魔法使いフウリン

烏帽子 博

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第一章

新たな出会い

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幌馬車の中にはもう一人、商人の手代が乗っていた。
幌馬車のそばには馬に乗った護衛が前に2人、後ろに2人ついていた。

街道は草原を抜けて、森の中に続いて行く。
森の中を半日進んで夕暮れ時に、盗賊が襲って来た。

「約束より遅いじゃねぇか」

「まぁそう言うなよ。高く売れそうな姉ちゃんのオマケ付きだぜ」

盗賊が5人それに、前の二人も盗賊の仲間とは!
後ろの護衛が前に回って着て、何とか戦っている。

私は風魔法で盗賊を攻撃した。

「うっ!魔法使いかよ!」

自分だけなら、足に風を纏わせて走れば何とか逃げられるかもしれないけど、出来れば、みんなで生き延びたい。

しかし、いくらロジャーと剣の練習したからと言って、盗賊や冒険者にかなうハズがない。

味方の冒険者の援護をして、彼らに頑張ってもらおう。

私は敵に、目眩ましになるよう風で砂を巻き上げたりしていた。
暫く膠着状態だったが、多勢に無勢で、仲間の一人が深傷を負わされた。

その時、藪の中から、一人の少年が現れた。
彼は怪我をした仲間と盗賊の間に入り、仲間に傷薬をかけた。

「なんだてめえは!」

「盗賊の味方ではありません」

「なに言ってやがる。てめえも……」
盗賊は、その先を話す前に吹っ飛ばされてのびた。

残りの6人も
「うわっ」「ぎゃ」「ひぃー」と腕や足を折られたり、吹っ飛ばされたりして、あっという間に制圧された。

怪我をした仲間の冒険者は、どうにか無事のようだ。

盗賊たちをそこら辺の木に縛り付けた。


「あんた、相当な腕前だな。
報酬を弾むから、この先の町まで護衛を引き受けてくれないか?」

「いいですよ。ぼくで良ければ、やりましょう。丁度ぼくも町に行きたかったので」

「それは助かる、心強い味方が出来た。私はヤマモト商店のヤマモトだ。よろしくお願いする。」

「ぼくはジンです。よろしくお願いします。」

「それから、お嬢さん!あなたにも報酬を出すよ。よく戦ってくれた。お名前は何とおっしゃるのかな」

「フウリンです」

「どこで戦いかたを教わったのですか?」

「奉公先で、チャンバラの相手をしてただけですよ」

「誰にも、手ほどきを受けて無く自己流なんですか? そりゃ驚いた!」

「三年間毎日付き合わされましたから」


怪我人を、馬車に乗せて、護衛してた冒険者には、警備隊への報告に一足先に町に行ってもらった。

私とジンは、馬に乗り、幌馬車を警護しながら行くことになった

「所でジンさん、あなたはどうしてこんな所に居たの?
それに そのめちゃくちゃな強さは何?どうやって身に付けたの?」

「ぼくは森の中でお母さんと二人暮ししてたんだ。ぼくのお母さんは、昔冒険者で、ぼくは小さい頃から修行をしてたんだ。
最近は森の中の魔物もみんな倒せるようになったんだ。
そしたら、母さんが、旅に出なさいって。
でもどこの森とかって言われても、よく分からないし、ここがどこかも。」

「へぇー、もしかして方向音痴かな?」

「方向音痴って何ですか?」

「地理的感覚が鈍い人。簡単に言うと、迷子になりやすい人。とか一度行ったことの有るところに、次に行こうとした時に、たどり着けない人」

「あ じゃあぼくそれです。」

「森の中の家で、一人で出掛けたときに、どうやって家に帰ったの」

「お母さんの魔力を感じる方に進むと帰れるから問題無かったんです」

「魔力って遠くても感じるものなの?
今でもお母さんがどこにいるか分かるの?」

「どこにいるかは、わかんないけど、どっちの方かは、わかります」

「私のも分かる?離れても。」

「うん もう覚えたから分かると思う。でもお母さんほど魔力が大きくないから、凄く遠いとなかなか見つけられないかも」

「ちなみに、この辺にどのくらい強い魔物がいるとかも分かの?」

「わかるよ」

「へぇ~ 分かるんだ」

「わからないの?」

「わからないわよ!あなた普通じゃないわよ」

「分かる方が普通だと思ってた」

「それ、気安く人に教えない方がいいレベルの力よ」

「へぇ~ そうなんだ」

「あのさ もしよかったら、町に着いた後、私と一緒に冒険者になって、パーティー組まない?
私はあなたの世間知らずと方向音痴をカバーして、あなたは私を守りながら戦う担当で」

「そりゃあ 助かるよ。
ぼくお母さんみたいに、冒険者になろうとは思ってたけど、それからどうしたらいいか、全然決めてなくて。
宜しくね、フウリンさん」

「フウリンでいいわ、仲間なんだから呼び捨てにして
よろしくね ジン」

全くこのジンって子は、天然記念物ね。
二つ返事で仲間にとかチョロすぎるし、強さはとんでもない。
私がいなかったら、絶対悪い人に騙されるタイプだわ。
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