魔法使いフウリン

烏帽子 博

文字の大きさ
上 下
43 / 69
第二章

蟻の巣

しおりを挟む
「目指せ妖精のランプへ!出発!」

「犬ぞりで半月かかる行程ってどの位の距離かしら?」

「ピノの町迄が3週間位だから、その2/3って所かな。大体の場所はわかるから、その位行ったら、ゆっくり飛んでくれるかな」

「ヒューリ、頼りになるわね。ナビゲーター宜しくね」




「あっ ストップ ストップ!
もうとっくに通り過ぎてるよ」

ー リタ どうしたの急に止まって ー

ー ナビのヒューリによると、もう通り過ぎてるらしいです ー

ー わかったわ。また後ついてくから宜しくね ー

ー 畏まりました ー


「でも、そんなに距離飛んでないわよ」

「犬ぞりの時には、さっき飛び越えた山を迂回するからそれだけ時間がかかるんだ。
こんなふうに山を飛び越えたショートカットだと、とっくに行き過ぎだよ」

「そうなんだ。でも湖は無かったわよ。」

「今の時季、湖は氷ってて、その上雪が積もっているから、平原と見分けがつかないよ」

「ヒューリは何でわかるの?
こんなふうに上から見るのは初めてだけど、周りの山とかの景色だよ。
リタ 戻りながら、なるべく低く飛んでみてくれないか」

「了解!」


ほどなく、湖の中程にある祠に到着した。

「ここまでは何のフェイクもないわね」

祠の中には、地下へと続く階段が有った。

「当然ここを進むのよね」
マリアはヒューリにしがみついている。

「リタ、ここはラブラブ組に任せてみて、危なそうなら助けに入りましょ」

「師匠、了解しました」

先頭のヒューリの肩に手をかけマリアが続く、その後ろをリタと私が並んで歩いている。

ー そろそろですね ー
ー そうだな、さて二人は、どうするかな ー

リタとは念話で話している。
私たちは、探知を使って魔物の数や場所がわかっている

ソルジャーアントが現れた
ヒューリが向かい撃とうとダッシュ

しようとしたが、マリアにガシっと掴まれてた

「マリア、離してくれ!これじゃ戦えない!
マリア!」

マリアはヒューリを掴んで固まっている。

「来た来た、ヤバイヤバイ」ヒューリは焦っている。

ー 仕方ないわね、リタやって ー

「水撃!」

リタの手から発射された水の弾が、ソルジャーアントを貫通して、倒した。

「マリア、どうしたの?」

「恐くて、足がすくんで、ヒューリに何か有ったらって思ったら、もっと恐くなって……ゴメンナサイ」

「びびって固まった所悪いが、今倒した奴は斥候だ、マーキングされたからワンサカ仲間が攻めてくるわよ。」

通路の奥から押し寄せて来る足音と沢山の目が光って見える。

「ギャァ~~~ 来ないで~~~」

マリアが叫びながら、両手を突き出すと光の弾がそこから飛び出した。

弾がソルジャーアントに触れるとその途端、ソルジャーアントは消滅した。
そして、次のソルジャーアントも、その次も……

マリアの打ち出した光の弾は、軌道を変えながら、全てのソルジャーアントを一層した。

マリアは、一瞬ほっとした顔をして、ヒューリの腕の中に、崩れ落ちた。

ソルジャーアントを倒す間マリアは、何か呪文を言うようにブツブツ言っていた。

「ヒューリ マリアが何か言ってたのは、何かの呪文詠唱?あなた一番そばに居たから聞こえたでしょ」

「アハハ 呪文詠唱とかじゃ有りませんよ。普通の言葉でした」

「そうなんだ。で、なんて言ってたの?」

「虫嫌い 虫怖い 虫死ね全部死ね  だいたいこんな感じです」

「アハハ そうなんだ!マリアはそんなに虫嫌いか。」

それにしてもだ
たぶんアレは、ビアンカの言う「浄化」だろう
触れた瞬間にソルジャーアントは消えて行った。
軌道も自在に変えられるとなると、私に向けられたら、防ぐ手はあるのかしら。

そうしてる内にまた、ソルジャーアントがやって来た。

「ヒューリ マリアは、こっちに預かるわ。あなたのレベルアップにちょうどいい相手ね、頑張って。
ちなみにここは、ダンジョンじゃあなくて、蟻の巣の中よ」

「少しは、助けてくれるんだろ」

「骨くらい拾ってあげるから心配しないで」

「ええ~~」

「冗談よ」

「こんな時に、冗談はやめてくれ!」

ー リタ お手本見せてあげて、ゆっくりな動きでヒューリにもわかるようにね ー

ー ゆっくりかぁ 難しそう
でもやってみます ー

リタは、ヒューリと戦ってるソルジャーアントを水撃で倒してから、その奥のソルジャーアントに向かって行った

「ヒューリ 私の戦い方見てて」

リタのそれは、まさに剣舞だ
ソルジャーアントは前の脚でリタを捕まえようとしたり、噛みつこうとしてくる。
それを華麗に舞う動きで避けながら、ソルジャーアントの関節を狙って剣をふるう。

ソルジャーアントが、噛みつこうとしてくる。

リタは、それを避けると、触覚を切り落とした。
ソルジャーアントの動きが鈍った所で、頭と胴の間の関節に斬り付けた

ソルジャーアントは体を二分され動かなくなった。
リタが最後に胴の核を切り捨てると、ソルジャーアントは魔石を残して消えた。

「もう一丁、別バージョン行くわよ」

リタは、新たなソルジャーアントに対して、振り下ろしてくる前脚を跳ね上げ、スライディングして懐に飛び込み、いきなり核を斬りつけた。
あっという間に、ソルジャーアントは、魔石となって地面に転がった。


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

お爺様の贈り物

豆狸
ファンタジー
お爺様、素晴らしい贈り物を本当にありがとうございました。

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

【完結】言いたいことがあるなら言ってみろ、と言われたので遠慮なく言ってみた

杜野秋人
ファンタジー
社交シーズン最後の大晩餐会と舞踏会。そのさなか、第三王子が突然、婚約者である伯爵家令嬢に婚約破棄を突き付けた。 なんでも、伯爵家令嬢が婚約者の地位を笠に着て、第三王子の寵愛する子爵家令嬢を虐めていたというのだ。 婚約者は否定するも、他にも次々と証言や証人が出てきて黙り込み俯いてしまう。 勝ち誇った王子は、最後にこう宣言した。 「そなたにも言い分はあろう。私は寛大だから弁明の機会をくれてやる。言いたいことがあるなら言ってみろ」 その一言が、自らの破滅を呼ぶことになるなど、この時彼はまだ気付いていなかった⸺! ◆例によって設定ナシの即興作品です。なので主人公の伯爵家令嬢以外に固有名詞はありません。頭カラッポにしてゆるっとお楽しみ下さい。 婚約破棄ものですが恋愛はありません。もちろん元サヤもナシです。 ◆全6話、約15000字程度でサラッと読めます。1日1話ずつ更新。 ◆この物語はアルファポリスのほか、小説家になろうでも公開します。 ◆9/29、HOTランキング入り!お読み頂きありがとうございます! 10/1、HOTランキング最高6位、人気ランキング11位、ファンタジーランキング1位!24h.pt瞬間最大11万4000pt!いずれも自己ベスト!ありがとうございます!

寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい

白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。 私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。 「あの人、私が

RUBBER LADY 屈辱の性奴隷調教

RUBBER LADY
ファンタジー
RUBBER LADYが活躍するストーリーの続編です

【完結】私だけが知らない

綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。 優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。 やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。 記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。 【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ 2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位 2023/12/19……番外編完結 2023/12/11……本編完結(番外編、12/12) 2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位 2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」 2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位 2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位 2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位 2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位 2023/08/14……連載開始

【完結】父が再婚。義母には連れ子がいて一つ下の妹になるそうですが……ちょうだい癖のある義妹に寮生活は無理なのでは?

つくも茄子
ファンタジー
父が再婚をしました。お相手は男爵夫人。 平民の我が家でいいのですか? 疑問に思うものの、よくよく聞けば、相手も再婚で、娘が一人いるとのこと。 義妹はそれは美しい少女でした。義母に似たのでしょう。父も実娘をそっちのけで義妹にメロメロです。ですが、この新しい義妹には悪癖があるようで、人の物を欲しがるのです。「お義姉様、ちょうだい!」が口癖。あまりに煩いので快く渡しています。何故かって?もうすぐ、学園での寮生活に入るからです。少しの間だけ我慢すれば済むこと。 学園では煩い家族がいない分、のびのびと過ごせていたのですが、義妹が入学してきました。 必ずしも入学しなければならない、というわけではありません。 勉強嫌いの義妹。 この学園は成績順だということを知らないのでは?思った通り、最下位クラスにいってしまった義妹。 両親に駄々をこねているようです。 私のところにも手紙を送ってくるのですから、相当です。 しかも、寮やクラスで揉め事を起こしては顰蹙を買っています。入学早々に学園中の女子を敵にまわしたのです!やりたい放題の義妹に、とうとう、ある処置を施され・・・。 なろう、カクヨム、にも公開中。

「不細工なお前とは婚約破棄したい」と言ってみたら、秒で破棄されました。

桜乃
ファンタジー
ロイ王子の婚約者は、不細工と言われているテレーゼ・ハイウォール公爵令嬢。彼女からの愛を確かめたくて、思ってもいない事を言ってしまう。 「不細工なお前とは婚約破棄したい」 この一言が重要な言葉だなんて思いもよらずに。 ※約4000文字のショートショートです。11/21に完結いたします。 ※1回の投稿文字数は少な目です。 ※前半と後半はストーリーの雰囲気が変わります。 表紙は「かんたん表紙メーカー2」にて作成いたしました。 ❇❇❇❇❇❇❇❇❇ 2024年10月追記 お読みいただき、ありがとうございます。 こちらの作品は完結しておりますが、10月20日より「番外編 バストリー・アルマンの事情」を追加投稿致しますので、一旦、表記が連載中になります。ご了承ください。 1ページの文字数は少な目です。 約4500文字程度の番外編です。 バストリー・アルマンって誰やねん……という読者様のお声が聞こえてきそう……(;´∀`) ロイ王子の側近です。(←言っちゃう作者 笑) ※番外編投稿後は完結表記に致します。再び、番外編等を投稿する際には連載表記となりますこと、ご容赦いただけますと幸いです。

処理中です...