魔王の子

烏帽子 博

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第一章

修行スタート

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「やぁマオ 僕を覚えてる?
ジンだよ。
それとタマラだよね よろしくね」

「ゴメンナサイ、余りよく覚えてません。」

「そっか でもそこは気にしなくてもいいから。
血の繋がりは無くても、魔力では君と僕は繋がりがあるんだよ。兄ちゃんだと思ってくれたら嬉しいんだけどな。
よろしくねマオ」

「ジン先生 私もマオと一緒に連れて行ってくれますか?」

「ああ もちろん連れて行くつもりだよ。安心して。
二人はもう念話ができるんだって?
まだ小さいのに凄いね。」

緊張した感じのタマラが、パアッと笑顔になった。

「二人は、いつもどんなことしてるのかな?」

「あの丘の上で、遊んでます。」

「じゃあ、僕も一緒に今から遊びたいんだけど、いいかな?」

「うん そしたらタマ、いつもみたいに上まで競走!」

わたしとタマラは、ジンが私たちのスピードに着いてこれないと思ってたけど………





「ヨッシャー 僕が1番」

「ジン 速いなあ。」

「ああ 足速くなる魔法使ってるからね」

「それ私たちも出来るようになるの」

「ああ もっと凄いこともね
それで、ここでいつもどんな遊びしてるのかな?」

タマラと目配せして、スルスルと二人は木に登って

「キャット空中3回転! せ~の」

「ニャンパラリン」

同じタイミングで飛んで着地出来た。
ジンが拍手してくれた。

「凄いね、技に名前も有るんだね。
僕もやってみるね」

ジンは歩くように木に登った。
凄く不思議だ、何で落ちないの?足の裏しか木についてないのに
「キャット空中3回転
ニャンパラリン
これでいいのかな」

「あっ!えーとダメ~~ ちょっと違うわ」

「えっ? どこが?」

「着地のテレマーク姿勢が出来てないわ」

「ああ そこかぁ~
僕の負けだね ハハハ」

「ハハハ わーい 勝ったぁ ジン先生に勝った。 やったねタマ」

「ハハハ やったねマオマオ」


「マオマオ 次は何する?」

「ニャーゴは?」

「ニャーゴ! いいよ」

「なにかルールがあるのかな?」

「パンチとキックはなしで、相手を投げた時に背中を地面に付けさせたら勝ち。
相手の背中を地面に3秒付くように押さえ込んだら勝ち
あとは、とにかく相手が降参したら勝ち」

「それじゃあ、今度は僕は、お客さん役。見てるね。
よし 始め」

二人はよつん這いで睨み合っている。

「ニャーゴ」

「ニャーゴ」

お互いに鳴き合って牽制している

「ニャーーーゴ!」

「ニャーーーゴ!」

声のトーンが高くなり大きくなった

タマラのしっぽがピンとたつと
「シャー ニャニャニャニャ」

組手争いが始まり、右よつになった。

タマラの上手投げにマオは反応し下手投げで対抗して
再びよつに、

その時マオはタマラの手首を掴み腕をねじ込み、もろ差しとなった。

タマラは差し手を離して、キメにかかる
タマラはマオをつり上げるが
マオは差し手抜いて外掛けで凌ぐ、

タマラが堪らすマオを下ろすと、マオは、右下手から出し投げをうつ。
タマラは、後ろ向きにされた。

マオは後からタマラを抱えて、バックドロップだ

決まるかと思ったら
「キャット回転」
タマラは足を跳ね上げ勢いを増して、マオはタマラに回してた手を離した。

まずいこのままだと背中から落ちる。
咄嗟にブリッジから逆立ちになり足でタマラの頭を挟んだ。

タマラはその体制から私を持ち上げて、グルグル振り回して投げた。

「キャット回転」

私は無事着地した。

「ストップ!ストップ!
第一ラウンド終了。休憩します。」

ジンの声で、ニャーゴは一時中断になった。

「二人共いい動きだね。特にピンチの時の『キャット回転』は素晴らしい。
一旦うちに帰って、マリアさんからオヤツをもらおう
よーい あっ!二人そろってフライングだぞ!」

ジンの合図より先にタマラと走ったんだけど、やっぱりジンの方が早かった。

ママのクッキーを皆で食べた。

「マオ タマラ 僕に念話で話し掛けて」

ー マオです ー

ー マオ、聞こえたよ ー


タマラからの呼びかけはない

タマラをみると、ちょっとうつむいている。


「タマラは、まだ僕相手の念話は難しいみたいだね
でも心配しないで、直ぐに出来るようになるから」

「タマラ、僕と手を繋いで。
そう、そしたらこれから僕が魔力をチョッピリ渡すからね。
それで僕の魔力を受け取ったら、逃げないように、その魔力を少しの間捕まえててほしいんだ。」

タマラは、黙ってかぶりをふった。

タマラは、ジンと手を繋ぐと、暖かい何かがタマラに流れ込んできた。

「これがジン先生の魔力?」

「そうだよ、タマラ分かるかい?
いちど手を離すよ」

それはフワフワしてて、どっかに消えちゃいそう。
これを逃さないようにするのね。
あっだめ!

「あ~あ 無くなっちゃった。ジン先生 ゴメンナサイ」


「謝らなくていいよ 最初からできるとは、ボクも思ってなかったしね
それじゃ 同じことを今度はマオやってみよう
はい 手を繋いで」

「続けてタマラは2回目、行くよ。
もしできたら、僕の魔力を君の心臓のあたりに連れていってね。
また 無くなっても、心配いらないからね。
何度でも出来るから。」

ー マオは、僕の魔力捕まえておけるみたいだね。
そしたらそれを、僕に、返せるかな ー

マオと手を繋ぐと、ジンの魔力がマオからジンに戻ってきた

ー マオ、完璧だね ー

「ジン先生の魔力、じっと逃げなくなった。今タマラの心臓の所にいるわ」

「へえー凄い 早いよ、タマラ!2回目で出来るなんて。」

「マオマオは一回目で出来たから2回目の私は凄くないのに?!」

「マオとの念話は初めてじゃあないんだ。マオは忘れてたみたいだけど。
それにマオと僕は兄妹だから、相性が良いんだよ、タマラもタマラのパパやママとは、直ぐに念話も出来たんだろう。
タマラも今ので僕の魔力の波長を覚えたと思うよ。
一旦僕の魔力を僕に戻して、それから、もっかい念話試してみようか?」

タマラはすんなりとジンの魔力をジンに戻し、念話も成功した。

タマラの両親が驚くわけだな。獣人で、しかもこんなに若いのに魔力が発現し、その上使えるのは、珍しい。
魔力の塊のようなマオといつも一緒に遊んでいる事がそうさせたのかも知れない。

マオの魔力がもし暴発したら、僕だって止められないと思う。

きっとマオはタマラと一緒に成長すれば、危険な存在ではなくなる気がする。
親から受けた愛、友人との絆、あとは恋愛かな?いい人をみつけないとな。

僕の責任は重いなぁ~

ー マオ タマラ もう一度丘の上に行くよ ー

ー ニャーゴの続きやるの ー

ー いや 今度は「ネズミと
猫」だよ ー

ー マオとタマラは猫で、僕がネズミ 僕のズボンのお尻のところに、杉の葉を刺すから それを二人のうちのどちらかが取れば、猫チームの勝ち。
お日様が山の陰に隠れるまで、葉っぱが取られなかったらネズミの勝ち。
二人で協力して作戦たてないと猫チームは勝てないよ ー

ー はい スタート ー

ジンは木のてっぺんであぐらかいてる。

「枝から枝に飛び移るのは、タマが上手だから
タマは、3の枝にいて、待ち伏せして、私が1番上まで登って追い出すのはどう?」

「うん いいと思う」

ー おーい お二人さん、念話で作戦話さないと。全部聞こえてるよ。ー

「えっ あ そうか!」

ー タマラ どうする?全部聞かれちゃったね ー

ー 私が追い込もうか?ー

ー 待ち伏せ役が私じゃあ、逃げられちゃう気がする
追い込む迄は最初の作戦通りで
逃げられたら、私は、一気に4の枝に行くわ
タマラは、5の枝に早めに飛び移ってがんばって捕まえて ー

ー 5の枝で私が捕まえられなかったら ー

ー 私は、6の枝に先回りして待ち伏せる ー

ー いいわ、それで行きましょ ー

ー 二人とも作戦決まったかな~ ー

ー タマラ行こう!ー

ー うん ー

私は、真っ直ぐてっぺん目指して登って行った。

ー おや、口に出して言ってた作戦のまんまかな ー

あと少しでジンに触れそうなときに、ジンは、2番の枝に、飛び降りた。

私は、追いかけるふりをして、2番の枝はタッチアンドゴーで通過して、4番の枝に降りた。

ー タマ ジンは?ー

ー マオマオ!最初の作戦は失敗よ、ジンは、てっぺんに戻ってる
今から私が追いかけるから
マオマオがどこかで待ち伏せして!ー

ー わかった。それにしても、てっぺんとはなぁ ー

ー 今着くよ ー

ー わかった アタシは今3番 ー

ー ジンが2番に移った、そのまま追い込むよ
あっ またてっぺんに行った ー

ー 私が3番に居てもダメね、私は2番に移動するから、タマそのまま追っかけて ー

タマラがジンに続きスルスルと登って行く。

てっぺんからジンが大きくジャンプするのが見えた。

こっちに来ない!今度は3番に移る気だ!

私は、3番に向かってジャンプした。

そして………


ドン!


私とタマラが空中で衝突した。

いつものように、私の方は結界が自動的に発動してショックも少しだ、
キリモミ状態で落下しながらタマラを見ると気絶している。

「たま 危ない!」

タマラが以前のように結界に包まれている。

地上ではジン先生が先回りしてた。

私は、いつものように、地面にソフトランディングした。

その様子をジン先生が見ているときに

「取った!!!
猫チームの勝ち!!!」

「やったねタマ!」

「ジン先生、『猫だましの術』にひっかかった!
マオマオ決まったね」

「いや~ 負けた負けた。
空中でぶつかったのも、タマラの気絶も、作戦かぁ~
どうしてこんな作戦思いついたのかな?」


「待ち伏せしてるときに、先生の魔力で先生がどこにいるか分かったの。
そしたら、先生も私たちの魔力を感じて、今どこにいるとかわかるんだろうと思ったの。
だったら、隠れて待ち伏せしても意味ないじゃない
タマラは隠れるとき魔力も少なく見せるスキルが有るから、気絶したふりをしてもらったのよ」

「作戦も見事!タマラの演技も素晴らしい。
ご褒美をあげなきゃね」

「私 歩いて木に登るのやってみたい。」

「私は、先生みたいに速く走りたい。」


「二人とも ご褒美それでいいの?
どっちも魔法の修行で出来るようになるよ」

「修行早くした~い」

マオがそう言うとタマラも

「私も早く修行した~い」

「そっか ハハハ」

「修行 修行 楽しみ」

「修行 修行 楽しみ~」


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