーキャー言ってるのが少し嫌だった。
でも、「しんちゃんのことが好きなの?」と聞かれると、いつも「別に」と応えていた。
中学校から高校は女子校に入ってたので、男の子とは全然付き合いが無かった。
小学校の頃しんちゃんは「玲美を甲子園に連れて行ってやる」なんて言ってたけど、野球で有名な高校に入ったけど、レギュラーにはなれなかったそうだ。
たまたま近所でしんちゃんと出会った時に近所の公園に誘われて、しんちゃんから告白された。
私はしんちゃんが私のことをそんな風に思っていたなんて、びっくりしてオロオロしてしまった。
「ごめんなさい」って一言だけ言って駆け出して逃げてしまった。
部屋に戻って、しんちゃんのことを考えると心臓がドキドキした。
ウソっ!これが恋?
そんなはずはない。
私は必死に否定した。
私は部屋に貼ってあるアイドルのポスターようなイケメンが好きなんだ。
しんちゃんは、子どもの頃から坊主頭のジャガイモでイケメンとは対極のタイプだ。
でも笑うと可愛くて、体もガッチリして胸板も厚くて、あの胸に抱きしめられたらと思ったら、またドキドキした。
大学ではテニスサークルに入った。
そこでは、男女共にテニスはそこそこで、出会いの場として活用しているみたいだった。
私もイケメンの先輩に心を寄せていたけど、先輩の周りにはいつも私より綺麗でスタイルのいい娘達が纏わりついていた。
ある日ちょっとその先輩から声を掛けられたら、その娘たちに恐い顔で睨まれた。
同期の男の子から何度か「俺とつき合わない?」って言われたことがあったけど、みんなタイプに思えなくて断ってた。
ある日サークルからの帰りに駅でしんちゃんとばったり出会った。
隣には可愛らしい女の子がいた。
「俺彼女できたんだ。夢子って言うんだ。」
誇らしげなしんちゃん
「植松夢子です」
「空野玲美です」
「玲美のことは前に話したよな、幼馴染だって」
「うん、高校の時に告って振られたんでしょう」
「ああ、あん時は野球でも夢破れ、玲美にも振られてどん底だったなぁー」
「悪かったわね。慰めてもあげなくて。」
「いいよ。今更。
それに俺には夢子って彼女が今はいるし」
「はいはい。分かりました。ごちそう様
お二人お幸せにね。」
私は、その場から逃げ出した。
なんか悔しい。
しんちゃんに対して私は何もしてこなかった。
と言うか一度振ったんだ。
あの娘私に似た顔つきだった。私と違って巨乳だけど……
しんちゃんは、きっとずっと私のことが好きだったんだ。
だから似たような顔つきの娘を彼女にしたんだわ。
うすうすはそうかなぁーって思ってたけど……
しんちゃんは、最後の為に取っておいたピースなのに………
途中で奪い取られた?!
大学を卒業して、中堅の会社に入り総務部に配属された。
ここでも、可愛い子は半年から長くても2年以内には社内恋愛して、寿退社してゆく。
入社して2年目の頃、しんちゃんから結婚披露宴の招待状が届いた。
ついにこの時が来たか~
玲美は正直ショックだった。
いつかしんちゃんは、また私の所に来てくれると期待していたのにと。
玲美は駅で会って以来何のアクションもしんちゃんに対して行ってないのに、勝手に期待していた。
それでも玲美も二十代位の時は、何度かデートに誘われたりもした。
だが玲美は、好みのタイプのイケメンにしか興味がなく、断ってばかりいた。
また、イケメンや優良物件を他の女子と争う気もなく気がつけば、お局様と呼ばれ、男性からも一目を置かれる立場になっていた。
「彼氏欲しい誰かいい男いないかしら」
「私も早く結婚したい」
「私の王子様は、どうして私を見つけてくれないの」
こんなセリフを一人のアパートで玲美が呟き続けてるとは、誰も知らなかった。
そして、ある日
上司に性的関係にならないかと求められてブチぎれた。
「冗談じゃない。あんたみたいな脂ぎったおっさんとなんて」
玲美は啖呵を切って、会社を早退した。
「あんな上司の下で働けるか!バカヤロー」
玲美は一人で居酒屋を二軒ハシゴしてからバーに立ち寄り、バーテンダー相手に絡んで、愚痴って、そしてウイスキーをあおった。
「あたしだって寿退社したかったわよ。ちくしょう。」
どうやって家まで戻ったのかわからない。
しかし玲美は自宅の玄関前まではたどり着いていたのはうっすら覚えている。
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