平民に落とされた元お嬢様は超時空スキル持ちの聖女に覚醒。ざまあもいいけど恋がしたい。

烏帽子 博

文字の大きさ
上 下
1 / 27

父親は犯罪者

しおりを挟む
ある日家に数人の憲兵がやって来て、父と母を縛って連れて行った。

レミーは男爵の娘として生れ、何不自由なく育ってきた。
レミーの父親は盗賊団と繋がっていて、盗賊団が盗んできた品物を売りさばき、手数料を得ていたのだ。

盗賊団の首領が捕まり父親の裏稼業は国の知ることになった。
父親は斬首刑。当然男爵家は取り潰しに。
母親も数日にわたる取調べの後に戻ってきたが、すっかりやつれていた。
母と共に母親の実家に身を寄せるが、母親はすぐに病死してしまう。

そんなある夜、従兄弟のボリスが私の寝室にやって来た。

「レミーは、俺のこと好きか?」

「う うん まぁ嫌いじゃあないわ」
本当は、デブで、いつも偉そうなボリスなんか全然好きじゃないけど、この家に住ませてもらっているうちは、「好き」ってことにしておこう。

「それじゃあ いいよな」
ボリスは私の寝間着に手をかけた。

「ボリス!ちょっと待ってよ。好きでもそういうことは、まだ早いって!」

「いいだろ!好きな人とはこうするんだよ」

「やめて!」
私は抵抗せずにボリスを睨んでいる。

ボリスは私が抵抗しないのをオッケーサインと勘違いしたのか、その手が止まらない。

「いやよ いやよも 好きのうち だよな」

私の寝間着が破られ胸が露わになる。
するとボリスの手が突然止まった。

「お前 胸はどうした?」

私は質問の意味が分からず

「どうしたって?」
と聞き返した


「何故男みたいに胸が平らなんだ!
お前男か」


それまで無抵抗にしていたが、その言葉にレミーの殺意がふつふつと湧き上がった。

ボリスを跳ね飛ばし、花瓶を投げつけた。

花瓶はボリスの額に当たり割れて、ボリスはびしょびしょになり、額からは血が出ている。
額の傷はみるみる腫れ上がり、大きなたんこぶができていた。

「レミー なにするんだ!」

「ボリスあんたこそ、なによ!あんたなんか大っ嫌い。スケベなデブ!
私が男な訳無いでしょ!
レディの胸を見ておいてなによ!侮辱するにも程があるわ!
私の胸はこれから大きく成るの!」

ボリスを部屋から追い出して、ベッドに飛び込んだ。

「レミー お前なんか追い出してやる。バカなヤツだ!」

きっともう終わりだ。
ボリスに逆らった以上、ボリスの言うとおりもうこの家からも追い出されるだろう。
どうやって生きてゆけばいいんだろう。
レミーはベッドで泣き崩れていた。

幸いボリスの怪我は額に傷を残すが大したことはなかったが、やはりレミーは伯父の家を出されることになった。
伯父のレンドルフ伯爵は、教会に幾ばくかの寄付をしてレミーを教会併設の孤児院に入れたのだ。





「私はこの孤児院の院長をしている、アマンダです。
レミー あなたは今からは、もう貴族ではありません。
平民で身寄りのない孤児です。
15歳になる迄は、ここで暮らすことができますが、それからは、ここを出ていかなければなりません。
ここに居る間に一人で生きてゆく術をしっかりと身に着けて下さい。」

「………」

「ご返事は!
ちゃんと聞いてましたか?」

「あっ はい。分かりました。アマンダ院長」

脇にいたシスターが、ブブって吹き出し笑いをしている。
アマンダ院長がシスターをキッと睨むと、シスターは表情を固くした。

「レミー 私のことはシスターアマンダと呼びなさい。
それから彼女はシスターメアリー
ここでの暮らし方はシスターメアリーから教わりなさい。」

レミーはこの時12歳、これまで身の回りの世話も全て使用人にしてもらっていたお嬢様だった。

「メアリーよ。レミー宜しくね。
私やシスターアマンダの様に修道服を着ている人には名前の前にシスターをつけて呼ぶのよ」

「はい シスターメアリー」

「そうよ。
あなた魔法は何か使える?スキルは何かある?
それによって向いている仕事とかがあるから」

「魔法もスキルも使う必要が無かったので、何も練習してなくて…
一応『灯り』の魔法と『収納』スキルが有ります」

「魔法は『灯り』だけかぁ~ 他の生活魔法は、一通り使える用に練習ね。
スキル『収納』は良いわね。どのくらいの物がしまえるの?」

「大きめのバッグ位の大きさです。」

「なんだ、その程度か。
沢山練習してこのホール位の広さになったら、重宝されるわよ。
でも自分の身を守れる強さが無かったら、そのスキルは人に知られない方が良いわね。」

「どうしてですか?」
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

婚約破棄されて辺境へ追放されました。でもステータスがほぼMAXだったので平気です!スローライフを楽しむぞっ♪

naturalsoft
恋愛
シオン・スカーレット公爵令嬢は転生者であった。夢だった剣と魔法の世界に転生し、剣の鍛錬と魔法の鍛錬と勉強をずっとしており、攻略者の好感度を上げなかったため、婚約破棄されました。 「あれ?ここって乙女ゲーの世界だったの?」 まっ、いいかっ! 持ち前の能天気さとポジティブ思考で、辺境へ追放されても元気に頑張って生きてます!

【完結】番である私の旦那様

桜もふ
恋愛
異世界であるミーストの世界最強なのが黒竜族! 黒竜族の第一皇子、オパール・ブラック・オニキス(愛称:オール)の番をミースト神が異世界転移させた、それが『私』だ。 バールナ公爵の元へ養女として出向く事になるのだが、1人娘であった義妹が最後まで『自分』が黒竜族の番だと思い込み、魅了の力を使って男性を味方に付け、なにかと嫌味や嫌がらせをして来る。 オールは政務が忙しい身ではあるが、溺愛している私の送り迎えだけは必須事項みたい。 気が抜けるほど甘々なのに、義妹に邪魔されっぱなし。 でも神様からは特別なチートを貰い、世界最強の黒竜族の番に相応しい子になろうと頑張るのだが、なぜかディロ-ルの侯爵子息に学園主催の舞踏会で「お前との婚約を破棄する!」なんて訳の分からない事を言われるし、義妹は最後の最後まで頭お花畑状態で、オールを手に入れようと男の元を転々としながら、絡んで来ます!(鬱陶しいくらい来ます!) 大好きな乙女ゲームや異世界の漫画に出てくる「私がヒロインよ!」な頭の変な……じゃなかった、変わった義妹もいるし、何と言っても、この世界の料理はマズイ、不味すぎるのです! 神様から貰った、特別なスキルを使って異世界の皆と地球へ行き来したり、地球での家族と異世界へ行き来しながら、日本で得た知識や得意な家事(食事)などを、この世界でオールと一緒に自由にのんびりと生きて行こうと思います。 前半は転移する前の私生活から始まります。

【本編完結】転生したら第6皇子冷遇されながらも力をつける

そう
ファンタジー
転生したら帝国の第6皇子だったけど周りの人たちに冷遇されながらも生きて行く話です

【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる

三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。 こんなはずじゃなかった! 異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。 珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に! やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活! 右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり! アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

日本列島、時震により転移す!

黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?

火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…? 24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ブラックギルドマスターへ、社畜以下の道具として扱ってくれてあざーす!お陰で転職した俺は初日にSランクハンターに成り上がりました!

仁徳
ファンタジー
あらすじ リュシアン・プライムはブラックハンターギルドの一員だった。 彼はギルドマスターやギルド仲間から、常人ではこなせない量の依頼を押し付けられていたが、夜遅くまで働くことで全ての依頼を一日で終わらせていた。 ある日、リュシアンは仲間の罠に嵌められ、依頼を終わらせることができなかった。その一度の失敗をきっかけに、ギルドマスターから無能ハンターの烙印を押され、クビになる。 途方に暮れていると、モンスターに襲われている女性を彼は見つけてしまう。 ハンターとして襲われている人を見過ごせないリュシアンは、モンスターから女性を守った。 彼は助けた女性が、隣町にあるハンターギルドのギルドマスターであることを知る。 リュシアンの才能に目をつけたギルドマスターは、彼をスカウトした。 一方ブラックギルドでは、リュシアンがいないことで依頼達成の効率が悪くなり、依頼は溜まっていく一方だった。ついにブラックギルドは町の住民たちからのクレームなどが殺到して町民たちから見放されることになる。 そんな彼らに反してリュシアンは新しい職場、新しい仲間と出会い、ブッラックギルドの経験を活かして最速でギルドランキング一位を獲得し、ギルドマスターや町の住民たちから一目置かれるようになった。 これはブラックな環境で働いていた主人公が一人の女性を助けたことがきっかけで人生が一変し、ホワイトなギルド環境で最強、無双、ときどきスローライフをしていく物語!

処理中です...