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第四章
飛びます飛びます
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「フウリンさん、質問です。
空を飛ぶ魔法使いのイメージは『箒にまたがる』かんじですが、どう思います?」
「それは、見た目の問題だけよ。
女性が腰掛けるように座って飛べばお洒落でしょ。
あとね、スカートの時に下から見られてもパンツ見えないしね。
箒が飛ぶんじゃなくて、箒ごと結界で包んで飛んでるだけよ。」
午前中の授業時間は、ここまでで、ランチタイムをはさんで、午後は、校庭で飛行魔法の練習になった。
一番乗り気だったのはサルヴァ先生だった
午前中はスーツ姿だったのが、黒で纏めたファッションで、竹箒に、黒猫のぬいぐるみまで持ってきている。
「イメージは、完璧よ」
サルヴァ先生はそう言うと、箒に腰掛けて舞い上がった。
と、思ったら、キリモミ状態で落下してきた。
「うわー」
地面に激突する寸前にサルヴァ先生は、自分の前にのみ結界を集中して衝撃を和らげ、ソフトランディングに成功した。
「やっぱり、自由に飛ぶのは難しいわね。」
余裕そうに見せてるが、顔は引き攣っていた。
「先生でも半日で習得は難しいみたいですね。
怪我が無くてよかったです。
でも、ここまできたら、もう飛べたも同然ですね。」
「慰めてくれてありがとう。
所で、私が落ちてきた時に、何もしなかったわよね。
助けてくれるかと期待したんだけど…」
「それはサルヴァ先生の結界がそれなりに強力に思えて、落下しても怪我しないと思ったからです。」
「そ そうなんだ。私は必死だったのよ。
でもこれで飛ぶ怖さも危険性も理解したわ。」
その時近くで「ボン」と爆発音がして、一人の学生が黒焦げになって倒れた。
サルヴァ先生が直ぐに駆け寄って、回復魔法をかけて事無きを得た。
「いったい、何があったのよラーク」
黒焦げになったのは、アホ四天王のラークだった。
「結界で自分を包むのが上手く出来なくて、火球をイメージしたら……こんなことに」
オイオイ、このレベルも居るのか、これじゃあ仲間を守るつもりで、仲間を黒焦げにしかねない。
サルヴァ先生も、そう思ったのか、その後結界は重点課題として扱われた。
魔術師は、騎士の後ろに隠れて魔法で攻撃や騎士の回復が主になりがちだが、結界は騎士の守備力を上げるのはもちろん、自らが盾役となって前に出ることも可能にしてくれる。
私はしょげかえっているラークに
「結界が上手く出来たら、炎の尾を引きながら飛べるようになるわ、そしたらとてもカッコいいわよ。
想像してみたら?
私の知り合いで光属性の人は、キラキラ光の粒を撒きながら飛ぶのよ、それがどんなに綺麗か見せたいわ。
炎もきっと素敵でしょうね」
「うん おれ頑張るよ。
必ず、君にかっこよく飛ぶ所を見せるから」
「約束よ」
ー 師匠 なに青春してるんですかぁ~ ー
ー リタ、じゃましないでよ。これがやりたくて、学校入ったのよ ー
ー いたいけなチェリーボーイをもて遊んでるようにしか見えませんけど ー
ー だって 誘惑スキル使わないでどれだけ釣れるか試したいじゃない ー
ー え~ 総取りとか無しですよ~ 私も頑張ろ~ ー
リタは走って二人の男子の所に行った
「マルボロ フィリップ 私と飛ばない?」
「あ あっ 私も一緒してもいいかな?」
リタの後を追ってリタと同室のリンが少しうつ向きながら声をかけている
「リン 勿論オッケーよ。
さぁ四人で腕を組んで」
四人は一列になって腕を組んだ、リタは当然のように両脇に男子を置いて、胸の膨らみに手が当たるように引き寄せている。
リンは、恥ずかしそうに、フィリップの腕にしがみついている。
リンは必死だった。
突然やって来た二人の留学生
二人共美人でプロポーションも素晴らしい。
その上戦闘力は超レベル。
女としても、戦うにしても、自分は足元にも及ばないと思った。
でもその二人の留学生のうちの一人リタと寮で同室になった。
話をしてみると、直ぐに友だちになれた。
美しさや強さを鼻にかけた感じもしないし、気さくに何でも話してくれる。
リンは、昨日リタに聞いた話を思い出していた。
「美人で凄く強いって何だか憧れちゃうな」って言ったら
「そうでしよ。私も出会った時からフウリンに憧れてるのよ。
彼女みたいになりたくて、それからずっと彼女について来てるの。」
「私はあなたに憧れるって言ったつもりよ」
「えっ! そうなの? 私はどうでもいいから、フウリンのファンを一緒にしましょうよ」
「そんなにフウリンは、素敵なの?どうしてそんなに彼女を慕っているの?」
そしたらリタは、ふっと思い出すように少し上の方に目線をやってから、私に向き直って話始めた
「わたし 人さらいに他の女の子と一緒に捕まっていたの。そいつらは、私たちのことを何度も犯しては楽しんでたわ。」
いきなり凄い話で、驚いて相づちもうてずにいると、リタは続けた
「フウリンが助けてくれたの。閉じ込められてた部屋から出してくれて、隣の部屋に行くと男たちが既に皆倒されてたの。
このときが初めてよ私がフウリンと会ったのは。
それで、男たちを縛って声も出ないように猿轡かませて、奥の部屋に閉じ込めて、私と一緒に助けられた女の子たちが見張っていることになったの。」
「何で直ぐに逃げ出さなかったの。」
「場所もどこかわからない野中の一軒家だったし、フウリンと一緒の方が安全な気がしたの」
「ふ~ん それで」
「それで、暫くしたら馬車や馬に乗った男たちがやって来たの。フウリンに隠れるよう言われてたけど、私は陰から覗いていたの。
男たちは家に入ってくると驚いてたわ。
だって待ってるはずの仲間が居なくて、フウリンが入口の所で仁王立ちしてるんだもん。」
「それで」
「一人の男とフウリンが一言二言話してから、一瞬でそいつ以外の男が倒されたの。
私も、驚いたけど、その男も驚いてたわ。
それでそのフウリンと話ししてた男が、魔法の火炎弾をフウリンめがけて撃ったんだけど、フウリンが簡単に弾き返して、撃った本人がダメージ受けてたの。」
「へえー 凄いね フウリン」
「でしょ でしょ カッコよかったわ。
それで、私彼女は私の運命を変えてくれる人だと思って、それからずっと、修行しながらついてきているのよ。」
リンは、昨日聞いた、フウリンとリタの出会いを思い出しながら、自分も変わろうと思っていた。
ちょっと恥ずかしかったけど、フィリップの腕に胸を押し付けるようにしがみついた。
「それじゃあ 行くわよ」
リタがそう言うと体がふわっと浮いた
そして空に向ってどんどん高くあがって行く
「たけー スゲー」フィリップは興奮している。
私はギュッと彼の腕にしがみついて「そうだね~凄い景色ね」って言った。
一方のマルボロは、真っ青な顔してブルブル震えているみたいだ
「下ろして 下ろして」
マルボロは小声で訴えている
リタはニッと笑顔になって
「じゃ降りるわよ、しっかり捕まって」
「キャー」「ウワーッ」「あわわわ」
リタは、急降下をしたのだ。
地上に着いた時には、マルボロは白目になって気絶していた。
「リン!いつまでフィリップにオッパイ押し付けてるの?」
リタがいたずらっぽい目で見てる。
「違うの!フィリップごめんなさい。私怖かったの」
そう言ってフィリップから離れた。
「そう、あなた達は気持ちよく飛んでるみたいに感じたけど」
「俺は楽しかったぜ」
「私は空に上って怖かったのと、気持ちいいのと半々で、フィリップにしがみついてただけだもん」
リタは、マルボロの後ろに回って、背中をポンと叩いた。
するとマルボロの気が付いた。
「あ~怖かった~」
リタが直ぐにマルボロにくっついて
「ごめんね~ 怖がらせるつもりは無かったんだけど。」
マルボロはリタにくっつかれて、まんざらでもないようだ。赤くなってそっぽを向いて
「俺だって、慣れりゃ、空なんかスイスイ飛んでやるさ」
バカなやつ、そんなこと言うから
「マルボロ!じゃ、二人で行きましょ」
ほら、そうなる
リタはマルボロに抱きついて、二人は、舞い上がった。
「俺は今すぐ飛びたいなんて言ってないよ~」
「駄目よ離しちゃ。」
その時リタがマルボロにキスをした。
下で見ていたみんなが、歓声をあげる
「ヒューヒュー」
「見せつけるな~」
マルボロは目を丸くして驚いている。
「今、キスしたよな」
「どう?怖くなくなった?」
「あっ うん、ちょっと怖くなくなったみたいだ」
そう言うと、マルボロはキスを求めるようにくちをすぼめた。
その瞬間、リタはマルボロを離して、マルボロは落下した
「ウワーッ!」
地面と激突する直前に、マルボロの体はスピードを緩めて、ふんわりと着地した。
勿論このときもマルボロは既に白目で気絶していた。
リタが降りてくると、男子がリタを囲んで
「俺も飛ぶの怖いんだ」と口々に言っている
そこにサルヴァ先生とフウリンが割って入ってきた。
「あなた達、目的はリタでしょ」
「フウリン コイツらふっ飛ばしてくれる?」
「あ はい」
リタの周りの男子がワラワラと空に舞い上がっていく
そして急降下したりまた舞い上がったり
「先生、キスもしたほうがいいですか?」
フウリンがそう言うと
「それはあなたのすきにすれば良いわ」
するとフウリンは飛び上がり、空にいる男の子一人づつにキスをして、キスをした子から下に下ろしている。
「手伝いまーす」リタはそう言うと舞い上がって、フウリンの逆サイドの男の子から、順にキスをしている。
「あの子たち、いやらしいワ。あんなことするなんて!」
女子の中からそんな声があがり
「そうよ そうよ」
と同調する子もいる。
するとフウリンと同室のマヌエラが
「飛べない豚は、ただの豚
飛べない魔法使いは、何かしらね」
そう言うと、ふわっと浮かびあがった。
周りの女子は目を丸くして、マヌエラを見てる。
マヌエラは、まだ高くは飛べないみたいだけど、それで十分だ
「私はあの二人みたいに飛びたいし、あの二人が居なかったら、これからも飛べないままだったと思うの。
ちょっと男子に対して大胆だけど、私は二人のことを好きよ。
指くわえて見てるだけじゃ、誰も振り向いてくれないってことも分かったわ」
そう言うマヌエラのそばにリンが行き、彼女もほんの数センチだが浮かびあがった。
「私も、二人のことが好きだし、もっともっと高く飛びたい!
あと みんな聞いて!」
リンは一旦大きく息を吸って
「私 フィリップが好きー」
リンの突然の告白で、フウリンとリタのキス作業も中断となり、みんな降りてきた。
みんなの注目が今度はフィリップに集る。
二人の女子に両脇からホールドされたフィリップが、リンの前に連れて来られた。
サルヴァ先生が
「フィリップ、リンが勇気出して告白したんだ、ちゃんと返事しなさいよ。」
「リンは、可愛いと思う。それに性格もいいと思う。でも今はそれだけなんだ!」
「つき合っちゃえば~」と周りが囃し立てる
「リン、ありがとう。うれしいよ、でもゴメン
つき合うのは無しにしよう」
「誰か好きな人がいるの?」
「えっ! う うん」
「私はいいから、皆の前で言っちゃいなさいよ」
「えっ! そんな急に言われても、心の準備が」
「私だけ恥ずかしい思いして告白してその上アンタに振られたのよ。
少しは助けなさいよ!」
「わ わかったよ。」
フィリップは大きく息を吸って
「俺が好きなのは、先生だ。サルヴァ先生が好きなんだ!」
今度は皆の注目が一斉にサルヴァ先生に集まった。
リンは、いたたまれないのか、泣いて かけだして行った。
リタが追い掛けていった。
「私? フィリップ。
それは気の迷いよ。
先生を好きになる学生はよくいることよ。
でも、だいたいは卒業したら自然と終わりになる一時の風邪みたいなものよ。
私も、学生の時先生に恋した事が有るわ。
でも、卒業して暫くしたら、何であの先生のこと好きだったのかしらって思ったわ。
全然素敵な人に思えなくなったのよ。
だからね、あなたのことを好きって言っているリンとつきあった方があなたは幸せになれると思うわ。
まぁ大人の女の私の魅力に惹かれるのもわかるけど、私はそれに応えられないわ
だいたい私人妻だし、旦那とは愛し合ってるわ」
「それでも僕は………」
「心配ないわ、そのうち冷めるから。
あ あとね。好きって言ってくれたことは、嬉しかったわ
ありがとう❤」
こうしてこの日の飛行体験授業は、告白大会となり、このときに乗じて告白が他にも行われ、何組かのカップルが誕生した。
※※※※※※※※※※※※※※※
ここまで、読んでいただきありがとうございます。
長らく更新ストップしててすみません。
休み休みになりますが、少しづつ書き進めていくつもりです。
空を飛ぶ魔法使いのイメージは『箒にまたがる』かんじですが、どう思います?」
「それは、見た目の問題だけよ。
女性が腰掛けるように座って飛べばお洒落でしょ。
あとね、スカートの時に下から見られてもパンツ見えないしね。
箒が飛ぶんじゃなくて、箒ごと結界で包んで飛んでるだけよ。」
午前中の授業時間は、ここまでで、ランチタイムをはさんで、午後は、校庭で飛行魔法の練習になった。
一番乗り気だったのはサルヴァ先生だった
午前中はスーツ姿だったのが、黒で纏めたファッションで、竹箒に、黒猫のぬいぐるみまで持ってきている。
「イメージは、完璧よ」
サルヴァ先生はそう言うと、箒に腰掛けて舞い上がった。
と、思ったら、キリモミ状態で落下してきた。
「うわー」
地面に激突する寸前にサルヴァ先生は、自分の前にのみ結界を集中して衝撃を和らげ、ソフトランディングに成功した。
「やっぱり、自由に飛ぶのは難しいわね。」
余裕そうに見せてるが、顔は引き攣っていた。
「先生でも半日で習得は難しいみたいですね。
怪我が無くてよかったです。
でも、ここまできたら、もう飛べたも同然ですね。」
「慰めてくれてありがとう。
所で、私が落ちてきた時に、何もしなかったわよね。
助けてくれるかと期待したんだけど…」
「それはサルヴァ先生の結界がそれなりに強力に思えて、落下しても怪我しないと思ったからです。」
「そ そうなんだ。私は必死だったのよ。
でもこれで飛ぶ怖さも危険性も理解したわ。」
その時近くで「ボン」と爆発音がして、一人の学生が黒焦げになって倒れた。
サルヴァ先生が直ぐに駆け寄って、回復魔法をかけて事無きを得た。
「いったい、何があったのよラーク」
黒焦げになったのは、アホ四天王のラークだった。
「結界で自分を包むのが上手く出来なくて、火球をイメージしたら……こんなことに」
オイオイ、このレベルも居るのか、これじゃあ仲間を守るつもりで、仲間を黒焦げにしかねない。
サルヴァ先生も、そう思ったのか、その後結界は重点課題として扱われた。
魔術師は、騎士の後ろに隠れて魔法で攻撃や騎士の回復が主になりがちだが、結界は騎士の守備力を上げるのはもちろん、自らが盾役となって前に出ることも可能にしてくれる。
私はしょげかえっているラークに
「結界が上手く出来たら、炎の尾を引きながら飛べるようになるわ、そしたらとてもカッコいいわよ。
想像してみたら?
私の知り合いで光属性の人は、キラキラ光の粒を撒きながら飛ぶのよ、それがどんなに綺麗か見せたいわ。
炎もきっと素敵でしょうね」
「うん おれ頑張るよ。
必ず、君にかっこよく飛ぶ所を見せるから」
「約束よ」
ー 師匠 なに青春してるんですかぁ~ ー
ー リタ、じゃましないでよ。これがやりたくて、学校入ったのよ ー
ー いたいけなチェリーボーイをもて遊んでるようにしか見えませんけど ー
ー だって 誘惑スキル使わないでどれだけ釣れるか試したいじゃない ー
ー え~ 総取りとか無しですよ~ 私も頑張ろ~ ー
リタは走って二人の男子の所に行った
「マルボロ フィリップ 私と飛ばない?」
「あ あっ 私も一緒してもいいかな?」
リタの後を追ってリタと同室のリンが少しうつ向きながら声をかけている
「リン 勿論オッケーよ。
さぁ四人で腕を組んで」
四人は一列になって腕を組んだ、リタは当然のように両脇に男子を置いて、胸の膨らみに手が当たるように引き寄せている。
リンは、恥ずかしそうに、フィリップの腕にしがみついている。
リンは必死だった。
突然やって来た二人の留学生
二人共美人でプロポーションも素晴らしい。
その上戦闘力は超レベル。
女としても、戦うにしても、自分は足元にも及ばないと思った。
でもその二人の留学生のうちの一人リタと寮で同室になった。
話をしてみると、直ぐに友だちになれた。
美しさや強さを鼻にかけた感じもしないし、気さくに何でも話してくれる。
リンは、昨日リタに聞いた話を思い出していた。
「美人で凄く強いって何だか憧れちゃうな」って言ったら
「そうでしよ。私も出会った時からフウリンに憧れてるのよ。
彼女みたいになりたくて、それからずっと彼女について来てるの。」
「私はあなたに憧れるって言ったつもりよ」
「えっ! そうなの? 私はどうでもいいから、フウリンのファンを一緒にしましょうよ」
「そんなにフウリンは、素敵なの?どうしてそんなに彼女を慕っているの?」
そしたらリタは、ふっと思い出すように少し上の方に目線をやってから、私に向き直って話始めた
「わたし 人さらいに他の女の子と一緒に捕まっていたの。そいつらは、私たちのことを何度も犯しては楽しんでたわ。」
いきなり凄い話で、驚いて相づちもうてずにいると、リタは続けた
「フウリンが助けてくれたの。閉じ込められてた部屋から出してくれて、隣の部屋に行くと男たちが既に皆倒されてたの。
このときが初めてよ私がフウリンと会ったのは。
それで、男たちを縛って声も出ないように猿轡かませて、奥の部屋に閉じ込めて、私と一緒に助けられた女の子たちが見張っていることになったの。」
「何で直ぐに逃げ出さなかったの。」
「場所もどこかわからない野中の一軒家だったし、フウリンと一緒の方が安全な気がしたの」
「ふ~ん それで」
「それで、暫くしたら馬車や馬に乗った男たちがやって来たの。フウリンに隠れるよう言われてたけど、私は陰から覗いていたの。
男たちは家に入ってくると驚いてたわ。
だって待ってるはずの仲間が居なくて、フウリンが入口の所で仁王立ちしてるんだもん。」
「それで」
「一人の男とフウリンが一言二言話してから、一瞬でそいつ以外の男が倒されたの。
私も、驚いたけど、その男も驚いてたわ。
それでそのフウリンと話ししてた男が、魔法の火炎弾をフウリンめがけて撃ったんだけど、フウリンが簡単に弾き返して、撃った本人がダメージ受けてたの。」
「へえー 凄いね フウリン」
「でしょ でしょ カッコよかったわ。
それで、私彼女は私の運命を変えてくれる人だと思って、それからずっと、修行しながらついてきているのよ。」
リンは、昨日聞いた、フウリンとリタの出会いを思い出しながら、自分も変わろうと思っていた。
ちょっと恥ずかしかったけど、フィリップの腕に胸を押し付けるようにしがみついた。
「それじゃあ 行くわよ」
リタがそう言うと体がふわっと浮いた
そして空に向ってどんどん高くあがって行く
「たけー スゲー」フィリップは興奮している。
私はギュッと彼の腕にしがみついて「そうだね~凄い景色ね」って言った。
一方のマルボロは、真っ青な顔してブルブル震えているみたいだ
「下ろして 下ろして」
マルボロは小声で訴えている
リタはニッと笑顔になって
「じゃ降りるわよ、しっかり捕まって」
「キャー」「ウワーッ」「あわわわ」
リタは、急降下をしたのだ。
地上に着いた時には、マルボロは白目になって気絶していた。
「リン!いつまでフィリップにオッパイ押し付けてるの?」
リタがいたずらっぽい目で見てる。
「違うの!フィリップごめんなさい。私怖かったの」
そう言ってフィリップから離れた。
「そう、あなた達は気持ちよく飛んでるみたいに感じたけど」
「俺は楽しかったぜ」
「私は空に上って怖かったのと、気持ちいいのと半々で、フィリップにしがみついてただけだもん」
リタは、マルボロの後ろに回って、背中をポンと叩いた。
するとマルボロの気が付いた。
「あ~怖かった~」
リタが直ぐにマルボロにくっついて
「ごめんね~ 怖がらせるつもりは無かったんだけど。」
マルボロはリタにくっつかれて、まんざらでもないようだ。赤くなってそっぽを向いて
「俺だって、慣れりゃ、空なんかスイスイ飛んでやるさ」
バカなやつ、そんなこと言うから
「マルボロ!じゃ、二人で行きましょ」
ほら、そうなる
リタはマルボロに抱きついて、二人は、舞い上がった。
「俺は今すぐ飛びたいなんて言ってないよ~」
「駄目よ離しちゃ。」
その時リタがマルボロにキスをした。
下で見ていたみんなが、歓声をあげる
「ヒューヒュー」
「見せつけるな~」
マルボロは目を丸くして驚いている。
「今、キスしたよな」
「どう?怖くなくなった?」
「あっ うん、ちょっと怖くなくなったみたいだ」
そう言うと、マルボロはキスを求めるようにくちをすぼめた。
その瞬間、リタはマルボロを離して、マルボロは落下した
「ウワーッ!」
地面と激突する直前に、マルボロの体はスピードを緩めて、ふんわりと着地した。
勿論このときもマルボロは既に白目で気絶していた。
リタが降りてくると、男子がリタを囲んで
「俺も飛ぶの怖いんだ」と口々に言っている
そこにサルヴァ先生とフウリンが割って入ってきた。
「あなた達、目的はリタでしょ」
「フウリン コイツらふっ飛ばしてくれる?」
「あ はい」
リタの周りの男子がワラワラと空に舞い上がっていく
そして急降下したりまた舞い上がったり
「先生、キスもしたほうがいいですか?」
フウリンがそう言うと
「それはあなたのすきにすれば良いわ」
するとフウリンは飛び上がり、空にいる男の子一人づつにキスをして、キスをした子から下に下ろしている。
「手伝いまーす」リタはそう言うと舞い上がって、フウリンの逆サイドの男の子から、順にキスをしている。
「あの子たち、いやらしいワ。あんなことするなんて!」
女子の中からそんな声があがり
「そうよ そうよ」
と同調する子もいる。
するとフウリンと同室のマヌエラが
「飛べない豚は、ただの豚
飛べない魔法使いは、何かしらね」
そう言うと、ふわっと浮かびあがった。
周りの女子は目を丸くして、マヌエラを見てる。
マヌエラは、まだ高くは飛べないみたいだけど、それで十分だ
「私はあの二人みたいに飛びたいし、あの二人が居なかったら、これからも飛べないままだったと思うの。
ちょっと男子に対して大胆だけど、私は二人のことを好きよ。
指くわえて見てるだけじゃ、誰も振り向いてくれないってことも分かったわ」
そう言うマヌエラのそばにリンが行き、彼女もほんの数センチだが浮かびあがった。
「私も、二人のことが好きだし、もっともっと高く飛びたい!
あと みんな聞いて!」
リンは一旦大きく息を吸って
「私 フィリップが好きー」
リンの突然の告白で、フウリンとリタのキス作業も中断となり、みんな降りてきた。
みんなの注目が今度はフィリップに集る。
二人の女子に両脇からホールドされたフィリップが、リンの前に連れて来られた。
サルヴァ先生が
「フィリップ、リンが勇気出して告白したんだ、ちゃんと返事しなさいよ。」
「リンは、可愛いと思う。それに性格もいいと思う。でも今はそれだけなんだ!」
「つき合っちゃえば~」と周りが囃し立てる
「リン、ありがとう。うれしいよ、でもゴメン
つき合うのは無しにしよう」
「誰か好きな人がいるの?」
「えっ! う うん」
「私はいいから、皆の前で言っちゃいなさいよ」
「えっ! そんな急に言われても、心の準備が」
「私だけ恥ずかしい思いして告白してその上アンタに振られたのよ。
少しは助けなさいよ!」
「わ わかったよ。」
フィリップは大きく息を吸って
「俺が好きなのは、先生だ。サルヴァ先生が好きなんだ!」
今度は皆の注目が一斉にサルヴァ先生に集まった。
リンは、いたたまれないのか、泣いて かけだして行った。
リタが追い掛けていった。
「私? フィリップ。
それは気の迷いよ。
先生を好きになる学生はよくいることよ。
でも、だいたいは卒業したら自然と終わりになる一時の風邪みたいなものよ。
私も、学生の時先生に恋した事が有るわ。
でも、卒業して暫くしたら、何であの先生のこと好きだったのかしらって思ったわ。
全然素敵な人に思えなくなったのよ。
だからね、あなたのことを好きって言っているリンとつきあった方があなたは幸せになれると思うわ。
まぁ大人の女の私の魅力に惹かれるのもわかるけど、私はそれに応えられないわ
だいたい私人妻だし、旦那とは愛し合ってるわ」
「それでも僕は………」
「心配ないわ、そのうち冷めるから。
あ あとね。好きって言ってくれたことは、嬉しかったわ
ありがとう❤」
こうしてこの日の飛行体験授業は、告白大会となり、このときに乗じて告白が他にも行われ、何組かのカップルが誕生した。
※※※※※※※※※※※※※※※
ここまで、読んでいただきありがとうございます。
長らく更新ストップしててすみません。
休み休みになりますが、少しづつ書き進めていくつもりです。
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とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
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