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第一章
魔力探知
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冒険者となって三ヶ月が経った。
ヤマモトさんの家の居候もそう何時までもというわけにはいかないと思い、宿屋に泊まる事にした。
ジンは、毎晩寝る前に手を握って、魔力を送ってくれる。
私はその度に、身体が熱く恍惚になる。
もうジン無しでは生きてゆけない。ジンが部屋から出てゆくと直ぐに火照った自らを癒やすのが日課になっていた。
好きだって言ったらふられないか。
抱いてって言ったら変な女って思われないか。
そんなことばかり心配をしていた。
そんなある日、ジンの戦いを目で追ってると、ジンが相手にダメージを与える瞬間に魔力を増やしているのが分かった。
「ジン 私 ジンの魔力感じるようになった!」
「凄いね、やったね
やっぱりフウリンは、できる子だね。
ぼくがどこに魔力を集めてるかも分かるかな?」
「少しわかるわ、ダッシュする時の足、パンチ打つときの腕とかでしょ」
「よし じゃあ鬼ごっこね。十数えたら、ぼくを追いかけて捕まえてね」
ジンは飛ぶように消えた
「1 2 3 4 5 6 7 8 9 10」
ジンの消えた方を意識する
いや、そっちじゃ無い
私は空に舞い上がって、意識を広範囲に広げた。
ジンが魔力を上げたのを感じた。
そこに向って行くと、すでにジンは居なくなっていた。
また別の場所で、ジンの魔力が膨れ上がるのを感じた。
今度こそ!
でもやっぱり、ジンはもう消えて居る
もっと早く行かなきゃ!
ジンは魔力を上げて自分の場所を教えて直ぐに、魔力を減らして移動している。
予測して先回りしないとね
夕方まで走り回つて追いかけたけど、結局捕まえられなかった。
「フウリン 今日はもうこのくらいにして帰ろう。
それと、今晩から手繋ぎは無しね。
ぼくが普通の状態でも、どこに居るかを見つける練習を始めてね。
それが出来たら、魔物の位置や強さも分かるようになるから」
「何で手を繋ぐのもやめるの?」
「ぼくが魔力を上昇させたら、探せるようになったけど、普通の状態のぼくの魔力はまだ探せないだろう。
普通の状態でも、ぼくと他の人や魔物を区別するには、より繊細に感じないとならないんだ。」
「それで、どうして?」
「つまり、飢えることが鍵になるんだ。
毎晩、魔力を渡してたのが、無くなると、それが欲しくなる。しかも強烈にね」
「私を麻薬犬みたいにしたのね、そうなるとわかってて。
ひどいじゃない。そんなの!」
「他に方法はないんだよ。
ぼくはフウリンが好きだから騙すとかじゃなくて」
私はジンの胸に飛び込んだ
「ギュッと抱きしめて!
お願い、今だけでもいいから、魔力を送らなくてもいいから!」
ジンは優しく抱きしめていてくれた。
あたりは暗くなってきたので、宿に戻った。
「フウリン、明日迎えに来るからね、ぼくはしばらく別の宿に泊まるから」
「夕食までは一緒にいてよ」
「仕方ないなぁ。わかった。夕食までね」
「私 嫌な女になってる?」
「嫌なわけないよ、きっと僕のせいだ」
抱きつきたい、手を握りたい、どこでもいいからジンに触れていたい。
そんな思いを押し殺しながら、食事をした。
何を食べて、何を話したかよく覚えていない。
この時間を過ぎたら、ジンと離れなきゃいけない。
そのことばかりが頭の中をぐるぐる回っていた。
「明日の朝にはまたジンに会える。」
その言葉を頭の中で繰り返した。
「うん 会えるよ」
「えっ! なに! 私声出してないわよ。
ジン もしかして、私の考えてることまで分かるの?」
「フウリンのこと考えてたら、言葉が飛んできた。
ぼくが、覗いたんじゃあなくて、君が飛ばしたが近いかな」
「もしかして、それジンはお母さんともやってたの?」
「うん、やってたよ。って言うか、今でもお母さんが拒絶しなけりゃできると思う」
「どこに居るかもわからないお母さんと話せるの?」
「うん 今度はフウリンとも、こうやって話せるといいよね。」
食事が終わって、ジンは宿から出て行った。
私はジンの魔力を追って見たけど、直ぐにわからなくなった。
部屋に戻ってベッドに入った。
昨日までならジンとの恍惚の時間だ。
今晩からは、1人膝を抱えているしかない。
さっき話した時のジンの声を思い出す。
抱きしめてもらった時の暖かさを思い出す。
鬼ごっこしてた時の、ジンの魔力を思い出す。
普通の時のジンの魔力!
大好きなジンの魔力!
どうしたら感じられるの?
欲しい 欲しい 欲しい
私はジンのことをいっぱい思って見たけれど、やっぱりジンの魔力を感じることはできなかった。
ヤマモトさんの家の居候もそう何時までもというわけにはいかないと思い、宿屋に泊まる事にした。
ジンは、毎晩寝る前に手を握って、魔力を送ってくれる。
私はその度に、身体が熱く恍惚になる。
もうジン無しでは生きてゆけない。ジンが部屋から出てゆくと直ぐに火照った自らを癒やすのが日課になっていた。
好きだって言ったらふられないか。
抱いてって言ったら変な女って思われないか。
そんなことばかり心配をしていた。
そんなある日、ジンの戦いを目で追ってると、ジンが相手にダメージを与える瞬間に魔力を増やしているのが分かった。
「ジン 私 ジンの魔力感じるようになった!」
「凄いね、やったね
やっぱりフウリンは、できる子だね。
ぼくがどこに魔力を集めてるかも分かるかな?」
「少しわかるわ、ダッシュする時の足、パンチ打つときの腕とかでしょ」
「よし じゃあ鬼ごっこね。十数えたら、ぼくを追いかけて捕まえてね」
ジンは飛ぶように消えた
「1 2 3 4 5 6 7 8 9 10」
ジンの消えた方を意識する
いや、そっちじゃ無い
私は空に舞い上がって、意識を広範囲に広げた。
ジンが魔力を上げたのを感じた。
そこに向って行くと、すでにジンは居なくなっていた。
また別の場所で、ジンの魔力が膨れ上がるのを感じた。
今度こそ!
でもやっぱり、ジンはもう消えて居る
もっと早く行かなきゃ!
ジンは魔力を上げて自分の場所を教えて直ぐに、魔力を減らして移動している。
予測して先回りしないとね
夕方まで走り回つて追いかけたけど、結局捕まえられなかった。
「フウリン 今日はもうこのくらいにして帰ろう。
それと、今晩から手繋ぎは無しね。
ぼくが普通の状態でも、どこに居るかを見つける練習を始めてね。
それが出来たら、魔物の位置や強さも分かるようになるから」
「何で手を繋ぐのもやめるの?」
「ぼくが魔力を上昇させたら、探せるようになったけど、普通の状態のぼくの魔力はまだ探せないだろう。
普通の状態でも、ぼくと他の人や魔物を区別するには、より繊細に感じないとならないんだ。」
「それで、どうして?」
「つまり、飢えることが鍵になるんだ。
毎晩、魔力を渡してたのが、無くなると、それが欲しくなる。しかも強烈にね」
「私を麻薬犬みたいにしたのね、そうなるとわかってて。
ひどいじゃない。そんなの!」
「他に方法はないんだよ。
ぼくはフウリンが好きだから騙すとかじゃなくて」
私はジンの胸に飛び込んだ
「ギュッと抱きしめて!
お願い、今だけでもいいから、魔力を送らなくてもいいから!」
ジンは優しく抱きしめていてくれた。
あたりは暗くなってきたので、宿に戻った。
「フウリン、明日迎えに来るからね、ぼくはしばらく別の宿に泊まるから」
「夕食までは一緒にいてよ」
「仕方ないなぁ。わかった。夕食までね」
「私 嫌な女になってる?」
「嫌なわけないよ、きっと僕のせいだ」
抱きつきたい、手を握りたい、どこでもいいからジンに触れていたい。
そんな思いを押し殺しながら、食事をした。
何を食べて、何を話したかよく覚えていない。
この時間を過ぎたら、ジンと離れなきゃいけない。
そのことばかりが頭の中をぐるぐる回っていた。
「明日の朝にはまたジンに会える。」
その言葉を頭の中で繰り返した。
「うん 会えるよ」
「えっ! なに! 私声出してないわよ。
ジン もしかして、私の考えてることまで分かるの?」
「フウリンのこと考えてたら、言葉が飛んできた。
ぼくが、覗いたんじゃあなくて、君が飛ばしたが近いかな」
「もしかして、それジンはお母さんともやってたの?」
「うん、やってたよ。って言うか、今でもお母さんが拒絶しなけりゃできると思う」
「どこに居るかもわからないお母さんと話せるの?」
「うん 今度はフウリンとも、こうやって話せるといいよね。」
食事が終わって、ジンは宿から出て行った。
私はジンの魔力を追って見たけど、直ぐにわからなくなった。
部屋に戻ってベッドに入った。
昨日までならジンとの恍惚の時間だ。
今晩からは、1人膝を抱えているしかない。
さっき話した時のジンの声を思い出す。
抱きしめてもらった時の暖かさを思い出す。
鬼ごっこしてた時の、ジンの魔力を思い出す。
普通の時のジンの魔力!
大好きなジンの魔力!
どうしたら感じられるの?
欲しい 欲しい 欲しい
私はジンのことをいっぱい思って見たけれど、やっぱりジンの魔力を感じることはできなかった。
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