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第1章

どぶさらい

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ラズリーたちとの一悶着はあったけど、ぼくたちの初仕事が始まる。

環境課の人に依頼書を渡すと、担当の人がやって来た。
「俺はルー あんたら新人だろ『どぶさらい』も『ごみ収集』も俺が担当だから、何でも聞いていいゾ。
お前ら地図は読めるか。」

「ええ、二人とも問題有りません」

「そうか。よかった。2年前に地図もロクに読めない奴等が来て大変だったんだ」

「フフフ ご苦労様です」

「お嬢さん 何だいその含み笑いは」

「だって、バカな知り合いの顔が、目に浮かんじゃって。アハハハ
やばい つぼる~
はぁはぁはぁ」




一通り作業方法を説明をするとルーさんは


「じゃ ぼくはこれで。
3の鐘の時間で、終了だから。
ぼくもアチコチ担当してるから、ちょっと待たせるかも知れないけど、4の鐘迄には現場確認に行くから待っててね。
あと…………やりすぎないでね。」

「えっ どう言う意味ですか」

「君たちなら、本気出したら普通の人の何倍も仕事できるような気がしてさ
でも新人がそんなことしたら狙われるよ。
平和に暮らしたかったら、目立たないことだよ
俺みたいにな。」

「ルーさん」

「あ すまん 今の話は忘れてくれ。
じゃ また後でな」


☆☆☆☆☆☆


3区画のどぶさらいはすぐに終わった。
クリスのマジックポーチにヘドロを収納して、廃棄場所に運ぶだけだから。

「2日で3区画が目標ってギルドの受付のマインさんが言ってたよな。
ルーさんは、やりすぎると狙われるって言ってたよね。
どうするララ、これで止めとく。」

「あと1区画、スキル無しでやってみない
ちゃんと新人冒険者のやる事もしないと」

「マジ」

「うん マジ」

「ララもやるの」

「クリスがやるに決まってるじゃん」

「えーーーーやっぱりそうなの」

「当然よ。
でも頑張ったら、ご褒美あげるわ」

「期待しないことにします」

「私は、クリスの働きに期待してるわよ」

クリスはスコップでどぶのヘドロをかき出し、樽に入れて、その樽をリヤカーに載せて処理場へと運ぶ。この作業を何度か繰り返した。
3の鐘が鳴る少し前に、クリスは1区間分を運び終えた。

「やっと終わったー」
クリスはそう言って大の字に寝そべった。
ララはその横で体育座りをした。

「これが新人用の強制クエストってのがよくわかったわ。
しっかりした体力が無かったら冒険者としてやって行けないってことよね。
この作業1か月も続かない人は、さっさと冒険者止めなさいってことね」

クリスも上半身を起こして体育座りになった。
「働いてお金を稼いで、それで家族の生活を支えて行くのが大人なんだね。」

「ねぇクリス」

「ん」

クリスがララの方を向くと、ララがクリスに軽くキスをした。

ララは、すぐにひとり立ち上がって
「ご褒美は、私の初キッスでした~
これからもずっと一緒に居てねクリス」

ララは、顔を真っ赤にして走りだした。

「ララどこに行くんだよう」

「キャハハ」笑顔でララはあかんべーをして、また走り出した。

「よし、捕まえるぞ~」クリスも立ち上がって走りだした。

そして五分もたたずに

「ハアハアハア ララ~
ズルいよ~
ハアハア
元々ララの方が足早いのに~
ハアハア
ぼくは、どぶさらいもして、疲れてるんだ」

座り込むクリスの周りで、ララは楽しそうに色々な表情をしている。
後ろ手を組んでお尻をフリフリ歩いたり、スキップしてみたり、変顔してみせたり、ウインクしたりしている。

ぼくは、知らんぷりをしてポーカーフェイスで息を整えてたけど、ララが面白くて「プッ」って噴き出した。
そしたら止まらない「アハハハ ツボった」と笑い転げた。

「ウフフフ」ララも笑ってる。

ララがぼくをのぞき込むようにしたので、ぼくは腕を掴んで引き寄せた。

「ララ 捕まえた」

「クリスに捕まった ウフフ」

ぼくはこの勢いでララにキスしようとしたんだけど

「ヤダ
クリス 口尖らせて タコみたい
アハハ
ご褒美は、さっきので終わりよ」

と、逃げられてしまった。



「あの~ ソロソロよろしいでしょうか」

「あ ルーさん」
クリスが気づく、ララはフリーズしてる

「スミマセンお楽しみの所お邪魔して」

「いつから」
クリスが尋ねる

「いつから見てました」
再起動したララが重ねて問う

「ララさんがアヒル歩きしてた辺りからでしょうか」

「お待たせしてすみませんでした。」
ララは真っ赤な顔して消え入りそうな声だ



「早速作業内容の確認しますね」

気まずい………
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