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ルームメイト

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「レミー このホールいっぱいの荷物を隣町へ運ぶ仕事があるとして
荷馬車なら4~5台必要よね。
あなたがその荷物全部一人でスキル『収納』したらどれだけお得だと思う」

「確かに!経費は一人分で荷馬車も要らないですね。乗合馬車でも行けますね」

「悪者だったら禁制品や盗んだ物を隠すのにも使えるわ。
冒険者なら、あなたが荷物を全て運べば、手ぶらでダンジョンにも行けるわ。
言うことを聞かなければ殺すと脅されるとか、無理矢理奴隷契約させて、こき使おうとするとか」

「ううう こんなスキル無ければよかった」

「バカね。それだけ使い道があるスキルってことよ。
使い方次第で、大金持ちになって貴族に返り咲きも出来る可能性が有るのよ」

「貴族に!」

「そうよ、私は神に使える身だけど。
正直な話、この世は金と戦闘力が物を言うのよ。
強く成りなさい。そして危険からは遠ざかることよ」

「ありがとうございますシスターメアリー。
勉強になります。」

「将来に向けての心得はこれくらいで、ここでの生活を説明するわよ。」

「はい、お願いします。」

「夜明けと共に起床。
各自担当場所の掃除
朝のミサ〈院生のみ〉
朝食の調理準備
朝食
勉強〈読み書き・算術・魔法〉
昼のミサ〈参加自由〉
奉仕活動 貧しい人々への炊出し・お年寄りの訪問介護・町中の清掃・病人や怪我人の世話
夕食の準備
夕食
自由時間
沐浴
就寝」

「お茶の時間は無いのですか?」

「平民は食事もまともに食べられない人も居るのよ。
優雅にお茶ができるのは貴族だけよ。
レミー 元貴族のあなたには辛い生活だろうけど、慣れるしかないわ。
でも、希望は捨てずに高みを見るのよ。」

「シスターメアリーありがとうございます。
努力します。」

「あと悪いことをすると、罰が下されます。
イタズラな男の子は、よく罰を与えられてます。」

「ムチで打たれるとかですか?」

「そこまでは有りません。一日食事抜きとかトイレ掃除とか反省文とか自由時間無しとかです
シスターアマンダがその時により指示します。」

「もうすぐ勉強の時間が終わって昼のミサになります。その前に同室の人を紹介するわね」

「同室の人?」

「ついて来て。歩きながら説明するわよ。
基本4人で一部屋を使用するの。
それで一番年長者が当然部屋長。
私は皆さんとは別の仕事が有るから、普段は部屋長の指示に従って行動してね。
あなたの場合、部屋長の歳に近いけど、ちゃんと言うことを聞くのよ。」

「プライバシーは無いんですね。」

「男女は別の部屋だから心配要らないわ。
あっ、帰って来たみたいね。」

「シンディ、ローラ、ルイーズ、今日からこちらのレミーがルームメイトになります。後は頼むわよ。元お貴族様だから色々と面倒くさいかも知れないけどね」

シスターメアリーはルームメイトに引き合わせるとさっさと居なくなってしまった。

「私はシンディ14歳部屋長よ、あと半年でここを出るけどよろしくね。
ローラ 自己紹介して」

「ローラ7歳です」

「それで私の後ろにいる子がルイーズ3歳よ
恥ずかしがり屋さんなの」

「レミー12歳です。元貴族の娘ですが、よろしくお願いします。わからない事だらけなので色々と教えてください。」

「へぇ~ 元貴族のお嬢様だって言うから高飛車に偉そうにしてくるかと思ったけど、案外仲良くできそうね。
ベッドは左手の上段を使って。荷物は?」

部屋には二段ベッドが2台有り、突き当りの窓際にカウンター出入口両サイドにクローゼットがあった。

「荷物は、有りません。」

「そう 結構辛い目に遭ってたみたいね。
大抵少しは有るのにね。
お菓子も無いのかしら?
シスターメアリーは何もくれなかったの?」

「ええ、シスターメアリーからお菓子は渡されてませんでした。」

「そう………、ここでは、新入りがお菓子を同室の人に仲良くして下さいって渡すのよ。
あのシスターちょっとズルいから、お菓子渡さずに自分で食べるつもりね。
シスターメアリーは口では優しいこと言うけど、自分に都合の良いように立ち回る人だから覚えておきなさい。」

「あのー 飴でよかったら丁度3つ有りますから、どうぞ」

レミーは『収納』から飴を手のひらに取り出して見せた

「えっ!その飴どうやって出したの?」

「私『収納』ってスキルがあって、そこに物をしまえるんです。」

「へぇ~ 便利ね~
飴 ありがとう。いただくわ。」

シンディはレミーの飴をローラとルイーズに1つずつ渡した。

「私はいいわ、持ってて」

「でも~」

「なんか要求したみたいじゃない。
私はいいの。
大丈夫よイジメたりしないから。
仲良くしましょう。」

鐘の音がした。

「昼のミサが始まるわ。
みんな行くわよ。」

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