魔法使いフウリン

烏帽子 博

文字の大きさ
上 下
48 / 69
第二章

おのぼりさん

しおりを挟む
王都へのゲートが閉まる時間になると、列の進みが早くなった。
なんでも、整理券が配られて、翌日の朝開門時に、整理券の順からの入場受付となるそうだ。
整理券を受け取った人から。列がバラけて行く。

「あ~あ~ みんな6千番代かぁ。明日もかなり待たされそうね。」

グチるリタをよそにマリアが
「屋台がいっぱい出てますね。まるでお祭りみたい。フウリン、見に行ってもいいかしら」

「ヒューリと二人でならね
はぐれないでよ」

入場待ちの人狙いで、屋台が城壁周りに立ち並んでいる。
いつもこうなんだろうな。

マリアが歩き始めると、女性とぶつかった。するとマリアの後にいた子供がマリアのバッグに手を伸ばした。

気づけよヒューリ!

ヒューリは「大丈夫?」転びそうになったマリアを気づかっている。

「リタ!」

「はぁ~い」

リタは一瞬でぶつかった女性と子供を魔力で拘束した。

「マリアのお財布返しなさい」

「えっ?お財布?」慌ててマリアはバッグの中を探っている。

「知らねぇよ財布なんか、調べてみろよ、持ってねぇよ」

「いいわよ、それじゃあ、皆んなの見てる前で、この女の人に、全裸になってもらいましょうかしら」

「えっ!」

「すったあと、渡す所まで見てたわよ」

「チクショウ、好きにしやがれ!」

「だから、お財布を返してくれればいいのよ。あとはいいわ。逃してあげる」

スリの子どもは「えっ」って不思議そうな顔をした。
グルの女はだまって財布をマリアに差し出した。

「じゃあな!あんた凄いな。俺を捕まえたのは、アンタが始めてだ。次はバレないように、あんたからスッてやる」

「百年修行しても無理よ。フフフ。」

「マリアとヒューリ 緊張感を忘れずに。」

街道脇の少し広い場所に、無限箱からテントを出して設営して、焚火をおこした。

その様子をチラチラ見てる男がいたが、別に気にしないでいた。
しばらくすると、5人の男がやって来た。

「ねえちゃん 誰に断ってここにテント張ったんだ?」

「誰に?誰にも断ってないわよ」

「ここは、俺たちの縄張りだ、ここにテント張るなら、場所代を払って貰おうか?」

「お金を取るの?それは嫌よ。」

「おい 嫌よって言われて、ハイそうですかってわけには行かねえんだよ」

「それじゃあ、身体で!
テントの中にどうぞ」

「えっ?」

5人のゴロツキをテントの中に入れて、魅惑を使った。
外に出られない様に結界を張って、5人からしっかり搾り取った。
私に関する記憶を消して、開放した。

ー リタ 待った?戻って来ていいわよ ー

リタ、マリア、ヒューリの3人仲良く帰ってきた。

「フウリンさんも来ればよかったのに、串焼きとか、焼そばとか美味しかったわよ。
ボッタクリ弁当買わなくて正解でした。」

「俺はあの揚げ物が旨かった、酒に合うよなぁ」


「私も魔力たっぷり男たちから補給したわよ、でも食事はこれから。
食べるのは在庫のごちそうにしておくわ」

「師匠~ 私も食べさせて下さい」

「リタは、屋台で食べたんだろう」

「だって、師匠の在庫って宿屋『マンマのスープ』のご飯ですよね。それ絶対美味しいやつですよね~食べたいですよ」

私は無限箱からテーブルや椅子を出して、数々の料理を並べた。

「おっ、こりゃうまそうな。
フウリン、俺もごちそうになっていいかい」

「いいわよ、どうせそうなると思ったから、マリアもどうぞ」

私たちがワイワイと食事をしてると

「あんたら旨そうなもん食ってるな。
なぁ 金払うから俺にも食べさせてくれないか?」

「あなた一人?仲間は居ない?」

「俺はソロで冒険者やってるリュウって言うんだ。仲間はいない」

「じゃあいいわよ。こっちの席にすわって。
リタ 彼が席に着いたら、周りからわからないように結界張って、次々来たら困るから」

「リュウ、あなた都を拠点にしてるの?」

「そうだよ。でも俺もまだ都に来て3年目の新参者さ」

「リュウ 都に入ったら色々と教えてくれないかな、町の案内とかしてくれたら、食事代は要らないよ」

「えっ ホントか?こんな美味い飯、都でもそうそうないぜ。案内引受けた」

「所であなた、都に来る前はどこにいたの?」

「トッポの町だけど、それが何か?」

「へえー トッポの町。私もそこで冒険者してたんだけど。
フウリンよ。知らない?」

「えっ! じゃ もしかして、あの頃ジンの兄貴と一緒にいた姉さんですか」

「フフフ そのもしかしてよ。貴方はおとうと弟子になるのかしら?」

「そっか、そうなりますね。戦い方はジンさんから指導を受けました。
だけどこんなところで、こうして出会うなんてビックリですね」

「そうね。会った時からそうかなぁ~って思ったけど驚いたわ。
で、ジンはその後どうだったの?ハーレム作ってた?」

「ハーレム?何のことですか?ジンさんは、彼女の一人もいませんでしたよ。
ダンジョンで魔物を狩って、そのお金で僕らを助けてくれてました」

アタシがサキュバスとして目覚めてヤリまくってる間に、ジンは聖人君子か!
マザコンのお兄ちゃん、いつまで引きずってるのよ。困ったヤツね。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい

白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。 私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。 「あの人、私が

RUBBER LADY 屈辱の性奴隷調教

RUBBER LADY
ファンタジー
RUBBER LADYが活躍するストーリーの続編です

【完結】私だけが知らない

綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。 優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。 やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。 記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。 【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ 2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位 2023/12/19……番外編完結 2023/12/11……本編完結(番外編、12/12) 2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位 2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」 2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位 2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位 2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位 2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位 2023/08/14……連載開始

勝負に勝ったので委員長におっぱいを見せてもらった

矢木羽研
青春
優等生の委員長と「勝ったほうが言うことを聞く」という賭けをしたので、「おっぱい見せて」と頼んでみたら……青春寸止めストーリー。

強制力がなくなった世界に残されたものは

りりん
ファンタジー
一人の令嬢が処刑によってこの世を去った 令嬢を虐げていた者達、処刑に狂喜乱舞した者達、そして最愛の娘であったはずの令嬢を冷たく切り捨てた家族達 世界の強制力が解けたその瞬間、その世界はどうなるのか その世界を狂わせたものは

蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる

フルーツパフェ
大衆娯楽
 転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。  一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。  そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!  寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。 ――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです  そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。  大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。  相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。      

処理中です...