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シスターメアリー

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「私にとってのメリットね。
私は自分に『聖なる力』があるかわからないのよ。
女神様は、もちろん信じてるわよ。
それでシスターになって祈り続ければ、シスターアマンダのようにいつかご加護を授かるかもって思ってるのよ。
シスターアマンダは、祈り続ければいつかとしか言わないから、不安なの。
あなたになにかヒントでも教えてもらいたいと思ったのよ」

「シスターメアリー 『治癒』呪文は知ってますか?」

「えっ 呪文?
そんなの聞いたことがないわ」

「呪文は口述以外で人に伝えることは禁じられてるそうです。
そして使うときは声に出さずに頭の中で唱えるように言われてます。」

「へぇ~ それ教えてくれる。
いや教えて下さい。」

「体験してみるのが一番かも」

「でも私 どこも怪我してないし、意味あるかしら?」

「何かをきっと感じると思います。
まずは試し。やってみましょう。」

レミーはシスターメアリーの胸の真ん中に手を付けて

「この者を癒したまえ、ヒール」

と声に出して呪文を唱えた。

シスターメアリーの胸の辺りがしばらく光ってから、静かに光が消えた。

「えっ やだ 体が軽い
腰のハリも、肩の凝りもなくなってる。
頭もすっきりしてて、よく見えるわ。
凄い、これが『治癒』の力なのね。」

「私が手を付けたあたりに、温かいのが入って行ったのを感じましたか?」

「ええ 感じたわよ」

「今もそれが残ってますか?」

「ん~ よくわからない」

「それが分かるように成るのが大事だと思います。
分かるようになったら、自分のそれを治してあげたい人にさっきの呪文と共に相手に渡すの。
それだけよ」

「それだけよ かぁ~
それが分かれば苦労しないわ。
私からは御礼に今日は魔法『着火』を教えるね
『灯り』をあれだけ上手なあなたなら簡単に出来ると思うわ。
夕食の時間も近いし、火は危ないから台所に移動しましょう。
でも、その前に修道服に着替えね。」

シスターメアリーは、クローゼットをガサゴソして、一着の修道服を持ってきた。

「なかなかあなたに合いそうな小さいサイズが無くて。」

「ごめんなさい、お手数かけて」

「そんな他人行儀な、そんなの気にしないでよ」

レミーが修道服に着替ていくと、

「その頭巾はつけなくていいから。
ヤングシスターは、髪を隠さなくていいのよ。」

「へぇ~ そうなんですか」

「正式なシスターではなくて、まだ見習い期間と言うことよ。」

「そうなんですか、でもこの格好案外ステキですね。」

「似合うわよ、ミス・レミー
それじゃあ、行きましょう」



台所は、夕食の準備でみな忙しく立ち働いている。

「あっ レミー!
丁度いい所に来た。
このスープ鍋、食堂に運ぶの手伝って。」

「任せて、シンディ
スキル『収納』で簡単だから」

「こぼさないでよ」

「そんなドジ踏まないわよ」

「ちょっと ちょっと
あんたたち!
まずシンディ!ミス・レミーって呼びなさい。
それからミス・レミーにとってあなたはもう部屋長では有りません。
シンディは、ミス・レミーに命令できる立場では有りません。
ミス・レミー あなたは、ヤングシスターとして振る舞わなければ行けませんよ。もう孤児ではないのですから。」

「シスターメアリー
ミス・レミー
ごめんなさい」
シンディが謝った。

「まだ慣れてないから仕方ないわね。
今回は、私の胸の内にしまっておきます。」

「ありがとうございます。シスターメアリー」

「それじゃあ これ 持ってきますね~」

レミーは、スープがなみなみと入った鍋を『収納』して食堂へと走って行った。

「はぁ~ ミス・レミー
あなたって人は………
あれは、確信犯よね
元お貴族なんだから、わかってるはずよね。」

「確信犯?」

「そうよ シンディ
あの行動は、これからも仲良くしたいって言うミス・レミーからあなたへのメッセージよ。
でも、礼儀は忘れずにね」

その時レミーが食堂から戻って来た。

「シンディ 他に運ぶのあるかしら?」

シンディが、困った顔をしてシスターメアリーを見ると
シスターメアリーは微笑んで首を縦に振った。

「それじゃあ ミス・レミー
この焼きあがったパンをお願いします。
それで運ぶのは終わりです。」

シンディがシスターメアリーの顔色を伺うと彼女はさっきのまま微笑んでいる。

「あっ ミス・レミーそれ運んだら魔法の練習するからね。」

「はい、シスターメアリー、少しお待ち下さい。すぐですから。」

レミーがパンを『収納』した時、レミーの『超時空』スキルがレベルアップした。
〈収納空間が1立米に広がったわそれと
収納したい物に触れなくても見ているだけでよくなったわ〉
女神セリーヌのメッセージが頭の中に響いた。

レミーは、食堂にパンを置いて戻ってきたが、スキルアップについては、シスターメアリーにだけ知らせたかったので、このタイミングでは話さなかった。


「シスターメアリー
ミス・レミー
私たちは、これで食堂に移動致します。
ミス・レミー運んでいただきありがとうございました。
では、失礼します。」

厨房は、レミーとシスターメアリーの二人だけになった。

「それでは、生活魔法の『着火』を練習しましょう」

「はい、どうするんですか」

「燃えやすい物 杉の葉や松ぼっくりやよく乾いた薪などをカマドに入れて火をつける。それだけよ。
いい 私がやるから見てて」

シスターメアリーが、杉の葉を少しカマドに入れ
「着火」と言うと、杉の葉に火がついた。

「この火がついた状態を目に焼きつけておいて、再現するイメージをすれば、あなたならすぐ出来るはずよ。
火をよく見て覚えた?
一旦消すわよ」

シスターメアリーは、燃えカスをカマドから出して、先ほどと同じように杉の葉を数枚カマドに入れた。

「じゃあ やってみて
ミス・レミー」

レミーはカマドに手をかざし「着火」と言うと火がついたように見えた。

しかし、よく見ると赤い灯りが杉の葉の所で揺らめいているだけだ。

「『着火』って言ったけどレミーが、やったのは『灯り』ね。
フフフ 面白いわね
『灯り』をこうゆうふうに見せる方が難しいわよ。」

シスターメアリーはカマドにてをかざし

「やっぱり!全然熱く無いわ。
あなた最初に『灯り』の生活魔法が出来たとき、どんなイメージでやったの?」

「えーと 部屋のLED照明を」

「えっ?何それ?
LED照明?」

「アハハ わからないですよね。とにかく明るさだけをイメージしたんです。」

レミーも不思議だった。あの時は、まだ女神様と会う前で前世の記憶も無かった頃なのに
何故だろうと

「ねぇ ミス・レミー
体に色んな光の粒を纏わせた時にはどんなイメージをしたの?」

「氷の姫が歌ってるシーンを…あっ!」

「氷の姫???
とにかく、熱くは無いってことね。
なんか よくわからないけど…
とにかく 火なんだから熱くないとね。
熱い火をイメージして、もう一度やってみて」

「炭素と酸素が激しく化学反応する際に光と熱が発生………!」

「あんた 大丈夫?
又訳のわからないことをしゃべってるわよ」

「着火」レミーがそう言うと杉の葉に火がついた。

「あっ 出来た」

シスターメアリーが驚いた顔をしている。

「それじゃあミス・レミー今度はこの薪を細かく割ったのに火をつけてみて」

レミーが「着火」と唱えると薪に火がついた。

「予想はしてたけど、やっぱり大した才能ね。
『着火』はもう教えること無いわ。
私たちも食事に行きましょう。」
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