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第1章

瞬間移動

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「魔物狩りで拾った武器で使わなそうな物をここで全部売れ、錆たり、壊れてたりしてもいい。」

クリスとララの所持金は、25万Gになった。

「店員さん、10万で買える剣を出してくれ」

店員が10本程剣を持ってきた。

「おい あんた。俺は『剣豪』スキル持ちだ。
アンタの持ってきた剣は、どれもだめだ。
騙すつもりか。ああん」

「お客様。変ないちゃもんつけないで下さいよ。
私は、真っ当な商売をしてます。」

「それなら、試させて貰うぜ。
クリス、ララ、ここの剣を持って構えろ。」
ベイルは店員が持ってきた剣を一本づつクリスとララに投げ渡し、自分も一本手にとった。

ベイルがクリスに向けて剣を振り抜くとベイルの持つ剣が折れた。
そして、べつの剣を手に取りこんどはララに向けた。ベイルの持つ剣が折れた。
ベイルは次々と剣を手に取る、次々と剣が折れて行く。

「アワワワ おやめ下さいお客様」

「やめろだと。こんなもの売るのをやめろよ。
剣には冒険者の命がかかってるんだ。
いざって時に剣が折れたらどうなると思うんだよ。
今改めれば、この店の悪評が流れなくてもすむかも知れないぜ」

「わかりました。今改めます。直ぐ改めます。
どうかそれでご勘弁を」

「最初から、そうしろよ。
ほら、ちゃんとした剣を持ってこいよ」

店員は今度は20本ほどの剣を持ってきた。

「この3本は良さそうだな」

「はい、お目が高いです。
みな20万Gは下らない品です。」

「そうか、では2本買ったら1本半額にしてくれないか」

「そんな無茶な。それでは店の儲けが有りません。私も妻子を養っています。」

「あんたは妻子を養う為に人を騙すのか
やはりこの店で買うのはよそう。
冒険者仲間にもよく言っておくよ」

「あああ お客様。
それで結構でございます。
2本買ったら1本半額でどうぞ」

「じゃあこの3本をもらおう。
金はここに置くぞ」

クリスたちが3本の剣を持って店を出ようとすると

「お客様。お待ち下さい。
あのー少々お代が足りないようですが」

「気のせいだろ」

「いやいやいやお客様
 私こちらの剣は一本20万Gは下らない品と申したはずですが、こちらに置いていただきましたお代が20万Gしかございません。
一本半額といたしましても、45万Gはいただきませんと計算が合いません。」

「俺は10万で買える剣を出すように言ったんだぞ、今までボッタクリで20万の値をつけてたのを10万で売っても良いと思って持ってきたんじゃないのか。
良心的になったもんだと感心したんだけどなぁ」

「え あ そうでございますな。
そうなると
えーと 25万Gとなりまして、あと5万G不足となります。」

「おや おかしいな
ここに2本の剣がある
一本10万だ
そこまではいいな」

「はい」

「で、2本買えば1本半額だから、これは5万だな」

「はい、そうです。」

「で、ここで3本目だ。
俺はこうして2本買ったんだ。
ってことは2本買ったんだからこれは半額だな」

「ええ、そうなります。
いやいや なんか変です。」

「なぜだ。2本買ったんだぞ。
そこは間違いないよな。」

「ええ、間違ってません」

「じゃあこれは半額だよな」

「そうなりますかしら」

「わかればいい。じゃあな。いい買い物をした。」

「まいどありがとうございます。
これからもご贔屓に願います。」


ベイルは、店から出ると
「アハハハ」
と高笑いした。

「なんかあの店主可哀想」

「ララ ボッタクリ店でマトモな値段で買っただけだぞ。
この剣は、原価は5万かそこらだ。
あれでも多少の儲けにはなったはずだ。」

「そうなんだ。ならこれで良かったのね」

「ベイルさん ぼくも勉強になりました。」


「じゃあダンジョンに潜るか」

「ベイルさん 膝はどうですか。」

「膝か、調子良いぞ。ララのお陰だ。」

「ちょっと長時間歩くのは、私としてはまだ心配です」

「でもなぁ。訓練場だと他の人も居るからなぁ。」

「クリス あんたのスキルでなんとかならないの。『超時空』って空とか飛べそうじゃない」

「ぼくそんなこと考えたこともなかったよ」

「だから今考えてみれば」

「わかった。ん~~こうかな」

クリスの姿がその場から忽然と消えた。

「えっ マジ うそ」

「坊主本当に消えやがった」

「ベイルさん クリス大丈夫よね。
このまま消えて帰ってこないとかは、無いわよね」

「俺は知らねーよ。探知で探してみろよ。」

「ただいま~ ララ、ベイルさん」

「クリス驚かさないでよ。いったいどこに行ってたのよ。」

「ダンジョンの中層。ベイルさんと簡単に行けたらいいなぁと思ったら、本当に行けちゃった」

「ハハハ いやいや凄い能力だな。
こりゃあたまげた。
時空を瞬間移動か。
お前らには驚かされてばかりだな。」

「それじゃあ、ベイルさんと私と3人でダンジョン中層まで飛んでよ」

「ララ切り替え早いな。お前怖く無いのか。
俺はちょっと遠慮しとこうかな」

「ベイルさん クリスを信じましょう。
どうしたらいい。
手を繫げばいいのかな、それとも抱き着く。」

「ぼくの肩にでも触れててくれればいいと思うよ」

「じゃあこれなら完璧ね」
ララはクリスの腕に抱きついて、まだ膨らみかけの胸を押し付けた。

「仕方ねえな」
ベイルは、クリスの肩に手を置いた。
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